トレセン学園警備員さんは、ウマ娘に勝ちたい。   作:秋津モトノブ

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50話 質疑応答って難しいよな。

 

『それでは、定刻となりましたので……』

 

 俺の視界の隅で、マイクを持った男がそう言った。

 

『これより、無名選手の勝利者インタビューを執り行います』

 

 そう言ったのは、以前に会った筋肉の塊……U-1執行部の神宮司サンだ。

相変わらず分厚くて強そうだぜ……強すぎるウマコン故に参戦できていないのが残念だ。

少なくとも、ヒューマントーナメントで戦った同門の若手よりも100万倍は強ェぞ、絶対。

 

 居並ぶマスコミ連中の目のギラギラが怖ェや、それにしても。

 

 

 退院して、オグリ達とBBQをした翌日の……夜。

俺は、都内にあるホテルで勝利者インタビューをされることになった。

フェイロンとの試合のやつな。

本当ならすぐにやる予定なんだが……入院してたもんはしょうがねえだろ?

というわけで……窮屈なスーツを着て、これまた窮屈なマスクを付けている。

いや、これもうマスクっていうか……

 

『月間秘伝の柴崎です。これは質問というか……無名選手、そのヘルメットは……顔の怪我が酷いのですか?』

 

 そう、ヘルメットだ。

フルフェイスの、なんというか……ハリウッド映画とかに出てきそうな感じの。

 

『いえ、これは……』

 

 いつもより強めに補正された声で、質問に答えようとすると。

 

『――我がUSCが提携している会社の開発品です。良い機会ですのでお披露目も兼ね、彼に着用してもらいました』

 

 俺の横に座っている社長が、ニヤリと笑いながら言った。

……まあ、確かに蒸れねえし格好いいんだがよ。

これ着て戦えって言われたら御免だがね。

 

 

・・☆・・

(三人称)

 

 

 同時刻、トレセン学園第三会議室。

そこには、無名の正体を知る女性たちが集まって、大型モニタを見つめていた。

 

「んなぁ~……なぁんでウチもこっち側なんスか~! 無名のセコンドなんスよ~ウチ~!」

 

 居残りを命じられたライデンオーが嘆き、置かれていたジュースを行儀悪く啜る。

 

「社長と山田先輩だけだって言われたじゃないスか、先輩(……ライ先輩も有名人スからね。山田先輩と並んでたら気付かれるス)」

 

 その肩を叩き、苦笑いするフドウギク。

 

「こうやって見ると、山田さんじゃないみたいだな。スーツもよく似合っている」

 

「せやな。あの口調の山田はんはなんや新鮮やわ」

 

 ポップコーンを頬張りつつ、目を輝かせるオグリキャップ。

それに同調するタマモクロス。

 

「けーびいんさん、とってもかっこいいね~!」

 

「そう、そそそそうだねウララちゃん!」

 

「ライスさん、す、少し落ち着いてください……」

 

 盛り上がるライスシャワーを、苦笑いで見るキングヘイロー。

ハルウララは知り合いがテレビに出るという状況が珍しいらしく、何故か無名応援の法被を着ている。

 

「雄姿ッ! 見ているかハテナ。いつもお世話になっている山田さんだぞ!」

 

「めぇおう、んみゃあ」

 

 理事長が嬉しそうに言うと、帽子に陣取っているハテナが物珍しそうに鳴いた。

 

 

・・☆・・

 

 

『改めまして、月間秘伝の柴崎です。まずは勝利おめでとうございます、無名選手』

 

『ありがとうございます』

 

 初手はまともな雑誌記者か。

月間秘伝、俺もよく読んでるぜ。

中々読み応えのあるいい雑誌なんだよな、ゴシップ色も強くはねえし。

 

『先日の試合も凄まじいものでしたが……お体の具合は大丈夫ですか?』

 

『ええ、すっかり元通りです。明日試合だと言われてもやれますよ』

 

 俺の小粋なジョークに、記者席から笑いが上がった。

……ふん、今笑った連中はマトモそうだな。

残りは……どうだろうな。

 

