流星街に舞い降りた人造人間   作:女主人公スキー

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原作開始(ハンター試験編)
7.ハンター試験へ


「船で行くのか? 私が連れていってやってもいいが」

 

「試験会場の場所はザバンってとこだが……。どうも受験者それぞれに交通機関が指定されてるな。

指定された船で会場へ向かえ、と俺らの受験案内には書いてある」

 

「言う通りにするしかないわけか……面倒だな」

 

「とりあえず18号、お前は大人しくしといてくれ。頭脳労働は俺担当だ」

 

「……お前、わたしをバカにしてるだろ」

 

 

 試験会場を探し当てる試験がはじまる。

二人が乗った船は、いくつかの島を経由して目的地の港へ向かう。

 

 ちなみに乗船する客はすべて受験者だ。

その中には子供や、見慣れない民族衣装の者もいた。

 

 18号とレオリオは大部屋の船室の隅で暇をつぶしていた。

最初の数時間は穏やかなものだったが、夜が近づくと騒がしくなってくる。

 

 嵐とぶつかったのだ。

船が大きく揺れる。船室内は阿鼻叫喚の大騒ぎとなる。

 

 そんな状況でも18号は家から持ってきた携帯ゲームをしていた。

 

 レオリオも平然とした様子で本を読んでいる。

 

 民族衣装の青年はハンモックで熟睡していた。

 

 黒髪の子供は、受験者たちを介抱している。

 

 

「ふふん、今年はちったぁ骨のある奴もいるみたいだな」

 

 

 船室の様子を見に来た船長が呟いた。

 

 

 

 

 その後、さらに大きな嵐が来るとの通告で、殆どの受験者は救命ボートで近くの島へ逃げてしまった。

残ったのは18号とレオリオ、民族衣装の青年、黒髪の子供だけだ。

 

 

「残ったのは4人だけか。名前を聞いておこうか」

 

 

 船長が4人を順に観察しながら言った。

 

 

「オレはレオリオだ」

 

 

 レオリオが先陣を切って名乗る。

 

 

「私の名はクラピカ」

 

 

 続いて、民族衣装の青年が名乗る。

 

 

「オレはゴン!」

 

 

 元気よく黒髪の子供が名乗る。

 

 

「……18号」

 

 

 ぶすっとした顔で18号が最後に名乗った。

 

 

「18……? まぁいい、じゃあハンターの志望理由も聞いておこうか」

 

「なんであんたに答えなきゃならないんだ?」

 

「同じく、回答する必要性を感じないな」

 

「えー、いいじゃん理由を話すぐらい。オレは親父がハンターで、どんなものかやってみたくなったんだ」

 

「……」

 

 

 船長は大きくため息をついた。

 

 

「あのな……もうハンター試験は始まってるぜ。

何のために交通機関が指定されたと思ってる。篩にかけるためだ。

この船での試験官は俺様だ。失格になりたくなきゃ質問に答えな」

 

 

「……私はクルタ族の生き残りだ。4年前私の同胞を皆殺しにした『幻影旅団』をハントする。

それがハンターを志望する理由だ」

 

「幻影旅団……」

 

 

 耳慣れた言葉に18号が反応する。

 

 

「知っているのか」

 

「いや……名前しか知らない」

 

「ニュースで聞いたのか? 俺も名前ぐらいしか知らないな」

 

「オレは聞いたことないよ」

 

 

「幻影旅団はA級首だぜ。熟練のハンターでも手を出せない超実力者集団て話だ。

ま、志望理由としては申し分ない。で、レオリオ。お前は?」

 

「俺の志望理由は金だ。医者志望でね。そっちで大成するにはどうしたって金がいる」

 

「正直な奴だな。まぁそれも立派な志望理由ではある。

で、次――ゴンはさっき聞いたからいいとして、18号、とか言ったか?

