よろしくお願いします。
私は激怒しました。
テレビ番組で放送されたことを、フィクションだと言っても…
あの人は信じてくれません。
一体、私が何をしたと言うのでしょうか?
絶対に許せません。
ですが…
これはチャンスではないでしょうか…?
今回のことを口実に、今度はこっちがやりたい放題するチャンスです。
この機会に仲良くなる。
もしかしたら、それ以上の関係になれるかもしれません。
そうしましょう…そうしましょう!
絶対に許しませんよ…
シャーレ強行犯係!
それは先生が生徒達の親睦を深める為に思い付いた、組織である。
捜査員は先生とユウカ、そして告発状の内容に応じて各学園からエージェントを呼び寄せて容疑者に真偽を確かめる。
今回のターゲットはミレニアムサイエンススクールの特異現象捜査部だ…
私は水鉄砲を構えて、ミレニアムサイエンススクールの廊下を突き進む。
今回の相手は大物だ、油断してると返り討ちに合うかもしれない。
ユウカもビビりまくってる、ここは強行犯ジョークでも。
いや、やっぱり止めておく…
特異現象捜査部の部室前に到着した、容疑者は我々の接近に気が付いてるだろう。
今回は挑戦者の気持ちで挑もう。
特異現象捜査部の扉は圧力式の自動ドアで、ヘビカメラを使うことが出来ない。
なので今回は、ヘビカメラの新機能を使って部屋の確認を行う。
私はヘビカメラの尻尾を引っ張った、シャー!と音が鳴りモード変更した。
「先生…?何してるんですか…?」
「ヘビカメラの新機能を使う」
「新機能…?」
「ピット器官・ハートビートセンサーだ」
「…なんですか?それ?」
「心臓の心拍音で人の場所が分かる、心音センサーだよ」
「…そうですか」
何言ってんだコイツみたいな目で見られた…
確かにここまで私の妄想だけど、そこまでガッカリすることなくない…?
ヘビカメラの新機能で、部屋に2人の心音を確認した。
「ユウカ、カードキーを頼む」
「はぁ…開けますよ?」
「開いた瞬間突入する」
3…2…1…GOGOGO!!
ユウカは扉横の端末にカードキーをかざした。
ポンポン!ウィーン!
私達は特異現象捜査部の部室に突入した。
「シャーレ強行犯係だ!武器を降ろせ!全員だ!」
パァーン!パァーン!
マジかよいきなり鉄火場だ!!
私は咄嗟にユウカを抱き締めて、その場に伏せた。
「ちょ!?」
「ユウカァ!撃たれたぁ!撃たれたぁ!絶対に頭を上げるなぁ!」
「先生!落ち着いて下さい!銃の発砲音ではありませんよ!」
「1番近い部隊に応援を…え?」
よく見ると紙吹雪が舞っていた。
そして鼻眼鏡をかけたエイミと、パーティーハットを被ったヒマリが…
クラッカーを持って待ち構えていた。
「先生〜待ってたよ〜」
「あら…?少々手荒い歓迎だったでしょうか…?」
気を引き締めよう、私達は挑戦者だ…
私は両手で顔を隠してしゃがみ込む、恥ずかしさで立ち上がれなかった。
「よしよし、いい子いい子…」
そんな私の頭を撫でるエイミ、敗者への同情はご法度だぜ…
「あの…先生は一体?」
困惑するヒマリに、顔を赤くしたユウカは気にしないように目配せをした。
「今まで突入したときに、抵抗されたことがなかっただけですから…」
ユウカの言うことは正しい、この超銃社会キヴォトスで今まで鉛弾が飛んで来なかったのは奇跡だっただけだ。
ゲヘナを無血で超え自信を付け慢心し、警戒心が足らんかったか…
気を取り直して、状況を確認しよう。
「えーと、私達が来ることをヒマリ達は知ってたの…?」
ヒマリはエッヘン!と胸を張った。
「ミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女ハッカーの目は誤魔化せませんよ?」
「部長、先生がミレニアムの敷地内に入った辺りから監視してたんだよ?」
そうだったのか…
…そんな前からバレてたの?
「なら…私達がどんな理由で来たのかも、もしかして知ってる…?」
「勿論です、先生はエイミを捕まえに来たのでしょう?」
…ん?
