トレセン学園警備員さんは、ウマ娘に勝ちたい。   作:秋津モトノブ

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53話 いい子ばっかりだなあ、トレセン学園。

「もう落ち着いたか? ライス」

 

「う……うん……」

 

 ちょっとばかしのアクシデントで、ライスが泣いちまってからしばらく後。

相変わらずの変則抱っこの姿勢でそう聞いた。

泣き止んだようだが、顔は俺の胸に埋まったままだ。

 

「タキオン、俺これ訴えられねえよな?」

 

 今更ながらこの体勢、不味くないか?

タキオンたちは今すぐ通報しようって雰囲気じゃないが……椅子に座った俺にライスが跨ってんだぞ。

冷静に考えると無茶苦茶ヤバくないか、これ。

 

「ライスくんにその気が皆無だからねえ?」

 

「……その状態で聞くことがそれですか?」

 

 タキオンは苦笑い、カフェはジト目。

 

「ごめんなさい、おじさま……ライス、迷惑ばっかりかけて……悪い子だね」

 

「迷惑? はて……俺ってライスに迷惑かけられたことあったかァ? マジで身に覚えがないぞ」

 

 ライスは四六時中いい子なんだが?

 

「……参考までに聞いておこうか。山田くんがこの学園で迷惑だと感じた相手はいるかい?」

 

 ここでェ?

うーん……

 

「ライ……俺の後輩なんだがな? そいつが油断したら男用の仮眠室に侵入して横で寝てることかな?」

 

「ねっ!? ねねねねねッ!?!?」

 

 うおおビックリした!?

ライス、どうした急にそんなに振動して!?

 

「……それ以外では?」

 

「お~……ねぇな。いや待てあったわ、この前ウインディちゃんって子の掘った落とし穴に落ちなかったらなんか怒られた。迷惑ってほどじゃないが、他の子が落ちたら大変だからな、ちょっと怒っといたけど」

 

 でもあの子もすぐに穴埋めてくれたしなあ。

 

「基本的にこの学園にゃいい子しかいねえだろ、そもそも」

 

「……山田くんは底抜けの善人なのか、それともバ鹿なのか判断に困るねえ」

 

 なんだとこのタキオン。

善人ってほどじゃねえだろうが、普通だよ普通。

 

「山田さん、最近嫌だったことってありますか?」

 

 最近、最近ね……?

 

「うーん……」

 

 ポン、とタキオンが手を打った。

 

「そうだ、キミが無名ならば……よく『反ウマ娘思想団体』にバッシングされているな。それに対してはどうかね?」

 

「――法律が存在しなきゃ片っ端からぶん殴って生まれてきたことを後悔させてやりてえ」

 

「ひうっ!?」

 

 ああすまんライス、ちょっと殺気が漏れちまった。

 

「……怒りの感情がないわけではない、か。ライスくん、安心したまえ……キミを山田くんが怒ることなど、未来永劫ありえんよ」

 

「そうですね、よくよく考えれば山田さんはとってもいい人ですから」

 

 なにやら釈然としねえが、まあいいだろう?

 

「ライス、もう一回言うがな。俺ァお前と知り合ってから迷惑だって思ったことなんざ一瞬もねえからな?」

 

「は、はうぅ……ま、待っておじさま、まってぇ……ライス、また泣いちゃうからもう言わないでぇ……」

 

 ……なんで!?

 

 

・・☆・・

 

 

「おやおや、ウサギもビックリなお目目だねえ。ここに私が試作したいい目薬が――」

 

「ライスさん、冷やしたハンドタオルをどうぞ」

 

「カッフェ!?」

 

 俺のシャツを若干濡らし、目が真っ赤になったライスが小さくなって座っている。

おうおう、今になって恥ずかしくなってきたんか?

