とりあえず25話(G.I.編終了)まで書きあがったので投稿します。
3連続投稿のうちの1/3です。
「指定カード90種!? おま、どんな裏技使ったんだよ!?」
ゲーム内で18号と合流したキルアが思わず叫ぶ。
傍にはゴンと見知らぬ少女とゴリラみたいな風貌の男がいる。
「色々あってな……ここまで集められたしゲームクリアを目指すのも悪くないと思ってる」
「そうなんだ。じゃあ競争相手ってことになるのかな」
「いや、そこまで入れ込んでないよ。もののついでってだけ」
18号はそう言って肩を竦めた。
「じゃあ、協力してくれないかな?」
「協力? 別にいいけど、何を?」
「プレイヤーが15人必要なイベントがあってね。出来れば実力がある人を集めてるんだ
15人の海賊とスポーツ種目で個人戦をして8勝しないといけなくってさ」
「で、更に言えばカード収集に執着してないと都合がいい」
キルアが3本の指を立てる。
「No.2『一坪の海岸線』を狙ってるんだけど、カード化限度枚数が3なんだよね。
3つ以上のチームだと確実に仲間割れが起こる」
「そういうことか……わたしは別にいらない――というか、カードはお前らに譲渡してもいい」
「いいの? じゃあ俺達がクリア出来たら、バッテラさんのクリア報酬は18号さんにあげるね」
「報酬?」
18号の耳がピクリと反応する。
「ゲームクリアでバッテラさんの指定するアイテムを持って帰ったら、500億の報酬が出るんだ」
「ご……500億……」
18号はゴンの肩を掴み、ガタガタと揺らす。
「絶対クリアするんだよ。いいね!?」
「う、うん。わわかかっったたよよ」
「よし……で、後ろの二人はその仲間か」
18号が後ろの少女とゴリラ男に目を遣る。
「女のほうはオレらの師匠だよ」
「ビスケだわさ。よろしく頼むわね。ところでもしかしてアンタって、ネテロの爺さんに勝った新人ハンター?」
「ん……まぁな」
ビスケは18号をまじまじと観察する。
「そう……。まぁアンタが噂通りの実力なら、参加してくれると大助かりだわさ」
「でも18号ってプレイヤーじゃないんだろ?」
「ああ。念能力使えないからな……。カードは使えないしイベントには参加できない。
プレイヤーやってるのはウボォーギンだよ」
「じゃあダメじゃないのさ!?」
「ウボォーギンは強いぞ? お前らと比べてだが」
ちなみに今、18号は今1人である。ウボォーギンはまだログインしていない。
「俺はゴレイヌ。ソロでやってるプレイヤーだ」
「……どうも」
「それで、そのウボォーギンって奴はどこだ?」
「まだログインしてないよ。こいつらが話があるって言うからわたしだけ来たんだ」
「そうか。一応再挑戦は1週間後だから、それまでにログインしといてくれるように伝えてくれるか?
詳細な日時が決まったら『
「わかったよ」
そう言うと、ゴレイヌはメモ帳を取り出して何かを書き記す。
「とりあえず、これで5人か」
「最大15試合あると考えれば8勝分、8人は実力者が必要だよな。後の7人は数合わせでいいとして」
「ツェズゲラは入れたくないよなぁ……。とは言え、選り好みも出来ないが」
ゴレイヌは頭を捻るが、特にアイデアは浮かばない。
「18号、なんか知り合いいないの?」
キルアはダメ元で18号に話を振る。
「そういえば、旅団でも2人プレイヤーやってたな。まだやってるかは分からんが」
「幻影旅団か……実力は申し分ないけど、協力してくれるかな」
「ウボォーギンも旅団員だからな。ウボォーから頼めばあり得るかもな」
「じゃあ、とりあえずダメ元でいいから頼んでくれるか?」
「分かった。それより、ちょっと気になることがあるんだが……その15人の海賊ってやつはどんなやつだった?」
18号の質問にゴレイヌが答える。
「どうって……いかにもって感じのならず者だな。全員念能力者ではあるようだが……」
「そんなに強くなさそうだったよな」
キルアがつまらなそうに応じる。
「そうだね……でも、あの人――レイザーだけはかなり強そうに見えたよね?
俺達でも1人じゃ勝てないかも……あ、18号なら大丈夫だろうけど」
ゴンがちらりと18号を見て言った。
「じゃあ、そいつに負けることは織り込んでおいたほうがいいんじゃないのか?」
「あ……確かに。じゃあ9人は最低でも必要になるのか」
「じゃあ、あと4人か……かなり厳しいな」
ゴレイヌは頭を抱える。
「ゴン、キルア、ゴレイヌ、ビスケ、ウボォーギン。これで5人だろ?
