トレセン学園警備員さんは、ウマ娘に勝ちたい。   作:秋津モトノブ

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不定期なのでウマ娘とイチャイチャする話を投稿します。


60話 近付く試合、まあ特に変わりはない日々。

「あ、ヤマダさんだ。おはよう~♪」

 

「おう、おはようさん」

 

 今日は土曜日。

校門で朝の立ち番をしていると、見知った顔に声をかけられた。

ファインモーション殿下だ。

後ろにはいつもの隊長さんが付き従っている。

 

「今日は気持ちのいい朝だね~、ちょっと寒いケド♪」

 

「もう12月だからなあ、北海道に比べりゃマシだが……それでもな」

 

 口ではそう言っているが、ファインモーションはニコニコしている。

朝から機嫌がよくって結構だな、国賓って以外にも1人のウマ娘だ……楽しいに越したことはない。

 

「ねえねえ、メイヴとノミカイしたんだって? いいな~、大人の付き合いってやつだね♪」

 

 ……他に生徒はおらず、校門にいるのはたづなさんだけ。

関係者? しかいねえな、よかった。

 

「おう、王女殿下も大人になったらやるといい。そん時近所にいたらにはツマミを差し入れてやるよ、ハハハ」

 

「あ~言ったな~? ゲンチとった! ってやつだよ~?」

 

 こうして見てると、年頃の女子高生にしか見えんな。

後ろの隊長さんも微笑んでいるし、いいこと、いいこと。

 

「ツマミじゃなくても、ヤマダさんのご飯は美味しいって評判だから今度食べさせてね~♪」

 

「お? 誰から聞いた?」

 

「ウララちゃんに、ライスさん、それにブライアンさんとタイキさんかな~♪」

 

 どんだけ広まってんだよ……

 

「……そちらのトレーナーさんの許可が取れたら、いつでもいいぜ。俺が1人で食うなら別だが、お前らに食わすんなら変なモンは一切使わねえからな」

 

「嬉しいな~♪ 隊長、よろしくね~♪」

 

「はっ、すぐに連絡いたします」

 

 ふふ、やっぱり年相応の女の子だな。

かわいらしいこった。

 

「じゃあね~♪」

 

「おう、いってらっしゃい」

 

 軽やかな足取りで、ファインモーションは校内に消えていく。

……やっぱり隊長さんの脚運びは、隊員さんよりも練度が上だな。

重心がぴしっと保たれてて……やっぱり王族の護衛筆頭だけあるぜ。

 

「まあ、山田さん。そんなにトモを見るのはセクハラになりかねませんよ~♪」

 

「……おおっと、危ない所でした。脚運びが気になりまして、つい」

 

 セクハラはいかんな、セクハラは。

社会的に殺されちまう。

 

「ふふ、冗談です♪ 山田さんの視線にはいやらしさがありませんからね、無罪でーす♪」

 

「はは、そいつはどうも……」

 

「(ライデンオーさんなんかは凄くわかりやすいですけどね……山田さん限定ですけど)」

 

 ん? 何か言ったかな?

 

「ヤマダサーン! ヤマダサーン! グッモーニン、モーニンデェース!!」

 

 来たなタイキシャトル!

朝から元気で大変結構ォ!

 

「っしゃあ! おはよう! 来ォおい!!」

 

 ニコニコするたづなさんの横で、しっかりと衝撃吸収の構えをとった。

 

「ドーン! デ~ス!!」

 

「――ぬんっ!!」

 

 飛びこんできたタイキを受け止め、左足に重心を移す!

そのまま、受け流すように――鋭く回転!

三周くらいして勢いを完全に、殺す!

