「さて、ルールを説明しよう――」
レイザーによる今回のドッジボールの説明は以下の通り。
①内野7名、外野1名でスタート。
②内野がいなくなったら負け。
③コート内の選手はボールが当たったら(顔面へのボールもアウト)アウトになり外野へ移動。
コートの外でキャッチした場合もアウトになる。
④当たり判定としてクッション制を採用。
ボールが落ちるまでに複数の人物当たった場合は全てアウト。
逆にボールが落ちる前にキャッチできれば全てセーフ。
⑤両チーム一度だけ「バック」と宣言すれば外野の選手を内野に戻すことができる。
「これに加えて、非正規プレイヤーである18号の参戦を認めたことによる追加のルールだ」
①18号は外野スタート。
②18号は攻撃目的の投球はできない。パスはOK。
③「バック」の宣言は18号以外はできない。
④18号による「バック」の宣言は内野が残り1名になった時のみ。
⑤レイザーチームは「バック」の権利を2回まで行使できる。
≪補足情報として、ウボォーギンの新能力
「きっちー……」
追加ルールの内容にキルアが思わず弱音をこぼす。
「えーっと……」
矢継ぎ早な説明についていけずゴンは戸惑う。
「とりあえず、ボールは避けるかキャッチしろってこった。
小難しく言ってるが、普通のドッジボールと大して変わらねーよ」
ウボォーギンがゴンの肩を掴んで要約する。
「だね。問題はレイザーがどれぐらい強いかってことだけど」
そう応えたシャルナークがレイザーに目を向ける。
すると、レイザーはボールをゴン達へ向けてぽいっと放り投げた。
「先手は譲ってやるよ」
そう言って不敵に笑うレイザー。
「いいのかよ?」
ウボォーギンはボールを片手で掴むと肩を回して聞き返す。
「戦闘ならともかく、ドッジボールはこちらに一日の長があるのでね。さぁ……かかってくるといい」
「それじゃ、遠慮なく……」
ウボォーギンは18号を一瞥すると、そのまま助走をつけてボールをコートの端の念人形へ投げつける。
ボールはドガッと音を立てて『3』と書かれた念人形の身体に当たって、外野に跳ね返る。
『No.3選手、アウト』
「まず一体――」
外野に跳ね返ったボールを18号が即座にキャッチし、そのままウボォーギンにパスする。
ボールを受け取ったウボォーギンはそのまま間髪入れずに2投目を反対の端の念人形にぶつける。
『No.6選手、アウト』
「まだまだいくぜっ」
ボールは再び外野に落ち、18号の手を経て再びウボォーギンの手に渡る。
先程と同じ調子でボールの投球動作に入る。が――
「させんよ」
「うっ……!?」
ウボォーギンが狙う念人形の前にレイザーが素早く移動してきた。
何とか狙いを変えたいところだが、既にボールは指から離れかけていた。
バシィン!! という音と共にボールはレイザーの右手に掴まれていた。
「動揺したな。こんなもんじゃないだろ、キミの球は」
「ちっ……」
レイザーはボールを弄り回しながら、参加メンバーを眺めていく。
「さて、誰にするか……最初に仕留めておきたいのは――」
狙いを定め、投球動作に入る。
「ゴン、キルア……恐らく、子供と思われてるあたし達は狙われないわさ。
今の機会に、奴の投球を『凝』でよく見ておきなさい」
ビスケが背後からゴンとキルアに声をかける。
二人は無言で頷く。
「……『堅』で防御することをお勧めしておこう。行くぞ」
コートの真ん中あたりから助走をつけて、レイザーの手から豪速球が放たれる。
その軌道はまっすぐシャルナークに向かう。
「うわっ」
捕れないと瞬時に判断したシャルナークは咄嗟に回避。
しかし、その先にはフィンクスがいた。
「おいシャル、ふざけ――っ」
言い終わる間もなく、ドゴォン!!という音と共に外野の壁にフィンクスが叩きつけられる。
「……かはっ」
フィンクスは一度血反吐を吐いて、動かなくなる。
「……死んだか?」
