「バトル・オブ・フェアリーテイル!?」
石から元に戻ったルーシィ達はマカロフから事情を説明されて驚いていた。
「じゃが、それももう終わりじゃ。お前たちが石から戻れば、ラクサスのくだらん遊びにつき合う事もあるまい」
確かにその通りだ。だが聞いた話の一つで、フリードの術式によって仲間同士で争うことになった点については皆が許せないでいた。
「でも、フリードの罠にかかって傷ついた皆は…」
「そうよ!ラクサスをこらしめないと示しがつかないわ!」
女性陣には、怒りや悲しみが溢れ、様々な意見が飛び交った。だが、それをなんとかマカロフが宥めた。
「わかっとるわい。後でワシが最大級の仕置きをする。ラクサスめ……今回ばかりはただではすまさんぞ」
「ちょっと待ってくれ」
どうやらナツが納得がいかないようで、マカロフにストップをかける。
「妖精の尻尾最強を決めるっていうラクサスの意見には賛成するしかねえだろ」
ナツは頷きながらそう言った。
『はぁ?』
女性陣はナツの言葉に首を傾げた。『本当にコイツは…』とでも言いたいルーシィとジンは呆れている。
「まぁ、要するにあまりラクサスを怒らねーでくれって事だ。じっちゃん」
ナツがマカロフに笑いかけてそう言う。ナツなりにラクサスを庇っているのだろう。ナツにとって、ラクサス達も仲間に変わりはないのだから。
(ナツ…おまえという奴は……)
マカロフは感動した。あの自由奔放で無茶苦茶するナツがラクサスや自分のために言ってくれたことが。
しかし
「つー訳で……今から第2回 バトル・オブ・フェアリーテイル開始だぁー!全員かかってこいやー!」
「「「はいぃ!?」」」
「やめんかぁぁ!!」
ナツは結局いつも通りだった。そんなナツに珍しくハッピーが苦言する。
「ナツ〜、女の子相手にバトルとかないと思うよ?」
「男とか女とか関係ねぇしぃ〜?」
「うわっ!すごいムカつく顔!」
「よっしゃ〜!ほら、いくぞルーシィ〜!」
「いやぁぁぁっ!?」
ナツはルーシィを追いかけ回し、ルーシィは涙目になりながら逃げる。言ってることは滅茶苦茶だが、ルーシィがナツに振り回されているのを見ると、いつもの光景だからか微笑ましく感じる。
だが、そんな雰囲気を遮るかのようにまたラクサスからの通信が流れる。
「よう、やってくれたじゃねぇかジジイ」
「ラクサス!」
「ルールが一つ消えちまったからな。新しいルールを追加したぜ。俺はバトル・オブ・フェアリーテイルを続けるために『神鳴殿』を設置した」
「神鳴殿じゃと!?」
「さぁ、残りの時間で俺達を倒せるかな?フフッ……フハハハハハハッ!!」
「何を考えとるラクサス!関係ない者を巻き込むつもりか!…うぐっ!?」
ラクサスの通信が途絶えた後、マカロフは憤慨すると突如、自身の胸を押さえて苦しみ始める。
「大変!いつものお薬!」
ミラは急いでマカロフの薬を取りに行った。彼は高齢だ。身体も弱ってきていて、いつ死んでもおかしくはない。このゲームに付き合わされて相当心労にきたと考えられる。
「じっちゃん!神鳴殿ってなんだ!?」
ナツは質問をするが、苦しむマカロフはそれに答える余裕がなかった。それを見てナツはさらに心配する。
「みんな!外を見て!」
薬を取りに行ったミラが声を上げながら戻ってきた。皆がギルドのバルコニーから覗くと、なにやら光る球体がマグノリアの街を囲むように何個も浮いていた。
「何だアレ!?」
「雷の魔水晶!?」
その球体には強力な魔力が凝縮されていることが分かる。そこから推測されることは容易に理解できた。
「多分、ラクサスはアレを全部マグノリアの街に雷として落とすつもりだよ」
『えっ!?』
よく魔水晶を道具としてよく使うアイルはいち早くそれを理解した。商店でよく魔水晶や戦闘用の道具を購入する故、神鳴殿の用途も勘で分かったようだ。
「そんなことはさせないわ!スナイパーライフル換装!」
飛び道具専門家のビスカはスナイパーライフルを構え、1つの雷鳴殿に向けて狙いを定めた。
「スティンガーシュート!!」
それを難なく撃ち抜いたビスカ。
「やった!やるじゃないビスカ!」
「フッ、このままアタシが全部撃ち抜いてやるわ。……って、ああぁぁァァッ!!?」
「ビスカ!?」