 

「ワーオ! 今日はいつもよりアグレッシブデース! メリーゴーランドみたいデース!」

 

「ふはは、俺も日々エボリューションしてるってこったよ、タイキ」

 

 頭を撫でると、タイキは猫みたいに目を細めて頬をぐいぐい胸に押し付けてくる。

でっけえ妹ができちまったなあ、特に後悔はしとらんが。

 

「じゃ、頑張ってきな。ああ、そうだ……今日は土曜だからよ、もし暇なら飯でも食いに来るか?」

 

「イキマース! ゼッタイイキマース!」

 

 最後にもう一度頬を押し付け、タイキは元気よく駆けていった。

 

「うんうん、元気で結構! ねえたづなさん?」

 

「ふふ、そうですね♪ タイキちゃんったらすっかりお兄さんに夢中ですね~♪」

 

 お兄さん、か。

 

「……妹が増えちまったなァ」

 

 そう言うと、たづなさんははっとしたように表情を硬くした。

……この反応、俺の家族について知ってるクチか。

つい最近知ったのかね?

 

「気にしないでくださいよ、理事長経由ですか?」

 

「……ええ、会長が気にしておられたと聞いて……その際に履歴書を、その……見せていただきました」

 

 ふむん、この人は秘書だしな。

情報漏洩じゃねえな、調べりゃすぐにわかることだし。

それにしてもルドルフの奴、まーだ気にしてやがったのか。

けしからんやつだ、後でイチゴ大福持って殴り込んでやる。

 

「この学園はそこら中に妹がいて、天職ですよ。本当に」

 

 字面だけ見たらド級の変態だな、これ。

でもまあ、それが偽らざる感想だしな。

 

「そう、ですか……じゃ、じゃあ! 私も妹系を目指してみましょうか、な~んて……」

 

 たづなさん、顔が真っ赤なんだが。

無理せんでもいいのに……この重い空気をなんとかしようとしたんだろうが……

 

「……たづなさんは『素敵で美人な飲み友達』の方がしっくりきますねえ。前世でよほど善行したんだろうな、俺ァ」

 

「あら、もうっ! 山田さんはお上手ですね♪」

 

「あだだ」

 

 たづなさんが叩いた肩が痛い! 衝撃が貫通してきた!

本当に人間かよ、この人!?

 

 あ~……でも桐生院トレーナ―もそうだしな……

そもそも俺みてえな人間もいるし、生命って奴は神秘に満ちてるよな……

 

 

・・☆・・

 

 

 勤務が終わった俺は、いつものように詰所の裏で火を起こしている。

時刻は18時……まあ、ちょいと早目の晩飯だな!

 

「うし、焼くか」

 

 最近魚が続いたんで、久しぶりに肉が食いたい。

それも霜降り! 柔らか! って感じじゃなくて……肉! って肉を食いたい。

赤身の分厚いステーキを噛み締めて噛み締めて食う、って感じだ。

 

「ふふふ、我ながら完璧だ」

 

 クソデカクーラーボックスから肉を取り出す。

これは外国産の牛肉……それも激安でかったい赤身肉だ。

正直懐は大やけどするぐれえあったかいから、別に節約のために買ったわけではない。

先程の理由で、だ。

 

 だが、それでもそのまま食うと流石に超硬い。

なので……小細工をした!

 

 筋切りをして、ぶったたいて、そして極めつけには……炭酸水にタマネギ、パイナップル、キウイをぶち込んだものに一晩漬けこんだものだ。

酵素と炭酸水の力で肉を柔らかくする手法だ。

金がない学生時代に世話になった食い方だな。

これをするとしないとでは全然柔らかさが違うんだよ、マジで。

 

「どっこいせっと」

 

 鉄板に肉を落とすと、ジュワッといい音がする。

く~、これこれ。

バターの香りも相まってたまんねえぞ。

 

「――焼き加減はどうする、ブライアン?」

 

「ミディアムレアがいい」

 

 当然のように隣に座って……むしろ半分抱き着いてねえか? という状態のブライアンに聞く。

こいつ、目が肉しか見てねえ。

 

「トレーナーの許可」

 

「取っている、姉貴に確認してくれてもいい」

 

 左様ですか……コイツ一切俺見ねえな。

 

「あいよ、だが俺特製サラダも一緒に」

 

「食う」

 

 マジでこっち向かねえな……耳がギュンギュン回ってやがる。

 

「了解、誰も取らんからそっちのテーブルに座ってろ。ナイフとフォークも持ってな」

 

「ン」

 

 ススス……と横のテーブルに着くブライアン。

無茶苦茶素直だな……好きな肉の中でもステーキは別格か。

 

「このままか和風か、どっちがいい?」

 

「そのまま、ニンニクも大丈夫だ」

 

「あいよっと」

 

 そんなことを言っている間に、肉は焼けていく。

……こんなもんかな、っと。

 

 同時並行で温めていた鉄皿に肉を乗せ、余ったスペースに薄切りにしたタマネギとコーンをパラパラ。

これで丁度いい焼き加減になるだろう。

最後にレモンバターを乗せて……完成!

