流星街に舞い降りた人造人間   作:女主人公スキー

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12.四次試験

「四次試験はゼビル島にて行われる。試験の内容は『狩る者と狩られる者』」

 

 

 そう言って試験官はクジ箱を持ってくる。

 

 

「これから406番を除いた全員にクジを引いてもらう。クジの番号がキミが狩るべき相手だ」

 

「おい待て、何で私は除外されてるんだ」

 

 

 18号は試験官に詰め寄る。

 

 

「受験者の数が奇数だからね。それにキミは規格外の力を持っている。

多少のハンデは必要だろう。引き続きルールを説明しても?」

 

「……続けろ」

 

「諸君らにはナンバープレートを奪い合ってもらう。

ターゲットのプレートは3点。自身のプレートも3点。それ以外は原則1点。

終了時に6点分保持していれば四次試験は合格となる」

 

 

 試験官はそこで言葉を切る。そして再び口を開く。

 

 

「そしてここで特別ルールだ。406番のナンバープレートのみ6点分の価値を有する。

もし終了まで自分のプレートを保持しつつ、彼女のプレートの奪取に成功したならば

その受験者は最終試験を経ずに合格とさせてもらう」

 

「「「「「!!」」」」」

 

「おい、わたしのメリットがなさすぎるだろ」

 

 

 18号が試験官を睨みつける。

 

 

「そうかな。キミはただ自分のプレートを守り続けるだけでいいのだ。実に簡単じゃないか」

 

「……チッ」

 

 

 

 

「滞在期間は一週間。それまでに6点分プレートを集めてまたこの場所に戻ってきてください」

 

 

 船がゼビル島に着き、受験者は三次試験の合格順に島へ入っていく。

18号は一番目だった。

 

 

「一週間か……長いな」

 

 

 とりあえず受験生は襲ってきたら考えるとして、水と食料を確保しようと水辺へ移動する。

 

 

「寝床は……木の上とかでいいか」

 

 

 18号は寝られそうな大きな木にアタリをつけた。

 

 

 

 

 一日目の夜のこと。

今日は初日ということもあって日中襲撃者はなかった。

簡素な食事を済ませ、寝床につこうとした時、胸につけたプレートに何かが飛んでくる。

 

 釣り竿の針だ。

18号はすんでのところで躱し、襲撃者に視線を向ける。

 

 

「うーん、あとちょっとだったのに」

 

「お前か、ゴン」

 

「ごめん、でも一度は挑んでみたくってさ」

 

「まだやるか?」

 

「いや、もういい。気付かれた時点でオレじゃ勝てないもんね」

 

「……ならいい。ちなみにお前のターゲットは?」

 

「ヒソカだよ」

 

 

 と言って、ゴンはクジに書かれた番号「44番」を見せてきた。

 

 

「クジ運のないやつ」

 

「あはは……でも、何とか奪ってみせるよ」

 

「今の釣り竿でプレートを狙うのは悪くない作戦だよ。でもタイミングが悪かったな」

 

「タイミング……」

 

「気配はほぼ消えてたが、まさか『絶』を使えるようになったのか?」

 

「ゼツ? 念の技のこと?」

 

「ああ、そうだが……自然に出来ていたのか。すごいな」

 

「森で動物たちとかくれんぼとかしてたからね。気配を消すのは得意なんだ」

 

「それだけ気配が消せるなら、付け入る隙はあるかもな。

ヒソカはわたしと301番以外脅威はいないと思ってる。油断しているはずだ」

 

「油断……そうは見えないけど」

 

「奴が最も油断しているタイミングを狙うんだな。で、奪えたらすぐ逃げることだ」

 

「逃げる……かぁ。できるかな」

 

「……不安なら練習してみるか?」

 

「えっ、いいの?」

 

 

 18号の提案にゴンの目がキラキラと輝く。

 

 

「今日はもう遅いから、明日な」

 

「うん。じゃあ今日は一緒に寝るね」

 

「……ん? 一緒に……?」

 

「オレはあの木で寝るよ。18号さんはどこで寝るの?」

 

「あ、ああ……そういう意味か。私は目の前のこの木だよ」

 

「分かった。おやすみ、また明日」

 

「ああ、おやすみ」

 

 

 

 

 2日目は昼前まで、ゴンとプレート奪取後を想定した、ヒソカの追跡を撒く練習に明け暮れた。

正午ごろ、ある程度自信をつけたゴンは帰っていった。

 