「生きてる生きてる、でもたぶんありゃ内臓がやられてるね」
ウボォーギンとシャルナークがラインギリギリまで近づいてフィンクスの様子を伺う。
「18号に治してもらいたいとこだが……」
『フィンクス選手、アウトです。ボールはレイザーチームの外野へ渡ります』
外野の念人形がレイザーへボールをパスし、再びレイザーの攻撃になる。
「それどころじゃねぇな」
「だね。何とか凌いで……出来ればマイボールにしたい」
「『硬』なら何とか捕れるか?」
「完全に見切れるならいけるんじゃないかな? 加えて念のコントロールも完璧にできるなら。
雑にやるとただ吹っ飛ばされて終わりだ。大怪我は防げるだろうけどね。ウボォー、自信は?」
「ないな。シャルはあれをやるつもりか?」
「まぁね。やるにしても、俺を狙ってくれないと駄目だけど」
レイザーが再び投球態勢に入る。
「次は――」
レイザーが再びレーザービームのような投球を放つ。その軌道はゴレイヌを指し示す。
「うおおおおっ!!」
ゴレイヌは当たる寸前に
密かにコート外に待機させていたそれと位置が入れ替わる。
ゴレイヌと入れ替わった
「位置を入れ替える能力か……面白い」
レイザーがぼそっと呟く。
『ゴレイヌ選手、アウトになります。ボールはレイザーチームのままです』
レイザーは再び外野からボールを手にする。
「やべぇな」
「アウトになるかもだけど、何とかマイボールにはしてみせる。後は頼むよウボォー」
「……了解」
ウボォーギンとシャルナークが話をする裏で、ゴンとキルアとビスケはレイザーの能力について考察する。
「放出能力……だよね? 何か、ボールを押すみたいな感じでオーラが見えたけど」
「ああ、俺もそう思う。自分の腕力+放出系能力であれだけの威力を実現してんだろ」
「あたしもそう思うわさ。でも、放出系だけであれだけの威力はなかなか出せないはず。
ってわけで、あたしが思うに……あいつは強化系寄りの放出系だとあたしは考える」
「あ? 放出系ってのは元々強化系もある程度使えるもんだろ。確か80%だっけ?」
「その通り。でもその他系統との相性ってのは個人差もあるのよ。
普通は【放出100%/強化80%/変化60%/具現化60%/操作系40%】だったとして
【放出100%/強化90%/変化50%/具現化40%/操作系20%】みたいな奴もいる」
「確かに、まともに捕るのも難しい威力は、そうじゃないと説明つかないかも」
「しかも、レイザーはまだ手の内を見せていない。投球はかなり本気だと思うけれど……」
「確かに、能力使ってるなら何かあるかもな。例えば……変化球とか」
「そうか……放出系ならそんなことも出来るんだ」
レイザーの能力や今後やってきそうなことは掴んだ。しかし、対策は何も浮かばない。
「結局、アウト覚悟で力ずくで止めて捕るしかないのかよ」
「強化系の厄介なところだわさ。こっちが搦め手を使おうとしても結局パワー勝負に持ち込める」
「捕れたとして、どうやってレイザーをアウトにするのかも問題だよね」
「オレの
「どっちも相当不意をつかないと無理だわねぇ……習熟度もまだまだだし」
3人の会話を遮るようにレイザーが投球動作に入る。
「レイザー、次はオレを狙ってくれないかな?」
シャルナークがレイザーに提案する。
「ほう……いいだろう」
レイザーが助走を始めたタイミングで、シャルナークは自分にアンテナを刺す。
自分に刺した場合は事前にイメージしたプログラムの通りに動く、完全自動モードとなる。
「行くぞ」
「来い!」
レイザーがシャルナークに向けて豪速球を放つ。
自動化されたシャルナークは両手を『硬』で包み、足に最低限の『凝』で踏ん張りを保つ。
果たして、シャルナークはほぼ完璧にボールを掴むことに成功した。しかし――
「威力が落ちない……!!」
ズズズッ、とコート外へ押し出されそうになるシャルナーク。
