空っぽの少女が中身と友達を手に入れる話   作:──

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2日目、募集結果

ぼやいたーへの返信を確認し、冷蔵庫からエナジードリンクを取り出す。

PCで配信準備をしつつ、スマホで準備しておいた配信告知を投稿する。

そんなVtuber2日目の私である。

配信を始めると早速

 

『どんなのが採用された?』

『こんばんわ』

『何が始まるんです?』

 

とコメントがまあまあの速度で流れ出す。

私はマイクをオンにして声を発する。

 

「はい、こんばんは〜。レインボーカラーの無気力担当、2日目だし顔くらいはここで覚えて欲しい月白真白だよ〜」

 

『待ってた』

『こんばんは〜』

『もう名前まで覚えた』

 

「さて、昨日私におすすめの趣味をみんなに募集したよね。それはいいんだけどさ……」

 

『?』

『そうだね』

 

私は画面上に実際の返信欄を表示する。

それを見れば、大勢の人が私の言わんとすることに気がつくはずだ。

 

『あ』

『これは……』

『www』

 

「これさ……、無茶振り大会じゃないからね?」

 

そう、返信欄は趣味どころかリクエストや無茶振りの入った地獄の玉手箱の様相を呈していたのである。

もちろん、しっかりと趣味になるものを書いてくれた人もいる。

しかし、

《語尾ににゃんをつける》

《ダクソ20回クリア耐久配信》

といった無茶振り(リクエスト)の数々が寄せられたのである。

それを見た私は……

 

「ということで、配信内容を変更して現在スクショした全返信の内容を全部クリアするまで終わらない配信にするよ。えーっとまずは……、語尾ににゃんだね。やっていくにゃん」

 

『マジで?』

『いつまでかかるんだそれ』

 

「スクショした数は100件だにゃん。リクエストした人は責任持って最後まで見るにゃん」

 

『oh…』

『アッハイ』

『(^o^)』

 

そうして始まった私の無茶振り百本ノック耐久配信。

結論から言えば、私の戦いは10時間に及んだ。

新たな趣味と言えるものは見つからなかったが、ようやく終わったその時、コメント欄に溢れる賞賛や感嘆のコメントを見て私の胸にはワクワクするような、浮き足だったような感覚が湧き上がった。

その時私を包んだそれはきっと、生まれて初めての達成感……だったのと思う。

 

「……はぁ、はぁ、みんなもお疲れ様」

 

『お前がチャンピオンだ』

『激辛焼きそば食い始めた時は終わったかと思った』

『なんで生きてんだよ(褒め言葉)』

 

「ちょっと、〝なんで生きてるんだよ〟は映画とかでバケモノに向ける言葉でしょ。……君たちが始めた物語だよ」

 

『俺たちがこの怪物を生んだのか……』

 

「ちょっと!?……はぁ、また次回会いにきてね〜」

 

『怒っちゃった……』

『ごめんて』

『またね〜』

 

大した成果はなかったけど、Vtuberもいいな、なんて思えた2日目だった。

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