トレセン学園警備員さんは、ウマ娘に勝ちたい。   作:秋津モトノブ

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35話 邂逅、対戦相手。

「ここだよな?」

 

「ソウ、ここ!山田サン、谢谢!」

 

 Uー1にも参戦している格闘ウマ娘、フェイロン。

タイキと一緒に彼女を案内し、昼食予定の『春華楼』に到着した。

うん、いつ来ても『まさに町中華』て感じの店構え。

 

「いい匂いがしマース!ベリーハングリーデース!」

 

「ああ、俺もだ。ここは餃子も炒飯もなんでも美味ェからなぁ」

 

 フェイロンは嬉しそうに店に入っていく。

 

「2人とモ!サービスするかラ、いっぱい食べテ!」

 

「そいつは嬉しいなあ」

 

 フェイロンに続いて店内へ入る。

昼食時ということもあって、結構な混み具合だ。

 

「イラッシャーイ!……あ!『フェイロン!どこ行ってやがった!?遅いから心配したぞ!』」

 

「『ごめん叔父さん、ちょっと迷っちゃって。そこの2人に案内してもらったんだ』」

 

 店主は先程の女性……フェイロンと中国語で話している。

英語も微妙な俺は何もわからん。

 

「『いい加減道を覚えろよ……』ありがとねお兄さんたち!……って、山田さんじゃないか!」

 

 ここには結構通っているので顔と名前を覚えられてるんだ。

店主の……たしかチャンさん?は賑やかで楽しいオジサンだ。

 

「ああ、買い物に来たら姪っ子さん?を見つけてなあ。2人だけどいけるかい?」

 

「アイヨー!奥のテーブルにどうz……た、タイキシャトルちゃんじゃないか!!」

 

 おお、ここでも知名度が高い。

 

「コンニチハー!」

 

「この子が故郷にお土産を買うのに付き合ってね。ホラ、林さんとこの店だよ」

 

 この店も林さんに教えてもらったしな。

 

「そうかいそうかい!姪の恩人だし、腹いっぱい食べてってくんな!」

 

「サンクスデース!!」

 

 手を振るタイキに相好を崩すチャンさんを見つつ、テーブルに向かう。

 

「タイキシャトルちゃんだ!」「うおー!私服カワイイ!」「サイン貰おうかな……大丈夫かな……」「横のデッカイ男はお父さんかな?」「バリバリの日本人顔だろ……どういう関係だろ?」

 

 店内の客の視線が突き刺さる。

奥のテーブルでよかった。

 

「さっすが未来のマイルクイーン。大人気だなァ」

 

 そう言うと、タイキは嬉しそうに笑った。

 

「エヘヘ……嬉しいデース!ファンのヒト、大好きですカラ!」

 

 なんだ、この天使は。

トレセン学園はいい子ばっかりだなあ。

 

 

 席に突き、メニュー表を渡す。

 

「さ、好きなのをいくらでも食いな。崇城サンにはバッチリ許可貰ってるしな……俺の奢りだ」

 

「ノーウ!悪いデース!」

 

「いいのいいの、『お前も知ってる通り』プチ金持ちだかんな。それに子供が遠慮すんじゃないの!」

 

 年下の学生を飯に連れてきて、割り勘なんて恥ずかしい事できるかってんだ。

対面に座ったタイキの頭をガシガシ撫でる。

ファイトマネーがまだまだまだある。

全然金使わねえしなあ、俺。

最近、家と職場の往復しかしてねえ。

 

「ウウ、嬉しいデスケド……子供、違いマース!」

 

「おっと、そいつは失礼。じゃあジェントルマンとしてレディをしっかりエスコートしねえとなァ」

 

 俺がジェントルマンかどうかは疑問だがね。

 

「ウチのオススメ、『マンプクセット』ネ」

 

 フェイロンが水を持ってきた。

着替えたのか、店員の服装になってる。

ここで働いてんのか。

切れ長の目と、赤みがかった髪……やはり、テレビで見た格闘ウマ娘のフェイロンだ。

 

「炒飯と餃子、それに好きなメニュー一品、選ぶネ?」

 

「ああ、俺はそれで……一品は棒棒鶏だな。タイキはどうする?」

 

「ワタシも同じでいいデース!イッピンは『ユーリンチー』お願いしマース!ア……ヤマダサン、ソノ」

 

 タイキが少し恥ずかしそうにメニューを見せてきた。

なになに……『特製杏仁豆腐』?