『ははは、そうですか……遂に次戦は準決勝となりますが、自信のほどはおありですか?』

 

『いつもながら、そんなものはありません』

 

 そう返すと、会場がどよめいた。

だが、気にせず続ける。

 

『今までのどの試合も……自信はありませんでしたよ。ただ、全力で当たっただけです』

 

 本当にそうだ。

勝てる算段はあった、だがそれは自信じゃない。

どれか一つでも読み違えれば、避けそこなえば……その時点で負ける。

そういった負の自信はあったがな。

 

『身に着けた技で、『格上』に挑むんです。だから……いつだって必死でした。それは、これからもそうでしょう』

 

『そうですか……なるほど、ありがとうございました。次戦も期待しています』

 

『ありがとうございます』

 

 ふむん、いい記者だ。

目が真っ直ぐで……これは月間秘伝、定期購読しようかな。

 

『週刊某百の石井です』

 

 ほうほう、ゴシップ週刊誌がもう来たよ。

さてさて、何を聞かれるのかね……

 

『無名選手……あなたは、ご自身が成されたことについてどうお考えですか?』

 

『……申し訳ない、私はまだ何も成していないと思うのですが』

 

 なんだろうか?

 

『公式戦で初めて格闘ウマ娘に勝利したという功績ですよ。どう思われますか?』

 

 ……そういえばそうだった。

 

『そうですね……いい出来だと思いますよ。やはり、流派としては悲願ですから』

 

 俺は別にそこまでこだわっちゃいないがな。

いや、嬉しいは無茶苦茶嬉しいんだが……今はもっと行けるところまで行きたいって思いの方が強い。

 

『そうですか……では、それによって社会に生じた騒動についてはどう思われますか? 現在、反ウマ思想が一層の盛り上がりを見せているわけですが』

 

 はー、成程ね。

それを聞きたいわけか……くだらねえ。

 

『――心底、腹が立っております』

 

『……は?』

 

 はは、なんだその間抜け面、ウケるな。

 

『私は、くだらない『反ウマ』の連中は大嫌いです。他人の勝利に乗っかって上機嫌になる、そんな唾棄すべき連中はね。公式に表明したはずです、私は……言葉は悪いが超ド級の『ウマコン』であると』

 

 本当に格好がつかねえな……マジで。

 

『今も騒いでいる連中にはこう言いたいですね。『私が強かっただけで、そちらは全く関係がない。あなた方は相変わらずみみっちい、ちっぽけな、情けない連中だよ』とね』

 

 しん……と静寂が満ちた。

すかさず、隣の社長がマイクを持つ。

 

『会社としても何度も発言しているのですがね。わが社が『反ウマ』思想を持つような社員を雇用するわけがないでしょう……彼の部屋の壁一面には、歴代顕彰バのポスターが所狭しと貼られておりますよ』

 

 それ言わんでもいいでしょ!?!?

あーあーなんてこと言いやがるんだ社長!!

 

『そ、そう……ですか……ありがとうございました』

 

 でもまあ、記者は毒気を抜かれたからいいか……いいと、するか!!

 

『はい!月刊トゥインクルの乙名史ですっ!!』

 

 この女性は……素晴らしいですッ!の人!!

だからなんでサラブレッドウマ娘担当の人が俺のインタビューにいるんだよッ!!

 

『先程の質問に重ねての質問なのですが、ずばり……無名選手の『推し』のウマ娘について教えていただきたいのですが、よろしいでしょうか!』

 

 ……これは、難しい。

無茶苦茶難しい質問だ。

 

『……申し訳ありません。『現役』『引退』『伝説』のジャンル分けでも数が膨大過ぎて……この場では、時間が足りそうにありません』

 

 隣の社長が小さく噴き出すのが聞こえた。

……しょうがねえだろ!多すぎるんだから!!

一番二番とか決められるワケねえだろ!!

 

『すっ……』

 

 あ、これは――

 

 

『――素晴らしいですッ! 活躍した全てのウマ娘を平等に愛していらっしゃるなんてッ!!』

 

 

 そこまでは言ってねえよ!そこまでは!?

