流星街に舞い降りた人造人間   作:女主人公スキー

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オリジナル設定が出てきますので苦手な方は注意。


20.蜘蛛と命の天秤 -前編-

「ひとまず、マフィアと幻影旅団の動向を確かめに行こう。

奴らを狩るかどうかはそれを見て判断したい」

 

 

 旅団を狩れる――そう豪語したクラピカに協力することが決まり、

ノストラードファミリーの面々と18号は、車に乗って幻影旅団の気球を追いかけていた。

 

 気球は荒野で着地し、マフィア達はそこで競売の襲撃者を待ち構える。

しばらくすると、崖上から大男――ウボォーギンが降りてきた。

 

 マフィア達は銃弾やライフルをこれでもかと浴びせるが、僅かな傷を負わせるだけで終わる。

最後にはバズーカ砲を命中させるも、火傷を負わせたのみとなり、マフィア達は恐れ逃げていく。

 

 ウボォーギンはそんなマフィアの構成員を蹂躙していく。

 

 

「とんでもなく強いな……あの男」

 

「あれが前に話したウボォーギンだよ」

 

「そうなのか……」

 

 

 そのまま観察を続けていると、4人の男がウボォーギンに近づく。

 

 

「彼らは……念能力者のようだ。かなり鍛え上げられている」

 

「まさか、陰獣か? 十老頭直属の……」

 

 

 ダルツォルネが呟く。

 

 

「クラピカから見て、そいつらは勝てそうか?」

 

「……善戦はするだろうが、ウボォーギンすら殺せないと思う」

 

「だろうな」

 

 

 18号とクラピカはそう結論づけた。

実際、ウボォーギンと4人の陰獣は、ウボォーを苦しめはするものの、決定打を与えられない。

ウボォーギンの常軌を逸した膂力と百戦錬磨の対応力で、一人、また一人と数を減らす。

 

 

「あんな化け物に勝てるというのか? クラピカ」

 

「ああ……勝算はある。奴に勝てれば、他の団員を狩る自信にも繋がる。

それに奴相手なら、もし負けても私は死なない。そうだな?」

 

 

 クラピカは18号に問いかける。

 

 

「ああ、もちろん事故で死ぬことはあるだろうが」

 

「ん? どういうことだ?」

 

「わたしとあの大男は友達なんだ。で、クラピカは殺すなと約束させた」

 

「何!? ということはつまり、失敗してもリスクは少ない、ということか……」

 

 

 ダルツォルネはクラピカの肩を掴む。

 

 

「分かった、やってみろ」

 

「ありがとう、リーダー」

 

 

 18号はその様子を見て、考えていたことを実行しようと決断する。

 

 

「せっかくわたしがいるんだ。あいつら――幻影旅団にナシつけてやろうか?」

 

「……どういう意味だ?」

 

「誰にも邪魔されずに1対1で戦いたいんだろ? 下手に手を出せばあいつら追ってくるぞ。

陰獣って奴らがまだいるなら、逃げ切れるかもしれんが……」

 

「確かに、そのリスクはあるな……頼めるか?」

 

「ああ。じゃあ、行ってくる」

 

 

 そう言って、18号は瞬間移動していった。

 

 

 

 

「邪魔するよ」

 

「18号!? どうした?」

 

「お前と戦いたい奴がいてな。誰にも邪魔されず、1対1で。前に話した奴だ」

 

「おう、そうか。俺は別に構わないが……」

 

 

 18号はマチ達に近づく。

 

 

「そいつとわたしは友達でな。ウボォーは殺すなと言い含めてある。

勝っても負けてもお前らに不利益はない」

 

「ふーん……ま、いいんじゃない?」

 

「助かるよ。で、だ……話はそれだけじゃない」

 

「うん?」

 

 

 マチは首を傾げる。

 

 

「そいつは仲間の前で「自分の能力なら旅団を狩れる」と言った。

まだ新人で、念だって覚えたての奴が、だ。どう思う?」

 

「……相当能力に自信があるってことか」

 

「加えて、そいつは旅団に深い恨みを持っている。

となれば恐らく、旅団に特化した能力を作り上げたんじゃないか?」

 

 

 18号はそう結論づけた。

 

 

「能力に重い誓約を課しているのかもね。楽な相手ではなさそう」

 

「わたしは……無策で挑めばウボォーは負けると思う」

 

「おいおい、信用ねぇな」

 

 

 ウボォーギンは肩を竦める。

 

 

「どうせ殺されないし、勝ち負けはどうでもいいが……そいつのことを放っておくのは危険だろ?」

 

「でも、あんたの友達なんでしょ?」

 

「そうだ。死んでほしくない。そこで、ずっと考えていたことがある」

 

 

 18号はそう言って、今後のクラピカの処遇について説明する。

 

 

「どうだ、可能か?」

 

「……できると思うよ。でも、あんたはそれでいいの?」

 

「正直言うと、やりたくないが……旅団の利益とクラピカの命、両方守るにはこれしかない」

 

