よろしくお願いします。
先生はセミナー会議室の外に置いてあるラジカセを用意、またミドリに持ってもらい再生ボタンを押した。
コミカルなBGM(ブルアカで有名な曲)が流れて来て、2人のエージェントがセミナー会議室に入って来た。
「「「「えええーーー!!!???」」」」
「ウソでしょ!?」
チーム岡っ引と容疑者ユウカは驚き過ぎて、腰を抜かすとかそのレベルだった。
私も実際に会うまでは半信半疑だったから、気持ちは分かるよ。
本当によく来てくれた…
ユウカは信じられない物を見る目でエージェントを見ていた。
1人は予想出来ていた、同じセミナーの同僚だしそろそろこの活動に文句を言ってくるだろうと思ってたので驚きはしなかった。
問題はもう1人だ、しかし手元にそろっている情報から推測すると間違いないと言わざるおえない。
何故なら緊急会議の場所を、セミナー会議室と指定した人はその人だからだ。
つまりその人と結託して、ユウカをセミナー会議室に誘き出したということになる。
レッツゴー!とBGMが盛り上がった瞬間、サングラスをかけたエージェントの2人は敬礼した。
「容疑者ユウカに物申したいことがあって立候補したエージェントノア、そしてその付き添いで来たエージェントリオです!よろしくお願いします!」
何故エージェントの登場に驚いたのか?
何故エージェントの2人は敬礼したのか?
何故エージェントと合流が遅くなったのか?
その理由はエージェントノアとエージェントリオが、ヴァルキューレ警察学校の制服を着ていたからだ。
目がキラキラしてるミドリはラジカセを止めた。
2人のコスプレ姿に、ユウカは固まった。
逆に2人のコスプレ姿に、チーム岡っ引は大興奮だ。
「か…カッコイイ!カッコイイです!」
「2人共素敵です!アリス感動しました!」
エージェント達は、4人に囲まれてチヤホヤされ始めた。
私は拍手を続けた、目の前に起こった奇跡の光景に目頭が熱くなった。
「泣いてる場合ですか…先生、ちょっとお話があるのでこっちに来て下さい」
そう言われた私はユウカに引っ張られて、会議室の隅に移動した。
「どうしたの?」
「どうしたの?じゃないですよ!なんでリオ会長がコスプレしてるんですか!?」
調月リオ、ミレニアムサイエンススクールの生徒会長。
同じセミナーに所属する、ノアとユウカの上司とも言える存在だ。
ビッグシスターの異名を持つ天才で、明星ヒマリと並ぶ才女だ。
そんなとんでもない肩書を持つリオが、なんでこんなバカみたいなことをしてるのか。
私に確認する為に、引っ張って来たのだろう。
「容疑者ユウカ」
「!?」
後ろから声をかけられて振り向くと、すぐそこにリオがいて驚いた。
「今、リオ会長と言いましたか?」
「は…はい」
更に近付いてユウカをジッと見た。
「私はエージェントリオよ、リオ会長ではありません」
「は…はぁ」
「よろしい」
そう言うとノアの元に帰って行った。
「これは…スゴイことになってるね」ピコッ!
手が付けられないね、と関心した私の頭にユウカはピコハンを付けた。
とりあえずコソコソしててもしょうがないので、会議室の隅から移動しエージェントと合流した。
「先生、お待たせしました」
「待たせたわね、先生」
エージェント2人共は決めポーズを取って、パフォーマンスするとおおお!と歓声が上がった。
「時間稼ぎしてたけど、なんとか間に合ったね」
私は懐からはがきのような紙を出した。
「2人共、準備はいい?」
「勿論です、最近の先生とユウカちゃ…容疑者ユウカとの活動を根掘り葉掘り聞かせてもらいます」
ノアはピコハンで素振りを始め、準備万端だ。
「私はエージェントノアの補佐なので、容疑者ユウカへの追及は控えさせてもらうわ」
リオはノアの部下なのか、これはやりにくいなぁ…
ノアはニコニコしてるし…本人の差し金か?
「ではエージェントの紹介も終わったので、告発状を読んでみるね」
〜告発者Kさん〜
先日、ユウカ先輩をエレベーターで見かけたときの話です。なんと!ユウカ先輩がエレベーターに乗った瞬間、重量オーバーのブザーが鳴りました!それからユウカ先輩がエレベーターに何度か乗り降りしたら、エレベーターが動かなくなって点検中になりました!これはどういうことでしょうか?先生、確認お願いします。にはは(笑)
「…だそうです」
「あれコユキの仕業かぁ〜!!!」ピコッ!
殺意の波動に目覚めたユウカを、目覚しピコハンを振り下ろし意識を現実に呼び戻す。
声でっか…今の一瞬で色々と起こったことが多すぎて、情報の整理がいるな。
「なにするんですか!」
「ユウカ起きた?周り見て周り」
私に言われた通り、ユウカは周りを見た。
ノアとリオは、驚いて固まっていた。
モモイ・ミドリ・アリスは、3人で震えながら抱き合っていた。
ユズの姿が見えなかった、会議室のテーブル下に隠れて1人避難訓練が始まっていた。
「…大きな声を出して、ごめんなさい」
ユウカは冷静さを取り戻し、謝罪した。
「私の見間違えでなければ、女塾の塾長みたいな顔になって眉毛の太さ3倍だったよ?」ピコッ!