 それと入れ替わりに今度はキルアが襲ってきた。

獣を狩り解体している時に、背後から18号の背中に貫手を突き刺す。

しかし、筋肉か気の防御かで、僅かに傷をつけるだけで終わる。

 

 

「おいおい、殺す気か? キルア」

 

「殺す気じゃなきゃあんたからプレートは奪えないでしょ」

 

「……で、まだやる気?」

 

「いや、とりあえず挑んでみただけだから。もういいよ」

 

 

 あんたなら失敗しても殺されはしないしね、とキルアはぼそっと呟く。

 

 

「ゴンと同じこと言うんだな……」

 

「あいつも来たんだ。考えることは同じだな……ところで、199番ってどんな奴か知ってる?」

 

「いや、知らない」

 

「だよなー……。ま、適当に3点確保すりゃいいか」

 

「わたしのほうでも探しておいてやるよ」

 

「いいの? じゃ、また来るよ。ずっとこのへんにいるの?」

 

「ああ、移動するの面倒だしな」

 

「余裕綽々でむかつくなー。まぁいいや、それじゃーな」

 

 

 そう言ってキルアは森の奥へ消えていった。

夜になるとまたやってきて「あの後見つけてゲットしたからもういいや」と言って

それ以降会うことはなかった。

 

 

 

 3日目の昼、ヒソカが18号のもとに訪ねて来た。

 

 

「やられたよ♠あの子……ゴンにプレート奪われちゃった♥」

 

「そうか……練習の成果が出たかな」

 

「ってことはあれはキミのせいか♣距離があったとは言え、完全に撒かれるとはね♦」

 

「その割には焦ってないな?」

 

「ゴンを追ってたらもう一人ゴンを追ってる奴がいてね♠そいつがターゲットだったんだ♥

イルミとクラピカに貰ったのと、ゴンに取られる前に殺した奴のがあるから、もう6点集まってるよ♦」

 

「なるほど……暇つぶしに私にちょっかいかけに来たわけか」

 

 

 18号が憮然とした顔でヒソカを見る。

 

 

「そう怒らないでよ♥今更キミを襲おうなんて思ってないよ♦勝てると思えるまではね♠」

 

「そんな日は永遠に来ない。で、用件は何だ?」

 

「キミの技、まだボクの知らないものがあれば教えてほしい♥」

 

「技? まぁ……いいよ。知ったところで勝てるわけないし」

 

 

 そう言って、18号は両手を広げ、ひたいに掲げる。

 

 

「『太陽拳』」

 

 

 瞬間、太陽を双眼鏡で直視したような強烈な光がヒソカを襲う。

 

 

「これは……目くらましの技かい?♦」

 

「そうだよ。使いどころがあるか分からないけどね」

 

「でも、それだけのモーションで放てるのは脅威だね♣他には?♥」

 

「お前に見せてないので言うと……『気円斬』か」

 

 

 掌を頭の上に掲げると、気が高速回転し、円盤のような形になった。

 

 

「たぶん、何でも斬れる。わたしの技では一番殺意の高い技だな」

 

「ボクに使ってみてよ♠左腕を全力の『硬』でガードしてみるから♦」

 

「イカレてるなお前……斬れたら治療費は払えよ」

 

「オッケー♠300万ジェニー上乗せかな♣」

 

「いや、100万ジェニーでいいが」

 

「(安すぎ♥)じゃ、頼むよ♦」

 

 

 その言葉を合図に、18号は『硬』でガードされたヒソカの左腕に気円斬を放つ。

スピードがまったく減じることもなく、温めたバターをナイフで切るような切れ味で左腕が落ちる。

 

 

「切れ味が良すぎて痛みすらなかったよ♠『硬』でもガード不可能なんてヤバいね♥」

 

 

 18号は左腕を拾い、断面と断面をくっつけ、治癒能力を行使する。

 

 

「よし、治ったな。じゃあもう帰れ、わたしも暇じゃないんだ」

 

「かなり暇そうに見えたケド♠それに、まだ隠してる技あるでしょ?♦」

 

「もうないから」

 

「ボク、嘘を見抜くのは得意なんだよね♣とっておきをまだ隠してる、だろ?♥」

 

「……」

 

 

 18号は黙ってヒソカを睨みつける。

 

 