仮に旅団の2人――フィンクスとシャルナークを入れても7人。あと二人、心当たりは?」
18号は4人に振り返る。
「ないな。それこそツェズゲラぐらいだ……。
だが、こいつらと協力するってことはゲームクリアを譲るようなもんだしな」
ゴレイヌは肩を落として地面を見つめる。
「でも、このイベントを攻略しないとゲームクリアは不可能……あれ、詰んでね?」
キルアはそう言って大きくため息をつく。
「うーん……何かないの? 一発逆転の方法とか……」
「ないだろ。それこそ18号がプレイヤーになればワンチャンあるかもだが……」
「念能力使えないんだったら無理かぁ……」
ゴンですら攻略に光明を見いだせず、4人に暗い雰囲気が漂う。
「いや、待て……一発逆転? そうか……あり得る話かもしれない」
ゴレイヌがぶつぶつと呟く。
「ゴレイヌ?」
「メンバーを集める難易度や、カード化限度枚数の問題でいっぱいいっぱいだったが……。
それさえクリアすれば、イベント自体の難易度はそれほどでもないな、と思っていただろ?」
「え? あ、ああ……確かに。レイザー以外はザコっぽいしな」
「それがおかしい……簡単すぎる。実はさらに仕掛けがあってもおかしくない」
「はぁ!? これ以上まだ何かあるってのかよ?」
思わずキルアが叫ぶ。
「まだ推理の段階だがな……。恐らく、こちらがある程度勝った時点で
あちらに一発逆転の可能性がある試合が始まる、と俺は見てる」
「何だよそれ……クイズ番組の最後の問題だけ1万ポイントです、みたいなやつ?」
「そこまで露骨かどうかは分からんがな。例えば……レイザー1人で残り全員と戦う、とかだと思う」
「仮に7勝時点でそれやられたらきついな。実力者9人集めてても実質2人で戦わないといけなくなる」
ゴレイヌの推理で更に攻略に暗雲が立ち込める。
しかしゴレイヌはそこで止まらない。
「いや、この推理が正しければこれはチャンスだぜ。
逆手に取ってやればいい。つまり、最初から1回で勝負が決まる試合を提案するんだ」
「あ……そうか、そんな手が……ゴレイヌ、お前天才かよ!」
「とりあえず、方針は定まったみたいだわね」
黙って聞いていたビスケがようやく口を挟む。
「とりあえずわたしは旅団の二人を誘えないか頼んでみるよ。1週間後だったな?」
18号はそう言って、指を立てて額に当て、瞬間移動のモーションに入る。
「ああ、頼む」
「じゃ、またな」
*
――1週間後。
そこには7人の実力者と8人の木っ端プレイヤーが集まっていた。
「お前らが幻影旅団か……」
ゴレイヌが声をかけた先にはウボォーギンとフィンクス、シャルナークがいる。
「ああ、お前がリーダーか?」
「いや、年長者なんでなんとなく仕切ってるだけだ。あんたが18号のツレのウボォーギンか?」
「おう。ツレというかコレだぜ」
ウボォーギンが小指を突き出してゴレイヌに見せる。
「嘘を言うな、バカが」
18号がウボォーギンの頭を小突く。
「いてっ……冗談だよ、冗談。
それより18号、あいつらにカード渡す代わりにデートする約束、忘れるなよ?」
「はいはい……」
うんざりした様子で18号は生返事を返す。
「仲いいな、キミ達……。一応紹介しとこうか。俺はシャルナーク」
「フィンクスだ」
シャルナークは気さくに、フィンクスはぶっきらぼうに自らの名を名乗った。
「何だよ、ノリが悪いなフィンクス」
「乗り気じゃないからな。お前に頼まれなきゃ来るかよ」
「俺達の目的はこの島からアイテムを盗むことだしね。ゲームクリアには興味ない」
「だから呼んだんだけどな……さて」
ウボォーギンはゴン達のほうに顔を向け、近づいていく。
「おめーらがゴンとキルアか。18号から聞いてるぜ」
「おう、よろしくなおっさん」
「おっさ……こっちの生意気なのがキルアか? で、お前が」
「ゴンだよ。よろしくねウボォーさん」
「ああ、よろしく。おめーとは気が合いそうだな」
その時、パンパンとゴレイヌが手を叩き、全員の注目を集める。
「さて、面通しも済んだことだしソウフラビへ向かうぞ。集まってくれ」
ゴレイヌの号令を聞いて15人がゴレイヌの周りに集まる。
「よし……行くぞ。
*
