トレセン学園警備員さんは、ウマ娘に勝ちたい。   作:秋津モトノブ

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例によってどこに入れたらいいかわからない一遍。


特別編 ラーメン!餃子!チャーハン!

「ラーメンだよっ!けーびいんさん!」

 

「ラーメンだなあ、ウララ」

 

 愛車の助手席で、ウララが鼻歌交じりにニコニコしている。

この子は何処にいても楽しそうでいいなァ。

 

「ボロっちい車で悪いな、ウララ」

 

「んーん!夏祭りの時にも乗ったけど、わたしこの車好きだよ~?」

 

「そっかそっか、そりゃあコイツも喜ぶだろうよ……そしてライス、狭くねえか?」

 

 ウララの横、窓際に腰かけたライスに声をかける。

2人は小さいからこうして乗れるって寸法さ。

これがオグリやブライアンだとこうはいかないからな。

 

「ううん、大丈夫だよおじさま……その、おじさまの車に乗るの、初めてだから緊張しちゃって……」

 

 俺の車のどこに緊張要素があるかは知らんが、まあ……いいだろう。

ライスも大変だな。

 

 

 本日は、以前から約束していたラーメン屋に行く日だ。

俺は学園でウララとライスを拾い、ライとたづなさんはそのまま現地集合となる。

右肘も治ったし、大手を振って外出できるぜ。

全員の休みが奇跡的に合ってよかった。

特に俺達警備員サイドが。

 

「けーびいんさん、キズ残っちゃったね……」

 

「とっても痛そう……」

 

 ウララ達が痛ましそうに見ている。

優しいなあ、2人とも。

 

「なんのなんの、これくらいなんともねえさ。俺が美少女なら大変だがなァ」

 

 むしろこの程度で済んで僥倖だ。

マトモに喰らってたら骨がイカれてたしな。

フドウギクの正拳はそれ程のモノだった。

 

「いくらカモさんのためでも、無理しないでね……」

 

 おっと、そういうことになってたっけ。

我ながらアホみたいな理由だなァ。

まあ『格闘ウマ娘と正面から殴り合いました』よりかは信憑性あるし。

 

「そーだよ!体がしほん?なんだよー?」

 

「おう、気を付けるって。さすがにカモさんの親子にはそうそう会わねえだろうしな」

 

 次の試合が決まればわからんがな。

これからトーナメントは熾烈になる。

無傷で勝ち上がれる保証なんざ、どこにもねえ。

……今から言い訳考えとこうか、怪我の。

次は狸の親子でも助けようか。

 

「ねえおじさま、あの……本当に奢ってもらってもいいのかな?ライス、いっぱい食べるよ?」

 

 財布を持っていますよ、とアピールするライス。

ウララも可愛らしい財布を見せてくれた。

いい子たちだなァ……ライなんか『電車賃は持ってくッス!!』としか言わなかったのに。

 

「自慢じゃないが俺は金には不自由していない……いや、この言い方はなんか嫌だな。2人とも……ナイショにしてくれるか?」

 

 窓を閉め、クーラーを付けて声を潜める。

俺の様子に、2人は真剣な表情をして黙り込んだ。

 

「実はなァ……宝くじが当たったんだ。1等じゃねえけどな」

 

「えぇ~っ!?むわむむむ……」「し~っ!ウララちゃん!し~だよ!」

 

 叫んだウララの口を塞ぐライス。

おお、冷静だな。

 

 本当はU-1のファイトマネーなんだがな。

さすがは大人気格闘イベント、懐があったかすぎて火傷しそうだぜ。

人間トーナメント、そしてエキシビションの時点で結構な賞金だったのに……本選の2回はもう……やべえぞ?

初めに記帳した時、何かの犯罪に巻き込まれたのかと思っちまったよ。

振込先見て納得したがな。

 

「それでな、こういう金はとっとと使っちまうのに限るんだよ。だって俺は警備員をやめる気はねえからな?だからパーッと使っちまうことにしたんだ」

 

 手を伸ばし、ウララ達の頭を撫でる。

 

「だからなあ、俺はお前らに飯を食わせることにしたんだ。いっぱい食って、バンバンレースに勝ってくれよ?いや……元気にレースを楽しんでくれな?」

 

 まずは無事是名バ、だ。

その上で勝ってくれりゃあ、最高だ。

 

「だから遠慮すんな……そして俺は爺さんになってどっかで自慢すんだよ、『ハルウララとライスシャワーにラーメンを奢ったことがあるんだぞ』ってなァ!」

 

 その頃には、自慢の種になるようなスターウマ娘になっててくれよな!