「見せてくれるまでここを動かない♦それとも、ボクを殺してみるかい?♠」

 

 

 ヒソカは座り込み、梃子でも動かない構えだ。

はぁ、と18号は大きなため息をつく。

 

 

「後悔するなよ」

 

 

 『   』――。

18号がその技を使った時間は30秒にも満たなかった。

だが、その圧倒的な死を想起させる圧力と気の爆発的上昇に、ゼビル島全体が震えあがる。

動物は1cmでも遠くへ逃げていき、鳥は一斉に飛び立ち、一時的にいなくなる。

受験者のうち、18号の力を知らない者は腰を抜かして思わず身を隠したほどだ。

 

 ヒソカはそれを目の前で見て、全身に脂汗をかいた。

自分が生涯かけて研鑽しようとも、決して届かない――神の領域。それが目の前にあった。

まだいずれは勝てるつもりでいたさっきまでの自分を殴りたくなる。

 

 

「……キミとは仲良くしておいたほうが良さそうだ♥」

 

 

 ヒソカはそんな言葉を絞りだすのが精一杯だった。

 

 

 

 4日目の朝。18号は水浴びをしていた。

いつプレートが奪われるか分からない状況ではあるが、18号にとっては不快の解消が優先される。

それに、仮に奪われても必ず奪い返せる自信がある。

 

 

「……ぉあっ!?」

 

 

 素っ頓狂な声がしたと思って振り向くと、そこには見知った顔があった。

 

 

「レオリオか。それにクラピカも」

 

「す、すまない。まさか水浴び中とは……。出直してくる」

 

 

 18号は持参したタオルで身体を丁寧に拭き上げながら、事もなげに言う。

 

 

「別にわざとじゃないならわたしは気にしないよ。わざとじゃないならね」

 

「は、早く着替えてくんねーか? 目に毒だぜ」

 

 

 レオリオは目を逸らしながら言った。

 

 

「お前、別に初めて見るわけじゃないだろ。風呂上りの時とかジロジロ見てたよな」

 

「うるせー! てか、あんときはバスタオル巻いてただろーが」

 

「そうだったか? まぁいいや、ちょっと待て」

 

 

 18号はいそいそと替えの服へ着替える。

 

 

「……待たせたな。で、何か用か?」

 

「おう……。あのさ、246番……ポンズって女の子見てないか?」

 

「見てないな。お前のターゲットか」

 

「ああ。ずっと探してるんだが、見つからねー」

 

「ふーん……手伝ってやろうか?」

 

「……い、いや……遠慮しておくぜ。まだ3日残ってるしな」

 

 

 レオリオは何とか18号の提案を跳ねのける。

 

 

「まぁ、人探しは向いてないから役に立てないか。わたしより、ゴンのほうがいいかもな」

 

「確かにな。あいつは鼻が効くし――」

 

「鼻……匂い……そうだ、薬品の匂いだ!!」

 

 

  クラピカが突然大声をあげる。

 

 

「ど、どした? クラピカ」

 

「ポンズは薬品を使うとトンパが言ってただろう。その匂いをゴンに追ってもらえば……」

 

「そうか、その手があったか!!」

 

 

 握りこぶしで掌を打つと、レオリオは「ゴンを探しに行くぞ!」と言いながら走り出した。

 

「待てレオリオ、18号に瞬間移動で呼んできてもらえば……」

 

 

 その声が届くことはなく、「何やってんだクラピカ、置いてくぞ!」と遠くから声が聞こえた。

 

 

「……まぁ、ゴンならすぐ見つかるだろ。なんなら向こうから寄って来そうだし」

 

「そうだな……。まったくあの男は……」

 

「レオリオをよろしく頼むよ、クラピカ」

 

「ああ、心得ているとも。3日後にまた会おう、18号」

 

 

 

 

 そうして一週間が過ぎていった。

7日の間、襲撃者は何人かあったが、結局何も問題はなかった。

唯一翻弄されたのは自称忍者のハンゾーだが、結局何もできず逃げていった。

 

 第四次試験合格者は以下の10名である。

 

 

44番 ヒソカ

53番 ポックル

99番 キルア

191番 ボドロ

294番 ハンゾー

301番 ギタラクル

403番 レオリオ

404番 クラピカ

405番 ゴン

406番 18号

 

 

 受験者達は再びハンター協会の飛行船に乗り、最終試験に臨む。

 

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