トレセン学園警備員さんは、ウマ娘に勝ちたい。   作:秋津モトノブ

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2話 トレセン学園は、今日も平和である。

「――いいか、ウマ娘は強い。人間とは体の出来が違うんだ」

 

 『師匠』が、道場の床の上に正座している。

 

「動体視力も、瞬発力も、筋力も、それら全てが人間を凌駕していやがる」

 

 鍛え上げられた鋼鉄の体をした師匠は、淡々と語った。

ぽん、と師匠が自らの胸を叩いた。

 

「――こんなモン、何の役にも立ちゃしねえ。どれだけ鍛えても、クリーンヒットを貰えば紙と一緒だ」

 

「通常のウマ娘にしたってコレなのに、こと格闘ウマ娘……それもトップ層ともなりゃ、もうバケモンだ、バケモン」

 

 はは、と自嘲する師匠。

だが、その目に宿った戦意は微塵も揺らいでいなかった。

 

「――で、それが、どうした?」

 

 細められた目から覗く光は、まるで燃え盛る業火のようだった。

 

「――『討マ流』は、俺達は、そんな力量差を持った相手に喧嘩を売る……ネジの外れた連中なんだ」

 

 ごくり、と俺の喉が鳴った。

 

「ウマ娘を倒したくて、倒したくて倒したくて倒したくて……嘘か誠か、千年、技を練り続けたのが俺達だ」

 

 師匠から、目が離せない。

 

「今更、『そんな程度』で怯むもんかよ。なぁ?」

 

 あの夏の日。

昼間にもかかわらず、道場はまるで真冬のように冷え切っていた。

 

 

・・☆・・

 

 

「――懐かしい夢、見ちまったなァ」

 

 仮眠室の天井が見える。

腕時計を確認すると、10時半。

今日は準夜勤だから、3時までは自由時間だ。

 

 ぐう、と腹が鳴った。

飯、食っとくかな。

ちょいと早いが、朝昼兼用だ。

 

「んにゃぅう……も、もうだめれす、たべられないっすぅう……」

 

「コイツ……何べん言ってもここで寝るのな」

 

 アホみたいな寝言が聞こえて、横を見る。

寝入った時にはいなかったハズのライが、俺の隣で寝ていた。

この仮眠室は一応男性用……の、6畳の空間だ。

狭いが、それは男性社員が少ないから仕方ねえ。

本社に行けばもう少しいるが、ここ、『トレセン学園出張所』には俺の他には3人しかない。

しかも、3人とも60オーバーの爺さん連中だ。

 

 ここは女、しかもウマ娘ばっかりだかんな、男性警備員の需要は少ない。

俺が勤務を許されている理由は、男で、しかも腕っぷしがあるからだ。

男性トレーナー寮なんかは、俺ならササっと入れるしな。

たまーに、男性トレーナーが事件に巻き込まれることがある。

そういう時の為の、『戦える男性警備員枠』それが俺だ。

 

 爺さん連中は……ええと、なんだっけか、法律の都合?だったっけ。

あんまり覚えてねえや。

 

「ふぁぴゅう……んやふふ……」

 

 女性用はクッソ広いってのに、なんだってこんな狭い所に来るんだか。

狭い方がいいのか?こんなナリして……猫か、コイツはよ。

 

 まあいい、飯だ飯。

空腹を自覚したらドンドン腹が減ってきやがった。

だらけきった顔のライを放置して、仮眠室から出た。

 

 

「ヤマっちおっはよ。ライちゃんは今日も同衾?」

 

「姐さんからも言っといてくれ、嫁入り前のオンナが男の横で寝るんじゃねえってな」

 

「なぁに~?そんなら貰っちゃえばいいじゃん、嫁に」

 

「あのなぁ……犬の子じゃねえんだぞ、ったく」

 

 先輩ウマ娘の軽口に返しつつ、社屋から出た。

ゴシップが好きなのは、人間もウマ娘も変わらねえなあ。

 

「今日もいい天気だ」

 

 本日も晴天なり。

梅雨入りはしたはずだが、とんと雨の気配はねえ。

 

 この時間なら、まだ食堂で食えるな。

 

