流星街に舞い降りた人造人間   作:女主人公スキー

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ククルーマウンテン~天空闘技場
15.ククルーマウンテンへ


「オレは一回家に帰るよ。不本意だけど、兄貴と一緒にな」

 

 

 キルアはそう言ってレオリオ達に向き合う。

 

 

「親父さんと腹割って話し合うんだったな」

 

「うん。とりあえずオレとしては一回家を離れて生きていきたいってことを伝えてみる」

 

「わかってくれるといいな」

 

「そこは大丈夫な気がするけど、問題はお前らだな」

 

「オレ達? どういうこと?」

 

 

 ゴンが訊き返す。

 

 

「オレとしては、お前らのことも親父たちに認めてもらいたいわけ。

イルミみたいに暴走して殺しにかかる可能性もないとは言えないし」

 

「お、おう……? つまり?」

 

「オレと肩を並べられるぐらいの強さを示してほしいってこと。

それならオレも胸張ってお前らのことを友達って親父に言える」

 

「なるほど……では、どうすればいい?」

 

「とりあえずオレの家、ククルーマウンテンへ一緒に来てくれ。詳しくはそこで説明するよ。

……そういえば、あいつは……18号はどこ行った?」

 

 

 キルアは辺りを見回す。

すると、こちらへ歩いてくる18号の姿が見えた。

 

 

「18号、何やってたんだ?」

 

「銀行口座を作ってた。ネットで作れるってヒソカに聞いてな。

見ろレオリオ、早速ヒソカが治療費を入金したぞ。330万ジェニーゲットだ!!」

 

「(何度聞いてもやっすいな)よかったな18号」

 

「ああ……この調子で稼いでいけば良い服も高級料理も食い放題だ。家だって買える……!」

 

「嬉しそうだね♠18号♥」

 

「ヒソカか。まだ何か用か?」

 

「いや、もうないけど一言言っておかないと可哀想だと思ってね♦」

 

「……何だ?」

 

 

 ヒソカは18号に向かって指をパーに広げ――

 

 

「マチが縫合手術を請け負う時の治療費は、5000万ジェニーからだ♥」

 

 

 と、18号の耳元で囁いた。

 

 

「ご……お前、騙したな!?」

 

「君が相場を勘違いしただけでしょ♠ホント、安すぎて聖人かと思ったよ♥」

 

「……くそ……大損した気分だ」

 

 

 18号は肩を落としてレオリオの横を通っていく。

 

 

「先、帰ってるぞレオリオ……」

 

 

 そのままレオリオの家まで帰ってしまいそうな18号をレオリオが呼び止めた。

 

 

「なぁ18号、落ち込んでるところ悪いが、お前もキルアん家に来てくれねーか?」

 

「わたしが? なんで?」

 

「オレからも頼むよ。来てくれるなら、いいコト教えてやるよ」

 

「いいコト?」

 

「1か月で1億ジェニー以上稼ぐ方法がある。知りたいだろ?」

 

「……今すぐ教えろよ。友達だろ」

 

「さっき『そこまでじゃない』つってただろ、絶対教えねー」

 

 

 そんな話をしていると、イルミがどこからか戻ってきた。

 

 

「キル、飛行船のチケット6人分取ってきたよ。行こうか」

 

 

 

 

 飛行船とバスを乗り継いで、ククルーマウンテンの麓に辿り着いた。

 

 

「このククルーマウンテン全域がゾルディックの敷地。屋敷があるのが8合目ぐらいかな。

で、敷地内に入るにはこの『試しの門』を通る必要がある」

 

「試しの門……?」

 

 

 ゴンは目の前の巨大な門を見上げる。

7つの門扉が重なり合うように聳え立っている。

 

 

「7つ扉があるだろ? 1の扉が片方2トンある。2が4トン。3が8トン。4が16トン。5が32トン。6が64トン。7が128トン。

最低でも1の扉は開けるようになれば敷地内に安全に入れる」

 

「128トンて……そんなの人間じゃ無理だろ」

 

