トレセン学園警備員さんは、ウマ娘に勝ちたい。   作:秋津モトノブ

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59話 みんなで食うとなんでも美味い。

「おじさま、ええと……これからどうすればいいんだっけ?」

 

「おう、材料はまとめたな。そのまま両手に包丁もって刻みまくれ……あれだ、ネギトロみてえなもんだ」

 

「うん、わかった! トントン、トントン……」

 

 ライスと釣りに出かけ、バカデカクーラーボックス一杯の魚を抱えて帰ってきた。

流石に詰所の炊事場は狭すぎるので……理事長の厚意により、カフェテリアの台所を使わせてもらっている。

今日は休日なので、そこまで激戦区ではない。

なので、ライスと2人して隅っこで調理中だ。

俺がやるって言ったのに、手伝うって聞かねえんだもんよ。

釣りで疲れてるだろうに……いい子だよ、ホント。

 

「山田ちゃん、アンタ手際良いねえ。お袋さんの教育かい?」

 

 おば……おねえさんが目を丸くしている。

顔なじみの人だ。

 

「ええ、まあそんなもんです」

 

 実際は山籠もりの比重の方がデカいがな。

なんとか食えるモンを作らないと餓死する環境だったし。

師匠よ、今更だが未成年を山に叩き込むとはロックすぎんだろ。

別に怨んじゃいねえがな。

 

「ライスちゃんもよく働くねえ! こりゃあ将来いいお嫁さんになるね、きっと!」

 

「おおおおお嫁さぁん!? ら、ライス……ライス、頑張ります!!」

 

 男が言えばセクハラだが、女同士なら大丈夫……大丈夫なのか?

ま、まあいいか、命が惜しいので言及はよそう。

 

「しかしよく釣ったね、山田ちゃん。一体何人に振舞うんだい?」

 

「そんなに多くはないですけど、その……オグリが」

 

「ああ……そうかい。手が足りないなら声かけなよ、頑張んな」

 

 一瞬で悟った顔をしたおねえさんは、苦笑いしつつ自分の持ち場へ戻って行った。

うんまあ……ここで働いてたらそういう反応になるわなあ。

 

「おじさま、ここの骨は捨てちゃう?」

 

「おーっと待て。そいつは油で揚げて骨煎餅にするんだ。パリッパリでうめえぞ」

 

「そうなんだ……ライス、食べたことないから楽しみ!」

 

 アジはどこもかしこも食えるし美味い、最高の魚だぜ……!

 

「あーっ! ライスちゃん、けーびいんさん!」

 

 む、このウララ~っとした声は……ウララだな!

 

「どーしたの? アルバイト?」

 

 売店に何かを買いに来たらしいウララが、俺達に気付いて走ってきた。

……すげえな、厨房にいる年齢層高めの方々が一斉に顔をほころばせた。

 

「ウララちゃん、こんばんわ!」

 

「ようウララ。アルバイトじゃねえよ。釣りに行ってきたから、魚を料理してんだ」

 

「あ、ライスちゃんがウマスタにとーこーしてたもんね!」

 

 ほう、ライスも現代の女子だな。

いつの間にそんなことを……

 

「ライスはこんなに釣ったんだぞ、ウララ」

 

 クーラーボックスを抱え上げる。

 

「ふわー! すっごいねライスちゃん!」

 

「え、えへへ……おじさまがサポートしてくれたのがよかったんだよ……えへへ……」

 

 ライス、嬉しいのは分かるが包丁は置こうな?

 

「あ、そうだウララ。お前飯がまだなら一緒に食うか? 見ての通り無茶苦茶あるからな?」

 

「ほんと!? いいの~?」

 

「いいに決まってんだろ、魚ばっかりだが大丈夫か?」

 

 そう聞くと、ウララは両手を上にあげて嬉しそうに飛び跳ねた。

 

「わたし、お魚だいすき! ねえねえ、キングちゃんも呼んでいーい?」

 

 ほう……キングのことまで考えて……なんといいウマ娘か。

 

「いいに決まってんだろ! 腹が爆発するまで食わせてやらァ!!」

 

「わーい! けーびいんさん、だいすき!」

 

 ふふふ……この笑顔のためなら飯くらいいくらでも食わせてやるぜ。

まさに、プライスレスってやつだ。

 

「おじさまってウララちゃん大好きだよね……」

 

「おーん? そんなん当たり前だろ?」

 

 どうしたライス、耳がレーダーみてえになってるが?