今でも十分スターだけどよ!

 

「おじさま……うん!じゃあライス、ごちそうになります!」

 

「わたしもーっ!」

 

 仲良く手を上げる2人。

うんうん、子供は元気が一番だ。

 

「よーし……じゃあ行くか!」「「おーっ!!」」

 

 軽やかな気分と共に、アクセルを踏み込んだ。

 

 

・・☆・・

 

 

「めっちゃ混んでんな」

 

「人がいっぱいだねー」

 

「お休みの日だもんね……」

 

 目的地近くに到着し、有料駐車場に車を停めた。

ライたちとは店の前で待ち合わせなので、こっからは歩きになる。

 

 そして目も前の道はえらく混んでいた。

うーん、日曜日だなあ。

 

「よっしゃウララ、来い!」「わわっ……たかーい!」

 

 ほえー……みたいな顔のウララを持ち上げ、いつものように肩車。

今日の服はズボンだからな。

 

「そしてライス……は可愛いスカートだもんな、申し訳ねえが手を繋ごうか」

 

 学園にいる時みてえに体操服なら両肩に乗せられたんだがな。

 

「いいよっ!?むしろライスは手を繋ぐ方が好きだよ!?」

 

「そ、そうか」

 

 というわけで手を繋ぐ。

うわあ、ちっちぇえ。

子供みたい……いや子供だったわ。

高等部なのが信じられねえけど。

 

「おじさまの手、おっきいね……それに暖かい♪」

 

「基礎体温が高いんでな。嫌になったらいつでも離せよ?」

 

「ずうっと繋いでるよ、絶対に!」

 

 そ、そうか。

なんかライスの圧が強い。

いいならいいんだが……

 

「よし、じゃあ行くか」

 

 とりあえず約束の時間には余裕があるが、混んでいるからな。

早め早めに行動しよう!

 

 

「おい!あれってハルウララちゃんじゃないか!?」「うわ、ほんとだ!俺大ファンなんだよ……で、アレは……お父さん、かな?」「似てないっていうか骨格からして違うだろ……」

 

 周囲からざわめく声が聞こえる。

……しまった、今更ながらこれ目立ちすぎる。

ウララに視線が集中しているお陰?でライスが気付かれた様子はないが……

 

「ハルウララちゃーん!大ファンなの!これからも頑張ってね!」「応援してるぞ~!」「今日はお父さんとお出かけか~?」

 

 若いファンは尻込みしているようだが、ご年配の方々は顔をほころばせながら手を振ったり話しかけたりしてくる。

完全に孫とかを見る目だな……具体的に言うと真波さんとかと同ジャンル。

 

「ありがとーっ!わたし、がんばるよーっ!!」

 

 ウララは愛想よく返事をしている。

その度にファンの方々はもう……とろけそうな感じに微笑んでいる。

ウララからはなんか、幸せな波動的なサムシングを感じる……気がする!

 

「ウララちゃん、人気者だね。ライスも嬉しい……」

 

 手を繋いでいるライスも嬉しそうだ。

 

「ウララが人気者なのもそうだが、ライスも負けてないからな?少なくともUSC社員のファン率はほぼ100%だぞ?」

 

「え、えへへ……じゃあ、おじさまも?」

 

「ファンもファン、大ファンだよ。青いバラのお姫様にメロメロだ」

 

「えへへ……嬉しいな……えへ」

 

 ライスは花がほころぶように笑みを浮かべた。

 

 何を今更。

俺は知ってるウマ娘全てのファンだ!

……が、これは言わない方がいいな、うん。

それくらいの空気は読める男、山田一郎です。

 

 あのブーイングレースの時みてえな顔、二度とさせてたまるかよ。

ウマ娘が一生懸命頑張って走って、そして勝ったんだ。

それにかけられるのは、称賛以外はいらねえ。

善因には善果あるべし、だ。

 

「さーて、行くぞ2人とも。ライス、俺手汗かいてねえよな?嫌だったら言ってくれよ?」

 

「大丈夫っ!ライスは全然大丈夫だから安心して!おじさま!」

 

「いや……そうじゃなくて……まあいいか……」

 

 何故かライスが凄く元気だ。

元気なのはいいことだな、うん!