神鳴殿を撃ち抜いたビスカが、何故か雷撃を喰らってしまう。彼女は焼け焦げた傷を負って倒れてしまった。
「ビスカ!しっかりして!」
レビィが駆け寄って身体を支えるが、今の雷撃でビスカは気絶した。
「まさかこれは……『生体リンク魔法』!?」
「生体リンク魔法?」
「あの球体は受けたダメージを連結させ、雷となって攻撃した者を襲う魔法を施してる。攻撃すればそのまま自分に返ってくるんだよ」
ルーシィの問いにカナが説明をする。破壊は出来ても自分が大きなダメージを喰らうのであれば、この大量の神鳴殿を対処するのは不可能だった。しかし、それを可能にできる者が1人この場にいることを殆どの者が知らなかった。
「それだけか?カナ」
「は?ジン……それだけって何が?」
「
「えっ?まぁ……それはそうなんだけど」
「そうか。もし、俺がここから出られれば……あの神鳴殿をどうにか出来るんだがな」
「えっ!?そうなの!?」
ジンの言葉にルーシィは驚く。
「俺の体内に龍属性エネルギーを巡らせれば、雷のダメージを相殺できる。……そして、このことをラクサスは知らない。俺の魔法を詳しく知ってるのは、ギルドの中でも少ないからな」
そう言うジンだが、彼はこのギルドから出る事が出来ない。ここから魔法で狙撃することもできないので八方塞がりに変わりはなかった。
「こうなったらラクサスをやるしかない!いくよみんな!」
カナの号令でレビィを除いた女性陣は一斉にギルドを出ていく。レビィは傷ついたビスカと倒れたマカロフの看病に努めるようだ。
「アタシ、街の人をできるだけ避難させる!」
「ルーシィ!オイラもいくよ!」
「ハッピー、ありがとう!」
「私は負傷した皆を探すわ!急いで手当をしないと!」
「そうか。アイル、お前はミラについていけ」
「うん!分かった!」
ハッピーはルーシィ、アイルはジンの指示でミラにそれぞれ同行していく。
ジンは皆を見送った後、自身の手に龍属性を纏わせてそれを壁に押し込むようにぶち当てた。
「何してんだ!?」
壊れない壁にしつこく魔法を当てるジンにガジルは声を上げた。
「悪いが俺はジッとしているのが苦手でな……天彗龍が壁に阻まれ続けるのは屈辱もいいとこだ……いい加減にストレスが溜まってしょうがない」
「俺も手伝うぞジン!」
珍しく怒りに震えているジンに呼応してナツも壁に向けて魔法を当て続ける。
だが、その行為に対してレビィがストップをかけた。
「ナツ!ジン!待って!私に考えがあるの!ガジルもよく聞いて!」
「あ?どうするんだ?」
「術式は文字魔法の一種でしょ?なら、私がどうにか出来るかもしれない!」
「なにっ!?」
「本当かレビィ!?」
「私……あなた達ならラクサスを止められるって信じてるから。絶対に何とかしてみせる!」
先にマカロフとビスカを安全な場所へ移動させ、レビィはギルド内で文字魔法に関する本を何冊も広げて解読に勤しむ。
「うーん……ローグ文字の配列情報を文字マテリアルに分解して、ルール構築に使う単語をピックアップ……L、O…S……U……更にそれをギール文法に変換……」
その解読に興味があったのか、ガジルはその様子を側でジッと見ていた。レビィの言ってることは何一つ理解はできないが、彼女が必死なのは伝わってきた。
「すげぇなお前……何言ってるか全然わかんねぇぞ」
「私があなた達を絶対に外へ出す。だからガジル……お願い。ラクサスを止めて」
「俺は…別に……」
まだ馴染めていないからかガジルは曖昧な返事をする。かつて自分が傷つけた相手にどう接すればいいのか彼にはまだ分からなかった。
一方、レビィはガジルを信じると決めた。ギルドの仲間になろうと必死なガジルの気持ちに応えると。かつては敵だったとしても、今は同じギルドの仲間なのだから。
▽
フリードは一度カルディア大聖堂を出た。しかし、空にある神鳴殿を見て嫌な予感がしたのかラクサスの元は急いで戻って彼に詰め寄る。
「神鳴殿……本当にここまでやる必要があるのか!?ラクサス!」
「うるせぇ。何をしてるフリード……ビックスローは妖精狩りを続けているぞ。エルザとミストガンは俺がやる。お前はカナと
「なっ!?前は敵でも今は同じギルドの仲間だぞ!それを……」
「俺の言う事がきけねぇのかァァッ!!」