 

「ほい、お待ち」

 

 ブライアンの前に皿を置く。

尻尾の自己主張が凄い。

 

「今更だが外国産の赤身肉だ、そんなに美味くないかもしれんが――」

 

「美味い」

 

 早速切り分けて口に運んだブライアンが一言。

肉だからか評価が高いなあ……サラダを置くと耳がへにょっとなったが。

駄目です、食べなさい。おいしいから。

 

「ン……しかしヤマダ、随分用意がいいんだな。こんな鉄皿まで用意して……」

 

「なんかお前が来る気がしたからな。俺だけだとこのまま鉄板で直食いだよ」

 

 そう言うと、ブライアンは一瞬動きを止めて……耳をグルグル回した。

どういう感情だよそれ。

 

「もふぁ、もももも(ふ、フン、このウマコンめ)」

 

 何言ってるかわからんが、まあ喜んでるみたいだからいいか。

ふふ、かわいい奴め……あ。

 

「間違えた……お前『ら』だわ」

 

 詰所の影からこちらをギラギラと見つめるご新規さん。

心に北海道を住まわせる、元気印のウマ娘。

何故だか『日本総大将』という文字が一瞬頭に浮かぶそいつは――

 

「おーい、そこの餓狼みたいな目をしたスペちゃん。いっぱいあるから席に着きなさい……トレーナーに許可取ったらな」

 

「はいっ! 5分前に取りましたァ!」

 

 速い! もう肉薄している!?

目が完全に獣だ! なんたる末脚!

 

「うーしいい子だ。焼き加減は?」

 

「レアでっ!」

 

「ソースは?」

 

「ブライアンさんと同じでっ!」

 

「あいよ~」

 

 スペに焼きつつ、端っこで同時並行して食うか。

コイツは肉も野菜もモリモリ食うから、注意せんでもいいだろう。

 

「なまら嬉しいべさ! おにいちゃん!」

 

「お前油断すっと心が北海道になった上に俺を兄貴にするよな……ま、いいがよ。待ってる間にそこのニンジンスティック食っとけ、USC提携の農園でとれた甘い――」

 

「もももも」

 

 許可を出した瞬間に食い始めた。

やるな、コイツ……!

 

 俺の食う分が減るなんてそんなみみっちいことは言わん。

何故なら……本当に一人で食いたいなら家に帰って焼けばいいからだ!

ここで焼いている以上、ウマ娘の介入は予定調和! 何の問題もねえ!

ただし……

 

「2人とも、オグリは遠征中だから絶対にバラすなよ。アイツのコンディションが下がって負けたらかわいそうだからな……これだけは約束しろ」

 

「ン、ン」

 

「ももも……はぁい!」

 

 よし、いいお返事だ。

アイツが帰ってきたらステーキサンドを食わせてやろう。

きっと喜ぶぞ。

 

「よっしゃスペ、お望みのレアだ」

 

「わーい! おいしそ~!」

 

 よし、これで俺も食え……ないな。

まだいるもんな、植え込みの陰に。

 

「ライス~? カワイイ耳が丸見えだぞ~?」

 

「えうっ!?!?」

 

 あと尻尾もな。

 

「普通に来いよお前……ホラホラ、焼き加減は~?」

 

「――ライス、ウェルダンがいいな!」

 

 ザザザ、と寄って来たライスの葉っぱを取ってやる。

あーあー、頭にまで付いちまって。

 

「ソースは?」

 

「お、おろしポン酢……いいかな?」

 

 ふん、完備してるに決まってんだろ。

 

「あいよ~……ホラ、そこ座りな」

 

「うんっ!」

 

 肉を鉄板に置き、大根をおろす。

これにネギをいれるとより一層美味くなるんだよな……

 

