トレセン学園警備員さんは、ウマ娘に勝ちたい。 作:秋津モトノブ
さあ、今日は日勤。
朝から巡回を頑張るとしようか。
「行くぞライ」
「ッスッス!パイセンが一緒だし、夜じゃないからお化けもいないし、ライデンオーは無敵ッスよォ!」
昨日はぐっすり寝たらしいライが気炎を上げている。
いつもいつもゲームで徹夜なわけじゃねえか、さすがに。
制服の乱れがないかチェックし、帽子を深くかぶっていざ出発。
今日も何事もなければいいんだが……
「……あったわ、何事か」
「ッスね」
詰所を出て5分。
グラウンドに行く途中で、ベンチに体を投げ出している生徒に出会った。
うつ伏せだから顔はわからんが、あの髪色と特徴的な編み方は……
「おはようスペ。大丈夫か?」
「そ、その声は山田さん……私はもう無理ですぅ……」
北海道からやってきた元気印のウマ娘、スペシャルウィーク。
だが、今はその元気印が自分探しの旅に出てしまっているようだ。
うつぶせのまま動こうとしない。
「どうしたんだよ朝っぱらから、しっかり飯食ってねえのかよ……あ」
携帯しているメモ帳を開く。
えーと、今日は……あったあった。
「そっか、今日は寮の厨房が工事だったっけか」
「ッスね。あれ?でも昨日までに申請すればお弁当が出るんじゃ……」
今日は土曜日だ。
それもあって工事することになっていたんだが……まさかコイツ。
「申請忘れたんか」
「はいぃい……」
「コンビニに行けばいいじゃねえか?」
「お腹が空きすぎて動けないべ……おにいちゃん……」
「誰がアニキか」
駄目だ、空腹過ぎて心が北海道になってやがる。
仕方ねえなあ、ほんとに。
「すまねえライ、詰所の休憩室から青いクーラーボックス持ってきてくんねえか」
「ッス!貸し1っスからね~!」
嬉しそうにライが去って行く。
貸し……また飯を集られるのか。
まあ、いいか。
「おい、スペこれを……お前どんだけ食ってねえんだよ、体に力が入ってなさすぎだろ」
「き、昨日の晩御飯からだべ……」
「一食も抜いてねえ、だと……ええい、よっこいせ」
なんちゅう燃費の悪さだよ。
とりあえず、セクハラにならないように気を付けながらスペをひっくり返す。
「いい匂いがするべ……すんすん、もぐぐ」
「やめろ嗅ぐなそして噛むな、それは俺の腕だ」
駄目だ、判断力が幼児以下になってやがる。
ライが持ってきたクーラーボックスを開け、クソデカタッパーを取り出す。
その中から海苔でグルグル巻きになっているソフトボール大の握り飯を持ち、スぺの鼻面に押し付けた。
「ホレ食え。コイツはしっかり噛んで食うんだぞ」
「すんすん……!はむ!もももむ!ももむ!!」
とんでもねえ食いつきだ。
スぺは俺に半分抱き着いたまま、握り飯を貪っている。
「いいッスね……そのプレイ」
「どのプレイだよアホ」
餓死寸前の介護だよこんなのは。
「ングーッ!?!?」
「言わんこっちゃねえよ、ホラ玄米茶」
魔法瓶から注いだお茶を差し出すと、スぺはすぐさま飲み干した。
それを、2度ほど繰り返した。
「……山田さんは命の恩人です!」
「大袈裟すぎる」
ソフトボール握り飯2つを平らげ、お茶を飲んだスぺはやっと正気に戻った。
さっきまでの姿勢が恥ずかしかったのか、何故かベンチの上で正座しながら顔を真っ赤にしている。
「気にすんな気にすんな、こっちこそ男の手料理で悪かったな」
「っそ!そんなことありません!とっても美味しかったです!いろんな具が入ってて、とっても……あぅう」
ぐう、と腹の音。
マジか、あれだけ食ったのに……?
