流星街に舞い降りた人造人間   作:女主人公スキー

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13.最終試験 -前編-

「えー、これよりハンター協会会長が面談を行います。番号を呼ばれた方は――」

 

 

 

 

「よくぞ来てくれた。まぁ座りなされ」

 

「ワシの名はアイザック=ネテロ。ハンター協会の会長をやらせてもらっておる」

 

「お主にはこれより簡単な質問に答えてもらう」

 

「その回答如何で最終試験の様相が変わる。正直に答えることじゃな」

 

「①受験者の中で注目している人物は?」

 

「②受験者の中で今一番戦いたくない人物は?」

 

「……うむ、なるほど。では戻ってよいぞ」

 

 

・44番 ヒソカ

 

 

①「406番♥」

 

②「今、という条件なら405番かな♠」

 

 

・53番 ポックル

 

①「404番だな。見る限り一番バランスがいい」

 

②「44番だ。戦闘ではかなわないだろう」

 

 

・99番 キルア

 

①「406番以外を挙げる奴は節穴だと思うぜ」

 

②「53番とか? 戦っても面白くなさそう」

 

 

・191番 ボドロ

 

①「44番だな。嫌でも目につく」

 

②「99番、405番、406番だ。複数挙げて申し訳ないが、女子供と戦うつもりはない」

 

 

・294番 ハンゾー

 

①「406番だな……ありゃやばい」

 

②「44番だな。406番じゃないのかって? あいつはやばいけど殺されはしないからな」

 

 

・301番 ギタラクル

 

①「99番」

 

②「44番」

 

 

・403番 レオリオ

 

①「405番だな。恩もあるし合格してほしいと思ってるぜ。

406番は試験前からダチだから注目っつー感じじゃねーし」

 

②「同じ理由で405番だな」

 

 

・404番 クラピカ

 

①「悪い意味で44番、良い意味で405番」

 

②「理由があれば戦うが、なければ戦いたくない」

 

 

・405番 ゴン

 

①「406番かな。すごい人だと思う」

 

②「99番。同い年の友達だから」

 

 

・406番 18号

 

①「注目というか、403番には合格してほしいと思ってる」

 

②「いない。誰にも負けるつもりはないよ。あんたにも」

 

 

 

 

「最終試験は1対1のトーナメント戦じゃ。そのトーナメント表がこれじゃ」

 

 

 そう言ってネテロは受験者にトーナメント表を見せる。

しかし、そこにあるべき番号がない。

 

 

「おい……何でわたしの番号がないんだ」

 

「うむ、尤もな疑問じゃな。というのも、試験官達とも議論したのじゃ。

お主をこのままハンターにしてよいものか、とな……」

 

「おいおい、18号に何の問題があるってんだよ?」

 

 

 レオリオが食ってかかるが、ネテロはそれを手で押さえる。

 

 

「既に知っている者も多いようだが、ハンターになればある技術をいずれ習得することになる。

しかし、406番。お主はそれを習得することができない、そうじゃな?」

 

「ああ……」

 

「ハンターとして仕事をする時、その技術を有していることを求められることもままある。

習得できない者、というのは協会としても扱いに困る存在であることは間違いない」

 

 

 ネテロはここまで言って息を切る。

 

 

「念というのは我々が思っている以上に、ハンターの前提技術なのだな……」

 

「でもよ、だからって18号がハンターになれないのはおかしいぜ」

 

「オレもそう思う。18号さんは強いし、いい人だよ」

 

「ハンターに相応しくない奴なら他にいるだろ、誰とは言わねーけどさ」

 

「うーん♠誰のことだろう♥」

 

 

 各々が会長の説明に不満を述べていく。

 

 

「話は最後まで聞くもんじゃ。406番のハンターとしての問題点はさっき説明したとおり。

だがここにいる者の殆どは406番の実力をよく知っておることじゃろう」

 

 

 9人中7人がうんうんと頷いたり、黙ってその言葉を認める。

あまりピンと来ていないのはボドロとポックルの2人だけだ。

 

 

「実力はある。この場にいる誰よりも……もしかしたらワシよりも、じゃ」

 

 

 ネテロは18号に向き直る。

 

 