激昂するラクサスに気圧されるフリードは言葉を紡ぐことを恐れて黙り込む。
フリードはラクサスの部下とはいえ、今まで仲間だった者たちに刃を向けることに躊躇いを感じており、負ければ潔く認め、謝罪するつもりだった。
だが、ここまで来てはそれが許されないと思ったのだろう。彼は腹を括り、忠誠を誓ったラクサスに最後まで付き合うと覚悟を決めた。
「どの道戻れない……俺は最後までアンタについていくよ。たとえその先が……地獄だとしても。ここから先は本気でやるぞラクサス。後悔するなよ」
そうフリードは言い残して、今度こそカルディア大聖堂を出ていく。ここに戻ってくることはなく、ギルドの者達との戦いに赴いた。
▽
一方、エルザは……
「エバーグリーンが言っていたラクサスの居場所はここだな」
その建物の扉をバンッと勢いよく開けるエルザ。
「ラクサス!…なっ!?」
「エ、エルザちゃん!?」
「ここは男湯だぞ!?」
「な、なんかのサービス……?」
入った先は銭湯の男湯だった。入ったエルザもそうだが、入浴中の男性達からも驚愕の表情をされる。
そこでようやく気づいた。自分はエバーグリーンに踊らせていたことを。そもそも彼女が素直に居場所を教える方が不自然な上に、彼女は保身のためにエルザから遠ざかれば良いだけの話なのだから嘘を言うのは当然だった。
「……」
恥ずかしそうにプルプルと震えるエルザ。結局、ラクサスの居場所は自分で見つけなければならないので振り出しに戻ってしまった。
「ぷっ、ざまぁみなさいエルザ……」
因みに遠くにいるエバーグリーンは、このエルザの姿を容易に想像出来たからか面白おかしく笑っていた。
▽
ルーシィとハッピーは街の人々を避難させようと拡声器を使おうとしたが、フリードの術式により拡声器は使えず、街の人々に今の状況を伝えることは出来なかった。
「拡声器が使えないなんて、これじゃ街の人を避難させる事が出来ないわね」
「そのことなんだけどさルーシィ。それはやめた方がいいと思う」
「えっ?なんでよ?」
「今、このマグノリアの街にはマグノリアの人だけじゃなく、収穫祭のために他の所から来てる人が大勢いるんだ。そんな中で雷鳴殿のことを聞いたら、きっとパニックになってオイラ達じゃ避難させられなくなるよ。怪我人だって出るし……」
「そっか。じゃあ、どうすれば……」
ルーシィが頭を抱えながら考えていると……。
『ねー』
『どうしよっか?』
「……ん?」
近づけばトーテムポールの人形のようなものがチラホラと浮いてルーシィに近づいていた。
「ルーシィ危なーい!!」
ハッピーがそれを見て急いでルーシィを掴んで空を飛んだ。逃げるルーシィに向けて人形達は光弾を放って攻撃してきた。
「な、なにこれ!?」
「ビックスローだ!」
ハッピーの言葉通り、そこに雷神衆の1人であるビックスローが現れる。彼は建物のてっぺんからルーシィに話しかけてきた。
「よう!アンタが噂の新人だろ?」
「ちょっと!噂って何よ!なんか嫌な予感するんですけど!」
「コスプレ大好きツンデレ肉食系女王様だろ?」
「どんだけ尾ヒレついてんのよぉぉぉぉっ!?」
要は面白新人だと噂されているルーシィはその噂にツッコミを入れる。
「ヘイベイビー……やっちまいな!」
ビックスローはお構いなしに遠距離から人形による光弾攻撃でルーシィを追い込む。
ルーシィは何とか躱すが、ビックスローが遠距離にいるので反撃できない。
「アンタ達!こんなことしてマスターが許すと思ってんの!?」
「マスターの許しなんかいらねぇ。このゲームが終わるころにはラクサスがマスターになってんだからよ!」
続けて人形による攻撃。ルーシィは反撃の糸口を見つけようと考える。
「くっ、あの飛んでいる人形が邪魔ね…」
星霊魔導士のルーシィはホルダーから星霊を呼び出す鍵を取り出し、それを掲げる。
「開け!人馬宮の扉!サジタリウス!」
ルーシィの呼びかけに呼応し、人馬……というより馬の着ぐるみを被った人のような星霊が出てきた。
「んー、お呼びでありますか。もしもし」
「ほーう。星霊魔法か!てか、星霊もコスプレかよ」
「違うから!サジタリウス!狙いは飛び回ってる奴らよ!」
「了解であります!もしもし!」
