よろしくお願いします。
私は誤魔化したい一心で、話を反らした。
「エージェントリオさぁ、実は慈愛の怪盗でした〜!とかそういうことはない…?」
「中々鋭いわね」
「あ〜やっぱり!そうなの?」
「冗談よ」
「冗談かぁ…そっかぁ」
なんだろう…凄い疲れる。
私がクタクタになった様子で全員アウト。
「ごめん…2人共…バタッ」
笑いの波状攻撃で、ユズのヘイローが消えた。
ユズノックアウト。チーム岡っ引、残り2人。
「ユズ!?」
ごめんねモモイとユズ、今ちょっと忙しい。
「エージェントリオ、非常に申し訳ないのだけど…今のはネルなんだ」
「…は?ネル?何を言ってるの?ネルはもっと可愛げがあるでしょ?」
その言い方はトキの方がもっと酷いよ?という、答え合わせになってしまうけどいいの…?
「あ…」
「分かった…皆、この話は忘れよう」
私達は勢いで忘れることにした。
本当に聞きたくなかった。
「そうね…メイド服を着ていない、お休み中のトキがタメ口で話すなんてあり得ないわ」
答え合わせまできっちりされて、倍率は3倍で全員アウトだった。
タメ口で話すトキの姿を、想像してしまったユウカも半壊した。
「笑ってるとこ悪いけど…いよいよ被害が私達だけではなく、C&Cにまで飛び火してしまったよ?」
「ここを乗り切れば、終わりが見えて来るはずなんで…もう少し待って下さい」
ユウカは折れなかった、まぁ一理あるな。
「結局何故C&Cを呼んではいけないのか、分からなかったので呼んでもいいかしら?」ピコッ!
度重なる笑いの刺激で鍛え上げられたノアが復活し、ピコハンでリオの頭を再起動した。
「うーん…簡単に説明すると、今回はスクランブルに応じて来てくれると思うんだ」
「ではエージェントノア、リモコンを」
「ただし、今回以降2度とスクランブルに応じてくれなくなると思うよ?それでもいい?」
「…それは困るわね」
お、これは意外と分かってるくれるんじゃないか?
「分かったわ、C&Cをスクランブルで呼び出すのはやめることにするわ」
やったぜ!
ついにこのブレーキの壊れた暴走自転車を、止めることが出来たぞ!
キヴォトスの夜明けは近いなぁ!
「ではミレニアムサイエンススクールの生徒会長権限で、太もものサイズを測らせてもらうわ」ピコッ!
エージェントの肩書はどうした?と、ノアはゲッソリしながらもピコハンでリオの頭にヤジを飛ばした。
いきなり悪の権力者に変貌したリオに、限界の全員アウトだった。
「ううぅぅ…バタッ」
「もうダメ…バタッ」
最後2人のヘイローも消えた。
モモイ・ミドリ、ダブルダウン。
チーム岡っ引全滅。
「エージェントリオ、強権を振るうのはダメだ…」
「何故かしら?」
「容疑者ユウカから訴えを起こされたら、負ける可能性があるので…やめた方がいい」
「では奥の手を使うわ」
その言葉を待ってましたと喜んだ。
良かったなユウカ、ここを乗り切れば我々の勝利だ。
頑張ろう、キヴォトス。
リオは靴を脱いで、ユウカの前に移動した。
は…?何をするんだ…?
「…お願いします」
奥の手は、まさかの土下座だった。
徹夜明けの表情をしたノアは、慌ててリオの元に駆け寄った。
それから力尽くで、頭を上げさせようとしたのだが梃子でも動かなかった。
「ユウカちゃんっ!私からもお願いしますっ!」
ここで更に涙目ノアの土下座!
ここだな、ここしかない。
今こそシャーレ強行犯係の結束力を見せてやるぜ!
「チーム岡っ引!ファイナルスタンドだ!」
「「「「!」」」」
消えていたヘイローが再び現れて、チーム岡っ引はリオの後ろに並ぶ。
「「「「お願いします!!!!」」」」
ここで更にモモイ・ミドリ・アリス・ユズのジェット・ストリーム・土下座!