「おじさま、いつでも美味しいもの作ってくれるよね……」

 

「わからんぞ~? 今回の肉も実は不味いかもしれ――」

 

「――おいひいです! おにいちゃん!」

 

「誰がアニキか。ああもうスペお前……顔で食ったのかよ……ったく、花のJKがよ……」

 

 肉をフォークに刺したまま迫って来たスペの顔を拭いてやる。

 

「むいむいむい……えへへ」

 

 座って食えよ、もう……

 

「(お、おおお、おに、おにいちゃ……!)」

 

 ライスが腹減り過ぎて振動してる!?

これはヤバい……!

 

「ホレ山田式特製適当ポテトサラダだ! 先に食っとけ食っとけ!」

 

「もふぁ……ほこほこでおいし……♪」

 

 ふう、なんとかなったか……!

ここの平穏は保たれたな、よし。

 

 それじゃあようやく俺の分も並行して焼けそう……

 

「一郎にいさま! とってもいい匂いがしますっ!」

 

 アメコミ映画のヒーローみてえなポーズで、半ば地面を削りながら横スライドで現れたサクラバクシンオー。

火花が散ってるけどアスファルト大丈夫か?

 

「誰がアニキかってんだよバクシンオー! そこ座れ! 焼き加減とソース!」

 

「ミディアムレア! ニンニクマシマシでお願いしますっ!」

 

 ぴゃっと席につくバクシンオーに、思わず苦笑する俺だった。

まったくどいつもこいつも……食わせがいがあるなあァ!

やっぱりウマ娘は最高だぜ!!

 

「(に、ににににいさま……! にいさま……!!)」

 

 またライスが振動してる!?

ええいもうちょっと待ってくれ!

 

「ヤマダサーン!!」

 

「焼き加減! ソース!」

 

「レア! 前のBBQソースが食べたいデース!」

 

「あいよ~!!」

 

 引退したらステーキハウスを経営すんのも悪くねえかもなぁ!!

 

 

・・☆・・

 

 

「むっさいい匂いするッス! ウチの分はあるんすか~!?」

 

「……スマン、ライ」

 

 皆が腹一杯になって帰ってしばらく。

何故か明日の朝勤務のはずのライがもう来た。

どっから嗅ぎつけたんだか……

 

「腹一杯食わせてやりてえが、牛はもうステーキ1枚分しか残ってねえんだ」

 

「おーん? なーに言ってんスか! パイセンのステーキが食えるなら量なんて気にしないッスよ~!」

 

 こいつ……

 

「お前は本当にいい後輩だよ……」

 

 早速焼いてやろう。

 

「……パイセンパイセン、なんかまだクーラーに肉入ってないスか?」

 

「おう、緊急用の豚ロースの塊だ。牛が無くてスマンな……」

 

 ライがいきなり上着を脱ぎ始めた。

何やってんだコイツ、まだ寒いのに。

 

「パイセンはどこまでウチを喜ばすんスか! あ~もうウチを食べてもらうしかないッス~!!」

 

「……先にサラダ食っとけ、サラダ。焼き加減は?」

 

「ミディアムレアッス! も~う、恥ずかしがっちゃって♪」

 

 ……カリッカリに焼いてやろうか。

 

 

「げぷ~、パイセンの焼く肉は最高ッスね~……」

 

「喜んでもらえてなによりだよ」

 

 結局ライは牛1枚と、豚ロースステーキを4枚食った。

かなりでっかく切ってたから……たぶん3キロくらいだな。

加えて五穀米を5合くらいと、サラダをボウル1杯。

……バケモンかな?