と、普通の人間なら思うんだろうがな。
俺を見くびってもらっちゃ困る。
こんなもん、オグリなら食前酒レベルだ。
「ハイこれ。さっきのは梅干し・おかか・こんぶ・ツナマヨのハイブリッドだが……これは違うぞ!」
「んな、なんですかそれ!?」
俺が取り出したのは、緑色のソフトボール。
「これぞ紀州和歌山名物、めはり寿司!ナゴヤトレセンの知り合いに教えてもらったんだ」
塩漬けにしたデカい高菜でご飯を巻いたものだ。
中の飯は地方によって入れるものは違うが、俺は細かく刻んだ高菜を入れる方式にした。
『目を見張るほどでかい』からめはり寿司……らしい!(諸説あり)
簡単に作れるくせにうめえんだ、これが。
「ほれよスぺ……遠慮すんな食え食え!だがその分頑張って動くんだぞ!」
「は、はいっ!!はむっ!……にゃ、にゃまら美味いべ……!!」
うんうん、いい笑顔だ。
この顔だけで作った甲斐があるってもんだ。
「あのォ~パイセン、ウチも……」
「おう、これ高菜の切れ端な。遠慮すんなよ」
「泣くッスよ!?」
「冗談だ、冗談」
つられて腹が減ったらしいライに、新しいのを放り投げてやる。
ふふふ、このクーラーボックスは1メートルオーバーのスズキでも楽々入るサイズだ。
これくらいじゃビクともしねえよ!
「美味しいですっ!山田さん!!あ、でも食べてばっかりで……!」
「ははは、それくらい喜んでくれたら十分だ。気にすんなよスぺ」
「ももめむももも、ももぐ、むむん(パイセンはウマコンッスから気にしないでいいッスよスぺちゃん)」
ライ、口にモノ入れて喋るんじゃねえ。
行儀が悪いぞ。
「いくらでも食わしてやりてえが、これから練習だろ?この程度でやめてしっかり練習して……昼にいっぱい食いな」
「はいっ!ありがとうございます、山田さん!とっても美味しかったです!!」
「お粗末様でしたってやつだ……ほっぺに弁当付いてるぞ、ったく」
スぺの頬を手拭で拭ってやる。
海苔まで付けて……花の女学生が泣いちまうぜ。
「わわわ……!?あ。ありがとうございますっ!じゃ、じゃあ私、練習に行きますねっ!!」
頬を染めたスぺがやおら立ち上がり、深々と頭を下げてグラウンドへ向けて走り出した。
食ってすぐ走んなよ……いくらウマ娘だからって、腹痛くなんぞ。
「パイセンのウマコンぶりは今日も休みナシ、ッス!」
「お前ねえ……おい、それ絶対拭いてやらんからな」
何をどうやったのか、ライの頬には高菜が盛大に張り付いている。
このアホ……
「んなぁ~~~!?スぺちゃんは拭いたのにッ!!」
「中等部と張り合うんじゃねえよ!オラァ!!」
「ふもっふ!?」
とりあえず、手拭をぶつけておくことにした。
まったくコイツときたら……
「あ、あの、おじさま……」
「む」
振り向くとライスがいた。
体操服姿ってことは、これから朝練か?
「おはよう、ライス……なんか元気ねえな?」
今から朝練だってのに。
「う、うん……あの、あのね、その……」
きゅるる、とかわいいお腹の音。
ははん、なるほど。
「お前もスぺみたいに朝飯を食いそびれたクチか?」
「えっとね……お弁当は頼んだんだけど、ちょっと手違いがあったみたいで……とっても少なかったんだ……」
よしわかった、みなまで言うな。
「ライスは朝パン派だったな……山田特製サンドウィッチ詰め合わせセットだ!」
おにぎりのタッパーの下にあるサンドウィッチを取り、ライスに渡す。
「おじさま、覚えててくれたんだ……!!」
ライスの耳がピンと立った。
尻尾も元気になったな。
「そんなん当たり前だろうがよ? ホレ、カフェオレもセットだ!どうぞ!」
「わあ……♪じゃ、じゃあ、いただきますっ!」
ライスは目を輝かせてベンチに座り、サンドウィッチにかぶりついた。
尻尾もぶんぶんしてて、さらに元気そうだな。
よしよし、よかった。
「パイセン、そのォ~……」
「仕方ねえなあ、ほれタマネギの酢漬け。美味いぞ」
「うわぁ……酸っぱくて美味しいッスぅ……」
ならちょっとは美味そうな顔をしろってんだよ。
「……試作・山田特製チリサンドならあるが?ホレ」
「いたらきますっ!!んんんん!!最高ッス!!こりゃもうウチを抱いてもらうしかながあああああああああっ!?」
アイアン・猥談キャンセルクローッ!!
