よろしくお願いします。
「目が、目がぁ…」
「先生!?大丈夫ですか!?」
「ゲホゲホ…ああ、大丈夫だ」
ヒマリが逃走を図ろうと放たれた、煙幕と目眩まし…
あの車椅子すげーな!?
まだ少し煙たいし、目がチカチカするけど少しずつ周りが見えて来た。
私はユウカに助けられたのか…?
「助かったよ…ありがとうユウカ」
「さっきの借りは…返しましたよ」
私はユウカの頭を撫でた。
そんな顔をするじゃない…
「容疑者ヒマリは無茶するなぁ…車椅子に煙幕と目眩ましとかガチの奴じゃん」
テレビを見るときは、部屋を明るくして離れて見てね。
やけに静かだけど…どうなった?
「まさか、逃げられた…?」
「安心して先生」
「あぁ、エージェントリオも無事?」
サングラスだから、目眩ましの効果がいまひとつだった…?
「当たり前でしょ…?先生はさっき言ってたこと忘れたの?」
「え?私なんか言った?」
「本物のエージェントからは…」
煙幕が晴れると、トキにガッチリ捕まってるヒマリの姿が現れた。
「…逃げられないわ」
まぁ、それもそうだね…
「エージェントトキ、そのまま容疑者ヒマリを抑えてて…」
「はい」
「な…何を!?」
トキから逃れようとするヒマリだが、びくともしない…
え…?トキ!?
これ車椅子との力比べに勝ってるの!?
「これぐらい余裕です、ピースピース」
ヒェ…
リオは胸の谷間から指輪を取り出し、左手の薬指に付けて全員を半壊させた。
なんでその指なんだよ!?
「奥の手を使うわ」
そして握り拳を作ると…
シャキーン!
指輪から針が飛び出した!
!?
驚いてる暇もなく…
チクッ!
ヒマリの首元に刺した!
針を引っ込めて、手から外した指輪をすぐに胸の谷間にしまった。
「エージェントトキ、もういいわ」
ヒマリの拘束が解除された。
「エージェントリオ!?何やってるの!?」
「我慢の限界だったので一服盛ったわ」
「はぁ!?」
冗談だろ!?一服盛った!?
「セミナー会議室の帰り、カフェで先生の話を聞いたわ」
「セミナー会議室…?」
あー私がリンちゃんからパワーボムやられて、死にかけた後かな?
「スパイ映画の便利道具を、ミレニアムの技術力で再現してみたわ」
「再現!?」
いやいや!そんな聞き齧ったぐらいで、簡単に再現なんて出来るのか!?
かがくのちからってすげー!
「わ…私に何を盛ったのですか!?」
ヒマリは何を盛られたのか、恐怖で顔が白くなっていた。
「安心なさい…体の動きを阻害する、筋肉の動きが一時的に弱くなる薬よ」
あー思い出した!あの話か!
「でもあの薬って確か…」
「そう、効果が出てくるとまともに喋れなくなって…フェとしか言えなくなる」
「はぁ!?」
「さぁ…あなた程の才女が、フェフェフェのフェ〜としか話せなくなるところを私達に見せてもらおうかしら?」
そんなしょーもないことをするために、ミレニアムの技術力を…?
スモールシスターって言われちゃうぞ…
…
「あの…特に何ともないのですが?」
「妙ね…もう効果が出てきてもおかしくないのだけど?」
「ちゃんと薬は確認し…」
ん…?
「エージェントリオ、ちょっと…」
「…はい?」
「エージェントリオ、そのスパイ映画の薬ってさぁ…もう1種類なかったっけ?」
「そっちは扱いが難しく危険だから、持って来てないわ」
あー…
「実はそのスパイ映画なんだけど…」
「何かしら?」
「コメディースパイ映画なんだよ…」
「…は?」
「一応確認してみるね」
「…」
これはそういうことだろうと、意を決っしてヒマリに質問してみた…
「容疑者ヒマリ、質問なんだけど?」
「はい?もう相談はいいのですか?」
「調月リオのこと、どう思ってる?」
「調月リオですか?友達だと思ってますよ?それが何か…」
ヒマリは慌てて口を塞いだ。
「〜〜〜!!!???」
そして大声で絶叫した。
「先生?ユウカさんとエージェントリオが固まってしまいましたが…何が起こっているのですか?」
トキが確認に来た。
「指輪は2種類あって、薬の効果が違うんだけど…エージェントリオは間違えて逆を持って来たみたい」
「その薬の効果は何ですか?」
「…自白剤だよ」
「自白剤…え?」
トキもそんな顔するんだね…
「その薬って…どんな効果?」
「聞かれたことに、何でも答えたくなっちゃう薬だね…」
「ふーん…」
あれ?この声トキじゃない…?
その声は新しいおもちゃを手に入れて喜ぶ、エイミだった…
「部長…沢山お話しましょうね〜」
「〜〜〜!!!???」
呼び方が部長に戻った、良かったね〜許してもらえて…
「先生!認めます!容疑を認めますから!助けて!助けて下さい!」
「…まぁいいか、逮捕します」
保身のために容疑を認めるのか…
私は部室の隅に用意されていた人が1人だけ入れる、小さな檻が積んである台車をヒマリの前まで押した。
「これで連行します、◯◯時◯◯分、明星ヒマリ、あなたを逮捕します」
〜明星ヒマリ逮捕、私はレスバで後輩の画像を無断使用した罪で逮捕されました〜
「イェーイ!」
「イ、イェーイ…?」
余りの達成感に、ユウカとハイタッチしちゃった。
「…」
檻の中でヒマリは何が言いたそうだが、自白剤の効果を恐れ口を塞いでる。
「そろそろネタばらし、しようか?」
「…?」
「あーエイミ、ネット掲示板に貼られた画像だけど流出の心配はないから安心して」
「そうなの…?」
「ホワイトハッカー達が、ヒマリを捕まえるため特別に用意した隔離サーバーの掲示板らしいから」
!?
