ジョジョ世界に転生してヒャッハーと思ってたら怪異ポジションだった 作:b畜農家
「【
まるで糸を引いて空中から引きずり出すように、
プロレスラーめいたポーズを取るそれは、赤い半人半鳥と言うべきか。縁側にいても頬を炙る熱気に、一目でなにを攻撃手段に使うのかわかる。これは、戦いの盤面に立てないよう対策を立てられて当然だ。
『
魔術師の赤の両手から小火が放たれ、意思を持つかのように承太郎に迫る。
承太郎は危なげなく小火を躱しながら円を描くようにアヴドゥルさんの周囲を走る。ハシビロコウのようなそのスタンドの目には、渦巻めいて自らに肉薄する承太郎の姿が映ったはずだ。
『オラッ!』
承太郎は魔術師の赤めがけて一撃叩きこんだ。赤い半人はそれをひらりと回避し、本体の元に戻っていく。
「ふむ・・・射程距離は長くても2mほど。近距離戦に特化しているようだな。原始的な殴打や蹴りだけでも致命傷になりそうだ」
油断のない目つきをしながら、承太郎はアヴドゥルさんに言った。
「おい、てめー・・・手加減をしていやがるな?」
「当然だ。武器を持って少ししか経ってない人間を誰が殺す気で攻撃する?」
承太郎の眉根にしわが寄った。
アヴドゥルさんは承太郎の身体能力なら問題なく避けられる速度、規模の火を放ち続け、承太郎はそれを全て回避しながらも攻勢に移れないようだった。しかし、オレには見えた。起き上がった承太郎のスタンドの手の中に握られている、何か白いものが。
「むっ?」
『おらァッ!!』
怒号。コマ送りめいて引き延ばされた時間の中で、承太郎のスタンドがフォームでそれを投げ放つのが見えた。
「───ッ」
アヴドゥルさんの表情から余裕が消えた。彼はとっさにスタンドを前方に出して、それプラス炎の防壁でなんとか
「飛び道具がそこら中にあるフィールドに俺を連れ出したのが間違いだったな。本気でやらなきゃあ、今のを続けるぜ」
「・・・・なるほど、ジョースターさんの孫なだけある」
めらめらと燃える火の壁の向こうから、少し楽しそうなアヴドゥルさんの声が響く。ようやくエンジンがかかってきたようだ。これは本気が見られるのでは───
「は~い!そこまで!」
その時ホリィさんの明るい声が緊迫を破った。お茶菓子を持ってきたらしいホリィさんが、オレの横に立って2人に手を振っている。
「パパが見せたいものがあるんですって!喧嘩は男の子の特権ですけれど、そろそろやめにしましょ~!」
「───だ、そうだぞ、JOJO」
スタンドを消したアヴドゥルさんが、承太郎に向かって唇を歪めた。承太郎は「・・・やれやれ」と呟いて彼と同じようにした。
履物を脱いで縁側に上がったアヴドゥルさんは、模擬試合の終わりを見届けて立ち上がったオレに「やはり、彼女もまたジョースターの血筋ということだな」と笑いかけた。
確かに。一触即発の逞しい男たちに割って入れるのはホリィさんくらいの胆力が無ければ無理に違いないだろうな。
「ぬおりぁあああッ!!」
裂帛の気合いと共にジョセフさんは紫のビジョンをまとったチョップをポラロイドカメラへ叩きつけた。カメラ無惨!