 ウチの会社はトレセン学園と提携しているんで、社員証を呈示すればここのカフェテリアで飯が食えるんだ。

日本最大のアスリートウマ娘養成機関だけあって、美味いしバランスもとれている……なにより安い。

いい職場だぜ、まったく。

 

 詰所を出て、体をほぐしながら歩く。

飯食ったら柔軟してちょい休んで、その後走るか。

 

 今日は平日。 

なので、この時間帯は静かなもんだ。

授業中だもんな。

バリバリのアスリートなのに、普通の中高みてえに勉強もしねえといけねえ。

文武両道ってのは大変だねェ。

俺なんか『武』しかなかったからな。

ウララの問題集すら、今となっちゃあ解けねえかもしれねえ。

 

 

「あら、山田さん。今日は準夜勤の日?」

 

「ええ、そうなんすよ。だから朝昼兼用ってことで」

 

 カフェテリアに到着すると、案の定誰もいなかった。

顔なじみのおばちゃんに挨拶し、メニュー表を見る。

ウマ娘のメニューはビュッフェ形式だが、俺達やトレーナー連中、そしてここの職員は普通に注文する。 

 

「うーん……んじゃ、A定食で」

 

 メインの塩サバが決め手だ。

今日は魚が食いてえ。

 

「はーい、ご飯は?」

 

「一般ウマ盛りでお願いします」

 

 人間用なら大盛って量だ。

ここはウマ娘が多いので、こういう言い方になる。

 

「はーい!A定入りまーす!山田さん大根おろし好きだったわよね?そっちもウマ盛りにしといたげるから!」

 

「ありがとうございます」

 

 すっかり好みを把握されてやがる。

死んだオフクロよりも詳しいんじゃねえのか?

まあいいけど。

 

「はーい、おまたせ!ドレッシングはそこの棚ね、今日はゴマか梅よ~」

 

「はい、どうも」

 

 梅の気分だな。

 

 俺1人しか客がいないので、すぐに定食がやってきた。

うはー、今日も相変わらず美味そう。

小鉢は卯の花和えか、こいつも大好物だ。

 

 時刻は11時前。

まだ余裕はあるし、優雅にテレビでも見ながら食うか。

生徒たちが来たら戦場みたいになっちまうからな。

 

 モニタの前に陣取り、電源を入れる。

この時間なら……ワイドショーだ。

仕事中にする話のネタにもなるし。

 

「――さて、いよいよ間近に迫った『無名』選手の2戦目なわけですが……小次郎さん、どうですか?」

 

「そうですね……エキシビジョンマッチのようにはいかないというのは、まず言えます。何故なら――」

 

 ……よりにもよってこの話題かよ。

しかもこのメンツ、エキシビジョンの時の2人じゃねえかよ。

 

「――スターラッシュ選手に放った肘。これは当然警戒されているでしょう、そして彼女のように初撃をあえてうけることもない」

 

「そうですね、あれはスターラッシュ選手特有の行動ですから」

 

 画面の中では、俺が攻撃をする光景がリピートを繰り返して何度も再生されている。

我ながら、本当に綺麗に入ってんな。

まあ、これはスターラッシュが油断してたからだが。

二撃目は、彼女の下半身にダメージが無かったらああまで見事に入らなかっただろう。

あの時の迎撃……あの左ストレートは、まさに弾丸だった。

 

 彼女……スターラッシュは、現在ちょっとしたバッシングの対象になっちまってる。

『油断して人間に負けた』ってな。

――っは、ふざけんじゃねえや。

あのレベルのファイターが、油断したくらいでただの人間に負けるかよ。

『俺が無茶苦茶強かったから』、二撃でなんとか倒しきれたんだ。

文句を言ってる連中は、まずリングに上がってからほざいてほしい。

全員小指で殺されるぞ。

 

 ――だから俺は、次の試合も勝たないといけねえ。

スターラッシュが負けたのは、油断したんじゃなく……俺が、強かったからだと理解させねえといけねえ。

そのためにも、俺は負けられん。

負けて、やるものか。

 

「――最近、世間はこのニュースで持ち切りだな。鼻が高いか、イチロー?」

 