 

「パイセンパイセン、お金払わなくっていいんスか?」

 

 タンクトップでベンチに寝転がるライが聞いてくる。

意外とこういう所はしっかりしてんだよな、格好は夏みたいだけど。

ばんバは寒さに強いからなあ……

 

「気にすんな、どうせファイトマネーだよ。お前もセコンドしてくれてっから、まあ給料みてえなもんだ」

 

「んふっふ~、これだからパイセンは最高なんスよ」

 

 けらけら笑うライ。

こいつ、こういう顔すっと学生に見えるなァ。

ウマ娘は老けるのが遅いから羨ましい限りだ。

 

「もう半月くらいっすね、次の試合まで」

 

「だな、待たされたがいよいよって感じだ」

 

 前に爆破予告やら襲撃予告やらで延期になったからな。

 

「ウチ、計画書見ましたけどアレ無理っしょ。軍隊の襲撃でもなんとかなりそうな布陣ッス」

 

「おお、俺も見たぞ。すげえよな……」

 

 警備計画の全体的な練り直しと、人員の再選定。

その結果……今度のU-1の警備体制なんだが、とんでもねえことになった。

 

 まず、一般の警備員が倍の人数になった。

これはUSCと提携している関連警備会社からの派遣だ。

ウマ娘じゃないが、男女ともに何らかの武道経験者が100%を占めている。

 

 加えて我がUSCからはウマ娘『特別』警備員が100人。

これは全て、ばんえいウマ娘かつレース成績上級者で構成された……文句なしにウチのトップ層だ。

何度か合同訓練で一緒になった経験があるが、全員ライと同じかそれ以上のガタイだった。

控えめに言って、歩く兵器。

 

 そして、警視庁ウマ娘機動隊……通称『騎バ隊』4個小隊240名。

しかも、やんごとない方やサミットに派遣される『第一』だ。

当然ながら、サラブレッドもしくはばんえいのレース経験者、国体出場者や優勝者、そしてオリンピック出場者や入賞者という華々しい経歴の持ち主たち。

何人かは顔を知っている、格闘ウマ娘武道のトップ層。

 

 小さい国なら攻め落とせそうな布陣だぜ、まったく。

俺だって一斉にかかってこられたら秒で無力化される自信がある。

 

「あとパイセン……『特化人員』って項目あったじゃないすか?」

 

「おー、あったあった。アレなんだろな? 医療人員か?」

 

 そう聞くと、ライは首を振って……手招き。

耳を近づけると舐められたのでデコピンをかます。

 

「お前なあ……」

 

「あ、あぐぐぐぐ……せ、世界がまわ、回るぅう……」

 

 超ド級のセクハラじゃねえかよ、訴えたら勝てるぞ。

 

「お、お茶目な悪戯じゃないスかァ……」

 

「ソレが悪戯なら警察はいらねえんだよ……で、なんだ?」

 

 涙目のライが声を潜めた。

 

「医療人員は別にいるっしょ。姐さん連中から聞いたんスけど……その『特化人員』ってあの『天マ隊』らしいッスよ?」

 

「――はぁ? そいつは与太話すぎんだろ……自衛隊の特殊部隊じゃねえかよ。さすがに一格闘イベントにそんな……」

 

 『天マ隊』

自衛隊内部で選抜の上に選抜を重ねた人員で構成された、文句なしの特殊部隊だ。

アメリカの『ビッグ・レッド』イギリスの『セント・ダイアモンド』に並ぶような、超絶トップエリート。

 

 その名前は、あの『大佐』の愛バだった不世出の名バ『ウラヌス』が由来になってる。

太平洋戦争時、彼女が率いる部隊が空襲を受けた街を駆け回って人命救助をしていたことが始まりだとされている。

『今も戦っているあの人の為に、銃後の日本を守ります』と言った彼女は、火傷を負いながらも数多くの人命を救ったとか。

その理念を継承したのが『天マ隊』

存在は確認されているが、選定方法も人員数も何もかもが不明の都市伝説めいた存在だ。

 

「いやいやいや、パイセンが参加する前から超絶大人気イベントだったじゃないスか。その上今年の大混乱ッスよ……? そりゃ来るでしょ。パイセンは自分が戦えりゃオッケーなんでしょうけど、もうちょい注目度も気にしてくださいッス」

 

「おーん……?」

 

 そんなもんかねえ……?

U-1に参加する前は、こんな状況になるなんて夢にも思わんかったなあ……

 

「とりあえず片付ける……前に、余ったジャガイモでも食うかな。炭残ってるし」

 

「じゃがバターって無限に食えるッスよね」

 

 まだ食うのか……コイツ……




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