油断も隙もねえ、コイツ。
ライスがいるんだぞ、教育に悪すぎるわ。
「もむ……おじさま、やっぱり優しいね……♪」
「さて、どうだかなあ?……お、ライス、、ほっぺにお弁当がついてるぞ」
しっかりしているようで、子供だなあ。
「あ……!えへ、えへへ……♪」
ライスは好き嫌いなくなんでも食えてえらいなあ。
どこかのブライアンにも見習って……いや、アイツも最近食ってるな。
トレセン学園、えらい子ばっかり問題。
問題でもねえか。
「あーっ!けーびいんさんっ、おはよ~!」
小動物みたいに可愛らしく食べるライスを微笑ましく見ていると、ウララが走ってきた。
「ライスちゃんもライさんも、おはよ~!」
「んく……おはよう、ウララちゃん」「はよはよッス~」
走り込んできたウララは、そのままの勢いでタックル……否、抱き着いてきた。
おおっと、朝から元気だな。
そしてくうぅ、と腹の音が伝わってきた。
まさか、ウララも?
「ウララ、まさかお前も朝飯を……?」
「えへへ~♪頼むの忘れちゃったぁ!」
まったく、ここの生徒たちときたら……食わせ甲斐があるなァ!!
「さあウララ、おにぎりかサンドウィッチか、はたまた中華まんか、どれだ!!」
「うわ~!すっごい!いいの?けーびいんさん!?」
「いいに決まってんだろ!食え食え!!」
「わぁ~い!じゃあじゃあ、中華まん食べたい!」
よっしゃ、中華まんだな!
「しばらく待て、今即席ヒーターで温めてやるから……ほい、お茶飲んで待ってな」
冷めた中華まんなんざ中華まんじゃねえからなァ!!
「パイセンが、パイセンが能力の無駄遣いを……!!」
「有効活用の間違いだろうが!」
ライの妄言を聞き流し、中華まんを温める。
「あんまん、ピザまん、肉まんの3種類があるがどうするウララ?」
「えぇ~!?ど、どうしよう!選べないかも!」
ウララはお茶を飲みながら左右に揺れている。
ふふふ、そういうことなら……!
「ウララ、大丈夫だ。デカいのの他に小さいのもある……全部食ってもいいんだぞ!!」
「わ~い!けーびいんさん大好きっ!!」
よせやい、照れるぜ。
だがなウララ、お茶を持ったまま飛びつくのはやめような?
危ないから。
「っていうかパイセン、中華まん作ったんスか……?」
「生地から作ったが?」
「おじさま、すごい……」
「なんでもできちゃうね!けーびいんさん!」
なんでもはできない。
できることだけさ。
「よし、温め完了!ミニ中華まん3点セットお待ち!!」
「いただきま~す!んむ……ほふ、おいひい~♪」
ウララは美味しそうにまず肉まんから頬張った。
うんうん、朝飯はしっかり食わねえとな!
「『山田くん、巡回の様子はどうだい?』」
無線機から真波さんの声。
うあ、やべえ完全に忘れてた!
