紅き彗星の滅竜魔導士   作:雷電 芽衣

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初投稿です。好評なら地道に進めていこうと思います


幽鬼の支配者編
銀翼の凶星


中立国フィオーレ王国。

そこは魔法の世界。魔法は普通に売り買いされており、人々の生活に根付いていた。それらを駆使して生業とする者達が居る。人々は彼らを「魔導士」と呼ぶ。

 

魔導士たちは様々なギルドに属し、依頼に応じて仕事をする。そのギルド、国内に多数。そして、とある街に、とある魔導士ギルドがある。かつて…いや、後々に至るまで数々の伝説を残したギルドが存在した。

 

それが『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』である。

 

 

 

 

 

遙か上空にて。

 

「座標はここで合ってるかな?」

 

背中に妖精の尻尾の紋章が刻まれた一匹のネコが、天使の翼のようなものを生やして空を飛んでいた。

 

ある1人の男を抱えて。この男もまた、妖精の尻尾の一員であった。

 

「ああ」

 

喋るネコに抱えられた男は頷きながら静かに答える。その視線は雲に隠れて見えない真下のターゲットをしっかりと見据えているようだった。

 

「昨夜こっそりつけておいた監視カメラ用の魔水晶(ラクリマ)を見たけど、今はメンバー全員ギルドにいるみたいだよ。絶好の機会だね」

 

ネコは頃合いだと見て、男を掴んでいる手を離した。

 

「いってらっしゃい相棒〜」

 

上空から何の躊躇もなく男を落としたネコは、ゆったりとした雰囲気を崩さず男を心配する様子もない。

 

なんと、男は逆さ状態になりながら冷静を保っていた。雲を突き抜け垂直落下していき、真下にある建物に視線を集中させる。

 

その標的は『闇ギルド』。フィオーレの中のイシュガル大陸には、妖精の尻尾のような正規ギルド達を統治する評議員が存在する。そして、その評議員に認められていない暗殺などの違法の依頼を受けているのが闇ギルドである。

 

その闇ギルドを制圧し、メンバーを評議員に引き渡すのが今回、男が受けた依頼だ。

 

男はそのまま闇ギルドに向けて上から堕ちながら、背中に紅いオーラを纏いながら更に加速していく。

 

その速さ、まさに彗星の如く。故に、この紅き彗星を見た者たちは皆こう呼んだ。

 

「焦土作戦、実行」

 

『銀翼の凶星』と。

 

ギルドのてっぺんとの激突と共に轟音が鳴り響く。纏っていた紅いオーラが爆発を起こし、ギルドは崩壊。屋根や柱や材木といったものは全て吹き飛び、瞬く間に壊滅状態となった。

 

「……フゥ」

 

しかし、堕ちてきた男は無傷だった。あれだけの爆発を起こしておきながら本人には一切の火傷が見当たらず、ゆっくりと膝立ち状態から立ち上がった。

 

「ゲホッ!ゴホッ…!な、何が起きたぁぁっ!?」

 

壊れたギルドのマスターらしき人物が巻き上がった埃と煙で咳き込みながら立ち上がる。他の者は傷だらけで立ち上がれない状態だったが、流石は腐ってもギルドを束ねるマスターだからか、多少タフではある。

 

「な、なんだテメェ!いきなりギルド壊しやがって!!なにもんだ!!」

 

ギルドマスターは怒り心頭で手に水と炎の魔法を纏う。複数の属性を操る珍しい魔導士で実力もそこそこあるだろう。

 

「ッ!?」

 

だが、ギルドマスターは気がつけば、目の前の男を見失っていた。男にとって、この問答に興味はなく、既にその場から移動をしていたのだ。

 

「天彗龍の翼撃……!」

 

「ガハッ!は、速すぎる……!!」

 

男は目で追えない一瞬のスピードで背後に回り、右腕に紅いオーラを纏わせつつ、ギルドマスターの身体を切り裂く。

 

意識を失ったのを確認し、そのオーラを纏う腕を払って魔力を消す。彼の見た目は、10代後半に見えるほど若く、黒に近い銀色の髪に毛先は赤いグラデーションがかかった少年だ。

 

「さっすが『ジン』。相変わらずのトップスピードだねぇ〜。僕の考えたセリフはどうだった?かっこいいでしょ〜」

 

空を飛んでいた相棒『アイル』という小さくて紅い毛色のネコは、翼をはためかせながら降りてきた。彼は男をジンと呼ぶ。

 

ゆったりとした雰囲気なアイルと、物静かなジン。2人の性格は全く違っていて一見ソリが合わなそうに見える。

 

「焦土作戦、実行のことか?使ってはみたが、必要あったのか?無駄だと思うが」

 

「もう!わかってないなジンは。こういうのは雰囲気を出したり、モチベーションを上げるのに必要なんだよ。戦いの前にやる儀式みたいなものなの〜!」

 

「……そうか」

 

納得したようなしてないような曖昧な返事をするジン。ソリが合わなかったり、価値観が違うかもしれないが、2人の間に確執のようなものはない。2人は幼い頃に苦楽を共にした仲であったからだ。

 

依頼を達成したジンは黙々と捕縛作業をし、メンバーの確認と評議員への連絡を済ませると壊れたギルドを後にして去ろうとする。

 

「アイル。次の仕事だ。ギルドに帰って依頼を受ける」

 

「えぇ〜!?もう一週間くらい依頼受け続けてるよ!?流石に休もうよ。僕もジンを運んでいくの疲れたし〜」

 

ガーンッと効果音と共にショックを受けるアイル。ジンもよくよく考えてみると、このところ休んでいなかった気がした。自分はまだ体力が有り余っているが、アイルは翼の魔法『(エーラ)』を使い続けていたのもあって疲労している。

 

「……そうだな。すまん」

 

それに気づき、謝ると共に前言撤回するとアイルは喜んで目を輝かせた。

 

「やった!美味しいお魚があるお店見つけたんだ。ちょっと寄っていこうよ。……およ?」

 

アイルは去ろうとするジンの荷物を見て、なにかに気づいた。

 

「ジン。通信用の魔水晶(ラクリマ)が光ってるよ?」

 

そう言われてジンも足を止める。

 

魔水晶。この魔法の世界で売り買いされている魔道具の一つであり、様々な用途として使われる便利な道具だ。魔法そのものを放ったり、画面を映し出すものとして使われたり、このように通信としても使える代物だ。

 

ジンが使っているのは、妖精の尻尾との連絡として使用している魔水晶を持ち歩いており、光っているそれの通信先を確認すると、同じ妖精の尻尾の者からのものだった。

 

「……ミラか」

 

『ジン!アイル!聞こえる!?幽鬼の支配者(ファントム・ロード)が攻めてきたの!今すぐに帰ってきて!』

 

彼が『ミラ』を呼ぶ女性は、何やら慌しい様子だ。それを見てジンとアイルは、只事ではないと察したのであった。




キャラプロフィール

・ジン・インフェルノ 18歳

見た目は黒に近い銀色の髪に赤いグラデーションがかかっている。物静かな少年。

幼い頃に天彗龍バルファルクから滅竜魔法を教わる。しかしナツ達同様、X777年、育て親であるバルファルクが目の前から去ってしまう。

放浪する中で出会った相棒のアイル、そしてマカロフの導きにより、妖精の尻尾に加入。バルファルクは他者を寄せ付けない高い場所を縄張りとしていたため、本人も分からなかったためか人との関わり方をジンに教えることが出来ず、ジンもまた人との関わりがイマイチ分からない為、若干人を避けている節がある。
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