 ぎ、と椅子が軋む音。

それと同時に、ふわりと香水が香った。

 

「……さぁて、何のことですかねえ、社長」

 

 俺の向かいの席に腰かけた、ウマ娘。

とうに現役を引退したにも関わらず、今すぐにでも競技に復帰できそうな肉体。

高密度の筋肉を、しなやかな長身に纏わせたその女性は……禁煙パイプを咥えたまま、獰猛に笑っている。

 

 ばんえい競バにおける、空前絶後の『絶対皇帝』

数々のレースをレコードで制し、その獲得賞金額も歴代1位。

引退後に『ウマ娘総合警備保障』を一代で立ち上げ、同じような引退ばんえいウマ娘たちのデカい就職先を作った傑物――

 

 その名を、『ムソウシンザン』

同じような名前の、こっちは伝説のサラブレッドウマ娘がいるが……たしか、遠い親戚らしい。

 

「今日はこっちなんですか、珍しいですね」

 

「ああ、理事長と会議があってな」

 

 社長が現役だったのはかなり前のはずなんだが、相変わらず俺と同年代にしか見えねえ。

今でもトレーニングは欠かしてねえって噂、真実だろうなあ。

だって……飯がどれも『ウマ盛り・大』だもんよ。

なんだそれ、日本昔話か?

俺なら腹が破けるぞ。

 

「――それで、体の具合はどうだ?もちろん、次も勝つんだろう?」

 

 B定食のメイン、豚の生姜焼きを噛み千切りながら社長は言った。

瞬時に視線を飛ばすが、周囲に気配はない。

まあ、当たり前か。

社長はそんなにバカじゃない。

 

「もうすっかりいいですよ。エキシビジョンよりは苦戦するかもしれませんが――最善を尽くします」

 

「ほう、勝つとは言わんのか。無敵の古流武術の使い手ともあろうものが謙遜をする」

 

「んぐっ」

 

 危うく豚汁を噴くところだった。

 

「無敵の古流武術ぅ?冗談はよしてくださいよ、社長。『討マ流』は無駄に歴史が古いですけどね……敗北は無数にありますよ」

 

 人の身で、しかも武術を修めたウマ娘に挑もうってんだ。

そりゃあ、負けるさ、負け続けるさ。

 

「だけどね、社長。『討マ流』は――逃げたことだけは、ないんですよ」

 

 負けて、負けて負けて負けて。

負け続けて、千年。

それだけ負け続けても、『討マ流』は残った。

 

 『ウマ娘に勝ちたい』

そんな、アホみたいな目標を掲げたまま、千年も残った。

 

 もはや、それは一種の『呪い』かもしれない。

呆れるほどの熱量を抱えた、まっすぐな『呪い』だ。

 

「相変わらずいい目をしている――娘をくれてやりたいくらいだ」

 

「よしてくださいよ、お嬢にゃあ山ほどいい相手がいるでしょうに」

 

 やめてくれよ、あのじゃじゃウマの相手なんかできるわけねえだろ。

どっかの修行僧みてえな男にくれてやってくれ。

俺は、絶対、嫌だ。

 

 しかし社長、いつ見ても娘がいるようには見えねえな。

これも、ウマ娘の神秘ってやつかもしれん。

 

「ふむ、今日も振られてしまったな……大会のサポート体制は変わらず任せておけ、お前が勝てば勝つほど、ウチの評判も上がる」

 

「一部のマスコミの件じゃあ、ご迷惑をおかけしてますがね」

 

 あれから1ヶ月経つってのに、変わらずに取材申し込みが頻発しているらしい。

これに関しちゃマジで申し訳ねえ。

 

「気にするな、所詮有象無象の蠅共だよ。おお、そういえば昨日も本社に忍び込もうとした記者をとっ捕まえたぞ……賠償金でまた懐が暖かくなるな」

 

「……またですかい」

 

 懲りねえなあ……もうそろそろ2桁後半になるんじゃねえの?