ウボォーギンが支えようと動くが、それよりもボールがシャルナークを押し出すほうが早い。
「くそっ!!」
外野とのライン際、シャルナークはボールを空中へ打ち上げる。
それと同時に、アンテナが外れて大きく態勢を崩す。
「ウボォー、捕れ!! それでオレもセーフになる!」
「任せろ!!」
ウボォーギンが空中に手を伸ばす。しかし……
「まだボールは死んでいないぞ」
「何!?」
レイザーが手を90度傾ける。
すると、ボールが内野へ角度を変えてポトリと落ちる。
そのボールをキルアが確保する。
「ボールはくれてやるよ。ワンサイドゲームじゃつまらないしな」
『シャルナーク選手、アウト』
これでプレイヤー側は内野4人。レイザーは5人となる。
「くっ……すまんシャル。『凝』をしてれば……」
「まぁ仕方ない。ウボォーだし」
「おい」
「言ったろ? あとは頼むってさ」
「おう……任せとけ」
【レイザー】
外野3名 No.3/No.6/No.7
内野5名 レイザー/No.1/No.2/No.4/No.5/
【プレイヤー】
外野4名 18号/フィンクス(気絶)/ゴレイヌ/シャルナーク
内野4名 ウボォーギン/ゴン/キルア/ビスケ
「とりあえず、あの念人形を片付けるぞ。レイザーは後回しだ」
「それはいいけど、さっきみたいにカバーに入られたらどうすんだよ」
「こっちも易々と捕れない球を投げる……いや、撃つんだよ」
「撃つ?」
「そうだ、こうやって……」
ウボォーギンはまずボールを周で覆い、切り離して破裂しないように保護する。
そして、ウボォーギンはボールを宙に高く上げる。
ボールが床に落ちるまでの間にオーラを拳に集めていく――
「『ビッグバン』……」
ボールがウボォーギンの目の前に落ちる。
それに合わせて、思い切り拳を振り抜く。
「『インパクト』!!」
放たれたボールはNo.4の身体を貫き、外野の壁をも破壊して止まる。
『No.4、アウト』
「ふむ……オレの球に劣らない威力だな」
レイザーが外野の壁に突き刺さったボールを見て呟いた。
「やるじゃねーか、おっさん」
「おう。……だが、このやり方だと命中率に難があるな。狙ったのはNo.3だったんだが」
「じゃあ、固定砲台みたいに俺がボールを支えてやるよ」
キルアがウボォーギンにそう提案する。
「それはあまり推奨できねーな。手がズタズタになるぜ」
「別に18号に治してもらえばいいじゃん」
「いや、少なくとも内野にいる間は無理だわさ。その間はボールを投げるのも捕るのも難しくなる」
「足手まといが増えるってことか……」
そんな話をしている間に、18号が壁からボールを引き抜いてボールがウボォーギンの手に渡る。
「ま、でもやるしかねぇか……他に何か策はあるか?」
「ないわけじゃないけど……今は無理かな」
「右に同じ。ってかオレとビスケは砲台役ぐらいしか役に立てねーかも。火力出ねーし」
「悔しいけどその通りだわさ。じゃ、ウボォーギンさんはあたしが担当するのがいいかしらね」
「そうだね。オレもキルアのほうが全力を出せると思う」
「決まりだな。だが、その前に……」
ウボォーギンが審判のほうへ顔を向ける。
「審判、ダミーのボールを使うのはアリか? もちろん、攻撃に使うのはどちらか一球だけだ」
『問題ありません。ただし、ダミーのボールが相手の内野に入れば攻撃とみなし、反則とします』
「オッケーオッケー、じゃもう一個ボール寄越してくれ」
ウボォーギンの提案により、キルアとビスケがそれぞれボールを持つ。
そしてその後ろでゴンとウボォーギンが待機する。
「固定砲台が2つ……狙いを分かりにくくするつもりか」
「そういうこったな。さて、どちらを狙うか……」
「ならば、こちらも抵抗はさせてもらおう」
レイザーの隣で控えていたNo.1、No.2、No.4、No.5の4体が重なって一体の念人形(No.12)になる。
「キングスライムかよ。それで止められるって?」