 

「え~? けーびいんさんはライスちゃんもだいすきでしょ~?」

 

「おう、当たり前だな」

 

「んんんん!!!!!!」

 

 うお、どうしたライス。

小型の削岩機くらい振動してるが。

 

「じゃあじゃあ、キングちゃんにお話ししたらお手伝いに戻ってくるね~! うっらら~!」

 

 桜色の目を輝かせ、ウララが身を翻して走って行く。

元気だなあ……まあ、ここじゃ元気じゃなねえウマ娘の方が少ないんだがな。

 

「山田くぅ~ん……お昼ご飯を食べそびれたから餓死しそうだよ~……なにかおくれよ~?」

 

 元気じゃねえタキオンが来やがった。

 

「ったくこの研究バ鹿が……ホレ、漁港で買ったチクワ齧ってろ」

 

「あむあむ……おいしいねえ、おいしいねえ」

 

 そんなに食わねえくせに燃費が悪いんだもんな、こいつ。

 

「パイセンパイセン!ライスちゃんとイチャラブフィッシングしてきたって本当ッスか~!?」

 

「そんな事実は、ない」

 

 お前まだ勤務時間中だろ、ライ。

どこから嗅ぎつけてきやがった……

 

「しっかり働いたらお前にも食わせてやるから――」

 

「――ひょおおい! 言質取ったッスよ~!!」

 

 風のように飛び出していくライ。

現金だな、ほんとに。

 

「この竹にくっ付いてるところが一番おいしいねえ……」

 

 よくわかってるじゃねえか、タキオン。

 

「いちゃ……らぶ……はうぅう~……‼」

 

 どうしたライス。

踊りの練習か?

 

 

・・☆・・

 

 

「待たせたな、特にオグリ……お前大丈夫か?」

 

「無論だ、無論過ぎる……!」

 

 だから無論過ぎるってなんだよ。

 

 ウララとキングの手伝いもあり、釣り上げた大量の魚は料理へと化けた。

それを皆で詰所の裏へ運び、倉庫から出したテーブルの上に並べる。

うーん、我ながら壮観だぜ。

 

「も、もういいだろうか……?」

 

「おう、食え食え」

 

 ぎらつく雰囲気を纏わせたオグリが、それを聞いて満面の笑みで料理を頬張る。

ほう、初手でアジフライを選ぶとは……やるな!

 

「いただきますっ! はむ……んぐ、美味しい!とても美味しい!」

 

「はっはっは、そいつは嬉しいねえ。お前らも食え食え」

 

 稽古に付き合っても貰ったウマ娘と、その他。

トレーナーの許可が取れた今、怖いモンはねえ。

 

「サバのお刺身がおいしいねえ、脂が乗っているねえ」

 

 耳をせわしなく動かしながら、タキオンがサバの刺身を頬張っている。

 

「だろ?この時期は煮ても焼いても生でも美味いからなあ」

 

 ちなみにブラックライトで照らすことで寄生虫が見つかるので、刺身にしたやつにアニサキスがいねえのは確認済みだ。

 

「もふぁふぁ、ももも、むぐぐ(山田さん、このネギトロみたいなのは何なんだ?)」

 

 オグリ……飲み込んでから喋れよ。

だが、視線で何を言いたいかはだいたいわかる。

 

「そいつはアジの『なめろう』ってやつだ。アジを叩いたやつにネギと薬味を混ぜ込んだ料理だな……覚悟して喰えよ、飯が消し飛ぶぞ。飯に乗っけてワサビとゴマ散らして、豪快にかっこめ」

 

「んぐ……それでは!」

 