「ふむ……前に見たメンバーもいるな。
海賊の
「まぁな」
「そして……キミも来たか。18号」
レイザーが集団の後ろに控えていた18号に近づいて言う。
「レイザーってお前か……ゲームマスターがイベントの主催者とはね」
「『一坪の海岸線』はG.I.屈指のレアカードだからな。
念能力者にとって高難度のイベントを、となれば実際に強者を配置するしかないだろ?」
「……なるほどね」
18号から視線を切って、レイザーは再び15人のメンバーに身体を向ける。
「さて、知ってる者もいるだろうが……改めて勝負のルールを説明しよう。
勝負形式はスポーツだ。俺達がそれぞれ得意なスポーツでお前たちに勝負を挑む。
15人いるから先に8勝したほうが勝ちとなる」
「……少しいいか」
ゴレイヌが手を挙げてレイザーの話を遮る。
「何かな?」
「そちらも察しているだろうが、こちらはまともに戦えるメンバーが7人しかいない」
「そのようだな。それが?」
「そこで……個人戦のスポーツではなく団体戦のスポーツを提案したい」
「ふむ。それをこちらが受けるメリットは?」
「無い。が、そちらもこちらが順調に勝ち星を積んだら、そう提案するつもりだったんだろう?
それが少し早くなるだけの話だ、違うか?」
「……そこまで見破られていたか。まぁいいだろう、それでも俺が勝つからな」
そう言うとレイザーは能力を発動させる。7体の念人形がレイザーの周囲に現れる。
「種目はドッジボールだ。8対8のな。さぁ、参加メンバーを選びたまえ」
「8人かぁ……7人は決まりとして、あと1人は――」
ゴンはそう呟いて、数合わせで集められた8人を振り返る。
「ひっ、お、俺はやらないぞ!」
「何もしなくていいって言ったよな!?」
「お前らだけでやれよ!!」
予想通り、金切声を上げて参加を拒否する数合わせの8人。
「って言ってるけど、俺達7人だけじゃ駄目?」
「駄目だ。仮に認めたとしても、それでキミ達が得られる勝利数は7勝までだぞ」
「だよね……」
ゴンは肩を落とす。
「ゴン、これくらい想定してないと思うか? 俺が2人分になる――」
ゴレイヌはそう言うと自身の念能力『
「これで文句ないだろ? そっちもやってることだ」
「頭数の問題はそれで問題ないが……勝利数の問題は解決していないな。依然として7勝しかあげられんよ」
「なっ……」
「あくまで参加メンバーで8勝あげないといけないってか」
「そういうことだ。さぁ、どうする?」
場内を重い沈黙が包む。すると――
「わたしが参加するのは駄目か?」
と、18号がぽつりと呟く。
「認められないな。キミは正規プレイヤーじゃない」
「分かってる。だから……わたしの参加を認めてもらう代わり、こちらにハンデを課す」
「ハンデ? まぁ、聞くだけ聞こうか」
レイザーは顎に手を当てて18号の話に耳を傾ける。
「まだ試合のルールを聞いてないが……例えば選手交代とかタイムとか、試合中に認められてる権利をこちらが放棄する。
もしくは、そちらが1回多く使えるようにする、とか」
「それだけか?」
「あとは……そうだな。種目はドッジボールだったな?
だったら……わたしは一切ボールを投げない。一瞬で終わっちまうからね」
18号はレイザーを見て不敵に笑う。
「……そこまでハンデを課しても俺に勝てると?」
「当然だろ」
「……面白い。特別に認めよう。それで勝てたら特例で8勝とする」
*
「何とかなった……のか?」
ゴレイヌが汗を拭いながら言葉を吐き出す。
「なっただろ。18号が参加するんだぜ」
何故か自慢げにウボォーギンが語る。
「それによ、俺には
これを使えば18号が投げられないっつー制約も無意味だぜ」
「おおっ……!」
ゴレイヌをはじめとしたメンバー達が希望を見出して色めき立つ。しかし――
「あれか……もうあれは使うな。ってか使わせない。
力が抜けるのが不愉快なんだよ……いいな」
「は? お、おいマジかよ……」
思わぬ宣告にウボォーギンは頭を抱える。
「ねぇ18号……何か考えがあるんだよね?」
ゴンは18号に向けて質問する。
「ないよ」
「はぁ?」
「これから考える」
「お、お前な……」
そして、最難関イベント『一坪の海岸線』の幕があがる――