どんな勝算があって、元ばんえいのエリート共が勤務している会社に忍び込むんだよ。

同じウマ娘でも到底無理だぞ。

 

「イチローにも臨時ボーナスとして還元してやるからな、美味いものを食って英気を養え」

 

「ありがとう……ございます?」

 

 これだよ。

ウチの社長は最高だね、ほんと。

まさに『女傑』ってやつだ。

そこら辺の男が……いや、ウマ娘が束になっても敵わねえだろうな。

お会いしたことはねえが、シンボリの重鎮やメジロの女帝……そこらへんのお歴々くらいじゃねえか?相手になりそうなのは。

 

「うん、今日も美味かった……それでは本社に戻る。励めよイチロー」

 

「はい、お疲れ様です」

 

 俺の優に3倍以上の飯を平らげ、社長は去っていった。

……あんだけ食ったのになんで腹が膨らんでねえんだよ、質量保存の法則に喧嘩売ってんな。

 

「――なんにせよ、『無名』選手がどう戦うのか……第二戦が楽しみですね!」

 

「ええ、次の対戦相手はなんといっても――」

 

 ワイドショーは、やっと俺の話題が終わりそうになっている。

昼前の貴重な時間を使ってまで報道することかねえ、これが。

 

 

「――『北海の狂瀾怒濤』、『アトヴァーガ』選手ですからね」

 

 

 モニタには、俺の対戦相手が映し出された。

アトヴァーガ……北の大国出身のファイターだ。

スターラッシュとは対照的に、抜けるような白い肌が特徴的な選手。

パッと見は女優にも見えるほどの美女だ。

だがそれは、彼女の一面に過ぎない。

 

 画面が切り替わり、過去の試合が再生された。

『狂瀾怒濤』のあだ名が示す通り、凄まじい速度・密度のラッシュが対戦相手に襲い掛かる。

相手もライトフェザー級で鳴らした元ボクサーだったが、まるで相手になっていない。

一発パンチを打てば、誇張なく二発以上のカウンターが返ってきている。

さらに、彼女の攻撃手段は腕だけじゃない。

 

「――乱打乱撃のコンビネーション!パンチのラッシュに気を取られれば、多彩な足技が襲い掛かりますからねぇ」

 

 画面の中の相手選手が、まさにそれだ。

上半身の攻撃に気を取られ、下段蹴りで足を払われた。

そして体勢を崩した所に――二発のボディブローで決着。

……想像したくはねえが、アレを無防備で喰らったら……まあ、重傷だな。

人間なら内臓破裂必至のコンビネーションだ。

 

 アトヴァーガの戦闘スタイルは、一定しない。

その時その時に最適な行動・攻撃方法を選択して戦う。

……相手にとって不足なし、だな。

 

 

「うあ~!なんで起こしてくんないんスか~パイセン~!一緒にご飯食べましょうよォ~!」

 

 U-1の特集が終わるくらいに、世にも情けない声出しながらライがやってきた。

持ったトレーには、社長すら超えるとんでもない量の飯が盛られている。

 

「何度言ってもオトコの横で寝る奴は知らん」

 

「んなぁ~!ウチをそんなに軽いオンナ扱いしないで欲しいッス!パイセンだけなんスからね~!」

 

 より悪いわ、アホ。

そして声がでけえんだよ。

生徒がいなくてよかったが、厨房のおばさ……おねえさま連中の目が輝いてんぞ。

あーあ、知らねえ。

 

「……ま、予定はねえから付き合ってやるよ。ちょっとコーヒー注文して――」

 

「ウチがっ! ウチが取ってくるッスぅ!!」

 

 がちゃん、とトレーを置くなりライはダッシュで厨房へとんぼ返り。

『アメリカン! ミルクのみ! マシマシでっ!!』と、よくわからん注文をしている。

はー……アホだが憎めない、変な後輩だぜ、まったくよ。

 

「パイセンパイセン! お待たせッス~!!」

 

「やっぱりアホだなお前!? 俺をポリバケツの化身かなんかだと思ってんじゃねえのか!?」

 

 ライは、映画館で食うポップコーンの入れ物くらいデカいカップを持って帰ってきた。

 

「だいじょぶッス! 7割くらいミルクだからだいじょぶッス!」

 

「お前それもうアメリカンじゃねえよ! カフェオレって言うんだぞそれは!!」

 

 大丈夫要素がどこ探しても存在しねえじゃねえかよ!