「す、すいません真波さん……今ちょっとウララとライスが朝飯食ってねえって言うんで食わせてて……」
「『なんだって……!?大変じゃないか!巡回はいいからしっかり食べさせてあげなさい!校内監視はこっちのカメラでやっとくから!!』」
「え?あ、了解です」
一瞬で許可が出た。
さすがというべきか、なんというか。
ウマ娘第一主義が沁みついてるなあ、ウチの男性陣。
真波さんたちにとっちゃ、孫が増えたみたいな感じなんかも。
「おいしいね、ライスちゃん!」「本当に美味しいね、ウララちゃん……」
それぞれの朝食を頬張る2人を見ながら、思う存分ほっこりした。
「パイセンがオカン通り越しておばあちゃんの眼差しを……」
「幻覚だよ、幻覚」
・・☆・・
「おなか空いたッス~……」
「ならカフェテリア行けよ。なんでついてくるんだ」
午前中の業務を終え、今は昼休憩。
「ぬっふっふ……ウチのレーダーがビンビンに反応してるッス!パイセンがなんかおいしいものを!大量に保持している予感がするッス!!」
「なんという日常生活に役立たない能力……」
ぼやきつつ、以前にBBQをした空地へ到着した。
グラウンドの方からは、練習中の生徒たちの声が小さく聞こえてくる。
よし、ここまで離れれば大丈夫だな。
「まったく……じゃあ、火起こししろよ?」
「トーゼンッスよ!トーゼンジョーダンッス!!」
「お前そのネタまだ使ってんのか……あのジョーダンも愛想笑いしかできねえネタを……」
焼き台を置き、網ではなく鉄板を乗せる。
「んお?今回は焼肉じゃないんすね?」
「当たり前だろ、まだ昼から勤務残ってんだから……匂いが付かねえように、っと」
上着とシャツを脱ぎ、インナーだけになる。
「パイセンがウチを誘って……?」
「おっと、それ以上近付いたら顎先を打ち抜いて昼休憩中寝かしとくぞ」
頭にタオルを巻き、クーラーボックスを開ける。
朝のヤツとは別だ。
「ま、お前がくっ付いてくるってのは把握済だった……本日の昼食は山田式シーフード焼うどんだ」
「最高じゃないスか!パイセンは早くウチのお婿に来るといいッス!!」
そういえばコイツ、料理は壊滅的だったな。
昨日大量に買って捌き、冷凍しておいたイカ、タコ、そしてエビ。
そして山盛りのモヤシ、キャベツ、ネギが具のすべてだ。
ニンニクとニラを入れても超美味いんだがな……残念ながら勤務があるのでキャンセルだ。
さて、昼休憩の時間は限られているのでとっとと作っちまおう。
何故カフェテリアに行かないかって?
今日は鉄板焼きをしたい気分だったからだ、そういう日もある。
「うっひょ~!やっぱりウチの睨んだ通りッスよォ!じゃあ一瞬で火を起こしますんで~」
ライが火種を作り、恐ろしい勢いで団扇を振り回す。
あっという間に木炭に火が点いた。
鉄板に油を引き、熱したら具材を投入。
先にシーフードを炒め、続けて野菜。
しばしそのまま炒め、火が通ったらうどんをぶち込む。
「あ、パイセン粉末派なんスか」
「今日は粉の気分なんだ。液体ソースも好きだがね」
市販の粉末ソースをふりかけて馴染ませ、全体に行き渡ったらネギと鰹節を振る。
塩味でもいいんだが、今日はソースの気分だ。
「ソースの焼ける匂いってなぁんでこんなにそそるんスかね~♪」
ライは尻尾を振りながら取り皿を箸を用意している。
「……なんか多くないスか?取り皿と箸」
「俺の予感は当たるんでな、さあとりあえず食おうぜ!」
「ッスッス!!」
「あ、ライ、これ忘れてた……」
クーラーボックスからボトルを取り出す。
「激辛ソースな。絶対に取り皿に取ってからかけろよ」
「この短時間でパイセンはどんだけウチの好感度を稼ぐんスかァ!?ああもうなんでも言ってくださいッス!!」
「じゃあとりあえず食え」
さてさて、午前中の労働の疲れを焼きうどんで癒すとするか。
「じゃあ、いただきま~……そこにいるシャドーロールの怪物、そしてシンデレラグレイ、出てきなさい。半分以上はみ出てるから」
やはり来たな、食いしん坊どもめ。
林の中で目立ちすぎている上に、尻尾の自己主張が激しすぎる。
「い、いいのか山田さん?」
「いいに決まってんだろお前は俺をバ鹿にしてんのか!腹ペコのウマ娘を放って飯食う趣味はねえんだよ!!」
捨てられた子犬みたいな顔だったオグリが、ぱあっと顔を明るくした。
「ヤマダは本当にウマコンだな」
「ウマコンが作った焼きうどんがお気に召さないなら、生キャベツだけを延々お出しするが? ブライアン」
「い、嫌だとは言っていないだろう!!」
ちょっと必死な顔で寄って来るブライアンである。
ふふ、かわいらしいこった。
「ま、こんな予感はしていたが……そもそもなんでお前らここにいる?」
カフェテリアに行かなかったんか?