サジタリウスは弓の達人である。彼は数本の矢を放ち、それらは全てビックスローの人形に命中。人形は跡形もなく粉砕した。
「OH!ベイビー達が!」
「やった!」
「ベイビー……なんちゃって」
落ち込むビックスローだったが、それは演技。突如、ビックスローの背後から大きなレーザーが放たれ、サジタリウスの腹を貫通した。
「サジタリウス!」
「くっ……暫く帰って来れないであります。もしもし……」
サジタリウスは力尽きて星霊の世界へ帰ってしまう。
「この下はホビーショップ。人形だらけだぜ?人形があれば魂を操れる俺にとって、この場所は好都合なのさ」
ビックスローは魂を操れる。無機物に魂を吹き込むことのできる魔導士なのだ。
「だったら!」
ルーシィは次の星霊を呼び出そうとするが、それをビックスローの人形に盗られてしまった。
「なっ!?返しなさいよ!」
「オイラが取り返す!…ぶべっ!?」
ハッピーとルーシィは数々の人形から体当たりされて袋叩きに遭う。
「わりぃな。もう後戻りはできねぇんだ。ラクサスのためにその魂を捧げろ!バリオンフォーメーション!」
人形達はビックスローの指示の元、陣形を組んで魔力を溜める。一体一体が出す光弾のエネルギーを集約して、それをルーシィに対してレーザーとして放つつもりだ。
「やめろぉぉぉっ!!」
ハッピーの悲痛な叫び声をビックスローは無視し、ルーシィに向けてトドメの一撃を放つ。
「な、なにこれ……」
立ち上がって逃げても間に合わない。着々とレーザーは迫って絶体絶命に追い込まれたルーシィ。
だが、そこで何者かがルーシィを抱えてレーザーを避けた。
「ア?」
誰が現れたのか分からず首を傾げるビックスロー。その人物はビックスローにとっても、ルーシィにとっても意外な人物だった。
「何でだろうね。僕だけが君の意思に関係なくゲートを通ってこの世界に来れるらしい。これは人との星霊の壁なんて、僕らの愛の前では砕け散るってことなのかな?」
涼しい顔でこんな台詞を吐けるギルドの仲間は1人しかいない。そのセリフに対してルーシィは顔を赤くする。
「愛って……何バカなこと言ってんのよ」
「なっ!?お前……ロキ!!?」
そこに現れたのはスーツを着たロキだった。
彼は以前、人としてギルドに入ったが実は星霊だった。事情があって人のフリをしながら生き続けてきた彼は、ルーシィのお陰で星霊に戻る事ができ、今はルーシィの星霊として仕えている。
「フッ、約束を果たす時がきたようだねルーシィ」
「ロキよぉ。お前やっぱ星霊だったのかよ!黙っててやったのに俺に牙を向くのか」
「黙っていた……?」
ルーシィはビックスローの言葉に疑問を抱く。ロキが星霊だと知ったのは自分が最初だと思っていたから。その疑問にはハッピーが答えた。
「アイツは人の魂を見る事が出来るんだ」
「ロキ、バトル・オブ・フェアリーテイルに参加するのか?」
「その辺の事情には興味が無い。だが、僕のオーナー……ルーシィを傷つけたことだけは許さない!」
「許さないってぇ?お前俺に勝てたことねぇじゃん?いつも手を抜いてやってたのに……粋がるねぇ」
「ルーシィ、下がってて」
「何バカなこと言ってんの。星霊は盾じゃない。一緒に戦うのがアタシのスタイルなの!」
鞭を構えるルーシィはロキの横に並ぶ。この良い感じなコンビを見てハッピーはお決まりの台詞を吐く。
「どぅぅえきてぇぇる」
「デキてない!!」
茶番は終いにし、戦いが再開される。ロキは本来の星霊の力を取り戻しており、その力を解放した。
「レグルスよ……我に力を!」
拳に力を込め、光を纏う獅子となったロキ。彼はビックスローの人形を光で切り裂いて撃破する。
「今だルーシィ!」
「うん!はぁっ!」
ルーシィは合図でハッピーに持ち上げられながらビックスローの元へひとっ飛び。そのまま鞭で叩こうとしたが、ビックスローにかわされてしまう。
「おっと危ねぇ!」
「ルーシィ!力押しでいくんだ!ビックスロー本人はそんなに強くない!!」
「何だとテメェ!?」
ロキの容赦ない評価に憤慨するビックスロー。だが、それは確かに言う通りで、ルーシィは少しずつだが人形の支援無しのビックスローを追い詰めていた。
「チッ、仕方ねぇ。アレをやるか」
ビックスローは自身が付けている仮面を外して素顔を晒す。
「