そんなに一気に飲んだら腹壊すわ!

どんだけ俺をここに留めておきたいんだよお前!

 

「んじゃ、いっただっきまーす!」

 

 俺のツッコミを半ば無視し、ライは白身魚のフライに大口を開けてかぶりついた。

まったく、コイツときたら……

 

 とりあえず、コーヒー……カフェオレを飲むか。

 

 

・・☆・・

 

 

「パイセン、まだコーヒー飲んでるんスか?やっぱ好きなんスね~」

 

「お前短期的な記憶喪失か? それともニワトリ娘か? 誰のせいだと思ってんだよ、誰の」

 

 昼食後の諸々が終わり、3時になったので勤務開始だ。

現在は巡回中で、規定ルートの巡回の後は校門付近での立ち番。

その後はまた巡回だ。

ルーチンワーク最高。

 

 モニタ監視の仕事もあるんだが、ソレはだいたい爺さん連中の仕事になる。

……マジで税金対策なんだよな、あの人たち。

いや、話もおもしれえしいい人たちなんだがよ。

ウララに『おじーちゃん!』って呼ばれて全員デレデレしてるし。

その他のちっこいウマ娘たちにもよく懐かれてるし、あの人たちにとってもここは天職なんだろう。

 

今日のチームも、相手はライだ。

……最近のシフト、ライばっかだな?

まあ、『試合』の話なんかができるからいいけどよ。

 

 そして、俺の制服に斜めにタスキ掛けしてあるのは……クソデカ魔法瓶。

中身は……そう、例のカフェオレだ、

絶対に飲みきれないので、詰所から持ってきたコイツに詰め直した。

さすがに勤務中にゴクゴク飲むわけにはいかねえが……捨てる選択肢はナシ。

『食い物を粗末にする奴は死ね』……戦争経験者だったひい祖父さんの教えであり、ウチの家訓だ。

人目がない時にコッソリ飲もう。

 

「そいえば、パイセンの次の対戦相手『アトヴァーガ』なんすね~」

 

「ああ、そうだな」

 

 U-1本選トーナメントの組み合わせは、基本的に非公開だ。

試合の二週間前あたりに、一斉に公開される。

外国から参戦する選手の安全対策と、公平性を保つため……だっけか?

 

「気を付けてくださいね、パイセン」

 

「ああ、あのラッシュは脅威だ。ディフェンスを重視して――」

 

「アトヴァーガってむっさ恋多きオンナなんすよ! 去年はハリウッドスターを食い荒らしてたって――」

 

「……ああ、うん。そうだな、注意するわ、うん」

 

 ……とりあえず適当に返事しとこう。

ああ、トレセン学園は今日も平和である。

 

 

・・☆・・

 

 

「こんにちは、おじさまっ!」

 

「ようライス、これから練習か?」

 

「うん、今日は坂路でブルボンさんと……その大きい魔法瓶、なに?」

 

「これか?どっかのアホが注文しすぎた昼のカフェオレだ。飲み残しを詰めたんだよ、勿体ねえからな」

 

「のみのこっ……!? ら、ライス、ちょっと喉乾いちゃったな~?練習前に少し、なにか飲んでおきたいな~……?」

 

「お、そうか?なんなら分けてやろうか? むしろ飲んでくれるとありがてえわ」

 

「いっ!いいいいいの!?いいの、おじさま!? ありがとうっ!!」

 

「お、おお……いっぱいあるからな(直接口をつけなくてよかったな……ソレやってたら全部飲む羽目になってた)」

 

 

「離しなさい!離しなさいライデンオー!!ライスが、ライスが妊娠しちゃう!!」

 

「しねーッス!!しねーッスよ間接キス(間接キスではない)ぐらいでっ!! うあああ!?なんなんスかこのアホみたいなパワー!? ちょっと!そこの桐生院サン!助けてくださいッス~!!!!」




【ライスシャワーのヒミツ】
・実は、合コンを連戦連敗しているトレーナーのことが本気で心配。
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