お前さんはどうしてハンターを目指す?」

 

「わたしも金だよ。それと身分証明が欲しい。生まれが流星街なんだよ」

 

 

 18号はあらかじめ決めておいた設定を語る。

 

 

「ほう……。思ったよりまともな理由だな」

 

「ねぇ、流星街って?」

 

「公式には無人とされている空白地帯、それが流星街だ。

そこにはあらゆるものが捨てられる。ゴミ、瓦礫、そして人も」

 

「そんな場所があるんだ……」

 

 

 ゴンは自分が何も知らないことに気付かされた。

無我夢中でくじら島から飛び出してきたが、世界は広い。

もっと色んなことを知りたい。そう思った。

 

 

「ねぇ、3人のこともっと教えてよ。クラピカ、クルタ族ってどんな人達なの?」

 

「む……そうだな。説明するより見せるほうが早いな。ゴン、この紙にアシダカグモを描いてくれるか?」

 

「クモ? いいけど」

 

 

 ゴンはさらさらと紙にアシダカグモを描いていく。

その紙を受け取ったクラピカはその絵をじっと見つめる。

するとクラピカの眼が緋色に輝いていく。

 

 

「クルタ族は『緋の眼』と呼ばれる特異体質があるのだ。強い感情の昂りによって発現する。

恐らく幻影旅団はこの眼を狙って同胞を虐殺したのだろう……」

 

「そうなんだ……クモで緋の眼になったのは何で?」

 

「クモは幻影旅団のトレードマークなのだよ」

 

「クモが? 変なの。じゃあレオリオは何で医者志望なの?」

 

「今度は俺か。実は昔、友達が流行病で死んじまってな――」

 

 

 レオリオは身の上話をゴンとクラピカに聞かせる。

そしてゴンは最後に18号に水を向けた。

 

 

「18号さん! 流星街についてもっと詳しく教えてよ」

 

「悪いけど、クラピカって奴以上のことは知らない」

 

「そっか……じゃあ、レオリオとはどういう関係?

恋人じゃないのは匂いで分かるんだけど」

 

「匂いって、犬かおめーは!?」

 

「はぁ……わたしはレオリオの家に居候してるんだよ」

 

 

 ため息をつきながら、18号は簡潔に説明する。

 

 

「匂いが似てたのはそういうことなんだね」

 

「もういいだろ私のことは……船長、嵐はまだ抜けないのか?」

 

「……あと1時間てとこか? そろそろ激しくなりそうだな」

 

 

 船長の予想通り、嵐は一段と激しくなり転覆の危険性が高まる。

ゴン、レオリオ、クラピカの3人は船員の仕事を手伝うべく、甲板へあがる。

18号もついていったが、雨に濡れるのを嫌って屋根の下で大人しくしていた。

 

 その時、船員の一人が海へ投げ出されそうになる一幕もあったが

ゴンが身を投げ出して船員を掴み、二人がゴンの足を咄嗟に掴んで引っ張り上げて事なきを得た。

 

「危なっかしい奴だな、お前はよ!!」

 

「私達が助けられなかったらどうするつもりだったんだ……」

 

「二人なら絶対反応するって信じてたからね。それに18号さんが最悪何とかしてくれるかなって」

 

 

 ゴンが18号に視線を向ける。

 

 

「彼女が? どういうことだ、ゴン」

 

「18号さん、たぶん滅茶苦茶強いんじゃないかな? 根拠はないけど」

 

「野性の勘ってやつか? まぁ、当たってるぜ。俺も本気の18号はまだ見たことないが」

 

 

 こうして、船は港まで辿り着いた。

 

 

 

 

「ドキドキ二択クイ~~~~~~ズ!!」

 

 

 船長のアドバイス通りにザバン市へ向かう道中、不気味な町で老婆に道を塞がれた。

そして二択のクイズに答えられなければ失格だと言う。

 

 

「お前の母親と恋人が悪党に捕まり、一人しか助けられない。

①母親、②恋人……どちらを助ける?」

 

「そんなの答えなんかあるわけ……いや、そういうことか?」

 

「ああ。レオリオ、恐らくお前の考えてる通りだ」

 

「……うーん」

 

 

 レオリオとクラピカは何かに気付き、ゴンは必死に考えている。

そして18号は――

 

 

「両方だ」

 

「は?」

 

「わたしなら両方助けられる」

 

「あのなお嬢さん、これはどちらかを選ぶ問題で……」

 

 

 老婆は呆れながら問題の意図を説明する。

 

 

「実際助けられるのにそんな選択をする意味ないだろ」

 

 