 

 レオリオが門を見上げて呟く。

 

 

「まぁな。親父が確か5の扉まで開けたはず。オレは今んとこ3かな」

 

「オレは4まで開けられる」

 

 

 キルアとイルミはそう言って、守衛室に近づく。

 

 

「ゼブロ、いる?」

 

 

 守衛室からガタッと音がしたと思うと、ドアが勢いよく開けられる。

 

 

「こ、これはこれはキルア坊ちゃま。帰って来られたのですね」

 

「うん、まぁな。俺は親父に会いに家に帰るんだけどさ。ちょっとこいつらを鍛えてやってほしいんだよね」

 

 

 キルアはゴン、クラピカ、レオリオの三人を指差す。

 

 

「はい、それは構いませんが……この方々は?」

 

「俺の友達。だけど試しの門も通れないんじゃあいつらに舐められるだろ」

 

「なるほど……承りました」

 

「1か月以内で頼むよ。その間、オレもちょっと鍛え直す」

 

「あの……ところでそこの女性はよろしいので?」

 

 

 ゼブロと呼ばれた守衛は18号を見る。

 

 

「ああ、あいつはいい。オレや兄貴より、何なら親父よりつえーから」

 

「……冗談でしょう?」

 

「まぁある意味冗談みたいな強さだよね」

 

 

 イルミがそう言って試しの門の前に立ち、門を4まで開いた。

 

 

「行くよ、キル」

 

「ああ。18号、お前はとりあえず1週間はこいつらをゼブロと一緒に鍛えてやってくれ。

そのあと、屋敷まで来たら稼げる方法を教えてやる」

 

 

 キルアは言いながら試しの門を3まで開く。

 

 

「1週間だな……分かった」

 

 

 

 

 その後、一行は敷地内にある使用人の宿泊施設に移動する。

扉から家具、コップに至るまで20kgから200kgの重量物になっている。

その中で生活しながら、筋肉トレーニングや、重りをつけた状態で18号との戦闘訓練が挟まる。

 

 18号の戦闘訓練は厳しく、初日は2時間で全員がダウンしていた。

しかし18号の治癒能力は体力回復の効果もあり、平均6時間は訓練に費やされた。

 

 そんな生活を一週間続けたことで、レオリオは試しの門の1の扉を開けるようになっていた。

 

 

「やるなレオリオ、1週間でクリアするとは」

 

「へっ、まだまだいけるぜ」

 

「オレも、あとちょっとで1の扉は行けると思う」

 

「私はまだ無理だな……筋肉の絶対量が足りん」

 

 

 クラピカが肩を落とす。どうも体質的に筋肉がつきにくいらしい。

 

 

「それじゃ、わたしは先に行ってるぞ」

 

「おう」

 

 

 18号は試しの門に手を伸ばす。

そして力を入れると扉が次々に開いていく。

 

 

「3の扉まで……! あの細い腕のどこにそんな力が!?」

 

 

 ゼブロが驚愕するが、18号は一旦腕を下ろし、扉を閉めてしまう。

 

 

「ちょっと本気でやってみるか」

 

「えっ!?」

 

「気を開放する。はぁぁ……!」

 

 

 18号は永久エネルギーを放出し、力を増大させる。

すると、扉は6の扉まで開ききってしまった。

 

 

「……こんなもんか。じゃ、またなお前ら」

 

 

 そう言い残して、18号は山頂に向かって舞空術で飛んで行った。

 

 

「ご、ご当主様を超えた……か、彼女は一体――」

 

 

 ゼブロはあまりの衝撃に腰を抜かす。

 

 

「人造人間らしいぜ」

 

「しかも異世界から来た、な」

 

「でも、すごくいい人だよ。ちょっとお金にうるさいだけで」

 

「「ちょっと?」」

 

 

 

 

 18号はゾルディック家の屋敷らしき建物を見つけ、上空から近づいていく。

すると、屋根に設置された重火器が18号へ向かって発射される。

 

 

