流星街に舞い降りた人造人間   作:女主人公スキー

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14.最終試験 -後編-

「さて……始めようかの。準備はいいかな?」

 

「いつでもいいよ」

 

 

 戦闘の舞台は近郊の荒野へと改められた。

相対する18号とネテロの他に、ゴンを除く受験者8名と試験官たちも観戦している。

 

 

「さて……ルールは一つ。ワシの攻撃を避けるなり防ぐなりして掻い潜り、ワシに一撃を喰らわすこと。

その際、瞬間移動は禁止とする。あれ、ほんまマジで意味わからんレベルでずっこいからの」

 

「チッ……分かったよ」

 

「ワシは全力でやるが、その代わりこの場所から動くことはせんよ。攻撃を避けたりもせん」

 

「ふん……吠え面かいても知らないからね」

 

「それと、お主がまいったと言えばそこで攻撃をやめる。無論、お主は不合格になるが」

 

「死んでも言わない」

 

 

 二人の距離はおよそ100m。何もなければ18号ならば一息で辿り着く距離だ。

18号は舐められていると思ったし、速攻で終わらすつもりでいた。

 

 

「それでは、始め!」

 

 

 審判の開始の合図と同時に、18号は迷わずに突っ込んでいく。

ネテロはそれに動じず、左手で祈りの所作と共に右手で掌打の型を作る。

 

 

「『弐の掌』」

 

 

 18号はネテロの背後に巨大な観音像を視認した。

視認した次の瞬間、巨大な手により吹き飛ばされる。

 

 

「……っ! 何だ、今のは……!?」

 

「ほっほ、何じゃろうな? さぁ、まだこんなものではなかろう。来い」

 

「言われなくても……!!」

 

 

 再び18号はネテロに向かって突っ込んでいく。

今度はネテロの所作を注意深く観察しながら――

 

 

「『壱の掌』」

 

 

 だが、回避はできなかった。ネテロが掌打の型を作るのと、攻撃が放たれるのはほぼ同時だ。

今度は巨大な観音像の手刀打ちで地面にめり込んでしまう。

 

 

「……くそ、速すぎる。これじゃ近づけない……」

 

「どうでもいいけど、当たり前みたいにノーダメージなのやめてくれんかのう。自信なくすんじゃけど」

 

「知るか。お前らが弱すぎるのが悪い」

 

 

 18号はめげずにネテロに向かっていく――

 

 

 

 

「すごいな、あの爺さん……あの18号を圧倒してやがる」

 

「ダメージないなら意味なくね?」

 

「まぁそうだが、少なくともネテロ会長なら18号の足止めは可能ということか」

 

 

 レオリオ、キルア、クラピカが感想を述べていく。

対して試験官は――

 

 

「あの百式観音をまともに受けて、ノーダメージですか」

 

「会長の念は初めて見たけど、とんでもない能力ね……」

 

「時間制限を設けなかったのは悪手でしたかね。時間をかければ18号さんが勝ちますよ、これ」

 

「確かにあのコ、全然汗かいてないわね。息もあがってない」

 

 

 

 

(信じられん。たった数十回の攻撃で、僅かだが対応しつつある)

 

 

 ネテロは驚愕する。18号の類まれなその戦闘センスに。

百式観音は見てから回避は不可能だ。

つまり、回避するためには攻撃を予測するしかない。

18号は何度も攻撃されるうちに、ネテロの攻撃パターンを少しずつだが解析しつつある。

 

 

(このままでは完全に対応されるのも時間の問題か。仕方ない)

 

 

「――奥の手を出す」

 

 

 すると、百式観音の姿が消えていく。

 

 

(いや、消えたわけじゃない。そこにある! このジジイ、『隠』で隠しやがった!!)

 

 

「さらに威力を抑えての連撃じゃ! 『弐の掌』、『参の掌』、『壱の掌』!!」

 

 

 見えない攻撃と、パターンを読ませない連撃に、18号は遂に一歩も進むことができない。

 

 

 

 

「ズリーぞ、クソジジイ!!」

 

「流石に瞬間移動なしでは勝てないのか……」

 

「いや、まだなんか隠し球ありそうだけどな」

 

 

「このまま会長の体力切れを狙うのも手ではありますが……」

 

「あのコがそんな選択するかな? 意地でも殴りに行くでしょ」

 

 

 

 

(……ジジイ、息があがってきてるな。このまま体力切れを狙っても合格だけど……)

 

 

 18号は思案する。何か、突破する方法はないものかと。

 

 

(別に回避にこだわる必要はない。防御してもいい……だが、生半可な防御だとやっぱり吹き飛ばされる)

 

 

 自分の中の可能性を探る。神からのギフトには防御系の技はなかった。

 

 