 

 

・・☆・・

 

 

「あ、愛し……あい、愛し……!!」

 

「ライスちゃんどうしたの~? お顔がトマトみたいだよ~?」

 

「ダイタン、ダイタンデース!!」

 

「ふ、ふふふ……さっ、流石はウマコンだな」

 

「ブライアン、尻尾が当たって痛いぞ。そんなに嬉しいのか」

 

「なんかさ、照れちゃうねタイシン!」

 

「……う、うっさい。ただの変態じゃん……!!」

 

「ウチら、あ、愛されとるなあ~、オグリ」

 

「そうだな、私も山田さんのことは好きだからとても嬉しい」

 

「「「!?!?!?!?!?!?」」」

 

 

・・☆・・

 

 

『これは素晴らしいですよ……! 私もこの場では聞ききれる気がしませんッ! 後日レース関係で正式にインタビューを申し込みますッ! ありがとうございましたッ!!』

 

『……どうも』

 

 どうすんだよこれ……なんでトゥインクルで独立インタビューが発生すんだよ……

 

「(ふふん、この取材は特例で許可するぞイチロー。今決めた、私が決めた)」

 

 この社長ォ……!!

怖くて見れねえが、絶対にニヤニヤしてんだろ……!!

畜生ォ……!!

 

『ははは、素晴らしいウマ愛ですなあ。さて、それでは次の方は……』

 

 神宮司さん、無茶苦茶いい笑顔しやがって……!!

同好の士ですよってか!? 否定はしねえけど!!

 

『週刊ロストの古橋です』

 

 ……うわーお。

目がもう、わかりやすすぎる。

俺に対して友好さがまるでねえぞ。

さっきのゴシップ記者はまた友好的だったが、この段階じゃあ。

 

『無名選手……今からでも棄権なさる気はおありですか?』

 

『皆無です。何故?』

 

 そらきた。

 

『何故? 当たり前でしょう、U-1は格闘ウマ娘の祭典ですよ。人間のあなたが参加していること自体が不自然で――』

 

『その発言は不適切です』

 

 俺より先に神宮司サンが割って入った。

 

『――U-1トーナメントは、格闘ウマ娘が主ではありますが……人間男性にもエキシビジョンとして門戸は開かれております。特記事項32条も、開催当初からしっかりと明記されていますし、執行部としては何の問題も感じていません』

 

 おい、司会者が出していい気迫じゃねえぞ神宮司サン。

 

『棄権する気は毛頭ありませんよ。私は格闘ウマ娘と同じ土俵で戦うためにここまで来た……たとえ、リング上で死ぬようなことになっても棄権は……しません』

 

 神宮司サンに乗っかるかね、俺も。

おおかた怒らせて失言でも引き出そうって魂胆なんだろうが……その手には乗るか。

 

 ――思う存分喰らえよ、俺の、殺気を!!

 

『あ、は、はぁ、はい……ッ』

 

 記者は、突き飛ばされたように椅子へ腰かけた。

 

 っは、情けねえ。

野生の鹿にも勝てなそうなモヤシ野郎がよォ。

人見て喧嘩売れってんだ、いつでも安値で買ってやるぞ。

 

『よろしいですね……それでは、月刊ウマプロレスの矢柄です』

 

 おや、ウマプロレス専門雑誌!

俺も毎月買ってるぞ!

 

『無名選手、ウマプロレスに興味はおありでしょうか?』

 

『あります、大いにあります。大好きです。そちらの雑誌は定期購読しております』

 

 社長が無茶苦茶震えてる気配がする。

やめてくれよ、会見中に爆笑とか。

 

『そうですか! 実はですね、『マスクドムサシ』選手が是非対談したいと仰っておりまして……ご存じですか?』

 

『『ネオコジロー』選手との現代巌流島は、現地で応援していました。素晴らしい選手です、トレーニング方法などは自分も参考にさせていただいております』

 

 知らねえわけねえだろ!大好きだぞ!!

あの時に貰ったサイン色紙は、俺の家宝の一つだぜ!!