 遠近感がバグった感じのあるどんぶり飯になめろうを乗せ、かきこむオグリ。

 

「ももも……むぐ、めめめ!(なんて美味しいんだ! 箸が止まらない!)」

 

 何言ってんのかわかんねえよ。

尻尾が大暴れしてるから美味いってのはわかるがな。

 

「んん~……アジは本当にショウガとよく合うわ! 新鮮でとても美味しい!」

 

「このつみれ汁、とってもおいしい~! ほくほくだ~!」

 

 ウララ達も満足しているようだな。

 

「ライアン、おめえは……」

 

「んん~! おいっし!! はもも! はもももも!」

 

 聞くまでもねえ。

ハムスターに進化しちまった。

 

「おじさま! なめろうをどうぞ!」

 

「お、すまねえなあ」

 

 ライスが作ったんだからな、有難くいただこう……ムムム!

アジの脂と薬味と味噌が混ざり合って……たまんねえ!

俺も飯が止まんねえぞ!

 

「はむ……とってもおいしいね、おじさま」

 

「おう、ライス様様だよ。流石は青いバラのお姫様だ」

 

「しょ、しょんな……えへ、えへへ~……!」

 

 照れながらも、俺の4倍くらいの飯をかき込むライス。

相変わらずコイツの体はどうなってんだ。

まあ、どっかのマックイーンと違って太りにくいんだろうな。

元気でけっこう……あ?

 

 柱の陰に見知ったウマ娘が!

 

「……おい、そこのブライアン。仲間外れにしないから来なさい」

 

「ム」

 

 隠れたうちに入らねえじゃねえかよ。

ツッコミ待ちかお前は。

 

「魚しかないけど大丈夫か?」

 

「魚は嫌いじゃない、大丈夫だ……だが、私は今回何も手伝っていないが……」

 

 ほーん、いっちょ前に遠慮しやがって。

 

「はっはっは、オグリ用に無茶苦用意したから気にすんな! お前が食って喜んでくれれば十分だぜ」

 

「……ム、ムム、ムゥ……わかった」

 

 ブライアンは耳を大回転させた後、薄く笑って箸を取った。

 

「……ヤマダは本当にウマコンだな」

 

「はーいはい、そうですよっと……ホレ、冷めねえうちにアジフライ食え、アジフライ」

 

 ブライアンはザクザクといい音を響かせながら、無心でアジフライを頬張り始めた。

おうおう、それでいいそれでいい。

 

「けーびんさんも食べなきゃ!」

 

「そうだよっ! おじさま、カワハギがとっても美味しいよ!」

 

 これ以上の増員はなさそうだし……俺も食うか!

さて、素敵な夕食の始まりだ!

 

 

・・☆・・

 

 

「うんま、カワハギうんっま!」

 

「新鮮でいいスね! 山田先輩のご飯はなんでも美味いス!」

 

「おう、遠慮しねえで食え食え」

 

 ウララ達が腹一杯食ってそれぞれの寮に帰り、さらに何時間か後。

ライとフドウギクの勤務が終了し、約束通り飯を食わせている。

ばんバ2人だから、あれだけあった魚も消費できそうだ。

 

「ズズズズ……はわぁ、このつみれ汁も最高ッス~……♪」

 

 相変わらずいい顔して食うなあ、この後輩。

普段はアレだが、こういう所で許せるのはコイツの人徳だろうか。

 

「山田先輩、稽古の具合はどうスか? ジブンもお手伝いしたいんですが、どうにも勤務時間が」

 

「タキオンのお陰でいい練習場所も確保できたから調子いいぜ。お前も時間があったら顔出して遊んでくれ」

 

「押忍! 胸を借りまス!」

 

「パイセンの胸ならずっと借りてたいッスね~……あぐあぐ」

 

 骨煎餅を豪快に噛み砕くライ。

ばんバの顎はつええなあ。

 

「スターラッシュ選手対策はどうスか?」

 

「ま、今までと同じさ。クリーンヒットを貰う前にノックダウンさせる」

 