可愛いもん好きなんだな。

 

「超OKだ!バケツ一杯頼んでもいいぞ?」

 

「そ、そんなに食べる、無理デース!」

 

 タイキは……ウララ以上ライス以下くらいだな、食うのは。

ふむ……この『ニンジン餃子』も追加で頼んでおこう。

 

「レースに差し支えなきゃ、バンバン食ってでっかくなりゃいいんだよ。遠慮すんなよ?」

 

「ハイ!ゴチソーになりマース!」

 

 というわけで、注文する。

相変わらず安いな、この店。

 

「山田サン、アナタなにしてるヒトか?」

 

 注文を取り終わり、厨房へ通したフェイロンからそう聞かれた。

まあ、気になるだろうな。

 

「俺はUSCの警備員だ。そんで、トレセン学園で働いてるんだよ」

 

「ケイビイン……ああ、警卫ネ?なるほど、強そうなワケネ」 

 

「まあ、仕事だからな」

 

 フェイロンは納得したように頷き、厨房へ去って行った。

 

「……あのヒト、強いデスか?」

 

 タイキが周囲を窺い、小声で聞いてきた。

 

「ああ、強い。っていうかU-1に参加してる選手はみんな強ェよ」

 

 フェイロン、たしか彼女の戦闘スタイルは中国拳法。

八極拳をベースとして、格闘ウマ娘専用に練り上げられたモノだ。

何度かダイジェストで試合を見たが、鋭く正確な打撃で対戦相手を成すすべなく葬っていた。

討マ流の『通し』に似た……というかあっちが本場である『発勁』の精度もかなり高かった。

ただでさえ強力な格闘ウマ娘の打撃力、それに加えて発勁まで。

はは、たしかにコイツは強敵だ。

もし俺と当たるんなら、今回もしんどい試合になりそうだぜ。

 

「ヤマダサンの顔、ちょっとコワイデース……」

 

「おっと、すまねえ」

 

 ついついやる気が顔にまで出ちまったか。

怖がらせちまったな。

 

 水を一口含み、視線を外す。

すると、テレビでタイミングよくU-1の話題が流れていた。

こいつはタイムリーだ。

 

 アナウンサーが頬を赤くして喋っている。

かなり興奮してんなあ。

 

『先程、U-1運営より本年度トーナメントの組み合わせが発表されました!!』

 

 おお、さらにタイムリーだ。

すぐさま、アナウンサーの背後に合成されたトーナメント表が映し出される。

 

『まずはAブロック!注目選手は……』

 

 さあて、俺こと『無名』は……おお!Bブロックか。

ふうん……端っこね。

そしてもう片方の端っこには『スターラッシュ』の文字。

どっちも勝ち上がれば、準決勝でぶつかることになるな。

再会はまだ遠くなりそうだな。

 

「ヤマダサン……!」

 

 同じように画面を見ていたタイキが、服の袖を引く。

ああ、わかってるよ。

 

 俺の、隣り合った箇所。

そこには『フェイロン』の文字があった。

っは、そうくるかよ。

 

「お待たせネ~♪」

 

 タイミングがいいのか悪いのか、当の本人が料理を運んできた。

いつもながら美味そうな料理だが、どうにも居心地が悪い。

 

「フェイロンちゃんがニュースに出てるぞ~!」「頑張れよ!」「人間の男なんか叩いてのしちまえ!!」

 

 客たちが、口々に激励している。

半年前に来たって話だが、かなり固定ファンがついているっぽい。

まあな、見た目も美人だし。

 