「うっ……殺意がすごいな。流石暗殺一家……」

 

 

 18号はバリアを展開し、銃弾や小型ミサイルから身を護る。

 

 

「なるほどな、空からの侵入者はこうやって対処してるわけか」

 

 

 18号は屋敷の正面に降り立つ。

すると、屋敷の中から武装した使用人が十数人出てきた。

 

 

「何者だ、貴様!」

 

「死ね!」

 

 

 使用人は問答無用でアサルトライフルを撃ち放つ。

18号はそれを事もなげにひょいと躱す。

 

 

「キルアはいるか? わたしはキルアの友人なんだけど」

 

「黙れ! キルア様に友人などいない!!」

 

 

 使用人の1人がRPGのような携帯対戦車擲弾発射器を撃とうとしたところで、背後から待ったがかかる。

 

 

「待て待て、そいつは本当にオレの友人なんだって。ほら、散れ散れ」

 

 

 キルアが玄関から姿を見せると、使用人の列が割れる。

 

 

「……失礼いたしました」

 

「別にいいよ。それよりキルア」

 

「急かすなって。絶対教えるから、とりあえず家に入れよ。

うちのババアがお前に是非会いたいって、ご馳走用意して待ってるんだ」

 

「はぁ? ご馳走用意して待ってるのに攻撃されたのか、わたしは」

 

「悪い、空から来るって伝え忘れてたわ」

 

 

 それを聞いて、18号はキルアの頭をひっぱたいた。

 

 

「ってぇ~……」

 

「まずかったらこの屋敷破壊してやるからな……」

 

「大丈夫、味は保障するぜ。一流のシェフを雇ってるからな」

 

 

 

 

 大きなテーブルに所狭し料理が並べられている。

広間のように見えるが、恐らくリビングにあたる部屋で、イルミと二人の女性が既に席についていた。

 

 

「あらまぁ、あなたが18号さんね。お話はイルとキルから聞いてるわ。とても強いんですってね」

 

「……キルアの母親か?」

 

 

 キルアの母親と思われる女性は、顔に包帯を巻き、眼にモノアイの機械式スコープを着けている。

 

 

「ええ、キキョウと申します。こっちは末っ子のカルト」

 

「カルトです」

 

「……18号だ。なぁ、その顔の傷。治してやろうか?」

 

 

 治療費を請求するチャンスと見て18号が提案するが、キキョウは首を振る。

 

 

「優しい方ですのね、18号さんは。でもお気になさらず。これはファッションですので」

 

「ファッション……?」

 

「こういう人なんだよ、うちの母さんは」

 

 

 イルミが肩を竦める。

 

 

「お前が家を出たくなった理由が分かった気がする」

 

「否定はしないけど、そんだけの理由じゃねーから」

 

 

 18号とキルアはこそこそ話しながら席についた。

 

 

「それでは、料理が冷める前に頂きましょう。キル、試験のこと聞かせて頂戴ね」

 

「はぁ? やだよ面倒くさい」

 

「オレが話すよ。キルのことは大体見てたから」

 

「キッショ」

 

 

 

 

「……何か……眠くなってきたな……」

 

 

 18号は意識が落ちそうになるのを必死でこらえていた。

周りを見るとキルアとイルミも眠気をこらえているのが見てとれた。

 

 

「ば、ババア……何か盛りやがったな……」

 

「何……?」

 

「オレ達は……毒は効かないはず……なのにこれは……」

 

 

 18号、キルア、イルミの順に眠りに落ちていく。

 

 

「……うまくいったわね。もう次からはこの新しく調合した毒は使えない。

このチャンスを逃してはならないわ」

 

 

 キキョウは立ち上がり、18号の傍に立ってその身体に触れる。

 

 

「体温が上がっている。あっちのほうも効いているようね」

 

「お母様」

 

「分かっているわカルト。急いで例の部屋へ運びましょう」

 

「はい、お母様」




評価ありがとうございます。
目算では30話で完結する予定です。
書き溜めは21話まで完成してます。
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