「えーと、今回は…」
「先生…」
エイミはヒマリからは見えない様に、ウィンクして人差し指を立てた。
私の第六感がニュータイプし木星圏帰りした。
「…そうだよぉ?よく知ってるねぇ?」
「…え?」
私の対応力の高さに、ユウカは驚いてる。
「やはりそうでしたか、エイミが何をやらかしたか…までは分かりませんでしたが」
それだけ分からないのが、不満そうなヒマリだったが…
「後は任せて下さい、面会には毎日行きます」
「それは心配ないよ、シャーレまで連行したらすぐ釈放だから」
「そうですか、ではしばしの別れですね」
「ちょっと先生…」
「…ん?」
ここでユウカが待ったをかけた。
「…良いんですか?こんな騙し討ちみたいなやり方?」
「まぁ…やれるところまでやりたい」
「えぇ…」
確かにこんなやり方は良くないけど、エイミの作戦が気になるから乗っただけだし…
「何をコソコソ話してるのですか!ミレニアムの超天才病弱美少女ハッカーを、仲間外れにするなんて許されませんよ!」
おっと、バレたら厄介だから何か言い訳を言わないと…
「あーゴメンゴメン、記念品は何がいいかユウカと相談しててさぁ…」
「記念品…ですか?」
「そうそう!このまま逮捕したらシャーレ強行犯係の最速記録になりそうだから、贈り物があった方がいいかな〜?と思ってね」
「良いですね〜!全知の学位を持つ私の泊が、更に上がると言うものです!」
「でしょ〜?」
「こうしてはいられません!エージェントユウカ!早く檻を持って来て下さい!」
「は…はい!」
ユウカは慌てて檻を取りに、部屋を出ていった。
「ヒマリは私の活動に詳しいねぇ…」
「フフッ…セミナー会議室の件、それはそれは楽しませてもらいました」
セミナー会議室、あぁ…
「ブレーキの壊れた暴走自転車さんに、腹筋を鍛えさせてもらってます…デュフフw」
悪い顔してるなぁ…
今の顔はミレニアムの清楚な高嶺の花には、全く見えないよ…
自動ドアが開いた。
ユウカは人が1人だけ入れる、小さな檻が積んである台車を押して特異現象捜査部の部室に入って来た。
ガチャ。
檻の扉を開けた。
「はい、準備が出来ましたよ〜」
「行きますよ、エイミ」
さて、ここからどうするんだ…?
「えーん、寂しいよぉ〜」
明らかにウソ泣きだけど…まぁお互いに分かってる感じだな。
「仕方のない子ですね…ホラ、ハグしてあげますから」
「えーん」
エイミはヒマリと抱き合った。
そのままヒマリの体を車椅子から持ち上げた。
「よしよし、いい子いい子…」
「よいっしょ…」
え…?
ヒマリさん…?
気が付いてないけど…?
どういうこと…?
そのままエイミはヒマリを…
檻の中にぶち込んだ。
バタン。
檻の扉を閉めた。
〜明星ヒマリ逮捕、罪状は留保〜
「…は?」
あ…ヒマリが気付いた。
「いぇーい!」
「イェーイ!」
「イ…イェーイ?」
私達は3人で、ハイタッチしたけど…
これでいいのか…?
「まさかこんな簡単に逮捕出来るとは思わなかったよ、私達は今回挑戦者のつもりで挑んだからね…」
「先生!?これは何の冗談ですか!?誰の差し金ですか!?」
「残念ながら冗談ではないよ…」
「どういうことですか!?」
「今回の容疑者は君なんだ、特異現象捜査部の部長…明星ヒマリ」
「この私、ミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女ハッカーが…容疑者!?」
お…事態を把握してきたのか、ヒマリが焦り始めた。
しかし…
パシャ!
ん…なんだ?何の音?
シャッター音…?
エイミが檻に入ったヒマリを、スマホのカメラで撮影し始めた。
!?
それはもう驚いた、エイミ以外の全員。
「エイミ…あなた何をしてるのですか?」
エイミはヒマリの言うことを無視して…
パシャ!
また写真を撮っていた、しかも今度は…
「自撮り」
ヒマリを背景に入れつつ、説明しながら自撮りを撮っていた。
ヒマリは固まってしまった。
目が点になり口を半開きにして、とても全知の学位を持つ才女には見えないアホ面だ。
エイミは撮れた写真を確認して、檻に入ったヒマリを見ながら手で口元を押さえて…
「デュフフw」
見下した様に笑った…
「カッッッチーーーン!!!」
ヒマリの殺る気スイッチが入った。
「ちょっと!?2人共!?あんまり今後に遺恨を残すことは…」
「よく分かりました!これはかわいい後輩が起こしたクーデターですね!?」
いやいやクーデターって、レッドウィンター連邦学園じゃないんだから…
「良いでしょうエイミ!その挑戦!受けて立ちますよ!」
殺る気スイッチの入ったヒマリは、ポケットから何かを取り出した。
取り出したものは…リモコン?