「どういうことですか!?」
「おかしいと思わなかった?あの掲示板?ヒマリの書き込みに対して当たりが強いとかなかった…?」
「全く気が付かなかったです、まさか…」
「全部私の計画だよ、見境なくハッキングしまくる悪い生徒をお仕置きするために考えたんだ…」
!?
「では、ここまで全部…」
「囮捜査みたいなもんかなぁ…でもまさかヒマリが本当に画像を無断使用するとは、思ってなかったから信じてたのに裏切られた気分だよ」
「…」
「檻の中で少しは反省するんだね」
連行中…
ヒマリの強い希望により、車でシャーレまで移動することになった。
セミナー会議室の話で、私が逮捕された際の大混乱を警戒した配慮だ。
車内でエイミに質問攻めにされて、自白剤の効果が残るヒマリは精神崩壊寸前だった。
私?また不能にするって脅されたから、聞こえないふりしたよ…
こうしてシャーレ強行犯係、5度目の出動は幕を閉じたのだった。
シャーレまでヒマリを送り釈放、4人でカフェでリラックス…出来るのか?
ユウカは参加しなかった。
触らぬ神に祟りなしとか何とか言って、車にも乗らなかった。
ユウカの予測通り、カフェは地獄に。
エージェントリオ土下座Tシャツを着た…
ヒマリとエイミ。
明星ヒマリスリーサイズTシャツを着た…
リオとトキ。
ファミレスによくある4人席に座って、無言という名の冷戦が始まったのだ。
また素直になってもらおうかしら?と指輪から針を出し、牽制し始めるリオ。
それに対してクラッカーを構えて、威嚇するヒマリ。
そしてその両者を止めるトキとエイミ、事態は全面戦争になるかと思われたが…
これがいけなかった。
針を出しっぱなしにしたことで、自白剤の成分が気化しちゃったのだ…
その成分を吸い込んだ4人は、聞かれたことに何でも答えたくなっちゃう状態になり。
全面戦争は回避され…
大暴露大会が始まった。
特にエイミとトキからリオとヒマリのあれやこれやが出るわ出るわ…
ヴァルキューレ警察学校の公安局カンナがここにいたら、もう止めてくださいと土下座して慈悲を求めるレベルのヤバイ内容だった。
そのレベルだと、私にも影響来ない…?
しかし…
2人共…席を立とうとしないのである。
これは多分、サウナでどっちが先に音を上げるか…我慢比べのチキンレースが始まったのだろう。
するとエイミが人柱になる決意をして…
皆は先生にどんな性癖をぶつけたいか?
という質問をした瞬間。
全員が席を立ち、口を塞ぎながらカフェから逃げたしたのだった…
その後…
エイミからモモトークのメッセージで…
兄貴、兄上、兄者、お館様…
どの呼び方好きか聞かれた。
私は嫌な予感がしたので、キャプテンと答えた。
そしたらエイミから、リンが記者会見で記者に銃を突き付けるスタンプが来た…
…なんで?
しばらくしてトキに対する、ネルのウザ絡みはなくなったらしい。
偶然トキがネルと会った際は、顔を赤くしたネルが逃げたしたそうだ…
シャーレ強行犯係のテレビ放送で、フィクションのテロップが大きくなった。
…私は悪くないからな。
最初クラッカーの音にビビッてユウカを守ったシーンを、ヴァルキューレ警察学校のポスターにしたいとカンナ達にお願いされた。
…警察の真似事してる件はスルーなん?
私はいいけどユウカと相談してね、と適当に流したが…交渉は難航してるらしい。
ユウカちゃんが首を縦に振らないと、そのシーンをスマホの待ち受けにしますよ〜?とノアが交渉材料を提示した。
そのままユウカとノアはフィンガーロック状態になったが…ユウカは渋々了承した。
…ノアもいいフィジカルしてるな。
トキから受けたセクハラの被害届を出せるか相談したら、生徒をコマそうとした先生の被害届なんて受け取れる訳ないですとカンナに笑いながら言われた…
ヴァルキューレ警察学校の株主総会で、ゲヘナ現役テロリストの知り合いも認めるアジテーターが乱痴気騒ぎ起こしてやるからな。
…覚えてろよ。
あの対策Tシャツを詳しく調査した結果、学校のお金で作ってたことが判明した。
リオとヒマリはユウカに恥ずかし固めされた後、それを撮影するノアからキツイお仕置きをされたそうだ。
…本当に何やってんの?
ホワイトハッカー達とヒマリの関係は、特に悪化することはなかった。
何故か分からないか、今回の件は引き分け…ということになったらしい。
あなた達のために手加減してあげましたよ?これで勝った気にならない様に…とか捨てゼリフを言ったとか。
…よく引き分けで納得したな?
それからヒマリとエイミは、画像無断使用の和平交渉を始めた。
エイミは根に持つタイプなのか…
私がどんな条件で合意したのか聞いても…
知らない方がいいです…とヒマリは絶対に答えなかった。
…エイミ、恐ろしい子。
つづく