 筋力、耐久力、スタミナ。

俺はそのどれもが、格闘ウマ娘に劣る。

これは俺が弱いとかそういう次元の話じゃなく、純粋な種族の差だ。

 

「俺に限っちゃ判定勝ちは存在しねえからな。ラウンドが長引けば長引くほど……勝てねえ」

 

「それなら、アウトレンジから安全マージンを取り続ける相手はキツいスね……まあ、それを許すほど山田先輩は甘くないスけど」

 

 それは、そう。

だだっ広い野原でそれをやられちまうとお手上げだが、リングの上ならやりようはある。

 

「普通の人間相手ならガードしてるだけで大丈夫スけど、先輩の場合は衝撃が貫通してきますから……亀になることもできないス」

 

「むしろその方が『溜め』られる分大好物だぜ。動かねえ相手なら、グリズリーだって楽に倒せらァ」

 

 残念ながら日本にはいねえからな、グリズリー。

機会があれば戦いてえもんだ。

 

「あむあむ……物騒な話なのに2人とも目がキラキラしすぎッスよ。格闘家ってのはみいんなこうなんッスかね~?」

 

 なめろうで飯をかき込むライ。

ふむ……大なり小なりそうかもしれんな。

 

「あっそうだ、パイセン聞きました? 『反ウマ』がパイセンに殺害予告して捕まったの」

 

「ああ、社長から聞いたぜ。んな面倒な事しねえでも直接来ればいいのによ、ぶん殴ってやるからな」

 

 反ウマ、結構な数の逮捕者出してんのに全然減らねえ。

あいつらにだけ感染する新種のウイルスとか発生しねえかなあ。

 

「無許可デモもよくやってるらしいスね……人間の山田先輩の前で言うのもなんでスけど、正直大嫌いス」

 

「俺も大嫌いだから気にすんな……しっかし、会見であんだけボロクソ言ったのに元気だねぇ……暇なんかな?」

 

「ももひもひ、もももも(暇なんでしょ、パイセンはそんなこと考えない方がいいッスよ~)」

 

 何言ってるかわからんが、俺の肩をポンポン叩くライ。

その目は優しかった。

 

「俺ァいい後輩たちを持って幸せだよ……ホレ、まだあるからどんどん食え……む?」

 

暗がりに誰かがいるような気が……いや、いるな。

なんか2人、こっちに歩いてくる。

 

「た、たづな様、私は別に……」

 

「ふふふ、いいですから~いいですから~」

 

 あ、たづなさんと……メイヴさん?

今日はマスクしてねえのな。

 

「山田さーん、2名参加してもいいですか~?」

 

 一瞬で在庫を脳内計算……うん、いける。

 

「ええどうぞ。あ、メイヴさんって魚は……」

 

「だ、大丈夫です、とても大丈夫です……!」

 

 どうやら好物みてえだな。

余ったら冷凍するしかねえって思ってたが、この分ならしっかりなくなりそうだぜ。

 

「あら!とっても綺麗なお刺身ですね! ふふふ、私も日本酒を持ってきてよかったです♪」

 

『大吟醸 うまぽい』というなんともコメントに困る一升瓶を取り出すたづなさん。

 

「あの、山田様……こちらもどうぞ」

 

 おや、メイヴさんまで酒を?

読めねえ言語で書いてるから、アイルランド産かね。

 

「うっひょ~! 酒! 飲まずにはいられないッス~!!」

 

「ジブンも少しいただいても……」

 

 ばんバはよく食うし、よく飲む。

格闘ウマ娘のフドウギクも嫌いじゃなさそうだ。

 

「んじゃ、チーチクを追加しますかね。漁港のチクワはマジで美味いですから」

 

 俺もちょいとばかし飲むかね。

もう夜だし、生徒もいねえし、なにより俺達は全員大人だし。

 

「ではでは、山田さんの勝利を祈って……かんぱーい♪」

 

「「「乾杯~!」」」

 

 不揃いなグラスがぶつかる中、俺はいつまで続くんかな……と、考えていた。

 