 

 

「パイセーン!コッチっス!こっち~!」

 

 待ち合わせ場所に着くと、ライが手を振っている。

おっと、俺達が後か。

俺が言うことじゃないが、ライは目立つからすぐわかるなあ。

 

「ライさーん!こんにちわ~!」

 

「ひょーっ!しばらく見ない間にでっかくなっちゃったッスねえウララちゃーん!」

 

 ウララは肩の上でライとハイタッチ。

目線が近いのが新鮮なのか、楽しそうだ。

 

「こんにちは山田さん、今日はありがとうございます。ライスシャワーさん、素敵なお洋服ですね」

 

「あ、ありがとう!たづなさんもとっても綺麗……制服以外もよく似合うね、素敵だなぁ」

 

「あら、うれしいですね♪」

 

 そして、ライの横にはたづなさん。

いつもの制服とは違って、シンプルだがよく似合う格好だ。

……でも帽子はしっかり被ってるのな、好きなんだろうか。

この人が帽子脱いだの見たことねえぞ。

 

「いやあ~、たづなさんがナンパされまくってて大変だったッス!まあ、ウチが全員追っ払ったんスけど!」

 

「すごい剣幕でした♪」

 

 ライ、身内というか知り合い以外には基本塩対応だからな……

このッスッス口調も消えるし。

ナンパ男どもはさぞ恐ろしかったんだろうさ、特に同情はしねえが。

 

「たづなさんも災難ですね……ライも気を付けろよ」

 

「パイセンがウチのことを……(トゥンク」

 

「相手を殺さねえように」

 

「んなぁあ~~~!?」

 

 ばんえいウマ娘のパワーはすげえからな。

格闘ウマ娘じゃなくても、手加減しねえと大惨事になっちまう。

 

「おじさま……それは、ちょっとひどいかなって」

 

「けーびいんさん!駄目なんだよっ!」

 

「こめかみと手が痛い!?!?」

 

 ウララが頭をギリギリし、ライスには強く手を握られた。

流石はサラブレッドウマ娘……ちっこくても人間顔負けのパワーだぜ……

 

「山田さん、いけませんよ?」

 

 そしてたづなさんの目も怖い。

笑っているのに笑っていない。

 

「すいませんでした、ライも含めてウマ娘は全員美人なので許してください」

 

「ウチがたまんない超絶美少女ですって!?しょーがないっすね~今回だけは許してあげるッス~♪」

 

 そこまでは言っていない……だがもう何も言うまい。

薮を突いて蛇どころか八岐大蛇が出てきちまう。

 

「……揃った所で行きますか、たづなさん」

 

「はい♪……ところで山田さん?『ウマ娘は』全員美人なんですか?」

 

 何を言って……ああ、そういうことか。

 

「たづなさんが人間だって時々忘れそうになりますよ、美人なんで」

 

 桐生院トレーナーとか……見た目だけならライスのトレーナーさんとかな。

他の女性職員もそうだし……

 

「まあまあ、お上手ですね♪」

 

「……トレセン学園って顔面偏差値高すぎじゃねえか?肩身が狭ェよ、俺ァ」

 

 男性トレーナーもそうだしなあ……

 

「お、おじさまの顔、ライス……好きだよ!好き!」

 

「わたしもーっ!」

 

 2人の優しさが身に沁みるぜ……

ウララ達を撫でてから、ラーメン屋に向かうことにした。

『ウチ的には5億点ッスよ、5億点』というライのフォローには笑ったが。

何点満点なんだよ。

 

 

「らっしゃいませーっ!!」

 

「個室予約してたライデンオーッス」

 

「はーい団体様ごあんなーい!!

 

 集合場所から5分少々歩き。お目当てのラーメン屋に到着した。

達筆な書体で『本家濱々家』と書かれた看板がよく目立っている。

ラーメン屋には珍しく、店舗がかなり大きく個室まで完備。

さすが、ファインモーション行きつけの店だな。

これなら、人目を気にせずにゆっくり食える。

 

「うわ、ライスシャワーちゃんだ」「あっちはハルウララちゃんだぜ!」「テレビで見るよりちっちゃいけど、もっとかわいい……」

 

 食事時ということもあって混み合った店内。

肩車は終了しているので、一般客にも普通に気付かれる。

……やっぱり個室でよかったなあ。

 

「あの人って、ライスちゃんかウララちゃんのお姉さんかな?人間なんだ……」「いや、あの人トレセンの関係者だぞ?広報映像で見たことがある」「あ、じゃあ残りのデッカイ2人はUSC警備員か」

 

 おうおう、注目の的だねえ。

 

「ウチがウララちゃんたちのお姉ちゃんでもいいんじゃないッスかね?」

 

「種族が違うだろ、種族が」

 

 いや、先祖が混じっていればいけるんだろうか?

