流星街に舞い降りた人造人間   作:女主人公スキー

16 / 31
16.ゾルディック家脱出

「う……どこだ、ここ……」

 

 

 18号は見覚えのないベッドで目を覚ます。

身体にだるさのような不快な感覚が残っている。

 

 

「目が覚めたか、18号」

 

「イルミ……?」

 

 

 18号が寝ていたベッドの脇に、椅子に座ったイルミがいた。

 

 

「オレもいるよ」

 

 

 キルアは少し離れたソファーで寝そべっている。

 

 

「ここはどこなんだ……?」

 

「監禁部屋じゃねーかな。ババアが管理してる監禁用の部屋があるって聞いたことあるぜ」

 

「監禁!?」

 

 

 18号が飛び起きる。

そのまま、壁を思いっきり殴る。

 

 

「……痛ぅ。わたしでも壊せないのか」

 

「これ、試しの門と同じ素材だよ。しかもかなり分厚い」

 

 

 イルミが補足する。

 

 

「この部屋、監禁が目的じゃないよ。監禁は副次的なもので、主目的は別にある」

 

「はぁ? どういうことだよ、イルミ」

 

「キル、そこのクローゼットを開けてみてくれ」

 

「え? まぁいいけど」

 

 

 クローゼットを開けると、そこには女性用のコスプレ衣装が揃っていた。

白衣、メイド服、チャイナ服、浴衣、エプロン、etcetc...

 

 

「……何これ」

 

「キル、そこの箪笥も開けてみるといい」

 

「……嫌な予感がしてきたな」

 

 

 箪笥を開けると、そこにはいかがわしい道具の数々が揃っていた。

 

 

「ななな、何だよこれ!?」

 

「いわゆる大人のおもちゃってやつだね……これで分かっただろ」

 

 

 イルミは箪笥の中から精力剤を取り出す。

 

 

「母さんはオレ達と18号をくっつけるつもりらしい」

 

「はぁ!?」

 

「……あぁくそ、そういうことか……」

 

 

 18号は何故か息が荒くなっている。心なしか顔や身体が紅潮しているようにも見える。

 

 

「18号?」

 

「盛られたね、媚薬」

 

「媚薬!?」

 

 

 18号はベッドに倒れ込む。しかし、身体もベッドも熱がこもるばかりだ。

 

 

「さしずめ、セックスしないと出られない部屋ってところか……」

 

「ふざけんなよあのクソババア……何考えてやがんだ!!」

 

 

 母親の横暴に思わずキルアが壁を殴る。

 

 

「まぁ、18号は母さんから見たら魅力的な女性であることは間違いない。

優しくて、強くて、顔もいい。こんな強行策に出たことも理解はできる」

 

「だからって!!」

 

「もちろん、こんなやり方はオレも癇に障る。でも、脱出方法がないんじゃどうしようもない」

 

 

 そんなことを言っていると、18号がベッドから起き上がる。

そして、服を脱ぎ始めた。

 

 

「お、おい!?」

 

「熱いんだよ、身体が……お子さまは目でも瞑ってろ」

 

 

 18号はあっという間に下着姿になってしまう。その瞳は熱く潤んでいた。

 

 

「うーん……これはまずいな。ヤるしかないのかな」

 

 

 イルミはそっと18号の顎を指で持ち上げ、見つめ合う。

 

 

(正直、オレより強い女とかゴメンだし、顔もそこまで好みじゃないんだけど……。

でも据え膳食わぬは、なんて言葉もあるし……。

コイツと良い関係を築いておくのは、ゾルディック家としても悪くない選択ではある)

 

 

「イ、イルミ……本気か?」

 

「その状態じゃまともに話もできないでしょ。これは治療行為であって、深い意味はない」

 

「治療行為か……それなら、仕方ない……か?」

 

 

 イルミは18号を抱き寄せて、耳元で囁く。

 

 

「その様子じゃ初めてでしょ。優しくするから、大人しくしてて」

 

「……分かった」

 

 

 そのままおっぱじめようとする二人を、キルアが慌てて止める。

 

 

「ま、待て! 待てって兄貴、18号!! まだ他に何かあるだろ、方法は!?」

 

「ないよ。母さんが満足するまで脱出できないんだから。

このまま放っておいて18号が襲ってくるよりは、オレからヤったほうがマシだ」

 

「だからってこんなとこで……! あっ、そうだ!!