「多謝!頑張る!勝ったら2品マデ無料サービスと……ノミホーダイ!、するネ!」

 

「「「やったぜ!!」」」

 

「『おい飛龍!!お前そんな勝手に!!』」

 

「『いいじゃない叔父さん、これまで通り宣伝してあげるから』」

 

 おうおう、もうお祭り騒ぎだ。

アウェー感が半端ねえ。

 

「ヤマダサン……」

 

 別に今ここで戦いが始まるわけでもねえのに、タイキが心配そうだ。

 

「は、何だその顔はよ。ホレ、タイキあーん!」

 

 取り箸で棒棒鶏を掴み、顔の前まで持っていく。

彼女は一瞬止まった後、猛然と喰らい付いた。

箸まで食う気かよオイ。

ブライアンを思い出すなァ。

 

「あむ、ももむ……デリシャス!」

 

「だろォ?ここはなんでも美味いんだ。食え食え……俺も追加注文すっかな、歩いて腹減ったし」

 

 タイキは目を輝かせてレンゲを手に取った。

よしよし、それでいい。

 

 不意に、寒気。

俺の斜め後ろに立っている……フェイロンから。

 

「(――2週間後、よろしくネ)」

 

 そして、俺にだけ聞こえる声量で一言。

……バレてやがる。

ここで違うというのも角が立つし……どうすっかな。

ええい、ままよ。

 

「(……なんのことかわからんねェ?)」

 

 そう言い、口の端を持ち上げた。

 

「……ふふふ♪」

 

 俺の表情で察したのか、フェイロンは人のよさそうな笑みを浮かべた。

だが、その口の端からは俺と同じように歯が覗いている。

 

「山田サン、アナタいいオトコ。サービスするネ♪」

 

「おお、そいつはありがてえ……追加で小籠包2人前よろしく!だが、勿論金は払うぜ?」

 

「じゃ、オオモリはムリョーにしとくネ♪」

 

 フェイロンは嬉しそうに厨房に去って行った。

さて……ボチボチ気合、入れるかね。

 

「ムゥウ……!」

 

 で、何故タイキは耳を絞っているのだろうか。

 

「サービスだってよ?イイ男は辛いなタイキ?」

 

「もももむも!モモモモモ!」

 

 おいおいおい、そんなに一気に餃子食ったら――

 

「もごぐ!?」

 

 ああああ、言わんこっちゃねえ。

熱いだろ、オイ。

 

「タイキ、冷たいお茶だホラ。飲め飲め」

 

「ムムムム!……プッハ!?」

 

 火傷してねえかな?

 

「イチャイチャ……してマシタ!」

 

「どのへんがァ?あれがイチャイチャなら……今頃タイキとは結婚してるわ」

 

 すると、タイキの顔が真っ赤になった。

ははは、麻婆豆腐食い過ぎたライみてえ。

半日買い物に付き合ってるんだしな、もう夫婦じゃんその感じで言うと。

 

「の、のの、ノォーウ!わた、ワタシまだコドモ、コドモデース!トゥファーストデース!!」

 

「そうだよ?よくわかってんじゃねえか……ほい、酢醤油にラー油な」

 

 コイツ餃子そのまま食ってたからな。

それも不味くはねえが……やっぱりタレがいるだろう?

 

「おかわりしてもいいから、味わって食えよ?」

 

 さて、じゃあ俺も炒飯から食うか。

うっま、相変わらずうめえ……秘訣は中華鍋と火力かなあ。

今度外で大火力を試してみよう。

部屋のガスコンロじゃ火力足りねえし。

 

「タイキの親戚、喜んでくれるといいなァ?」

 

「ゼッタイ喜んでくれマース!ボビーオジサンはとってもニンジャマニアデース!!」

 

 ま、カワイイ親戚の娘が、しかも海外からわざわざお見舞いを送ってくるんだ。

中身がなんであれ、嬉しいに決まってるさ。

タイキが気にするような関係性なら、まず間違いなくな。

 

「ヤマダサン!オカエシデース!あーんデス、アーン!!」

 

「もごご!?」

 

 考え事をしていたら油淋鶏をねじ込まれた。

あっづ!?美味いけど熱い!!