そして最後に私が誠心誠意、心を込めてこう言えば…ユウカは折れてくれると信じてる。
チームメイトを信じてる。
彼女等らもオレを信じてる。
「容疑者ユウカ、太もものサイズを測らせて下さい」
大の大人も頭を下げて土下座した。
「お願いします!」
容疑者ユウカの冤罪を晴らす為に、7人は力を合わせて土下座して頭を下げたのだった。
「分かりました!分かりましたから!太もものサイズを測っていいので!全員頭を上げて下さい!」
そしてユウカは涙目で折れたのだった。
「我々の勝利だぁ!勝鬨を上げるぞぉ!」
「「「「おぉ〜!」」」」
「ミレニアムサイエンススクール!万歳〜!」
「「「「万歳〜!」」」」
「万歳〜!」ピコッ!
選挙じゃないんですからうるさいのでやめて下さい、とユウカのピコハンが私の頭に当選した。
キヴォトスの夜明けぜよ!
「いいですか!先生は向こうを向いてて下さい!」
〜ユウカの太ももサイズ測定中〜
メジャーで太ももをキュッ!と締める音が聞こえた気がした…
「これは…凄いわね容疑者ユウカ」
「リオ会長…声を出さないで下さい…」
「リオ会長とは誰かしら?私はエージェントリオです、どうやら立場が分かってないようね…?」
お仕置きが必要かしら?とリオはユウカの肩を掴んだ。
「次はスリーサイズを測ります…チーム岡っ引、容疑者ユウカを取り押さえて」
「「ゴヨウダ!ゴヨウダ!」」
「「ゴヨウダ…ゴヨウダ…」」
「良かったですね〜ユウカちゃん」
「た、助けて下さい!先生!」
「あーあーあーあー聞こえない聞こえない」
結局ユウカは体中のサイズを隅々まで測られて、ゆでダコのように真っ赤になってた。
私は計測が終わるまで、聞こえないフリをした。
「早瀬ユウカ、あなたは冤罪であることが証明されました」
おめでとう、と言いながらリオは胸の谷間から吹き戻しを取り出しピロピロ吹き始めた。
何…?そこには何でも入ってるの?
「先生…そろそろ教えていただけますか?どうしてこんなことをしたのか?」
「エージェントリオと結託して、ユウカをセミナー会議室に誘き出したことかな?」
そんなに意外だったかな…?
ユウカは今でも驚いてる。
この場にリオがいることを、実は慈愛の怪盗でしたと言われた方が納得する程だ。
「シャーレ強行犯係は、生徒達の親睦を深める為に私が思いついた暇つぶしだからね」ピコッ!
はっきり暇つぶしと言った、聞き逃さないぞ〜?とノアはピコハンで私の頭を地獄耳した。
「ということは…私達セミナーのために?」
「それもあるけど…エージェントリオは、今の状況を何とかしたいと思ってたみたいだから協力したんだ」
本当は違うけどね…
「そうですか…ところでヴァルキューレ警察学校の制服はどうしたんですか…?」
「こういうことは、形から入った方がいいと私は思うの」
吹き戻しをいつの間にか片付けたのか、リオが話に入って来た。
「ところでエージェントリオ、その制服が凄く気に入ったらしく買って帰るって本当…?」ピコッ!
余計なことは言わなくていいと、リオはピコハンで私の頭を口止めした。
「それより凄いのはエージェントノアだよ、今着てる制服…あれ自前だよ」
「…えぇ!?」
「先生ぇ…?そんな冗談を言うなんてぇ…お茶目ですねぇ…?」
ノアは威圧感とプレッシャーを放ちながら、ゆっくりこちらに近付いてきた。
「あー!冗談だよ!ジョーク!強行犯ジョーク!」
「ふふっ…」
ノアの顔は笑っていたけど、目は笑っていなかった。
その時…私、早瀬ユウカは天啓を得ました。
今回の落とし所、明暗が分かれる瞬間でした。
先生は以前、こんなことを言ってました。
世界最強の軍隊、その将軍は言った。
歴史とは、勝者が記すものだ。
世界最強の海兵隊、その兵士は言った。
歴史は、勝った奴が好きに書き換えるんだよ。
この戦いで私が勝つために何をすればいいか、ハッキリ分かりましたよ。
私は誓ったんですよ。
私が先生を支えます。
私が先生を癒します。
それが私の罪滅ぼしになるのなら…
「ん?どうしたの?ユウカ?」
私から距離を取り、ユウカはこう言い放った。
「先生、あなたを逮捕します」
「…え?」