 

『……これは驚いた。総合格闘技の方々はプロレスに否定的な方も多いもので』

 

『往年の名手『トラマスク』選手の言った『強いってことは格好いい』これは、私の座右の銘でもあります。ウマプロレスの選手が弱いなんて……口が裂けても言えません』

 

 よくプロレスは台本があるから弱いとか言う奴がいるが、大きな間違いだ。

台本があって、勝ち負けが決まっているとしてもだ。

それでも……あのとんでもない技を全部受けるんだぞ!?弱いわけねえだろうが!?

俺だってカウンターとか回避とか全部禁じられたら、即TKOであの世だぜ。

 

『ははは、これは……無名選手ファンの選手たちもとても喜びますよ!』

 

『私に、ファンが……?』

 

 マジかよ。

 

『当たり前でしょう? ウマッターの『♯ LOVE MUMYO』で呟いている選手ばかりですよ。あの、もしよろしければですが……この会見終了後にサインをいただきたいのですが……その、読者プレゼントにしますので』

 

『需要がどれだけあるかわかりませんが、会社が許可をすれば――』

 

『許可します、何百枚でも許可しますよ、ふふふ』

 

 何百枚は勘弁してくれませんかね社長。

腱鞘炎になっちまうぞ。

 

 

・・☆・・

 

 

「や、ややややヤバいッス! レスラーウマ娘まで参戦したらもうしっちゃかめっちゃかッスよォ!!……い、今から毒霧の練習しとかないと……!!」

 

「なんで戦う気なんスか……いやでも、レスラーウマ娘と……ジブンも戦いたいスね!!」

 

「ライデンオーはん!机が!机が割れてまう~!!」

 

 

・・☆・・

 

 

『週刊スプラッシュの金崎です』

 

 嗚呼、ウマプロの人とだけ話していたかったのに……こいつもゴシップ側か。

 

『無名選手の御親族に、ウマ娘の方はおられますか?』

 

『ええ、親戚に何人かいます。それが?』

 

『いえ、差し支えなければお名前などは――』

 

『――差し支えるので拒否します。個人の特定につながる情報の開示は許可できませんね』

 

 ナイス社長。

これは関係ないもんな、今この場に。

まーた俺の個人を特定しようとしてんのかよ、こりないねえ。

そんな大した家系図でもねえがな、親戚にも迷惑かけちまうしNGだ。

 

『そうですか、ありがとうございます』

 

 あ、これほんとに聞いただけって感じだな。

 

『UCTVのレキャスターです、よろしいですか?』

 

『はい、どうぞ』

 

 む、ウマ娘の記者とは珍し――この人フェイロンにインタビューしてたレポーターじゃん!?

 

『先日フェイロン選手がテレビを通して再戦を申し込んでいましたが、無名選手としてはいかがですか?』

 

 やっぱりそうか。

そんなもん……決まってんだろ。

 

『――私も、とても楽しい時間でした。こちらからも是非、お願いしたいです』

 

 さて、次は勝てるかどうかわからんが……やる気は大いにあるぞ!

あの戦いで見せなかった中国拳法……興味しかねえよ!!

 

『そうですか、意気軒昂!ということですね……これからの戦いについて、意気込みをお願いします』

 

『今までと同じように、どこまで私の技が通用するか……同じことをやるだけです』

 

 血反吐吐いて身に着けた技と業。

俺の武器は、これしかない。

これだけでいいんだ。

 

『なるほど! それでは……全あなたへと世界から熱いラブコールを送っているウマ娘たちに、一言!』

 

『……はい?』

 

『一言! お願いします!』

 

 目力が、凄いんだが……

社長、助け……無茶苦茶笑顔なんだが!?

神宮司サン……なんだよそのサムズアップは!?

 

 ……え、ええい、ままよ!

この場で言いたいこと言ってやらあ!!

