流星街に舞い降りた人造人間   作:女主人公スキー

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グリードアイランド編
22.グリードアイランド


「ジョイステに水見式の感じで『発』をするとゲームスタートだよ。

じゃあフィンクスやってみて」

 

 

 シャルナークの言う通り、フィンクスがジョイステに『発』をすると、フィンクスはその場から消えてしまう。

 

 

「消えたぞ、大丈夫か?」

 

「ゲームの中に飛ばされたんだ。危険性はないはずだよ」

 

 

 ノブナガがシャルナークに確認する。しかしそれを聞いた18号は首を傾げる。

 

 

「ゲームの中? いや、地球にフィンクスのオーラを感じるぞ」

 

「え? ってことは……グリードアイランドは現実に存在するの?」

 

 

 18号の一言で、グリードアイランドが現実を舞台に展開されたゲームという説が濃厚になる。

 

 

「それならよぉ、瞬間移動で何とかならねぇか?」

 

 

 ウボォーギンが18号とシャルナークに問いかける。

 

 

「試してみる価値はあるね。じゃあ、次はウボォーがやってみてよ」

 

「おう」

 

 

 ジョイステに『発』をすると、フィンクスに続いてウボォーギンも消える。

 

 

「チュートリアルが5分ぐらいあるらしいから、5分後に瞬間移動してみればいいよ」

 

「分かった」

 

 

 18号は5分後、グリードアイランドへの瞬間移動を試みた。

 

 

 

 

「来たか、ウボォー」

 

「よぉフィンクス。なんか視線感じるな」

 

「ああ、監視されてるぜ。だが、動く気配はないな」

 

「そりゃそうだろ、よっぽど自信がなきゃ俺らに喧嘩売る馬鹿はいねーよ」

 

 

 そうこうしていると、18号が瞬間移動してきた。

 

 

「おっ、本当に来れたな。てことは、ここはゲームの中じゃなくて現実のどっかってことか」

 

「そうみたいだね……」

 

 

 18号はキョロキョロと周りを見回す。

 

 

「ゲームにしてはリアルすぎる。やっぱ現実で間違いないよ」

 

「複数の念能力者によって作られたゲームってとこか? 酔狂なことしやがる」

 

 

 フィンクスがそう結論付ける。

 

 

「とりあえず、街でも目指すか……ん?」

 

 

 その時、上空から音がして何者かが3人の目の前に降り立った。

 

 

「侵入者を検知したと聞いたが……ふむ、キミか」

 

 

 男は18号に視線を向ける。

 

 

「船で侵入する者は年に1人はいるが……瞬間移動で来た者は初めてだな」

 

「……誰だ、お前」

 

 

 18号が男を睨みつける。

 

 

「このゲームの管理者(GM)の1人だよ。とりあえずキミには出ていってもらおう――『排除(エリミネイト)オン』」

 

 

 男がカードを発動(オン)させると、18号の姿は消える。

 

 

「GMさんよ……それ、意味あるのか?」

 

「分かっているさ……だが、規則だからな」

 

 

 18号はすぐにウボォーギンの元に戻ってきた。

 

 

「無駄だよ」

 

「『排除(エリミネイト)オン」

 

「だから無駄だと」

 

「『排除(エリミネイト)オン」

 

「おい、いい加減に」

 

「『排除(エリミネイト)オン」

 

 

 そんなやり取りを何度かしたあと、男性GMはインカムで別のGMと話し始めた。

 

 

「ということでな、この侵入者は排除できない。どうすればいい?」

 

『困りましたね……。少しその方とお話できますか?』

 

「だそうだが……いいか?」

 

「いいよ、別に」

 

 

 すると、目の前にホログラム映像が立ち上がる。20代後半と思われるオペレーター風の女性だ。

 

 

「お、チュートリアルの姉ちゃんか」

 

「はい、私が全体を統括するGMを担当しています。それで、貴女が侵入者さんですか」

 

「ああ」

 

 

 18号が憮然と答える。

 

 

「いくつか質問させてください。あなたの目的は?」

 

「目的なんてないよ。普通にやりたかったけど、わたしは念が習得できないからね」

 

「はぁ……だから不正に侵入するしかなかった、と……なるほど」

 

 

 女性GMは少し考えて、再度口を開く。

 

 

「では、ゲームを害するつもりはなく、単にゲームをプレイしたいだけ……でしょうか?」

 

「まぁ、そんなとこ」

 

「であれば……GM権限でゲストとしてゲームに参加してもよいことにします」

 

 

 女性GMはそう言って、何やら操作している。

 

 

「いいのか?」

 