 しかし、18号も譲らない。

 

 

「じゃあ、母親を助けてる間に恋人の頸動脈を斬られたらどうするのじゃ!?」

 

 

 老婆はムキになって反論する。

 

 

「わたしには治癒能力があるからな。問題なく助けられる」

 

「ぐぎぎぎぎ……!!」

 

 

 老婆は地団太を踏む。

 

 

「婆さん許してやってくれ、彼女はゴリラなんだ」

 

「誰がゴリラだって?」

 

 

 18号が拳を振り上げ、ギリギリと握りこむ。

 

 

「じょ、冗談だって冗談!!」

 

 

 

 

 その後、魔獣の凶狸狐(キリコ)のナビゲーターの罠を看破し、遂に試験会場に到着した。

係員からナンバープレートを渡される。

 

 

レオリオ【403】

 

クラピカ【404】

 

ゴン【405】

 

18号【406】

 

 

「君達で406人目だよ。見ない顔だけどハンター試験は初めてかな?」

 

「そうだけど、あんたは?」

 

 

 レオリオが訝し気に尋ねる。

 

 

「俺はトンパ。10歳から受験し続けて今年で35回目のベテラン受験者さ」

 

「35回!?」

 

 

 ゴンは驚愕する。

 

 

「分からないことがあったら聞いてくれ。試験の内容は毎年違うから答えられんが。

受験者についてはリピーターも多いからな」

 

 

 その時、広場から悲鳴が聞こえた。

 

 

「アーラ不思議♥腕が消えちゃった♠」

 

 

 そちらに視線を向けると、奇術師のような男が受験者の腕を切断していた。

しかし、切ったはずの腕の先が見当たらない。

 

 

「44番、奇術師ヒソカ。去年、試験官を半殺しにして失格になった危険人物だ」

 

「そんな奴もいるのかよ!?」

 

「門戸が広いとは聞いていたが……気を引き締めねばな」

 

 

 3人がヒソカについて話していると、ヒソカがこちらに気付き、近づいてきた。

レオリオとクラピカは戦闘の構えをとる。

 

 

「構えなくていいよ♠まだ何もしないから♦あれは無礼な奴だからイラッと来ただけさ♥」

 

「ねぇヒソカさん、さっきのよく見てなかったんだけど、何したの? 腕はどこ?」

 

「あれかい? 奇術だよ奇術♥それより君、いいね♦さっきのを見て物怖じしないなんて♠」

 

「確かに怖かったけど、別に快楽殺人鬼ってわけでもないでしょ?」

 

「ふふ、もちろん♦雑魚を殺すのは趣味じゃない♣(ストレス解消にはなるけど♠)

殺るならそれなりの強者じゃないとね♥」

 

 

 ゴンとの歓談を楽しんだあと、ヒソカは18号に近づいていく。

 

 

「やぁ♠君、さっきから微動だにしていないけど、緊張してるのかな♣」

 

「うるさい、失せな」

 

「退屈してるんだろ♥力を十全に発揮する相手がいなくてさ♣良ければ相手になるよ♦」

 

 

 鼻が触れそうなほど顔を近づけるヒソカに、苛立ちを募らせた18号は

舌打ちのあと、凄まじい勢いで右足を蹴り上げた。

 

 しかし、ヒソカはこともなげにそれを躱してみせた。

 

 

「凄い蹴りだね♦当たっていれば僕は天井のオブジェになっていただろう♥」

 

「……次は当てる」

 

「期待してるよ♠あと、『11番』によろしくね♦」

 

「!」

 

 

 11番とは、旅団員のNo.11――ウボォーギンのことだ。

そう言えば、最近団員の入れ替わりがあったと聞いたが……。

 

 

(こりゃとても下剤入りジュースを振る舞う雰囲気じゃねーな)

 

 

 トンパはそっと下剤入りジュースをバッグに仕舞った。

 

 

 

 

 ジリリリリ、とけたたましいアラームが鳴る。

すると壁の穴から試験官らしき人物が姿を見せる。

 

「現時刻をもって受付時間を終了いたします。それではこれより――」

 

 

 試験官は地面へ降り立ち、長い通路の真ん中に陣取る。

 

 

「――ハンター試験を開始いたします」




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