「これは・・・・・・」
写真出口から独りでに排出された写真をみんなが見下ろした。後ろ姿でも精悍な美丈夫であることがわかる、金髪の人影が暗がりから生じる。
「じじい、なんだ?こいつは」
「こいつこそ、わしらがスタンド能力に覚醒した原因!わしの祖父ジョナサン・ジョースターの体を奪ったくそったれ野郎、DIOじゃ───ッ!」
空気が凍り付いた錯覚を覚えた。ジョセフさんは両目に怒りを灯し、両手を震わせている。
「ぱ・・・・・・パパ」
「───どうした、ホリィ」
「その、状況がうまく飲み込めないのですけれど、そのディオ?さんとわたしたち・・・ち、血が繋がってる、とかじゃあないわよね?」
「ああ、心配しなくていい。日本風に言うのはシャクじゃが・・・・・・天地神明に誓って、お前はジョナサン曽おじいちゃんとエリナ曽おばあちゃんの娘だよ」
ホリィさんは血の気のない顔をゆるめて、浮かせていた膝を床につけた。曽祖父が(上)(下)に分かれていただなんて知ったら誰だって貧血になるのは当然だし、それどころか大好きな親がくそったれ野郎と呼ぶ(上)が自分の曽祖父かもしれないなんて、オレだったら今ごろ気が遠くなってる。
「JOJO。こんな話を知っているか?4年前、大西洋アフリカ沖のカナリア諸島で、数人の船乗りが船を残して忽然と行方をくらました事件だ」
「ああ。新聞でもずいぶん噂になっていたな」
オレも知ってる───とは言えない。
「私はそこで発見された巨大な棺こそ、DIOのものではないのかと推測している」
「まさか」
「あくまでもジョースターさんの話と失踪の話をすり合わせて導き出したものだ、証拠はない」
「うむ。じゃがわしは、その説が有力なものではないのかと思っている。このアヴドゥルと共に調べた結果、4年前のその事件から少しして、エジプトで行方不明者が続出しだした。わしはあそこで相次ぐ失踪事件と今話した船乗りの事件を思うと、胸に嫌なものがうごめくんじゃ」
「そして何より、この私は───DIOに出会ったのだ」
思わずアヴドゥルさんを見ると、彼はまるで眼前にDIOがいるかのように、額に汗を浮かべていた。
「その時はうまいこと逃げおおせたからこうして無事にいるのだが・・・・・・もしもDIOに籠絡されていようものなら、私は今頃ジョースターさんを敵に回して、およそ人とは思えぬ悪行を犯していたろうな」
ホリィさんが固唾を飲んでいる。
「ホリィ」
「はい!」
「今から言うことを落ち着いて聞くんだよ。DIOが目覚めたことによる危険は、きっとお前にも迫るはず・・・・ わしらはスタンドに目覚めた、ということはつまり、お前にも悪影響が及ぶ恐れがある」
「・・・」
「わしらはそうなる前に、DIOを討伐しに向かわねばならん!心配せずともSPW財団には連絡をしてある。悪しきスタンド使いがお前に危害を加えないように根回ししてくれるし、お前の身に何かあれば、必ず力になってくれる。・・・ホリィ、お前の心配事は親のわしには痛いほどわかる。だがわかってくれ、お前のためなのだ」
その言葉を受けて、ホリィさんは、
「───・・・・・・ええ、わかったわ。気を付けていってらっしゃい、パパ」
そう、明るい笑顔で言った。承太郎へ向き直ると、
「承太郎。どういう決断を下そうとも、わたしはあなたの味方です。だから、悔いのない選択をしてね。わたしはいいから、承太郎はあなたの最善を選びなさい」
息をのむとはこのことだ。
物語がこのまま進めば、ホリィさんは間違いなくスタンドの自家中毒で倒れる。
ただでさえ父親が危険な戦いへ向かうというのを理解しているのに、こんな責め苦はただ特別な血を引いているだけのホリィさんにはあまりにも酷すぎる。
ましてやこの流れからして、ジョセフさんが承太郎を連れて行くのはまず間違いないだろう。
父親が自分のために戦いへ向かうのに加え、息子まで連れて行くつもりなのは馬鹿でも察せられることだし、人の親なら反対しない方がおかしい。なのに、この人は。
ホリィさんの言葉を聞き届けた承太郎は、黙って帽子で目元を隠した。
「・・・カゼひくなよ」
そうとだけ言って、彼は茶の間から出て行った。
スタンドの呼び方
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漢字のほうがかっこいいぜ
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カタカナのほうがかっこいいぜ