「そう……分かった。団長にも話しておくよ。ちょっと失礼」

 

 

 マチは電話を取り出し、クロロに連絡する。

 

 

「ウボォー」

 

「ん? 何だよ」

 

「クラピカの能力は分からないが……鎖を使うようだ」

 

「鎖? ってことは操作系か具現化系か」

 

「何をしてくるか分からない、『凝』を怠るなよ」

 

「ああ……分かった」

 

 

 18号はウボォーギンの身体に触れ、治癒能力を行使する。

マフィアや陰獣との戦いで負った傷が癒え、ヒルの卵が体内から除去された。

 

 

「お、サンキュー」

 

「勝てよ、ウボォーギン」

 

「おう……負けそうになったら応援してくれ。それで俺は勝てる」

 

「はいはい……離れたとこで見ててやるから頑張りな」

 

 

 そしてマチが電話から戻ってくる。

 

 

「団長もオッケーだってさ」

 

「よし……なら、30分後に北の荒野で。あっちにも伝えてくる」

 

 

 18号は瞬間移動でクラピカの元へ向かった。

 

 

「じゃあ、ウボォーはそこに向かいな。

あたし達は陰獣がまだいるなら始末して、競売品の場所を吐かせるよ」

 

 

 

 

 ウボォーギンとクラピカは、先程戦闘のあった場所から離れた荒野で対峙していた。

 

「お前がクラピカか」

 

「まずは礼を言っておこうか。勝負を受けてくれたこと、感謝する。

お前には何もメリットなどないだろうに」

 

「メリットならあるぜ。お前みたいなリベンジ野郎を負かすのは、俺の楽しみの一つだからな」

 

 

 ウボォーギンは拳を鳴らしながら臨戦態勢をとる。

 

 

「お前に敬意を表して、最初から全力で戦いたい。その為に一つ質問する。

お前は……クルタ族虐殺に関わっているのか?」

 

「ああ、何人も殺したな。怒らせてから殺せ、とか妙な注文があってやりにくかったがな。

男はもちろん、女も子供もな。目玉をくり抜く作業はちとしんどかったぜ」

 

 

 そのウボォーギンの言葉に、クラピカが静かな怒りを滾らせる。

その眼は緋の色に染まっている。

 

 

「そうか……お前を殺せないのが残念だよ」

 

「気が合うな。俺もだよ」

 

 

 そのやり取りを皮切りに、二人が激突する。

18号はそれを少し離れた場所から眺めていた。

 

 

(どうなるか……順当に行けば場数を踏んでるウボォーギンだが。

クラピカの能力次第では……)

 

 

 クラピカは『絶対時間(エンペラータイム)』を発動し、全ての系統が100%になる。

その状態で強化された鎖が縦横無尽に動き、ウボォーギンを襲う。

ウボォーギンはクラピカの能力を警戒し、鎖の一つ一つを回避している。

そのせいで、なかなか攻勢に入れずにいる。

 

 

(あの鎖――厄介だな。操作系なのか、鎖がグネグネ動きやがる)

 

 

 ウボォーギンはひとまず、クラピカに支配された場を荒らすべく、能力を発動する。

 

 

「『超破壊拳(ビッグバンインパクト)』!!」

 

 

 地面に拳をぶつけ、多量の岩石と砂が舞い上がる。

クラピカは砂塵と岩石を避け、後方に下がる――鎖の行き先も砂塵で分からなくなり、ただ宙を漂う。

その隙をウボォーギンは見逃さない。

 

 舞い上がった砂塵を避けるように低姿勢を取り、アメフトのようにタックルする。

まともに喰らったクラピカは引き倒され、ウボォーギンの馬乗りを許してしまう。

 

 

「そのキレイな顔、ぐちゃぐちゃにしてやるよ!!」

 

 

 ウボォーギンは大きく腕を振りかぶる。

 

 

「――『護る五指の多重鎖(フルガードジェイル)

 

 

 クラピカの全身を強化された鎖が覆う。

ウボォーギンはそれを『硬』で殴りつけるが、鎖はビクともしない。

 

 ウボォーギンは追撃を諦め、クラピカと距離を取る。

 

 

「『超破壊拳(ビッグバンインパクト)』でも壊せるか微妙だな……試すにはリスクがでかいか」

 

 

 『超破壊拳(ビッグバンインパクト)』はインパクトの際に何かを破壊できないと

使用したオーラの全てを失うという制約がある。

絶対の自信を持つ能力ではあるが、『硬』でノーダメージだった以上

試して壊せなかった場合のリスクを考え、仕切り直すことを選択した。

 

 

「18号のバリアを参考にした能力だ。お前でも破れまい」

 

「ああ、大した能力だぜ……だが、それで護ると攻撃は出来なさそうだな」

 

「そこは察しの通りだ。堅さを実現するために制約はかなり厳しくしたからな」

 

 

 ここまでは互角。そして、戦闘は更に熾烈になっていく――。

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