ジョジョ世界に転生してヒャッハーと思ってたら怪異ポジションだった   作:b畜農家

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偽キャプテン・テニール&フォーエバー戦

 

「うっわ、マジかぁ・・・・・・」

 

 子どもの姿になって船の中に忍び込み、そして見つけたものを前に、オレはそう呟かざるを得なかった。

 そこにいたのは一匹のサルだった。見た目こそただのオランウータンであるのだが、その目つきからは、どこか普通のサルとは違うものを感じる。

 なんだったっけ、コイツの名前。そう確か、キュアラブリーの最終フォームみたいな名前だったはずである。

 

「あんた、あのサルが気になるの?」

 

 オレの横にいた家出少女───アンちゃんがオレの脇腹を小突く。

 

「うわっ。やめろよ、くすぐってぇな」

「男のコみたいな喋り方して変なのーっ。それよりあのサル、人間の女の子のピンナップ眺めてニヤニヤして、気味が悪いったらありゃしないわ。もう行きましょ?」

「おう、そうだな」

 

 なんなんだよ、一度あったことは二度起きるものなのか?というか運命(テメェ)、有能なスタンド使いをふたり組み合わせてさらに有能にしないと気が済まないのか?

 アンちゃんはスデに船の中にいた。いや、原作内でもそうなんだが状況に若干の差がある。

 

 世界を見て回るためにこの船に密航したのが案の定見つかったのまでは同じだ。だがこの船の船長は「もう陸から遠いししゃーない」ということで彼女の乗船を許可してくれた(ただし陸に着き次第親に連絡するらしい)のだ。そうして、アンちゃんは子どもに化けていたオレを同い年だってことで気に入り、こうして船の中を案内してくれたという次第である。

 

 思い出した。あの部屋にいたサルの名前はフォーエバー。タロットの暗示は(ストレングス)()()()()という巨大なスタンドビジョンを自由自在に操作できる強大なスタンドエネルギー持ちだ。

 で、船に乗るときチラっと見たあのオッサンは恐らく偽キャプテン・テニール。本物テニールをブチ殺して成り代わったDIOの手先。

 

 使うスタンドは暗青の月(ダークブルームーン)。船のマリンファンをも粉砕する鋭い手びれに加え、力を吸い取るフジツボにカミソリ並みの切れ味のウロコという、凶悪な2つの武器を使う強敵だ。さらには本体は脅威の肺活量を備えており、水中では実質敵なしだ。

 承太郎たちは今、その偽キャプテン・テニールと一緒にいる。甲板で。いつ海に連れ込まれてもおかしくない状況で。そしてあのクソザルはオスの風上にも置けないペド野郎だ。

 

 ・・・・・・・っとに、運命(テメェ)ってドグサレはよォ・・・・・

 難易度上げりゃ上げるほどいいって思ってんのか、あァ!?

 あーあーあーそうですか!とことん嫌がらせをするつもりですか!だったらいいよこっちにだって考えがあるからよォ!

 

「さて。君たちは子どもだから、子ども同士この部屋で待機しているのがちょうどいいだろう。わたしたちは別室で仕事があるので、何かあったらここを曲がった先の突き当りにある部屋へ来なさい。それと、あのオランウータンの部屋にはいくんじゃあないぞ。オランウータンにかかれば人ひとりの腕くらい簡単に引きちぎれるからな。どうしても見たいときは大人と一緒に行きなさい」

 

 そう言いつけて、モブ船員Aは出て行った。

 アンちゃんは備え付けの簡素なベッドに寝転ぶと、足をばたばたさせた。

 

「あーあ、たーいーくーつー!女の子がこんなせまっくるしい部屋に押し込められるなんてくさくさしちゃうっ」

「ババ抜きでもしようや。ババ抜きをすれば時間が経つなんかあっという間だぜ」

「どうせなら海でも見たいのになー、これじゃ何のために家出までしたのかわからないわ」

 

 オレはアンちゃんにトランプを配りながらこれからどうするか思考を巡らせた。

 承太郎なら問題なく偽テニールに勝てるだろうが、(ストレングス)とダークブルームーンの挟み撃ちを受けるのはだいぶ大変だ。原作でさえあわや一行全滅寸前に追い詰められたのだから油断できない。

 しかし動物というのは人間よりもはるかに恐怖に敏感だ。それが動物のいい所で、利用できる点だ。

 オレは考えをまとめるまで10分くらいカードゲームに興じた。オレは全敗した。

 

「あー、アンちゃん。オレちょっとシャワー浴びたくなったわ。ちょっと行ってくる」

「そうなの?わかったわ」

 

 オレはやりかけのカードを置いて、部屋に隣接されたシャワー室に向かった。

 着物を脱いで浴びなくてもいいシャワーを浴び、待つこと数分後のこと。

 

 ───気配が変わった。

 

「・・・・・・・・・」

 

 振り向けばそこに、フォーエバーがいた。

 

 

 

 どこから現れたのか、アンちゃんの部屋を通ったのか、そのあたりは聞いても無駄なので尋ねるのはやめておこう。つーかコイツ、子どもならオレが相手でもイケるクチなのか。やべーくらい終わってんな。

 

「・・・・・・・・・・♡」

 

 下卑た欲望を隠しもしないクソザルは、棒立ちのオレの貧相な裸体を上から下まで舐めるように眺め、あるいは指で指しながらシャワールームに押し入り───

 

ゴボッ──────?!