そういうケースは知らないから何とも言えんが……

 

 ま、とにかく飯だ飯。

ラーメンの匂いでさらに腹減ったなァ……

 

 

「よし、特にお前ら2人は遠慮するなよ?学生なんだからしっかり食え」

 

 案内された個室は、5人でもかなりゆったり座れる広さだった。

俺やライには特に有難い。

 

「はーいっ!何にしようか、ライスちゃん!」

 

「いっぱいあって悩むね、ウララちゃん……」

 

 最近の流行か、ここもタブレット注文方式らしい。

この卓には2つあるので、ウララ達に1つ使ってもらおう。

 

「えーっと?ファインモーションのお勧めは……コレだな」

 

『ネギ盛りチャーシュー麺』ね、見た目も中身も美味そうだな。

 

「ウチはとりあえずこの『辛肉極盛りチャーシュー麵』にするッス」

 

「では私は『大盛りネギラーメン』を……あ、山田さんご馳走様です♪」

 

「気にしないでください、いつも世話になってるんで……あとはサイドメニューだな。2人とも好きなの頼めよ」

 

 餃子は鉄板だよな。

唐揚げもいいが……ムムム!よだれ鶏があるじゃねえか!大好物だ、注文注文!

あとはサラダと……こんなもんかな。

 

「ウララちゃんは『ネギラーメンニンジンマシマシ』ライスは『チャーシュー麺ニンジンマシマシ大盛』にするね……あ、あのおじさま……いっぱい食べるウマ娘って、どう思うかな?」

 

 ライスがタブレットで顔を隠しながら聞いてくる。

はあ?そんなもん……

 

「大好きだな、美味そうに飯食うウマ娘は最高だ」

 

 その途端、ライスの顔がパアっと明るくなった。

ウマ娘は食ってなんぼだろ、気にすんな。

それに文句言う奴は俺がぶんなぐ……説教してやる!

 

「じゃ、じゃあそれと『五目チャーハン大盛』と『特製ギョーザ』も2人前……いいかな?」

 

「食え食えもっと食え!みんなも食うからとりあえず10人前にしとこうぜ!遠慮すんな食え食え」

 

「じゃあまた後で注文するね……♪」

 

「アイスクリームも食べたいな、けーびいんさん!」

 

「それは飯の後にしような、食ってもいいけど」

 

 うんうん、遠慮なんかいらねえからな!

腹が爆発するまで食えよ!

 

「パイセンからオカンと同じ類のオーラが出てるッス……んじゃウチも『極キムチチャーハン大盛』と『ニンジンサラダ大盛』と……」

 

 誰がオカンか、ライ。

まあ、お前も食え食え。

 

「じゃあとりあえず注文すっか」

 

 なかなか凄いことになっている合計金額を見つつ、発注ボタンを押した。

 

 

「お待たせしました~……『五目チャーハン大盛』と『特製ギョーザ』10人前と……」

 

 テーブルの上が注文品でえらいことになってる。

なるほど、ここはウマ娘が好きなだけ食っても大丈夫なようにテーブルも広いのか、納得。

 

「おいしそ~!けーびいんさん!いただきます!」

 

「おじさま、いただきます!」

 

「おう、いっぱい食えよ~?」

 

 ウララも体格に見合わない丼だが、ライスのは圧巻だ。

もうドームみてえになってる。

 

「ごちッスパイセン~!ズゾゾゾゾゾゾ……うっま!かっら!んひぃ~最高ッス!!」

 

 ライの方は真っ赤なタワーだ。

ウマ娘は人間よりも刺激物に耐性があるっていうが……納得。

俺が食ったら致死量だわ。

 

「いただきます♪ ん~、初めて来ましたが美味しいです。ファインモーションさんの情報網はすごいですね」

 

 たづなさんは食い方も上品だな。

おっと、麺が伸びちまう。

俺も食おう。

……うっま、アッサリ系の醤油味なのに味が強い!

ホロホロのチャーシューも柔らかいし、山盛りのネギがまた歯ごたえがいい!

麺も……うん!中太縮れ麺が丁度いい!