「…フフッ(笑)」
「…え?」
その動きを見て笑い出したのは…
ユウカだった。
「エージェントユウカ?何がおかしいのですか?私はリモコンを…」
「あ…」
マズイマズイマズイ!?
あれを思い出し笑いしたのか!?
「カッッッチーーーン!!!」
ヒマリの殺る気スイッチ、更に倍。
ヒマリはシャーレ強行犯係セミナー編を、穴が空くほど見たんだろうな…
「ち…ちが…違うんです…これは…」
「ごめんなさいねぇ!?胸の谷間からリモコンを出した方が良かったですかぁ!?」
ヤケクソヒマリに、ユウカは轟沈した。
「ちょ…ちょっと、落ち着いて!」
これはちょっとマズイな、この件が終わった後も燻る問題になりそうだ…
しかしヒマリは私を睨め付けて、歯を食いしばり威嚇した。
「クーデターの参加者を、1人炙り出せましたが…先生はどうなんですか!?」
「え!?…私!?」
これは…自信を持って言える。
「気持ちは分かるし、ユウカはミレニアムサイエンススクールの生徒だからしがらみもあるかもね…」
「ほぉ…」
「だけど…今の私はシャーレ強行犯係だから、無論中立だよ」
「成る程、一理ありますね」
お、分かってもらえた…?
「では、先生にテストさせてもらいます」
「…テスト?」
「今からこのリモコンを押します、警備ドローンが押寄せますが頑張って生き残り中立であると証明して下さい」
「…え?」
冗談じゃない!?
ヒマリは私を犬死にさせるつもりか!?
「そんな…無茶な!?」
「中立を証明するためなら簡単なことです、では行きますよ!」
えぇ!?本気か!?
私はビビり過ぎて声も出なかった。
ヒマリがリモコンのスイッチを押した…?
「ピーーーーーヒョロロロロロロロ!」
聞こえて来たのは…
魂のファックス音だった!
「…フフッ(笑)…ブハハハハハッ(笑)」
「…フフッ(笑)」
「…デュフフw」
予想外の一撃必殺に私だけではなく、ユウカとエイミも轟沈した。
「カッッッチーーーン!!!」
ヒマリの殺る気スイッチ、更に倍。
しまった…フェイクだったのか!?
「この私!ミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女ハッカーの頭の良さで自分が怖くなりそうです!身を切る奇策で!またしても裏切り者を炙り出しましたよ!」
「いや、今のは違う…違うんだ!」
「言い訳なんて聞きたくありません!ここにいるクーデター参加者は全員!石打ちの刑になってもらいます!」
「分かった!分かった!釈放する!釈放するから話を聞いて下さい!」
〜5分後〜
結局ヒマリの抵抗に屈して、容疑者を檻から出すことになった…
〜明星ヒマリ釈放、シャーレ強行犯係は圧倒的な戦力に屈して容疑者を解放した〜
「あ〜あ、シャーレ強行犯係の逮捕最速記録が部長のせいでパーだよ…」
「そんな不名誉な記録!要りませんよ!」
捜査は振り出しに戻った、まぁ相手が相手だし一筋縄ではいかないか…
「えーと…一応確認だけど、容疑者ヒマリは逮捕される心当たりとかないの?」
「ある訳ないでしょう…今度は本当に警備ドローン呼びますよ?」
目がマジなの、止めてもらっていいですか…?
「ふ〜ん、強権を振りかざすのはどっかの誰かさんにそっくりだね…」
「今なんと…?」
「いや、何でもないよ…?」
リオがやったことを、ヒマリもするの?という布石を打ったが…効いてる効いてる。
「先生、まどろっこしいことは抜きにしませんか…?」
「…と言うと?」
「その懐にあるのでしょう…?」
ヒマリは私の胸元を指さした。
「私への告発状が…」
!!!
「成る程、容疑者ヒマリは本当にシャーレ強行犯係の放送をよく見てるんだね…」
ヒマリはニヤリと笑った、かなり自信に満ち溢れた顔だ…
「今日は記念日になりそうですね!シャーレ強行犯係、初黒星の記念日に!」
私は懐からはがきのような紙を出した。
「その紙の内容を完全論破して、先生達には惨めに空の檻を押してシャーレへ帰っていただきます!」
その意気やヨシッ…
さぁ!戦いだ!
「いざ尋常にっ!」
「勝負ですっ!」
「「…」」
盛り上がる2人とは裏腹に、なんやコイツら…という目でユウカとエイミは勝負の行方を見守った。