 

「あ、ありがとうカフェさん……ちめた……」

 

 ライスはタキオン製の虹色目薬よりもタオルを選んだようだ……賢いぞ。

 

「おじさま、その、本当にごめんね?」

 

「謝られるような覚えがねえなァ」

 

 元気になったようなので、バスケットをゴソゴソ……っと。

 

「ほれ、色々疲れたろライス。出しそびれていたデザートのイチゴ大福だ」

 

 保冷材のお陰でまだ大丈夫、しっかり冷えてるな。

 

「もちろんお前らの分もある。コーヒーや紅茶はちょっとアンバランスだから、玄米茶をどうぞ」

 

 魔法瓶から紙コップにお茶を注ぎ、3人へ。

 

「……もはや何も言うまいよ。はむはむ……美味しいねえ!とっても美味しいねえ!」

 

「山田さんは本当に凄いですね……美味しい」

 

 タキオンのテンションが急に上がったぞ、食わせがいがあるなあ。

 

「はむ……しあわしぇ……おいし……」

 

 ライスも気に入ったらしいな、尻尾が大暴れしてる。

 

「まあ、てなわけで俺の出自はわかったろう? 満足かい、タキオン」

 

「概ねだねえ。少なくとも肉体の頑強さに対しては一定の理解が得られたかな……」

 

 ずず、と茶を啜るタキオン。

あんこが付いてるのを拭いてやりたいが、我慢する。

 

「サラブレッドウマ娘、それも上澄みの家系とは……本当に見かけによらないねえ、キミは」

 

「つってもメジロとかシンボリみてえな感じじゃねえけどな。現状……レースウマ娘としての血統は断絶したわけだしよ」

 

 レイニー……妹の『レイニーステップ』を少し思い出す。

あの、底抜けに明るい笑顔を。

 

「お悔やみを申し上げるよ……だがね、キミは少し勘違いをしているねえ」

 

 一瞬目を伏せたタキオンが、口の端を持ち上げた。

 

「ウマ娘としての因子は家系に依存する。つまり……君がウマ娘と結婚すれば、また次世代のウマ娘が産まれてくる可能性は高い」

 

「はぶっ!?!?」

 

 どうしたライス!?

大福が喉に詰まったのか!? 

……大丈夫そうだな。

 

「しかもキミの場合は三代前までG1ウマ娘の家系だ……あ、これは不味いねえ」

 

 珍しくタキオンの顔から血の気が引いた。

どうした急に。

 

「……ざっくり調べたが、『無名』としてのキミの人気はかなり高い。世界各国のウマ娘たちがラブコールを送る程に……ねえ」

 

「あ~……例のハッシュタグ見たんか、お前も」

 

 俺も確認してビビったぜ。

外国語ばっかでわからんかったが、翻訳アプリを起動したら求婚の嵐だったからな。

しかも、結構ガチが混ざってそうな感じで。

 

「この上だよ? キミが結構な良血だとバレてしまった日には……本当に、世界中のサラブレッドや格闘、その他のウマ娘が押し寄せてくるかもしれん」

 

「マジで? いや、さすがにそりゃあ……ないだろ?」

 

 タキオンは、かわいそうな生き物を見る目をした。

 

「キミは本当に自分に無頓着だねえ? ただでさえ規格外の肉体なのだよ……そして血統まで優れているといえば……最悪、遺伝情報目当てに襲われかねん」

 

「っだ!だだだ駄目だよ!そんなの駄目ッ!!」

 

 ライスが急に興奮しだした。

うへえ……遺伝子目当てに狙われんのは、流石に嫌だな。

 

「だからキミ、無名と出自を紐付けさせることだけは回避すべきだ。特にマスコミ関係者にはねえ」

 

「もちろん言う気はさらさらねえが、肝に銘じておこう。確かにウマ娘は好きだが、養鶏場の雄にはなりたくねえ」

 

 ぞっとしねえな、流石によ。

インタビューで言いでもしたら、大変なことになるな。

 

 しかし……

 

「ルドルフはこれを知ってて言わなかったのか。アイツには感謝しかねえな」

 