 

 

「2560円になりマス」

 

「あいよ……ごちそうさん、美味かった」

 

 レジで支払いを済ませる。

結構食ったハズなんだが、相変わらずリーズナブルな店だ。

普通の人間なら、1人で1000円も払えば腹いっぱい食える量だしな、ここ。

結構食うタイキがいてもこれか……助かるが、この店大丈夫なんか?

 

「お釣りネ」

 

「はいよ」

 

 お釣りをもらう。

レジ担当は手空きのフェイロンだった。

たぶんというか、確実に俺の正体はバレているが……別にどうってことはない。

なにかされることもないだろうし。

 

 これが『反ウマ』が相手ならぶん殴ってでも記憶を消すんだがね。

 

「また、来てネ‥‥‥山田サン♪」

 

「ああ、『2週間』過ぎたらな?」

 

 トーナメント終了後に、な。

 

「フフ、再見♪」

 

 フェイロンはそう言って手を振ってくれた。

俺も軽く手を上げ、外で何故か耳を絞り始めたタイキの元へ歩き出した。

だから、全然イチャイチャしてねえっての。

 

 

・・☆・・

 

 

「『飛龍、アレは……無名だな』」

 

「『さすが叔父さん、いいえ師父も気付いたんだね』」

 

「『前からタダの兄ちゃんじゃないとは思ってたが。改めてじっくり見てみればわかった……驚いたな、あれほど練り上げた肉体を持つ人間にお目にかかるなんざ……大陸でもそう何人もいない、な』」

 

「『私も、間近で見てわかった。とても凄い功夫(鍛錬)よ、あの人』」

 

「『だろうな。生半可な鍛え方じゃ……格闘ウマ娘に勝つなんてできない……おい飛龍、その顔をやめろ。客が逃げちまう』」

 

「『ごめん、ちょっと嬉しすぎて……ふふ、出稼ぎ感覚でU-1に出てよかった』」

 

「『あと2週間、か。楽しみだなあ、飛龍』」「『ええ、とっても』」

 

「フェイロンちゃーん!ビールおかわり~!」

 

「ハイハーイ!今行くネ!!」

 

 

・・☆・・

 

 

「ヤマダサンはプレイボーイデース!」

 

「たぶんそれ、俺から一番遠い概念だぞ」

 

 奢ってやったソフトクリームを舐めながら、タイキがからかって来る。

やっと機嫌が戻りやがった……俺が会ったばかりのウマ娘とどうこうなるワケねえだろうが。

そんなにプレイボーイだったら、今ごろイタリア人みてえになってるわ(偏見)

 

「帰りは送ってやるよ、トレセンに帰るんだよな?」

 

「YES!いいんデスカー?」

 

 電車賃もタダじゃねえからな。

学生にあまり使わせるのも偲びねえ。

 

「ランチもゴチソーになったシ、色々悪いデース!」

 

「気にすんなっての、俺ァ大人だぞ?」

 

 無限に金を出すつもりは流石にねえが、これくらいはな。

タイキもレースの賞金とかがあるだろうが……それはいつか、引退した後に使うもんだ。

 

 サラブレッドウマ娘の競技生命は、他のスポーツ選手よりもさらに短い。

トレセン学園在学中に引退するウマ娘がほとんどだ。

 

 そりゃあ、中には『ドリームトロフィーリーグ』まで参加して長く活躍するウマ娘もいる。

だが、それは本当に一握り……選ばれたウマ娘たちだ。

トゥインクルシリーズを故障せずに走り切る丈夫さ、そしてその上にもちろん実績が必要なんだ。

 

 そう、例えば……

 

『鉈の切れ味・シンザン』

 

『最強の女王・クリフジ』

 

『黒鹿毛の勇者・セントライト』

 

『野武士・タケシバオー』

 

『大英雄・ハイセイコー』

 

――彼女たちのような、競バ史に燦然と輝く……そんな実績が。

 