「可能性は高まったさ。さぁ、来い」
「ふん……やってやるよ」
ゴン、ウボォーギンの両名がオーラを集めはじめると、
突然太陽が2つ現れたかのような圧力が空間を包み込んだ。
「……凄まじいな」
レイザーがぽつりとこぼす。
ウボォーギンの『
あれが全力でないことも、相当の実力者であることは伺い知れた。
しかしあの少年――そう言えば名前もまだ知らない――はこれまで影に隠れていたこともあり未知数だった。
だが蓋を開けてみたらどうだ。
あのウボォーギンに優るとも劣らない実力を有しているではないか。
何者だ? あの子供は。
「最初はグー……ジャンケン……」
「行くぜぇ、特大の……ビッグバン――」
「グー!!」
ゴンは叫ぶと同時に集めたオーラを霧散させる。
「インパクトォ!!」
「っ!!」
ウボォーギンの放った球は真っ直ぐ合体したNo.12の身体に突き刺さる。
貫通こそしなかったものの、そのまま外野の壁のオブジェに成り果てた。
「これで、残るはてめー1人だな」
「そのようだな……だが、バックを2回残していることを忘れないことだ」
ボールは再びウボォーギンの手に戻る。
そして再び固定砲台の態勢を取る。
「やるぞ、ゴン」
「うん」
何気ない呼びかけだが、その言葉にレイザーが反応する。
「ゴン……そうか、お前ジンの息子か」
「え……うん。レイザーさん、ジンを知ってるの?」
「ああ。あのバカに誘われてオレはこのゲームのGMをやる羽目になったのさ」
「そうなんだ……ジンの居場所とかって分かる?」
「それは
レイザーはオーラを爆発的に増大させる。
「ジンの野郎に『息子が来たら手加減するな』と言われてるぜ」
その暴力的な殺意の籠もったオーラに、ゴンも思わず唾を飲み込む。
溢れ出した感情の中には恐怖もあったが、それを塗りつぶすほどの好奇心がゴンを突き動かす。
ゴンが懇願するような眼差しで他の3人に目配せする。
もはやダミーのボールを用意した意味はなくなったが、こうなってはどうしようもない。
「やってみろ」
「うん! キルア、全力でやるからね」
「たりめーだ。手ぇ抜いたらぶっとばす」
ゴンは目を瞑り、まず静かに瞑想する。
時間にして30秒、場を沈黙が支配した。
(もっと 威力を――)
オーラが光を帯びるほど拳に一極集中する。
正真正銘、全力の『硬』だ。
「さっきのがMAXじゃなかったのか……底知れないな」
レイザーが『堅』の状態で身構える。
「最初は……グー!! ジャン!! ケン!!」
「グー!!」
ゴォッと空気を裂くような音と共に、ボールがレイザーに迫る。
レイザーは動かない。避けるつもりはないようだ。
「無駄だ、捕れるわけない!」
「だろうな」
レイザーはレシーブの構えを取り、ボールを中空へ打ち上げた。
インパクトの瞬間、『硬』を使うことで威力が殺されてしまっている。
そして、その威力を失ったボールを空中に飛び上がって、悠々とレイザーはキャッチした。
「捕ると避けるだけじゃないってことさ」
そう言って、ボールと共にレイザーは着地した。
「……万事休すか」
キルアが力なく呟く。
「たぶん俺の『
戦闘ならともかく、この手の球技なら無敵かもな……」
「レシーブをアリにするためのクッション制だったのかもね。
もしかして、本当に得意なのはバレーボールのほうだったり?」
ビスケが指摘すると、レイザーは「その通り」とあっさり肯定する。
「さて、本気をぶつけてもらったんだ。こちらも本気でやらせてもらおう」
次の瞬間、外野の1体を除くすべての念人形が消失し、レイザーのオーラとなって戻る。
「来るぞ。どうする?」
「ぶっちゃけ打つ手なし。もう
キルアが肩をすくめてぶっちゃける。
「じゃあ誰を残すかだけど……もう決まってるわね」
ウボォーギン、キルア、ビスケの視線がゴンに集中する。
「え、オレ?」
ゴンが自分を指差して確認する。