「ほう、そうなのかい? シンボリ家の力を使えば、流石に従業員の出自くらいはわかるか……」

 

 あの生徒会室で、あいつはおふくろの名前しか出さなかった。

事故のことも、婆さんのこともわかっていただろうに。

 

「……お優しい生徒会長様だな。さすがは生徒のトップ」

 

「む、むむ~……!」

 

 ライス、どうした急に。

大福みたいになってるぞ、頬が。

 

「ら、ライスも今日の事……絶対に言わないからね! おじさま!」

 

「おお、そいつはありがてえな。助かるぜ」

 

 別にここの生徒たちに知られてもなんとも思わんが……優しい子が多いからな、ここ。

さっきのライスみてえに泣かれたら辛いしよ、俺がな。

想像してみろ、タイキなんか……タイキなんか……

とんでもねえことになりそうだ。

わんわん泣きそうだ、絶対。

 

「みんなに心配されちまうからなあ。俺の方はどうでもいいが、ここの子たちに悪い」

 

 そう言うと、カフェが目を細めて笑った。

 

「ふふ……山田さんは本当にウマコンなのですね」

 

「……カフェ、それあんまりいい意味の言葉じゃねえから外で言うなよ」

 

 ここにいるとなんか麻痺しちまうがな。

そしてインタビューでも言っちまったけどな。

 

「さて……山田くん、もう少し実験に付き合ってもらおうか! 次は筋肉の強さについてなんだが……」

 

 目の輝きが一層強くなったタキオンに、俺は苦笑いで返した。

 

 

・・☆・・

 

 

 分厚く、豪華な扉をノックする。

 

「――どうぞ」

 

 真面目そうな声が返ってきた。

 

「よう、やってるか?」

 

「ここは定食屋ではないのだが……」

 

 扉を開けると、見知った顔が3人いた。

今まさに顔をしかめたエアグルーヴ。

 

「ヤマダか、珍しいな」

 

 この上なく面倒くさそうに書類にペンを走らせているブライアン。

そして……

 

「山田さん、その様子から勤務は終わったようだが……用事かい?」

 

 豪華な机に座っている、シンボリルドルフ。

貫禄があるな……ぶっちゃけ理事長よりも。

 

「頑張っている生徒会諸君に差し入れだよ。男の手作りで悪いが……イチゴ大福で休憩しちゃどうだ?」

 

「肉は……」

 

「入ってるわけねえだろ。だがブライアンには特別に猪ジャーキーも用意してあるぞ」

 

「そうか!それはいい!!」

 

 ガタン!と椅子から立ち上がるブライアン。

おーおー、上機嫌になっちゃってまあ。

かわいいねえ。

 

「ブライアン! はしたないぞ……だが、小休止もいいだろう。山田、茶を淹れるから座っていてくれ」

 

 エアグルーヴも少しばかり嬉しそうだ。

すぐに立ち上がり、お茶を淹れに行った。

 

 

「美味いかブライアン?」

 

「ン、ンム……美味い。獣臭くもなくて、美味い」

 

 おお、ジャーキーは好評なようだ。

 

「美味しいよ、山田さん。これはみんながこぞって褒めるわけだ」

 

 上品に大福を齧っているルドルフも気に入ったみたいだ。

 

「店で売っている品だと言われても信じるな、これは……多趣味だな、山田」

 

 エアグルーヴ、結構な高評価をありがとうよ。

さて……

 

「差し入れも目的だったが、もう一つ用事があるんだ。ルドルフ」

 

「おや、そうなのか。フム……心当たりはないが」

 

 ハンカチで口元を拭ったルドルフが、姿勢を正す。

そんなに真剣な体勢にならんでもいいのによ……

 

 ブライアンとエアグルーヴもいるが……まあ、いいだろ。

前の話の時もいたからな、このメンツ。

 

「ルドルフが前に俺を呼んだろう? その時の話でな……」

 

 そういうと、ルドルフは少し緊張した顔をした。

 