 

 水に変化したオレに全身を包まれた。

 ごぼごぼと気泡と共に汚らしい涎がオレの体に溶け、両腕が無茶苦茶に振り回されるが、なんせ今のオレは巨大な水の球体。誰にも悲鳴は聞こえないし、届かない。

 しばらくそうしていたが、その動きもだんだん弱弱しくなってくる。

 オレはサルの顔だけを体から追い出して、彼が意識を取り戻すのを待った。

 水を吐きだし、憎々しそうにオレを睨むサルが何か唱えるより早く、オレはその顔を水で覆った。

「今日は鈍色のアマゾンがよく降るな」「シュレーディンガーの猫は元気か?」と、わけのわからない話をしながら何度も何度もそれを繰り返した。

 何度も、何度も。

 

 

 

 そうやってしばらく経ったころには。

 

「キ・・・・・ウキィ・・・・・」

 

 サルはすっかり抗う力を無くして、ぐったりとしていた。

 オレはサルに顔を近づけ、声色を低くして告げた。

 

「おい、クソザル。このまま溺れ死にたいか、それとも生きたいか?・・・だよな、まだ生きたいよな。だったらオレの今から言うことを聞けよ」

 

 サルが壊れた首振り人形のようにうなずくのを見届け、屈服した目つきでそれがうそではないことを確認して、オレは続けた。

 

「この船をインドまで何事もなく動かしな。無論、船員にもオレの仲間にも、一切危害を加えずに、だ。フォーエバーちゃんはいい子だもんな。ケツをグチャグチャにされながら解体されたくなけりゃあ、できるよなあ?」

 

 肉体の一部を鋭利な棘が無数に付いた極太ディルドに、右腕を鋭いナイフにしてサルに突きつけながら脅すと、サルは必死に首を振った。

 

「よーし!いい子いい子、お前はほんとにできる子だっ・・・・」

 

 わざと満面の笑顔になって頭をわしわし撫で、変身を解いて解放すると、サルは壁に潜るのも考えず一目散にシャワー室から出ていった。

 オレは着替えると、目を丸くしたアンちゃんと合流した。

 

「今の見た!?あんたのいた部屋からあのサルが出てきたのよ!いったい何がどうなっているの?」

「そうだよなー、オレも不思議でならねえぜ。さ、カードゲームの続きをしようぜ」

「そんなのんびりババ抜きなんかしてらんないわよっ!だいたいあんた、あたしより弱いじゃないっ」

「なにをう!?オレはこれでも遊戯王じゃ負け知らずでなぁ!」

「ユウギ・・・?どうでもいいけど、サルが逃げ出したってのを大人の人たちに伝えなくちゃ。あたし行ってくる!」

 

 アンちゃんはオレが止めるのも聞かずに部屋を飛び出していった。まああのサルの様子からして、オレと仲が良いらしいあの子にあやぁかけるような真似はしないだろうが。

 その時通気口を通って、法皇の緑が入って来た。

 

「よう、花京院」

『今、承太郎がテニール船長の偽物を倒した。強敵だったが、承太郎が新技を編み出して対処したらしい』

「おう、そんならなによりだぜ」

『それから、船室の一つにある檻は知っているかい?さっきオランウータンが、鍵も開けていないのに出て行ったのをアヴドゥルさんが確認したが、少ししたら戻って来たそうだよ。ビショ濡れで、心底怯えた様子でね』

「ヘー、ソウナンデスカー。ドーブツギャクタイナンテヒドイデスネー」

『・・・・・・君、なにかしたね?』

「ナニモシテナイアルヨー。ワタシセカイイチヤサシイキツネアルヨー、ミコーン」

 

 数秒の静寂。船の動く重低音だけが聞こえる。

 スタンドビジョンに表情の差分があるわけないが、オレには彼が根負けしてくすりと笑ったかのように見えた。

 

『・・・まあ、そういうことにしておくよ。それじゃ、またあとで』

 

 うそをつくんじゃないと叱られて目を白黒させたアンちゃんが戻ってきたのは、法皇の緑が引っ込んですぐのことだった。

 

 

 

スタンドの呼び方

  • 漢字のほうがかっこいいぜ
  • カタカナのほうがかっこいいぜ
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