初めての創作です。対戦よろしくお願いします。
浩介の不幸な日
今にも落ちてきそうな、どんよりとした天気だった。このまま落ちてきてしまったら働かなくていいのではとも考えたが、実際そんな事を考えるのは杞憂と言うものだ。諦めてバイト先のコンビニへと出勤するのだった。
僕、松田浩介はこの23年間、人様に言える様な生き方をしてきたかと問われると「いいえ」と答えるだろう。小さい頃からいつも、人の輪から外れた所で遊んでいた様な子どもだった。兄弟などもいなかったため、兄弟で遊んだ経験なんてものもなかった。友達なんてものは、実家に住んでた頃に飼ってたうさぎくらいなものだろう。幼馴染はそんな僕を気にかけて一緒に遊んでくれたりもした。しかし、成長するに連れてそんな事も無くなった。こんな自分と関わるとクラスカーストに響くと踏んでの事だろう。薄情だと思ったが、同時に納得していた自分もいた事が悲しかった記憶がある。
そんな自己嫌悪に陥ってる間に勤め先に着いた。
「お、おはようございます...」
「ッチ...またか。松田くん、一体何回言えば分かるんだ!出勤10分前に着いて身だしなみチェックや業務連絡の確認諸々をやれと言っているだろ!」
どうやら今日も店長の虫の居所が悪い様だ。
「す、すみません...」
「その謝罪も聞き飽きた!君には意識が足りないんだ!意識が!君の様な従業員がいるからこの店の雰囲気が...」
〜♪
「...さっさとお客様対応しろ。」
「わかりました...」
制服を素早く着て、逃げる様にレジへと行った。
いつもは、鬱陶しく思っている客に今回ばかりは感謝した。
「い、いらっしゃいませ。」
今日初めての客は眉間のシワが深い、人相の悪い中年だった。
「おい、俺箸いるって言ったのに、箸ついてなかったぞ!どうしてくれんだ!」
どうやら、僕より前のシフトの人がやらかした様だ。その皺寄せが僕に来たのだ。今日はいつも以上についてない。
「申し訳ございません。お箸を...」
「今更いらねぇよ!」
「も、申し訳ございません。」
「誠意を見せろよ!誠意を!」
「え?」
「金だよ!金!わかるか?か!ね!当たり前だろうが!」
「そんな、そんな勝手な事はできません。」
すがる様な気持ちで同僚に目をむけた。しかし、その同僚は顔を背けた。どうやら助ける気はないらしい。次は店長が助けてくれないか、「関係者以外立ち入り禁止」の張り紙がある扉を見たが、そこには元々扉がなかったかの様に開かなかった。そうキョロキョロしていると
「何ボサっとしてるんだよ!早くしろよ!」
台を叩き割らんとする勢いで、叩きながらそう言った。まるで強盗だ。
「ヒッ、わ、わかりました。」
弾かれた様にレジに入っていた一万円を差し出した。
中年はそれをひったくると、いやらしく笑いながら
「今回はこれで勘弁してやるよ。」
と、捨て台詞を言い放って、去って行った。
寅が去って、未だに生きていることに安堵していると、今まで出てこなかった狼に吠えられた。
「おい、松田ァ!何売上金渡してんだ!」
「で、でも...」
「言い訳してんじゃねぇ!お前が毅然とした対応をして追い払えば済む話じゃないか!」
何故こうも理不尽なのだろう?
「売上金の補填をするのにどれだけ苦労すると思っている!」
大体今回の様な事案は社員である店長がするべきではないか?僕のせいにしようとしているのか?
「お前の給料から天びk「僕のせいにするなぁ!」
店長は大きな音を立てながら、タバコの置いてある棚へ倒れ込んだ。
どうやら僕は殴ったらしい。初めて殴ったからか、拳は痛いし、筋も傷めた気がする。何より自分が殴った事実に茫然としまった。
それからというもの、その場にいた同僚によって、警察を呼ばれたのだった。加害者である僕は、逮捕されてしまったのだった。
逮捕された僕はこれから心臓が張り裂けそうな程不安だった。警察官に取り囲まれた事も、こうして留置所にいるのも初めての事であった。こんな状況で、心の平静を保てるほど図太くなかった。明日には検察に身柄を送致されると言う。正直、普段の生活じゃ聞き慣れない言葉ばかりな上に、若干パニックを起こしてあまり理解出来ていない。僕の人生はこれまでか。これから、転落してどん底の様な人生を送るんだ。そう涙を流していると、思いもよらないことが起きた。
「松田さん、出てください。貴方の容疑は晴れました。外で“妹”さんが待っていますよ。」
おかしい、僕に妹はいないはずだ。
人物紹介
松田浩介
あまりぱっとしない青年。気が弱く、物事を悲観的に捉える悪癖がある。
今まで人と関わった事がないせいか、自己主張が苦手。
今回店長ぶん殴ったのも、そのせい。