「別に恨み言を言うつもりじゃねえよ。あの時……お前は俺の家族について、全部を話さなかったな?」

 

「……ああ」

 

 やっぱりか。

さすがはシンボリ家、あのくらいの情報は一瞬で集まるわけね。

俺からおふくろにたどり着くのは少しばかり面倒だってのによ。

だって、この学園では誰にも言ってなかったからな。

知っていればすぐにわかるだろうが……0から1にするのは大変だ。

 

「別に言ってもよかったのによ。相手がお前なら、俺も殴り倒したりはしねえからな」

 

「……何を言うんだ。私も言っていいことと悪いことの区別はつく」

 

 はは、お優しいこって。

 

「穏やかではないな、山田。ソレは一体どういうことだ?」

 

 エアグルーヴの表情も変わった。

ブライアンは……おいおい、目が怖いぞ。

やめろよ、会長をそんな顔して見るのは。

 

「いやなに、俺の家族がもう全員この世にいねえってことを……ルドルフは言わなかったんだよ、エアグルーヴ」

 

「……な、に?」

 

「あの場でソレを言えば、俺はまあ……多少は動揺したと思うがな」

 

 さっき、ライスが見たニュース動画。

それには一つ、含まれていない『事実』があった。

 

「なあ、ルドルフ。俺の家族の『事故』……報道されてねえことも、知ってんだろ?」

 

 そう聞くと、ルドルフは表情を一層暗くした。

ああ、やっぱり知ってるか。

 

「――そうだ、俺は『反ウマ』にそりゃあ深い深い恨みがある。ウマ娘が好きだからって理由以外にもな」

 

 あの事故。

親父たち3人が巻き込まれた、多重交通事故。

その事故そのものではなく……

 

 

「――俺の家族は、『反ウマ』に殺されたようなもんだからな」

 

 

 あの日、現場に救急車が到着した時は家族は生きていた。

だが、病院に運ぶのに滅茶苦茶時間がかかったんだ。

 

 何故かと言えば……救急車の通り道で、無許可の『反ウマ』デモが行われていたから。

救急車は最短距離を迂回せざるを得ず、その結果……間に合わなかった。

 

 最速で病院に到着しても、助かったかどうかはわからん。

だが……それでも、その可能性を零にしたのは……『反ウマ』の連中だ。

あの、現在に至るまでクソッタレの、最悪の連中だ。

 

「だが、ルドルフはそれを言わなかった。俺はそのことで礼を言いたい」

 

「ち、違う山田さん。そもそも私が先走って調べてしまったから……」

 

 言いかけるルドルフを手で制す。

 

「はっは、子供がいらん気を回すなよ。あの時は学園にも変な抗議文みてえなのがワンサカ来てたんだろ? 生徒会長としては、回せる手は多い方がよかったんだろ?」

 

 俺という不確定要素と、学園の安全。

天秤にかけるまでもねえ問題だよな?

 

「だからな、俺はただ礼を言いたいだけだ。そして、改めて言うがお前にも……そしてこの学園にも、俺は何も含むところはない。それどころか天職だと思ってるよ、この仕事は」

 

 俺の顔がどうかしたんだろうか。

何故かブライアンが複雑な表情をしながら見つめてくる。

 

「俺の妹な、レイニーステップって言うんだが……身内の贔屓抜きで足が速くってなァ」

 

 椅子に体重を預け、3人を見る。

 

「ゆくゆくは、ここに入学……なんてことになってたかもしれねえ。いや、アイツはきっとここに来た、きっとな」

 

 少し目を閉じて、思う。

ここの制服を着たアイツを。

……うん、きっと似合うハズだ。

 

「だから、俺は嬉しいんだよ。お前らがここで青春を謳歌しているのを見てたらな……ここにアイツがいるような気がして、な」

 

 悲しみよりも、喜びが胸を満たす。

 

「山田さん……」

 

「色々心配させて悪かったなあ、ルドルフ。だけど、俺は大丈夫だ……ここの生徒たちはホラ、みんなみーんな、俺の妹みてえなもんだからな」

 