(わたしってあんまり防御とかしなかったからな……だが、何かあったはず)

 

 

 その時、はたと思い出す。

 

 

(あれなら、わたしにも使えるんじゃないのか)

 

 

 

 

「ほっほ、そろそろ諦めたらどうかの?」

 

「ほざけジジイ、遊びはここまでだよ」

 

「何じゃと? まさか、まだ何かあるというのか?」

 

「いいから、来なよ」

 

 

 18号が手をクイクイと曲げ、ネテロを挑発する。

 

 

「糞餓鬼が……! 『九十九の掌』!!!」

 

 

 見えない攻撃が四方八方から回避しようのないスピードと数、範囲を伴って襲ってくる。

 

 

「――」

 

 

 凄まじい打撃音と衝撃波が観客まで波及する。

18号の姿は土煙で見えないが、どうせダメージはないだろう。

問題は、ネテロに近づけているのかどうか。

 

 ややあって、土煙が晴れる。

そこには尚も攻撃を受けながらも、悠然と歩を進める18号の姿があった。

 

 更に、18号の周囲には防御障壁のようなものが張られていた。

 

 

(17号がピッコロ相手に使っていたエネルギーフィールド(バリアー)。

あいつが使えるならわたしだって使える。

これで奴の攻撃は完全に無効化できる……!)

 

「……よもや、これほどとは……」

 

 

 ネテロが思わず嘆息する。

連撃を止め、威力重視で『壱の掌』を放ってみるが、18号の歩みは止まることはなかった。

 

 

「まだあるよな?」

 

「あん?」

 

「あんたのとっておき、最終手段ってやつがさ。使ってみなよ」

 

「……あるにはあるが、駄目じゃ。『零の掌』は使ったら寿命が大幅に縮むという制約がある」

 

「そうか。じゃあ、終わりにしよう――」

 

 

 18号はエネルギーフィールドを張ったまま、一気にネテロへ迫る。

ネテロも虫の抵抗のように攻撃をするが、すべて無意味に終わる。

 

 そして、あっという間にネテロの目の前に到達した。

 

 

「強かった。楽しかったよ、ネテロ会長」

 

「はっ、嫌味にしか聞こえんわい」

 

「それはそうとあんた、わたしの胸やら尻ばっか見やがって……スケベジジイが」

 

 

 18号はそう言って、ネテロの頬に強烈な平手打ちを放つ。

 

 

「老人を痛めつける趣味はないんでね。これでいいだろ」

 

「いちち……ここまで見事に負けたら認めんわけにいかんわな」

 

 

 ネテロは両手を上にあげる。

 

 

「まいった。降参じゃ」

 

「そ、そこまで! 勝者406番、18号!!」

 

 

 

 

「それでは、新たにハンターになられました皆さんに向けて、説明会を開かせていただきます」

 

 

 会長秘書のビーンズがハンターライセンスについて説明を始める。

それを聞きながら、4人は18号とネテロ会長の戦いを振り返る。

 

 

「無敵すぎるな、18号は……」

 

「強いとは聞いてたけど、ありゃとんでもねーな。会長、一応人類では最強らしいぞ?」

 

「その最強が手を尽くしても、結局何のダメージもなしだもんなー。化け物すぎ」

 

「オレも観たかったな……」

 

 

 結局、最終試験終了まで眠っていたゴンがぽつりと呟く。

 

 

「オレらの最終試験はアレだが、18号のは確か協会の誰かがカメラを回してたぞ。頼めば見せてくれるんじゃね?」

 

「本当!? 後で頼んでくるね」

 

 

 ビーンズの説明が協会の規約に移り変わる。

それを全く聞いていないヒソカとイルミも雑談に興じる。

 

 

「18号のこと、もうネットで噂になってるよ。会長、新人ハンターに敗北!? だってさ」

 

「早いな♠これで彼女も有名人かな?♥」

 

「流石に信じる人は少ないでしょ。あの会長の強さを知ってる人なら猶更」

 

「それもそうだね♣18号もだけど、良いものを観れた♦」

 

「ネテロ会長のこと? ちなみに何点?」

 

「99点♥年齢的に、あれ以上伸びしろがないのが残念かな♠」

 

「ちなみに18号は?」

 

「一億点♥」

 

 

 

 

「それでは、ここにいる9名を新たにハンターとして認定いたします!!」

 

 

――第287期 合格者――

 

・ゴン=フリークス

・クラピカ

・レオリオ=パラディナイト

・ヒソカ=モロウ

・イルミ=ゾルディック

・ハンゾー

・ポックル

・ボドロ

・18号

 

 

 18号はハンターライセンスを眺め、感慨にふける。

 

 

「ようやくだ……ようやく、これで……」

 

 

 

 

 

「銀行口座が作れる……!」

 

「そこかよ!?」

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