「さっき言ってたじゃねーか。何か策があるんだろ」
「あるにはあるけど……そんなに自信があるわけじゃないよ?」
ゴンは難しい顔をしてうつむく。
「ないよりマシだろ。オレやビスケはもう手がボロボロだし、おっさんも万策尽きたっぽいし。
ゴンが残るほうが一番可能性があるんだよ」
「問題はどうやって残すか、だわね。でも案外、4人いれば捕れそうな気もするわさ」
「4人全員がかりで捕るしかないわな。それでゴンが残れば御の字ってとこか」
ウボォーギンがそう結論づけて、それぞれが配置につこうとする。
しかし、それにゴンが待ったをかける。
「あのさ……オレ、1人でレイザーさんの全力を受けてみたい」
「「「は?」」」
ゴンの無謀な提案に3人の困惑が重なる。
「だって、レイザーは俺の全力を受け止めてくれたのに、オレは4人で安全策なんてさ」
「いや、下手したら死ぬぞ?」
「即死はしないと思う。死なないなら18号に治してもらえる。問題ないよね?」
「……イカレてるな。てか、捕れても間違いなくぶっ飛ばれるけどそれはどうすんだよ」
ウボォーギンが至極当然の疑問を返す。
「それは流石にまずいから、俺が吹っ飛ばないように支えてほしい。
オレは捕ることだけに集中したい」
「ホント、勝手な奴だよなお前……。ま、今更だけど」
キルアがひとりごちた。
「なぁ審判、捕球したゴンの身体をライン内に留めるために
俺達がライン外に出た場合、俺達はアウトになるのか?」
『はい。内野の人間が外野に出て、何らかの試合に関わる行為をするのは反則となります』
「わかった。ゴン、死ぬなよ」
ウボォーギンがゴンに一声かけてゴンの背後に待機する。キルア、ビスケがそれに続く。
「作戦タイムは終わったかな?」
「うん。……ねぇレイザーさん。オレ、両手に『硬』を使って全力で受け止めるよ。
だから小細工なしに真っ正面に打ち込んできてほしい」
「フッ……いいだろう。捕れるものなら捕ってみろ!!」
レイザーはオーラを解放し、ボールを高く中空へ放り投げる。
「来い」
ゴンは両手を『硬』で覆って捕球の態勢をとる。
「4人まとめて外野へ葬ってやる」
ボールから少し遅れて自身も飛び上がり、バレーボールのスパイクでボールを叩き込む。
地面に落ちる前に角度を変え、ゴンの身体目掛けて突っ込んでくる。
ゴンは両眼を見開き、驚異的な集中力でもってボールを完璧に捉え、掴んだ。
しかし、両手を『硬』で覆っているため足の踏ん張りは聞かず、そのまま後方へ吹っ飛んでいく。
「世話の焼ける奴!!」
それをまずキルアが電気で肉体を限界以上の速度で動かす能力、『電光石火』で初動から抑え込む。
「ボールを離すんじゃねーぞ、ゴン!!」
続いて、ウボォーギンが『堅』をしつつ、足を『凝』で覆って二人を支え、踏ん張る。
「アンタたち、後ろを振り返ったら殺すからね!!」
最後にビスケが真の姿を晒して、ウボォーギンの背中を支える。
「……」
4人の動きが止まる。
『キルア選手、ウボォーギン選手、ビスケ選手。試合中の外野侵入は反則、アウトです』
3人のアウトが宣告させる。
「……ギリギリだな」
ゴンの足は爪先がギリギリライン際に乗っている状態で止まっていた。
「ったく、とんでもねーこと言い出しやがって……。
あとは頼んだぜ、ゴン。……ゴン?」
キルアがゴンに声をかけるが返事はない。
代わりに「ごぽっ」と奇妙な音だけが返ってくる。
その音のあとすぐ、ゴンはボールを抱えたまま前にばたりと倒れていく。
そして、口のあたりから多量の血が流れ出る。
「おいゴン!!」
「無理もないわさ。前と後ろから凄まじい圧力をかけられたんだから。
それでもボールを離してないのは大したものだけど」
ビスケが冷静に解説する。かなり危険な状態だが、誰もゴンを心配していない。
それはやはり、あの人造人間が控えているからに違いない。
「――バック」
18号が静かにそう宣言した。