 アイツがここにいないことに対して、この子たちに何ら思う所はない。

あるとすれば、それは全て『反ウマ』のクソどもにだけ向いている。

 

「ヤマダ」

 

 寄ってきたブライアンが、俺の袖をつかむ。

 

「……アンタがそんなに強くなったのは、その……復讐、したいからなのか?」

 

 おいおい、何ちゅう顔してんだよブライアン。

泣きそうな子供みたいな顔しやがって。

 

「はっは、バ鹿言うんじゃねえよ」「むわっ!?」

 

 その頭を。ガシガシと乱暴に撫でる。

目を白黒させているブライアンに、続けて言う。

 

「俺が強くなってU-1に出てんのはな、格闘ウマ娘とバチバチにやりあって……有名になるためだ!」

 

「有、名……?」

 

 俺の、目標。

俺の、やりたいこと。

 

 

「――ああ、天国に届くくらい有名になりてえんだよ、俺はな!」

 

 

 復讐とか、そんなしょうもねえことじゃねえ。

 

「復讐なんて、そんなもんを抱えて勝てるほど……U-1は甘くねえんだぞ、ブーちゃん?」

 

「わ、わかった、わかったから……撫でるのは構わんがその名前で呼ぶんじゃないッ!」

 

 撫でるのはいいのか。

変わってんなお前。

 

 

・・☆・・

 

 

「冷静になったら俺ってすげえ恥ずかしいこと言わなかったか?」

 

「今更だな、ヤマダ」

 

 重苦しい空気も消えた生徒会室。

 

「この前の会見でも言っていたじゃないか、ラブコールを」

 

 心配そうだったブライアンも、今ではすっかり元通りだ。

 

「それを言うなよ……お前も見てたんかよ……」

 

「姉貴なんか顔を真っ赤にしていたぞ?」

 

 えぇえ……

 

「タイシンやチケットもしっかりな」

 

 えぇええ……

 

「一週間くらい休暇取りたくなってきた」

 

「それはやめておいた方がいいな。また入院だと勘違いされてパニックになる」

 

 ……これが、四面楚歌、か。

 

「ふふ……私はバ鹿だったな、本当に」

 

 ルドルフがくすくすと笑っている。

 

「ウマ娘をあんなに愛している山田さんが、この学園に害をなすなど……ありえないな!」

 

「ええ、それだけは同意できますね、会長」

 

 エアグルーヴ、なんだその目は。

 

「そうだよ、だから学園の安全は俺に任しときな、ベロちゃんよ」

 

「だっ!?だだだ誰に聞いたその名を!? ハッ……ムソウシンザン社長か!!」

 

 ふふふ、何かの拍子に聞いたエアグルーヴの幼少期のあだ名だぜ。

ブーちゃんといい、可愛いねえ。

 

「わすっ!忘れろ!忘れろ山田!!」

 

「なんだよ、可愛くていいじゃねえかよ。なあ、ブーちゃん?」

 

「私をその名で呼ぶんじゃないッ!!」

 

 おーやおや、こんなに可愛いのに残念だなあ。

 

「ふふふ……はははは!」

 

 その光景を見ながら、やっとルドルフは心から笑ったようだ。

うんうん、やっぱりウマ娘には笑顔が一番似合うな!

 

 

・・☆・・

 

 

「山田さんの周囲に感じる気配……恨みでもなく、執着でもなく、親愛……悪い子じゃないけれど、気になりますね……ハッキリとは、見えないけれど」

 

「カッフェ~? 私のイチゴ大福が見当たらないんだが、知らないかい~?」

 

「全部食べましたよ、タキオンさんが」

 

「なんと!? むう……あんなに美味しいのが悪いねえ! これはもっと山田くんに迫って作ってもらうしかないねえ!」

 

「……」

 

「ギャーッ!? チョップの構えで近づいてくるのはやめておくれよカッフェ~!!」

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