 

・・☆・・

 

 

「んがごごご、んゆう……」

 

 おおいに飲んで食ったライが、ベンチに大の字で寝ている。

人間なら急性アル中で即死しそうなくらい飲んでたからな、コイツ。

 

「楽しいお酒でした♪」

 

 ……たづなさんはなんで全然酔ってねえんだよ。

おかしいだろ、ライと一緒にガバガバ飲んでたのに。

 

「ライ先輩はジブンが運ぶス」

 

「すまんなフドウギク。仮眠室にでも放り込んどいてくれ」

 

 結構飲んでいたが頬が赤くなった程度のフドウギクに頼む。

コイツも酒強いな……

 

 そして……

 

「やまださま~……やまださま~♪」

 

 ベロッベロになってんじゃないすか、メイヴさん。

日頃の疲れが溜まってたのかねェ?

 

「おくって~……おくってくだしゃい~♪」

 

「あら、ご指名ですよ山田さん♪ 羨ましいですね~♪」

 

 SP隊はトレーナー寮の一角に詰めてるって聞いたことがある。

そんなに遠い距離じゃねえし、まあいいか。

 

 ベンチに座ってニコニコフラフラしているメイヴさんに肩を貸し、立ち上がる。

うお、なんかいい匂いがする……俺も酔ったのかねえ。

 

「山田さん、ご馳走様でした♪ 今度は私と飲みに行きましょうね?」

 

「はい、是非」

 

「ふふふ♪ 言質取りましたよ~♪」

 

 そう言うと、たづなさんは嬉しそうに微笑んで帰って行った。

ミステリアスな人だなあ……

 

「っふ!ぬ、ん!」「んぎゃごぼ~……」

 

 フドウギクはライを小脇に抱えて詰所へ。

あの体を片手でかよ……さすが、格闘ウマ娘。

 

「メイヴさん、歩けますか?」

 

「だめれす……おんぶ、おんぶしてくだしゃあい~♪」

 

 ……やっぱりこの人、俺よりだいぶ年下だな。

いつもはキリっとしてるけど、こういう顔してっと美少女だな、美少女。

 

「では、行きましょっか」「きゃ~♪」

 

 今は夜だし、人目もないからいいだろう。

メイヴさんを背負って、目的地に向かって歩き出した。

軽いな……前に酔いつぶれたライを負ぶった時とは大違いだ。

あと、アイツ油断すると耳噛もうとしてきやがるし。

 

「やまださま、あったかいです~……♪」

 

 やめてくれねえかな、頭擦り付けるの。

大美人なんだから勘違いしちまうだろ。

 

 

「メイヴ! ああ、なんというご迷惑を……!」

 

 トレーナー寮の近くまで行くと、隊長さんが飛び出してきた。

後ろには隊員さんたちも何人か。

 

「いいえ、むしろ役得ですよ。メイヴさんは何も悪くないから、気にしないでください」

 

「山田様……そのように言っていただけると、ありがたいです。この子が酔いつぶれるなんて……よほど山田様の料理がおいしかったのですね」

 

 はは、そう言ってもらえるとありがてえな。

今回は素材がよかったからなァ、無理もない。

 

「それじゃ、俺はここで」

 

 うにゃにゃ言ってるメイヴさんを、何人かの隊員さんが運んで言った。

酔ったことを気に病まねえといいんだがなあ。

 

「山田様、それではお休みなさいませ。此度は本当にありがとうございました」

 

「はい、おやすみなさ――」

 

 隊長さんから、殺気。

 

「……おや、何もされないのですか?」

 

「隊長さんが俺をどうこうしねえのは、これまでの付き合いでよくわかってますから……それじゃ」

 

 少し微笑んでいる隊長さんに手を振り、帰る。

こういう悪戯するなんて、意外と子供っぽい人なんだなあ……ま、別に嫌じゃないがね。

 

 

・・☆・・

 

 

「ふふ、なるほど大したウマコンだな。慕われるわけだ」

 

「隊長、どうされましたか?」

 

「いいや、何も」

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