「みんな目を閉じて!ビックスローの目を見ちゃうと人形化されて魂を操られちゃうんだ!」
ハッピーの言葉にルーシィとロキは目を瞑る。これで人形化されることはなくなったが、目を瞑ったことで周りの人形の動きを見ることも出来なくなった。
「うぐっ!」
「きゃぁっ!」
見えない状態で人形達の攻撃をモロに受け、反撃ができないルーシィ達。目を開ければ人形にされ、目を瞑れば攻撃を受け続けなければならない、まさに八方塞がりの状況に追い込まれてしまった。
だが、ここでロキはある秘策を閃いた。
「ルーシィ!僕を信じてくれるかい!?」
「当たり前でしょ!最初っからアンタのこと信じてるんだから!」
その言葉に嘘偽りはなく、ロキはその秘策を発動する。
「レグルスは満ちた……獅子光耀!!」
その言葉を発するとロキの全身が発光する。その光はたちまち辺りを照らし、ビックスローの目にも届く。
「がっ!?目がァ!!?」
急な強い光に当てられて目眩しをされるビックスローはその目を塞いでしまった。
「今だルーシィ!」
「うん!」
目眩しに成功し、目を開けたルーシィは鞭を使ってビックスローを拘束。ロキはその隙に拳に光のエネルギーを蓄積させる。
「ロキ……俺がお前如きにぃ…!!」
「ビックスロー。あの頃の僕とは違う。ルーシィが主人になって、僕は星霊本来の力を取り戻した。いや、ルーシィに会って僕は強くなった。お前の操り人形とは違う!愛が星霊を強くする!!レグルス・インパクトッ!!」
ロキから放たれる獅子の形をした巨大なエネルギーの塊がビックスローに襲いかかる。
「うぉぁぉああぁぁっ!?」
エネルギーの奔流に飲み込まれたビックスローは悲鳴を上げながら気絶。戦闘不能になった。
「やったわねロキ!」
「ふっ、見てくれルーシィ。愛の光を!」
戦いが終わり、ロキは祝杯のように空中に『I LOVE LUCY』という文字を浮かび上がらせた。
「どぅぇきてぇぇる」
「だから巻き舌風に言わないの」
敵を倒せたことに安堵するルーシィだが、緊張の糸が切れたかのように力が抜けていきその場にへたり込む。
「あ、あれ……?」
「黄道十二門を2体も召喚したから当然だよルーシィ」
座って動けないルーシィに対し、ロキはビックスローから取り返したルーシィの鍵ホルダーを差し出した。
「僕はいつでも君のピンチにかけつけるよルーシィ」
「うん。ありがとう」
▽
「やるなルーシィ」
ギルドの内ではルーシィの勝利の文字が並べられており、それを見ていたジンが称賛の声を上げた。
「だろ?ルーシィはつえーんだ」
「マジかよ!アイツ、チアガールだろ!?」
「チアは強いんだよ」
「どんな理屈だよ!?」
ガジルはナツのよく分からない理屈に困惑する。
「すごいルーちゃん。私も負けてられない!」
勝利したルーシィの友達、レビィもまた彼女に負けないよう解読に力を入れる。
「あぁん?オメェ、チアと亀の競走の話しらねぇのか?」
「チアじゃなくてウサギだろ!てかウサギ負けてんだろそれ!!」
「だったらよぉ……チアはジンよりもはえーんだよ」
「1番有り得ねぇ話持ち出してきやがったコイツ!テメェの思考回路どうなってんだ!?」
「俺はチアよりも速いぞ」
「オメェも何で張り合ってんだ!?」
自由奔放なナツとジンに振り回されるガジル。段々とこの空気に馴染めてきた感じはあった。
「何回も何回も勝負すれば勝てるんだよいつか。負けても次からはウサギが勝つってことで」
「な、なるほど?教訓を活かすってことか……」
「それだ!!」
解読に悩んでいたレビィは今のナツ達のやり取りで何かを思いついたようだ。インスピレーションが働いたのか筆の動きが早くなる。
「二つの文法を二つの違う速度で解いていく……これらをギール文法にしてローグ文法に変換……よし、出来た!!」
「「おぉっ!」」
「流石だなレビィ。感謝するぞ」
フリードに並ぶ文字魔法の使い手 レビィ・マグガーデンによってギルドに貼られていた術式は書き換えられ、ナツ達はギルドから出られるようになった。
「準備は良い?ナツ!ガジル!ジン!バトル・オブ・フェアリーテイル……参戦だよ!」
「燃えてきたぞ!」
「ひと暴れしてやんよ!」
「任せておけ」
今ここに3頭の竜が出揃い、反撃の狼煙は上がったのであった。