3倍は盛りすぎですと、ユウカのピコハンで私の頭が特盛になった。
「エージェントリオ、ここまでの現場を見て最前線なんてこんなものかって甘く見てた?」
「…はい?」
私に声をかけられるとは思ってなかったリオは、油断して気の抜けた返事をした。
「最前線はこんなもんじゃないよ?もっと凶悪な容疑者もいるから油断しないように」
先輩から小言を言われる、新人警察官の気持ちになったリオは背筋を伸ばした。
「…精進します」ピコッ!
「その方が良い」ピコッ!
いつまで警察ごっこしてるんですかと、ノアはリオにユウカは私にピコハンで頭をペンペンした。
「容疑者ユウカ、一応確認なんだけど…告発状の内容って実際に遭遇したの?」
「一昨日だったと思いますけど…はい」
「ブフフッ(笑)」
信じられない内容だったけど、容易に想像出来たのかモモイは笑っていた。
「っー!」
「ひぃ!」
「まーまー落ち着いてよ、もうちょっと詳しく状況を聞きたい」
今にもモモイに掴みかかろうとするユウカを、暴れ馬でも宥めるように説得した。
「それでエレベーターが止まって…どうなったの?」
「その後すぐエレベーター管理業者の生徒…?が来てエレベーターが点検中になったので、階段を使いました」
「…ん?」
なんかそれ…おかしくない?
エレベーター管理業者の人って、そんなすぐ来るの?
「その管理業者の人って…生徒だった?」
「…あ!」
ユウカも気がついた。
管理業者の背丈が、今最も会いたい生徒と同じぐらいであることに。
大体の状況を把握し、私はノアに小声で相談した。
「エージェントノア、これ…ちょっと凄くない?え?そこまでするの…?」
私はユウカへの嫌がらせにそこまでするのかと、ぶっちゃけドン引きだった。
ノアは頭を抱えていた。
「本気でそこまでするのか…でもバレる可能性もあったのに、なんでそんなリスクを取ってまで変装したんだろ…?」
「証拠隠滅が目的でしょうか…?今エレベーターを調べても、なんの証拠も出てこないかと…」
「それでも絶対にバレない、なんてことはないと思うけど…?」
「一昨日のユウカちゃ…容疑者ユウカ、すっごく元気がなかったんですよ…」
ユウカの様子を鮮明に覚えているのだろう、ノアは抜群に記憶力がいい。
人は1度見たもの聞いたものは忘れない、思い出せないだけ…だったかな?
「多分エレベーターを壊したかもしれない、ということがショックで周りが見えなくなったんでしょうか?何があったか聞いても話してくれないし…」
それはそうだ…
いくら仲が良いからって、エレベーターを壊したかもしれない話なんて出来る訳がない。
「ここでまさかの大博打に大勝利するなんて、賭事の才能はない…ってこともないのかな…?」
「これはまた反省室行きですかね…?」
私とノアは戦々恐々と状況を分析したのだった。
「先生、ちょっと待って」
「…ん?」
告発者のイタズラだろうと断定しようとしたが、待ったをかけたのが…
リオだった。
「容疑者ユウカは、本当に冤罪?」
「今のところそう思うけど…」
「では、私も独自に調査してもいいかしら?」
「エージェントリオ、その調査というのは…?」
私は嫌な予感がした。
この発言は、台本にはないアドリブだった。
そしてリオの行動に、度肝を抜かされた。
リオは胸の谷間から、何か道具を取り出した。
その行動にリオ以外が轟沈した。
「「「「!?」」」」
「ちょ…(笑)エージェントノア…(笑)君は自分の後輩になんてことを…(笑)」
「ち…ちが…違います…あんなこと教えてません…フフフフフ(笑)」
やべぇ…ツボに入って動けねぇ、誰かあのブレーキの壊れた暴走自転車を止めてくれ。
「エージェントリオは、何を取り出した…?」
一方リオは、何がおかしいのかしら?と余裕の表情でユウカに近付いた。
リオが取り出した物は、メジャー…?
シュルシュルとメジャーを10センチぐらい伸ばし、女王様がムチでペチペチ音を鳴らす動きをした。
「ブフゥ(笑)」
「っ(笑)」
アリスとユズが噴き出した。
女王様とかクイーンネタかな?
ユウカも少し復活し、リオの接近に警戒した。
最近私と腹筋を鍛えてるけど、火力が違いすぎる…
「容疑者ユウカ」
「…はい」
「今から太もものサイズを測ります」
「…はぁ!?」
リオとユウカ以外が轟沈した。
繰り返すがこれは台本ではない。
アドリブで進行中の展開だ。