 タイキがそこまで行けるかは、俺にはわからない。

俺は頭がいいわけでもねえし、トレーナーでもねえ。

 

 それはわからんが……それでも、この学園にいる間は。

彼女が、彼女たちが、自分の意思で走り続ける限りは。

俺は、それを見守りたい。

そして……できれば、ほんの少しでも手助けしたい。

一警備員の俺にできることなんざタカが知れてるが、それでもな。

 

「ヤマダサン、優しい顔してマース……ワタシ、その顔好きデース!」

 

「ははは、ありがとうよ。タイキの笑ってる顔には負けるがな」

 

「ワッツ……!?も、モーッ!からかうの、NOデース!!」

 

 褒めたのに怒られた。

思春期って難しいなァ。

 

 

「『――ウマ娘は保護され過ぎているッ!!!!』」

 

 

「ワッツ!?」

 

 急に聞こえてきた大声に、タイキがびっくりして抱き着いてきた。

アレは……拡声器か。

 

「っち……タイキ、遠回りすんぞ。ゴキブリ以下の害虫が吠えてやがる」

 

 見れば、道の先にある街頭で演説している……10人ほどの一団。

一番年かさの男が壇に立ち、メガホン片手に怒鳴っている。

周囲の人間は手に『人類解放戦線』とかいうネジの外れた旗を持っている。

おそらく、無許可のデモだろう。

だってあんなアホみたいなデモ、許可されるワケねえし。

 

 まだ十分距離があるな。

 

「タイキ、これ被りな……んで、この上着を腰に巻け」

 

 申し訳ないが俺の帽子を被らせ、脱いだ上着を渡す。

とにかくウマ娘だってバレたらまずい。

ウマ娘を敵視してる連中に見つかったら、何言われるかわからん。

 

「い、YES!大きいデース!」

 

 すまんな、臭かったら本当にスマン。

なんか嬉しそうだから大丈夫だとは思うが……

 

「『人口としては極小数のウマ娘のために!我々人間がどれほど我慢を強いられて――』」

 

 タイキの肩を抱き、道を変える。

こうすれば、奴らからは俺しか見えない。

 

「タイキ、耳塞いどけ。あんなもん聞いたら変な病気になっちまう」

 

「……大丈夫デス!変なヒトより、いいヒトのこと、知ってますカラ!」

 

 なんていい子だよ、泣きそうだぜ。

胸が詰まりながらタイキと歩き、角を曲がる。

先には誰もいない……よし。

 

「あ、やべ。さっきの角で落とし物しちまった……タイキ、ゆっくり歩いててくれ!」

 

「ハーイ!」

 

 タイキと別れ、曲がり角まで戻る。

 

「『政府はあまりにも弱腰である!何故多数派の我々人類を――』」

 

 人類と『反ウマ』を同一視しているアホ演説。

それを聞きつつ、足元に転がっていた空き缶を蹴り上げ――掌底で打ち抜く。

 

 討マ流、射ノ型『燕』

奢ってやるからありがたく受け取れや、カス共。

 

「『URAの専横!これ以上見過ごせるものでうわひゃああああっ!?!?!?』」

 

 真っ直ぐ飛んだ空き缶が、拡声器に命中して壇上の男の手から吹き飛ぶ。

それに驚いてバランスを崩し、男が尻もちを突く。

 

「うわひゃあだってよ、ダッサ」「誰か知らねえけどよくやったぞー!」「このクソ演説ほんっと五月蠅かったんだよ!」「おーい馬鹿野郎!無許可のアホ演説なんてのは、布団被って壁に向かって言ってろや!!」

 

 周囲の人間が野次り出すのを見届けつつ、俺はタイキの方へ踵を返した。

っへ、脳天にブチ当てなかったことを感謝するんだなァ。

 

 さあて、対戦相手とのお目通りも済んだし……稽古、すっか!




【ライデンオーのヒミツ】
・このデート?の顛末を聞きつけ、遠く北海道の空の下で失神した。
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