「つまり、ハンターになりたければ実力を示してみろ……ってことか?」

 

「端的に言えば、そうじゃ。資質に欠けがあろうと、全てを捻じ伏せる力があるなら問題はない。

ワシと試験官はそう考えておるよ」

 

「……で?」

 

「まずは他の9名によるトーナメント戦を行う。

その後、場所を変えてエキシビションマッチを執り行う。ワシとお主でな」

 

「老いぼれのジジイで相手になんのかよ?」

 

 

 キルアが茶々を入れるが、ヒソカがそれを否定する。

 

 

「少なくとも、ボクと互角以上には強いよ♠あのジイさん♥」

 

「はぁ!? マジかよ……」

 

 

 キルアの驚愕をよそに、18号はネテロに聞こえるほどのため息をつく。

 

 

「分かったよ。じゃあ、さっさとトーナメント戦を始めてくれ」

 

「うむ、では早速始めるとしよう――」

 

 

 

 

「このトーナメント戦は『負け残り』となっておる。最後まで進んだ者のみが不合格になる。

つまり、1勝すれば合格、ということじゃな。で、戦う上でのルールは2つ。

①相手を殺さない(殺したらその者が不合格となり、他全員が合格)。

②相手に「まいった」と言わせたら勝ち。

以上じゃ。では第一試合を開始するように」

 

 

 第1試合はゴンVSハンゾー。

とびきり諦めの悪いゴンに「まいった」と言わせるのは至難の業だ。

実力の差を見せつけるように痛めつけ、終いには腕を折ってみてもゴンの心は折れず。

ハンゾーが先に根をあげて「まいった」と言い、ゴンの勝利。

ただしゴンは最後、ハンゾーの渾身のツッコミに倒れ、気絶してしまったが。

 

 

「なるほどな……これは判断力と心の強さを観る戦いなのだろう」

 

「というと?」

 

「最終試験まで来たのだ、皆合格したいに決まってる。まいった、とは出来れば誰も言いたくない。

早めに見切りをつけて次の機会を待つか、ひたすら諦めず相手の根負けを待つか……」

 

「ゴンは後者ってことか……」

 

「ゴンを愚か者と謗る者もいるだろうが、ハンターたるもの諦めない心の強さは重要だ。

正直、あれを見るとゴンに「まいった」と言わせるのは不可能ではないかとすら思う」

 

「……」

 

 

 第2試合はヒソカVSクラピカ。

開始早々、ヒソカがクラピカに何かを耳打ちし、直後ヒソカが「まいった」と言って、クラピカの勝利となった。

 

 

「何て言われたんだ?」

 

「……すまない、今は情報を整理する時間が欲しい」

 

 

 第3試合はハンゾーVSポックル。

遠距離戦を得意とするポックルとハンゾーでは相性が悪く、一方的な展開に。

ハンゾーがぼそっと呟いた「あんたには容赦しないぜ」という言葉を受け、

ポックルが「まいった」と言い、ハンゾーの勝利となった。

 

 

 第4試合はヒソカVSボドロ。

一方的な試合だったが、ボドロはなかなか諦めない。

ヒソカが何かを耳打ちすると、ボドロはようやく「まいった」と言い、ヒソカが勝った。

 

 

「何を言ったのさ」

 

「ボクに情けをかけられてまでハンターになりたいのか♦って♥」

 

「なるほど……」

 

 

 第5試合はキルアVSポックル。

開始早々、「まいった、あんたとは戦う気がしないよ」と言いポックルの勝利。

 

 そして第6試合――レオリオVSボドロは延期となり、キルアVSギタラクルとなる。

 

 

「久しぶりだね、キル」

 

「は?」

 

 

 ギタラクルが顔の針を抜き、兄・イルミとしてキルアの前に立つ。

イルミはキルアはハンターではなく暗殺者として生きるべきだと言い、棄権を迫る。

キルアは「暗殺者になる気はない」「ゴンと友達になって普通に生きていきたい」と語るが――

 

 

「お前に友達なんて作れないよ。お前は人というものを殺せるか殺せないかでしか測れない。

そういう風に俺や親父に教え込まれたからね」

 

「そんなことはない! オレは――」

 