「はい。ただし、あなたはプレイヤーではありません。

ですので、ゲーム内のイベントは参加できませんし、ブックやカードを所持、使用することも出来ません。

それでもいいなら……という条件にはなりますが」

 

「ああ、それでいい」

 

「了承を確認……あなたの情報を登録しましたので、これでまたここに行き来しても侵入者扱いになりません。

それでは、快適なゲームライフを……失礼します」

 

「ゲームクリアを目指すなら、また会えるかもな。ま、楽しんでくれ」

 

 

 そう言い残してGM2人は姿を消した。

 

 

「良かったな、ゲームに居ていいってよ」

 

「プレイヤーじゃないから、お前の手伝いぐらいしかできないがな……」

 

「よし、それじゃあ俺はシャルナーク待ってるわ。お前らは先行けよ」

 

 

 フィンクスはスタート地点の建物の座り込んだ。

 

 

「よし、それじゃ行くか」

 

「とりあえず街を探すよ。拠点を確保しないと」

 

 

 18号とウボォーギンはそう言って歩き出す。

しかし、その脚はまたしても飛来してきた人物によって止まってしまう。

 

 

「またかよ」

 

 

 飛来してきた男はバインダーを構え、18号とウボォーギンを見ている。

 

 

「懐かしいなぁ、スタート地点……キミ達は初心者かな?」

 

「だったら何だよ。というかお前は誰なんだ」

 

「もちろんプレイヤーだよ。えっとキミ達は……」

 

 

 男のバインダーには2人のゲーム内の登録名が表示されていた。

 

 

ウボォー

☆Guest

 

 

「……ゲスト? ゲストって何だ?」

 

 

 男がバインダーから2人の情報を得たことは2人にも推察できた。

 

 

「まぁいいや。【密着(アドヒージョン)】オン、ゲストを攻撃!!」

 

 

 しかし何も起こらない。

男のバインダーには「プレイヤーを指定してください」と表示されている。

 

 そして、それが男の致命的なミスとなった。

害意のあるプレイヤーであると分かった以上、18号が大人しくしている理由もない。

 

 

「くそ、じゃああっちに……【密着(アドヒージョン)】オ――」

 

 

 男が言い終わらない内に、18号は男の顔面を思い切り殴りつける。

もちろんかなり手加減して鼻骨が複雑骨折した程度で済んだ。

 

 

「んぶぇ」

 

 

 とだけ言い残して、男はバインダーを開いたまま気絶した。

 

 

「何だったんだ、コイツは?」

 

 

 ウボォーは首を傾げる。

 

 

「新人潰しってやつだろ。ハンター試験でもそんなしょうもない奴がいたし。

それより、コイツのバインダーにあるカード、奪えるんじゃないか?」

 

「おっ、いいな。お前も幻影旅団に染まってきたんじゃないか?」

 

「馬鹿言うな、治療代の代わりだよ」

 

 

 18号が男を治癒する傍ら、ウボォーギンはバインダーからカードを取り出していく。

 

 

「何かいいカードあったか?」

 

呪文(スペル)カードが12枚。めぼしいのは……このあたりか」

 

 

【No.1003 『防壁(ディフェンシブウォール)』】

攻撃呪文(スペル)を一度だけ防ぐ。

 

【No.1009 『再来(リターン)』】

行ったことのある街を指定して飛べる。

 

【No.1016 『漂流(ドリフト)』】

行ったことのない街へ飛ぶ。

 

【No.1017 『衝突(コリジョン)』】

会ったことのないプレイヤーの元へ飛ぶ。

 

【No.1039 『同行(アカンパニー)』】

半径20mのプレイヤーを行ったことのある街を指定して飛べる。

 

 

「『再来(リターン)』と『同行(アカンパニー)』は舞空術で代用できるんじゃないか?」

 

「まぁな。でも『同行(アカンパニー)』は半径20mにいる全員だぜ? それは無理だろ」

 

「お前とわたし2人ならいらないだろ」

 

「そんなに俺と二人きりがいいってか。愛を感じるぜ……」

 

「黙れ。で、他には?」

 

「あとは指定ポケットに1枚だけ。これだな」

 

 

【No.030 『コネクッション』】

このクッションに人を座らせると、その人が一度だけお願いを聞いてくれる。

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 18号はウボォーギンから大きく距離を取る。

ウボォーギンは逆に18号へ詰め寄っていく。

 

 

「頼む!! 座ってくれ!!」

 

「絶対に嫌だ。捨てろ、そんなカード!」

 

 

 そのまましばらく、18号とウボォーギンはスタート地点で追いかけっこを続けていた……。

 

 

「何してるの、あれ」

 

「さぁな……」

 

 

 ログインしてきたシャルナークとフィンクスが、そんな二人を奇異な目で眺めていた。

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