「ヤマダがなにかしているような気がしたからな」
「昨日もらったおにぎりのお礼をしようとしたら、こちらからいい匂いがしたので」
ブライアンはもう野生の勘じゃねえかよ。
そしてオグリは鼻がいい。
「まあいいや、じゃあ食え食え。遠慮すんなよ……死ぬほど在庫あっからな」
許可を出すと、2人は嬉しそうに焼きうどんを頬張った。
「パイセンの焼きうどんは最高ッス~♪ ゾゾゾゾゾゾゾゾッ!!」
一啜りでそんなに……ライの肺活量はバケモンだわ。
オグリが来るような予感はしていたからな、シックスセンスに従って用意しておいてよかったぜ。
まだ休憩時間は残っているから、じゃんじゃん焼くぞォ!!
「ズゾゾゾ……山田さんの焼きうどんは本当に美味しいな、ブライアン」
「ゾゾゾ……ン、まあ、悪くはな……美味い」
ほう、ブーちゃんが素直になるくらい美味いってか。
俺も腕を上げたもんだぜ。
「お前ら昼からも練習あんだろ?食い過ぎはやめとけよ……まあ、わかってんだろうが」
「ああ、わかった」「ン、ン」
夢中で焼きうどんを啜る2人。
うーん、和むねえ、和む。
これで昼からの勤務も頑張れるってもんだ。
「パイセンが孫に飯を食わせる祖父の顔に……!」
さっきは婆ちゃんで今度は爺ちゃんかよ、忙しいな俺。
・・☆・・
「本日の勤務、終了ッス~!」
「おう、お疲れ」
昼からも何事もなく業務が進み、無事に終了時刻となった。
詰所にて準夜勤組との引継ぎを済ませ、私服に着替えて外へ出る。
明日はオフだから、今日は夕方から大型銭湯にでも行こうかね。
「……改めて、アホみたいな量な荷物ッスね」
「役に立ったろ?」
ライが俺の荷物……クソデカクーラーボックス2つを見て呟いた。
「ほんと、ホッカイドウの時と変わんねッス。腹ペコのウマ娘見かけたらすーぐ飯食わすんスから」
「だってよォ、食べ盛りだしかわいそうじゃねえか。特に今日はミスで朝飯抜きの生徒が多かったし」
だからこそ、こうやって準備していたんだし。
何事もなければ、冷凍しておいて自分で消費するつもりだったしな。
「コレを見越して準備してたんスか……さすがウマコンッス」
「それでいいよ、もう。さて帰るかね、用意した飯もほぼ空になったし、残りは晩飯にでも……お?」
正門に向かうべく、三女神の噴水を横目に歩いていると……ベンチに項垂れた影が。
「うううぅう……お腹空いたよォ……」
あれは!日頃の元気さが根こそぎ消滅しているウイニングチケット!それに……
「頑張れってば、ホラ立って……コンビニまで行こうって」
心配そうに声をかけているナリタタイシン!!
「あ、パイセンのスイッチが入ったッス」
「おおおい!大丈夫かお前らあああああああッ!!!!」
俺は、クーラーボックスを抱えて2人にダッシュするのだった。
【ウイニングチケットのヒミツ】
・この後、食べながら美味しいと泣き、満腹になるとありがとうと泣いた。
ナリタタイシンは苦笑いした。