「だったら、もしゴンがオレと同じぐらい強かったら、キルは友達になれるの?」

 

「……それは」

 

「あり得ない仮定だけど、まぁ無理でしょ。だから、お前がゴンに向ける感情は友情じゃないよ。

ペットに向けるそれに近いかな。格下だから、安全だから、いつでも殺せるから――

そう思えないとお前はまともに人付き合いすらできない。違う?」

 

「……っ」

 

「お前は“面白いおもちゃ”を友達と定義しただけだよ。そんなのは友達と言えない。

お前に友達は作れない。分かってるはずだろ、キル?」

 

「違う、オレは……オレは……」

 

 

 キルアは否定の言葉を探すが出てこない。

 

 

 

「いい加減にしろよ、このクソヤロー」

 

 

 キルアの精神が追い詰められていくのを見かねて、レオリオが口を挟む。

 

 

「誰? キミ」

 

「キルアの友達のレオリオってもんだぜ。

ゴンはもちろん、隣のクラピカもキルアを友達だと思ってる。

18号もそうだろ!?」

 

「わたしは別に、まだそこまでとは思ってないが……」

 

「友達? キミ達が?」

 

「キルア、そいつが何を言おうが関係ないぞ。

オレ達が友達だと思ってて、お前もそう思ってるならそれで友達だ! そんだけでいいんだよ!!

内心、下に思ってるとか……そんなのも人間なら当たり前のことだろーがよ」

 

「そうか、そっちは友達と思ってるのか……なら試験後にその3人を殺そう。キルに友達はいらない」

 

 

 イルミがレオリオとクラピカに殺気を飛ばす。

その剣呑とした空気に18号が水を差す。

 

 

「ごちゃごちゃ言ってるけど、キルアが自分から離れていくのが嫌なだけだろ」

 

「……はぁ?」

 

「キルアに友達が出来たらキルアと関われる時間が少なくなるからって、あんな言い方はよしなよ。

ただでさえ嫌われてるのに、更に嫌われるっての。なぁ、キルア」

 

「え?」

 

「嫌いだろ、こいつのこと」

 

「……まぁ、嫌いかな。殺せるなら殺したいぐらいには……」

 

「え……嘘だよね、キル?」

 

 

 イルミが呆然として訊き返す。

 

 

「いや、嫌いに決まってるじゃん。オレに才能あるか知らないけど、あの訓練ふつーに虐待だから」

 

「そんな……あんなに懇切丁寧に人体構造とか殺人技術を教えてあげたのに?」

 

「それが嫌なんだって。殺人なんて嫌なのに技術だけはあるから、うっかり衝動的に殺しそうになるし……。

善悪も分かんねーうちから殺人マシーンに仕立て上げられて、恨みこそすれ感謝なんかしたこともねーよ」

 

 

 イルミは見たことない顔でキルアを見つめる。

しばらく黙って何かを考えていたが、やがて口を開いた。

 

 

「キル……分かった。お前の友達は殺さないし、ハンターになってもいい。

でも、今年は諦めてくれ。これは親父の意向でもある」

 

「親父の?」

 

「キルが家業を継がないつもりかも、とは親父も分かってた。

できれば継いでもらいたいが、キルアの意志は尊重したい、ってさ。

 

とは言え、まだ12歳だ。まだ将来を決めるには早すぎる。

本来なら後継候補の俺やミルキもいるし、急ぐ必要はない。

 

だからハンターの資格も、まず親父に相談して取得するか決めてほしい……そう言ってた」

 

「う……親父、怒ってたか?」

 

「いや、心配してたよ。まだキルは肉体も精神も未熟だから、試験で死ぬ可能性もある。

それでちょうど資格が欲しかったオレに家族内指令として護衛ミッションが発動した。余計なお世話だったけどね」

 

「ちぇっ……分かったよ、兄貴。今年は諦める。一回、親父とちゃんと話し合ってから決める」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

「……ってことで、オレは棄権するよ」

 

 

 キルアは審判のほうを見てそう言った。

 

 

 ――最終試験、合格者8名。不合格者は99番、キルア――

 

 そして、最後の合格者を決める戦いが始まろうとしていた。

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