 

『……私は、私は本当に……本当に、ウマ娘が好きなんです』

 

『だから……その、クソッタレな『反ウマ』とかカスみたいな『ウマ娘至上主義』とか、関係なしに……』

 

『……貴方達を、心から尊敬しています。走る姿に、戦う姿に……俺、いや私は……惹かれている』

 

 そうか、だから俺は……

 

『……どうか、覚えていてください。心の片隅にでも……こんなバ鹿な男がいるんだってことを』

 

 ……あああ、ヘルメットあってよかった。

顔が真っ赤だ。

風邪ひいた時くらい熱いぜ、顔。

 

『……あと、本当に、特に『反ウマ』とは関係ないですから、私は。むしろ敵ですからね、連中とは』

 

 この上勘違いしやがったら人相が変わるまでぶん殴ってやるからな。

 

 

・・☆・・

 

 

「はうッ……きゅうぅ~……」

 

「キングちゃん!ライスちゃんが大変だよ~!?」

 

「大丈夫よ、転がしておきなさい」

 

「フドウギクはん! ライデンオーはんがとんでもない顔で気絶しとる~!」

 

「大丈夫ス。隅っこの涼しい所に転がしておいてほしいス……(顔が熱いス……ジブンもまだまだスね)」

 

「……ム、ムム、ムゥ……」

 

「どうしたブライアン、顔が真っ赤だが?」

 

「なんでも、ない! 姉貴だってそうじゃないか!」

 

「ハワワ……ハワワワ……」

 

「タイキ、汗が凄いぞ? 喉が渇いているならコレを飲むんだ」

 

「タイシン!あた、あたじうれしいよおおおおおおお!!山田さんが、山田さんがそんなにあたし達を大事に思ってくれてるなんでえええええええええええええええ!!!」

 

「ああもう、うっさい! ……ほんと、暑苦しいんだから……!!」

 

 

・・☆・・

 

 

 疲れた……ほんと、疲れた。

やっとインタビューが終わった。

後半なんかなに答えたか全然覚えてねえ……神宮司サンが無茶苦茶いい笑顔だったことしか思い出せねえ。

 

「フハハハ!随分と濃い時間だったな、イチロー!」

 

 控室でぐったりしている俺の前で……社長が爆笑している。

 

「もう……二度と御免ですよ、俺ァ……」

 

「ハハハハ!……む?」

 

 社長のスマホが鳴っている。

 

「私だ、どうした? ほう、ほうほう!それは……いいな! ハハハハ!!」

 

 しばし話し込み、社長は笑みをより一層深くして電話を切った。

 

「イチロー! 喜べ! 入社希望者が続出しているらしい! 海外の有名警備会社からの転職希望も多いらしいぞ!」

 

「……まさか、『無名』目当てですか?」

 

「この文脈でそれ以外の理由はなかろう、バ鹿め! ハハハハ!!」

 

 嬉しそうにしちゃってまあ……

 

「ああ、それと『無名』グッズ通販ページのサーバーが落ちたそうだ。嬉しい悲鳴だな……即座に増設しよう。フフフ……喜べ、臨時ボーナスがまた出るぞ!」

 

「ハハハ……嬉しいなあ、それは……嬉しいなあ……」

 

 ……あ、今気付いた。

気付いちまった。

 

 俺の正体知ってる連中に明日からどうやって会えばいいんだ!?

ああああ!!完全に頭から抜けてたァ!!

 

 ……ぬ、スマホに着信……ウマインか。

嫌な予感しかしねえ……

 

『ハルウララ: わたしもだいすきだよ~!』

 

 ……和んだ。

とても和んだ。

 

『ライデンオー: 式はいつ挙げますか』

 

 ……ブロックしちまおうかな、この後輩。

 

『ライスシャワー: いいと思うな!とっても!いいと思うな!』

 

 ……何がだ、ライス。

ああ駄目だ、今見ると精神が崩壊しそうだ……家に帰ってから見よう。

 

「フフフフ、視聴率もよさそうだし。これはいい宣伝になる……お前のヘルメットも合わせて俗にいう『バズった』という奴だな!フハハハハ!!」

 

 テンションがストップ高になった社長を見ながら、俺は溜め息しか出なかった。

……明日から、どうしよ。




【ライスシャワーのヒミツ】
・ベッドの上で早朝までひたすらゴロゴロしていた。
同室のロブロイが寝不足になった。
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