 

「うめえ……ファインモーションには足向けて寝れねえな」

 

 日本人よりラーメン通とはな、よほど好きなんだろう。

一緒に頼んだサラダも、新鮮でシャキシャキだ!いい野菜使ってんなあ。

 

「おいひい~!」

 

「しあわせ……」

 

 ウララ達にも大好評のようだ。

箸が止まる様子がない。

いいことだ……あの空間に幸せが満ちている気がする。

 

「餃子もうめえな……具もそうだが皮もいい……なんとか作れねえもんかな、粉から作ればいけるか……?」

 

 焼き加減はともかく、商売モンだからなあ……なにか秘密があるんだろう。

 

「山田さんはお料理も上手ですよね、以前の燻製は本当に美味しかったです♪」

 

「いや、アレはただ燻しただけなんですが」

 

「パイセンはマメっすからねえ……ホッカイドウトレセンの時はお昼に弁当持ってきてたっス。大体腹ペコの生徒に半分以上あげちゃうんスけど」

 

 だってさあ……かわいそうだろ?

今は変わったらしいけど、当時のホッカイドウトレセンの食堂あんまり美味くなかったし。

 

「オグリさんがキャンプの写真見せてくれたんだ!お魚焼くのも上手だよね~」

 

「おじさまの作る燻製、ライスも食べたかったな……んくんく」

 

 ライスよ、悲しむか食うかどっちかにしろよ。

 

「よく敷地の端っこで燻してるぞ?食いたいなら腹減らして来いよ……ただ、あんまり周りに言うんじゃねえぞ?」

 

「「わーい!」」

 

 そうでなくてもウマ娘は鼻がいいからな。

何処からともなく察知してくるもんよ……特にオグリが。

 

「パイセンはすーぐウマ娘にごはん食べさせちゃうッス~。トレーナーさんに怒られるッスよ~?」

 

「アホかお前、食わせる前にしっかり了解取るに決まってんだろ」

 

「意外としっかりしてるッス……」

 

 今回だってウララ達のトレーナーに了解貰ってるからな。

ライスのトレーナーさんは急な九州出張で来れないとかで、死にそうな顔をしていたが。

 

「ビワハヤヒデさんが感謝していましたよ、山田さんの紹介してくれた八百屋に変えてから妹さんが野菜をよく食べると」

 

「あそこの野菜は美味いですからね。ニンジンなんかそのまま齧っても超甘いし」

 

 ハヤヒデも苦労してるんだよな……今度最高級のバナナオレを振舞ってやろう。

 

「けーびいんさん、ニンジンハンバーグも作れる?」

 

「あったりまえだ!ホッカイドウトレセン時代は一日に1000人分作る手伝いもしたぞ~?」

 

 あの時は食堂の人が大雪で遅れて大変だった……楽しかったけど。

 

「すごーい!じゃあ、わたしがレースに勝ったら作ってくれる?」

 

「勝ったら『おめでとうハンバーグ』を、負けたら『残念だったね次は頑張ろうハンバーグ』を作ってやる!!」

 

「わ~い!!」

 

「ら、ライスも……?」

 

「当然。この流れで作らねえとか言う奴がいたらそいつをハンバーグにしてやるさ!」

 

「わ~い……!」

 

 これで少しでも励みになればな、こんくらいなんともねえさ!

 

「ダダ甘ッス……特に小さいウマ娘ちゃんたちには激甘ッス……」

 

「優しい男性はいいと思いますよ、とっても♪」

 

 おっと、チャーハンが冷めちまう!

取り分けて……っと。

 

「うっま!俺も中華鍋持ってるがなかなかこうはいかねえな……今度練習すっか」

 

「失敗作はライスが食べてあげるよ!」

 

「何言ってんだ、ライスには最高に美味いのを食わせてやるよ……もちろんウララにもなァ!」

 

「「わーいっ!」」

 

 フフフ、この笑顔の為ならいくらでも練習してやるさ……

 

 

・・☆・・

 

 

「(なるほど……確かに山田さんは立派な『ウマコン』ですね♪)」

 

「(ッスッス……全方位に好感度を振りまくモンスターッスよ……それでいて『顔が怖いからモテねえのかなあ』とかわけわかんないことをほざいてるんス)」

 

「(あらあら♪素敵ですね♪)」

 

「ライ、餃子追加すっけどお前も食うだろ?」

 

「食うッス!2人前は激辛にしといて欲しいッス!!」

 

「だろうと思ってもう籠に入れといたわ、了解」

 

「(……ほらぁああぁ?)」

 

「あらあら♪」

 

 

・・☆・・

 

 

「つ、釣られて食い過ぎた……うぷ」

 

 胃袋が悲鳴を上げている。

明日の朝は胃もたれかな、これは。

 

「まあ……でも」

 

 助手席を見る。

 

「すぅ……すぅ……」「えへへ……おじさま……」

 

 ウララ達が寄り添って眠っている。

トゥインクルシリーズを駆け抜けるこの子たちの助けになれたんなら、いいかな。

これで明日からも頑張ってくれよ?

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