なぁ18号、治癒能力で媚薬の効果消せたりしないか!?」

 

「「……あ」」

 

 

 

 

「さっきのは忘れろ。いいな?」

 

「はいはい」

 

 

 治癒能力で発情状態を脱した18号は、服を着て、ベッドに俯けになりながら足をじたばたさせている。

 

 

「で、どうする?」

 

「さっきよりは頭もまともになったでしょ。18号は何か思いつかないの?」

 

「……冷静になって考えれば、方法はある」

 

 

 18号はベッドから立ち上がる。

そして、手を掲げ、高速回転する円盤状の気弾を複数生成する。

 

 

「『気円連斬』!」

 

 

 複数の気円斬が強固かつ分厚い金属をズタズタに切り裂いていく。

そして、切り込みが入って脆くなった箇所を、気を開放させた18号が怒りに任せてぶん殴る。

 

 ドゴォン!! という轟音と衝撃波と共に、壁は崩壊した。

 

 

「キキョウ……とか言ったな」

 

「ひぃっ」

 

 

 映画「シャイニング」のように壁から顔を出してキキョウを睨みつける18号。

 

 

「今回はキルアの顔に免じて許してやるが……次はククルーマウンテンごと消し炭にするからな」

 

「……ご、ごめんなさい……」

 

 

 キキョウは土下座して謝罪する。

18号はそれを横目に通りすぎていく。

 

 

「18号が優しい人でよかったねー」

 

 

 イルミがキキョウの肩を叩く。

 

 

「頭がたけーよクソババア」

 

 

 キルアが土下座するキキョウの頭を踏みつけ、18号を追いかける。

 

 

「……なんて優しい子たちなの。殺されてもおかしくないことをしたのに」

 

「……お母様」

 

「分かっているわカルト。強行策はダメ。

18号さんをお嫁さんに迎える為に何をすればいいか、よく考えましょう」

 

「はい、お母様」

 

 

 

 

「ここに天空闘技場ってのがあるんだ。そこで戦って勝つとファイトマネーが貰える。

1階はジュース1本分の金だけど、100階を超えると100万ジェニーから1000万ジェニーは稼げるぜ」

 

「1000万……!」

 

「ちなみに100階からは個室が与えられるから、割と快適に過ごせる。

それと、100階以降は賭けの対象にもなってる。これもうまく利用すれば荒稼ぎできると思う。

注意事項としては、200階以降はファイトマネーは出ないから気をつけろ」

 

「なるほど……。ありがとうキルア、早速行ってみよう」

 

 

 18号は手を振り、キルアに背を向ける。キルアは家の中に戻っていく。

飛んで行こうとしたところ、横から声がかかる。

 

 

「待つんじゃ、娘っ子」

 

「ん?」

 

 

 振り返ると、そこには金髪の偉丈夫と少し腰の曲がった老人がいた。

 

 

「ワシはゼノ。キルアの祖父にあたるものじゃ」

 

「俺はシルバ。キルアの父だ」

 

「……どうも」

 

 

 18号は軽く会釈した。

 

 

「キルアとイルミが世話になったようじゃな」

 

「大したことはしてない」

 

「試験が穏便に終わったのはキミのおかげだと聞いているが?」

 

「……言いたいことを言ってみただけだ」

 

 

 そこまで言って18号はふと思い付き、二人に向き直る。

 

 

「だが、お前らがどうしてもと言うなら謝礼を受け取ってもいい」

 

「ふっ、キルアに聞いた通りの守銭奴だな」

 

「心ばかりだが、受け取るといい」

 

 

 18号は手渡された小切手を手に取る。

そこには500万ジェニーと記されていた。

 

 

「気前がいいな……貰っておくよ」

 

「ウチに嫁にくれば500億の財産をくれてやるぞ? 欲しくないか?」

 

「ご……500億!?」

 

 

 いきなり桁の違う金額を提示され、18号は思わず前のめりになる。

 

 

「親父、これ押せばいけるんじゃないか?」

 

「いやいや、流石にそこまでチョロくないじゃろ……」

 

 

 18号は真剣に悩んでいるが、やがて答えを出す。

 

 

「魅力的な提案だが……やめておく。わたしは5年後には元の世界に帰るんだ。

この世界でのことはあくまで暇つぶし――他人の人生に深く関わるつもりはない」

 

「それは残念じゃな……」

 

「キキョウはまだ諦めていないようだ。キミなら軽くあしらえるだろうが、気をつけることだ」

 

「そこは旦那のお前が止めておいてくれ……それじゃあな」

 

 

 そう言って、18号は飛び去って行った。

 

 上空で18号は携帯電話を取り出し、ウボォーギンの番号をプッシュする。

 

 

「ウボォーギン、今暇か? どこにいる」

 

『おぉ18号じゃねえか。まぁ……暇だな。場所は今――』

 

「そっちのが遠いな……じゃあウボォーギン、今から急いで天空闘技場へ来い」

 

『天空闘技場? あぁ、金稼ぎに行くのか』

 

「そうだ。わたしに協力しろ」

 

『こっからだと距離があるからな。1日はかかるぞ?』

 

「構わない。わたしは先に行ってるぞ」

 

 

 18号は天空闘技場に向けてスピードを上げて飛んで行く。




感想ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。