よろしくお願いします。
「ターーーイム!」
ここしかない、ここ以外何処でタイムを使う機会があるだろう。
自信を持って、5回しか使えないタイムを使う。
ぶっちゃけ今回は、全部使い切るぐらいの気持ちでガンガン使ってやる。
そもそもタイムは、容疑者が不測の事態を起こした際の万が一の保険だった。
エージェントが不測の事態を起こし、タイムを使うとか前途多難だ…
「タイム?1回の捜査で5回まで有効なタイムアウトのことね」
「知っているの?エージェントリオは何でも知ってるんだね?」ピコッ!
リオを褒めている場合ではないと、ノアのピコハンが私の話にカットした。
「先生!時間がありません!早く話し合いを!」
「おっと、そうだった…チーム岡っ引も集合!」
ユウカ以外を集めて、話し合いを始めた。
「皆は分かってるとは思うけど、今はもう台本の展開ではなくなった」
「えぇ!?」
モモイの驚きの声に続き、チーム岡っ引も動揺した。
「こんな素敵な言葉がある、最低こそ最高だって言葉ね。これ以上、下に落ちることはない。後は上に行くだけって意味だ」
「アリス知ってます!どん詰まりってことですね!」
「大体あってると思うよ」
「えぇ…」
モモイの力が更に抜けた、仕方ない。
やる気が出るように、燃料を投下するか…
「私にいい考えがある、ここでチーム岡っ引に特別ルールを追加する」
「「「「?」」」」
「タイムが終了したら空いてる席に座って、それ以降チーム岡っ引は絶対に笑ってはいけません」
「…え?」
ルールを聞いたユズが疑問の声を出した。
「チーム岡っ引が笑った回数1回につきモモイが書く反省文の残り枚数が、1枚ずつ増えるので協力して笑わないように頑張ってね」
「えぇ〜!!!???」
「お姉ちゃん!?あれだけ手伝ったのに…まだ反省文書いてなかったの!?」
え、ミドリに反省文書くの手伝ってもらってたの?
追加した新ルールは、位置関係を見て思い出した。
絶対に笑ってはいけない挑戦者が、チーム岡っ引。
そして笑いの刺客が、私とセミナー。
「各々言いたいことはあると思うけど…こっからはアドリブで頑張ろう、私も出来るだけ最善を尽くすよ」
「さてと!タイムも終わったし容疑者ユウカ、太もものサイズ測ろうか!」
「測る訳ないでしょ!?何言ってるんですか!?」
お前は何を言ってるんだ?と有名なネタ画像とユウカが被って見えた。
「というか今のタイムって、太もものサイズ測るのを阻止する話し合いにすればよかったのでは!?」
「そういえばそうだね…考えてもいなかった、ユウカ頭いいな」ピコッ!
私が目をつけた自慢の会計だから当然でしょ?とリオのピコハンが私の頭で決算した。
先ずは挨拶代わりに、全員アウト。
「ズルイ!先生ズルイよぉ!(笑)」
「モモイ、まだ戦いは始まったばかりだよ?」
モモイは昨日までのだらけきった自分を、叱りつけてやりたい気持ちでいっぱいになった。
「頑張って、自分に負けないで」
「容疑者ユウカ…あなたの容疑を晴らすために、どうしても必要なことよ?」
「そんな訳ないですよね!?そもそもエレベーターは重さで止まったんですよ!?太もものサイズ関係ありますか!?」
ユウカの正論にミドリ・ユズ、アウト。
あれ…?
よく考えてみたら、告発者のイタズラだった可能性が高いし重さで止まったかどうかも怪しいな。
今更どうでもいいけど。
そんなことより、私は手を上げて発言した。
「エージェントリオ、ここは容疑者ユウカの体重を測ることで妥協しないか…?」ピコッ!
女性の体重を測るなんて、とんでもないことですよとノアの冷静なピコハンが私の頭に重くのしかかった。
「その提案どの辺が妥協してますか!?」
ゼェゼェと息を切らす、くたくたのユウカを見てモモイ・アリス、アウト。
ふんっ!とリオはキメ顔で反論した。
「重さも太さも大した違いはないわ、二文字違いよ」
意味不明の屁理屈で、全員アウト。
「容疑者ユウカ…よく考えて欲しんだけど」
この状況を、因数分解して考えて欲しい。
「ここで太もものサイズを測れば、この程度で済むと思うと…逆にここで測らせた方が良くない?」ピコッ!
これ以上の最悪が待っているのかと、ノア恐怖のピコハンが私の頭にテラーした。
「…どうしても太もものサイズを測らせてくれないのね、なら仕方ないわ」
リオはまた胸の谷間から道具を出して、全員アウト。
これ禁止カードでは?
「えぇ!?」
リオが取り出した道具が分からなかった、しかしノアはその道具を知ってるみたいだ。
私は目を凝らしてその道具を見た、リモコン…?
「今からC&Cにスクランブルを出してここに呼び出し、容疑者ユウカを手分けして取り押さえてる隙に太もものサイズを測ります」
「先生!!止めて下さいっ!!ユウカちゃん!!止めてぇ〜っ!!」
ノアが容疑者ユウカでなく、ユウカちゃんって言ってるからこれ本物…?
やべーな、このブレーキの壊れた暴走自転車…
モモイは顔を両手で隠して、見ないようにしてるけど全員アウトだ。
何とか容疑者と協力してリモコンを没収した。
ノアは涙目でピコハンを叩き込む、1秒間に5発…高速でリオの頭を折檻した。
あのリモコン起動したら、C&C来るの…?
これは…早めに交渉を進めた方がいいと判断し、再びユウカに話しかけた。
「容疑者ユウカ、さっきも言ったけど…」
「もう少し時間を下さい」
凄い早口で交渉に前向きのユウカをバッチリ見てしまい、全員アウト。
「ごめんなさい…アリスはもう…バタッ」
机の上に突っ伏し、アリスのヘイローが消えた。
アリス戦闘不能。チーム岡っ引、残り3人。
「アリスちゃん!?」
「モモイ言い忘れたけど、チームの人数が減ると枚数倍率が増えます」
「ちょ」
「今から1回笑うと、反省文が2枚追加されるから気を付けてね」
「えええーーー!!!???」
容赦ないルール追加にミドリ・ユズ、アウト。
キヴォトス人は笑い過ぎると気絶するのか…これは知らなかった。
というかアリスって、キヴォトスだと5本の指に入るぐらい頑丈だったような…腹筋は違うのかな?
「さてエージェントリオ、自分が何をしようとしたか…分かってる?」
「C&Cをスクランブルで呼び出そうとしたわ」
「分かってるのか…止めてよかったよ」
リオは何か問題かしら?とでも言いそうだ。
これ、分かってないのでは…?
私は納得させる方法はないか、考えた。
「じゃあこうしよう」
私は手を叩いて閃いた。
「C&Cにスクランブルを出したらどうなるか、私が想像出来る範囲で再現するけど…やってみてもいい?」
「分かったわ」
「ならやってみようか、エージェントノアはリモコンをエージェントリオに絶対に渡さないでね」
リオは不満げな様子だったけど、少しはセミナーの心労を理解して欲しかったので再現を始める。
「じゃあ行くよ…?」
全員配置に着いた、ミッションスタートだ。
「はい!容疑者ユウカの太ももサイズを測る為にC&Cへスクランブルを出します!リモコンのスイッチを押しました!」
「ピーーーーーヒョロロロロロロロ!」
理解が追い付かない音で、全員アウト。
「はい!止めま〜す!1回止めま〜す!」
「フフフフフ(笑)」
ノアとユウカも耐えきれず轟沈した。
「エージェントリオ…そうなの?」
「…何のことかしら?」
リオはすっとぼけて、話をはぐらかした。
「いや別にいいんだよ?それはエージェントリオの自由だし…」
「…何の話をしてるの?」
「えーと…私の聞き間違えでなければ、今の音はファックス音だよね…?あーキヴォトスにもファックスあるんだ?」
「あるに決まってるでしょ?バカにしてるの?」
そこじゃないです…と小声のユズ、アウト。
「いやその…C&Cを呼び戻す音がファックス音だと、気が抜けちゃうかなって」
「さっきから何を言ってるの…?」
「…え?」
「C&Cを呼び戻すスクランブルの音が、ファックス音な訳ないでしょう…?」
理不尽で、全員アウト。
「フフフフフフフフフフ(笑)」
ノアは壁をドンドン叩き、笑い過ぎて壊れかけのラジカセだった。
ユズはもう許して…許して…とか言ってる。
悪いなユズ、地獄の三丁目まで付き合ってもらうよ。
私は頭を抱えながら、リオに確認を続けた。
「えーと…だとすると、なんでエージェントリオはファックス音を?」
リオはファックス音を再現した自分を思い出したのか、モジモジし始めた。
「フフッ(笑)」
これがユウカのツボに入り、しゃがみこんでしまった。
「あれは…その…急にリモコンを…押したときの…合図を求められて…」
「あー!リモコン本当は音がしないけど、合図を求められて咄嗟にファックス音を出したんだね!」
「!!…分かってもらえて嬉しいわ、ミレニアムサイエンススクールの生徒会長も大変なのよ?」
私なら問題ないけどね、とサングラス越しウィンクしながら言われたけど意味が分からず全員アウト。
私に内心を理解してもらえたのが嬉しかったのか、ここまで頑なにエージェントを自称してたのに生徒会長って言っちゃったね…
「じゃあ同じところから始めま〜す!はい!リモコンのスイッチ押しました〜!」
「ピーーーーーヒョロロロロロロロ!」
それは変えないのかいと、全員アウト。
これも禁止カードだろ。
「はい!スクランブルに応じてC&Cが来ました!」
扉を開け閉めして、私はガニ股でセミナー会議室の真ん中まで進んだ。
「おい!呼ばれたから来てやったぞ!お前らこんなところで何やってんだ?」
私が想像出来る範囲で再現したのだが…
「フフッ(笑)」
リオは笑っていた。
「あ?どうした?何笑ってんだよ?」
「先生、面白いわね(笑)」
「ていうかお前バカみてぇな格好してんな?」
よく考えたらこの状況を見て、あの人なら絶対言いそうな再現度だったので全員アウト。
凄く嫌な予感がした、怖かったけど一旦止めた方が良さそうなので止めた。
「止めようか、エージェントリオ…?」
「フフッ(笑)…何かしら?」
「ちょっと自信ないけど、面白かった…?」
「先生、それトキの真似でしょ?そっくりよ(笑)」
「…へぇ?」
嫌な予感の正体、それは国家機密級の核爆弾だった。