もののけは君が好き!   作:ジャンクフーズ

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この話は書きたくて、前編、後編に分けました。
あなたの“癖”は何?


上書き保存(後編)

 

「あの目障りな小鳥は消えたし、次だね!」

「まだやるんだね...。」

 

優希は僕のブックマークを全部再現するつもりのようだ。

 

「ネット小説だね。“異世界転生!!”ね。おにーちゃん、異世界に行きたいの?」

「小説だからこれは残してていいだろ?それに内容も、結構王道で...

「なにこのヒロイン!挿絵までついてるじゃん!そう...この大きな胸であたしのおにーちゃんを誘惑してたんだ。ふーん?そっか?」

「聞いちゃいない...。」

 

優希には内容なんて関係なく、女性が出るかどうかで考えているらしい。創作物のヒロインにすら彼女からしたら敵という事だろう。

 

「そぉ、この子は故郷を滅ぼされて奴隷商に捕まってたっていう設定があるのね...。そう、それでおにーちゃんの同情も引いてたのね...。フ―、フー、許せない。おにーちゃんはこんな、薄幸少女気取ってる子が好きなの!?」

「え、いや、キャラ立てるならこれくらい必要なんじゃ

「あっそう!!こんな子も好きなんだ?見てなさい!!」

「えぇ...そこまで言うことか?」

 

女の影がちらつくだけで、人格が豹変するようだ。病院に連れていくべきか?それに、どうやって一瞬にして変身しているのだろうか?正直、見てみたい。

そんな、よこしまな考えをしていると、異世界から来たような恰好の子が僕のところに近づいてきた。

 

「コウスケ、どう?似合ってる?かわいい?」

「お、おぉ...」

 

ものすごい完成度だ。挿絵にあった通りの姿だ。元の優希の原型が殆ど残ってないくらい。

 

「私、コウスケと一緒にいたいな。いい?」

「す、すげぇ...」

 

思わず感嘆の声をあげた。性格も、何かとヒステリックを起こしてる、いつもの優希じゃなく、小説に出てくるヒロインそのものだ。しかし、ここまで模倣するとヒロインがかわいいになるんじゃないのか?本末転倒な気がする。

 

「ね?私その子と違って現実にいるし、やろうと思ったら魔法だって使えるよ?それに、コウスケにだったら、この胸、使わせてあげる///」

 

どうやら自分が選ばれる為なら手段を選ばないらしい。それに話があらぬ方向へと進みかけている。

 

「ん“ん”っ!わかった。わかった。十分!もう十分だから。」

「私の事選んでくれる?」

「うんうん、きゅうの方がいいかなー。あと、いつもの方がいいなー。じゃないと調子狂うし。」

「ほんと!?えへ、えへへ。じゃあ、元に戻してくるね!」

 

今日一番の笑顔だったと記憶している。あのまま、異世界少女で居続けたら、多分悲しい生き物になったと思う。これで良かったのだ。ブックマークは消されるけど。

 

「お待たせー!おにーちゃんのかわいい、いつもの優希でーす♪じゃあ、この小説は消していいよね?さーくじょ!」

「んんん...」

 

実は、あの小説は今が山場だったのだ。残念だが、妹のアイデンティティを守る為だ。仕方ない。

そう自分の心に言い聞かせていると、優希は次の標的を見つけたようだ。

 

「じゃあ、次は...“耳かきASMR”?何これ?もしかして、おにーちゃん、耳掃除して欲しいの?やってあげる!コットンどこ?」

「コットン?うちには綿棒しかないよ...」

「綿棒?ああ、そっか。じゃあ、それでいいや。持ってきて!」

「はいはい...」

 

耳かきを誰かにされるなんていつぶりだろうか?最後にされたのは小学生くらいだろうか?痛くて苦手だった。けど、大人になって、ああいうのを聞いてるという事は、結局耳かきが好きだったんだろうか?

そんなどうでもいい事を考えながら、きゅうに綿棒を渡した。

 

「じゃあ、おにーちゃん。お膝においで。膝枕してあげる。」

「わかったよ。」

 

動画のシチュエーションにこだわっているようだ。けど、今まで女性経験がないから膝枕なんて初めてだ。あれ?じゃあ婚約してる優希は?そもそも妹と婚約?あれ?

 

「ど う か し た の ?」

「...いや、なんでもない。」

「そっか!じゃあ、始めるね。うわ、おにーちゃん、耳汚いね。」

「うーん、耳掃除はあんまり好きじゃないんだ。痛いからね。」

「そう?あたしはおにーちゃんの耳掃除好きだったけどなー。優しかったし。」

 

あれ?優希に耳掃除した記憶なんてない気がするな...まあいいか。優希も誰かに耳かきなんてした事なんてあるのかな。

 

ガリッ

「いた!」

「あ、ごめん!痛かった?うーん、綿棒使いづらいな...」

「無理してやらなくていいんだよ?今度から自分でやるし。」

「そうだ!」

「え?」

 

何か閃いた優希は早かった。すぐに膝枕をやめ、寝てる僕に覆い被さってきた。すると、僕の顔を横に向かせたと思ったら、あろう事か耳を舐め始めたのだ。

 

「うっ、きゅう?汚いよ?」

「えー?おにーちゃんのは汚くないよ?それにこっちの方が慣れてるし、おにーちゃんの耳も綺麗になるよ?あたしの事は気にしなくていいよ。好きでやってるから。」

「え、でも「はい、はんたーい。」

 

聞いちゃくれない。でも、ずっとこんな調子だと奴が反応してしまう。

 

「あ、ありがとう。もういいよ。助かったよ。だから降りて。」

「そう?でもこのままがいいな。ね、いいでしょ?あ、それから、これ、もういらないよね?」

「そうだね。でもやっぱり降りて欲しいなーなんて。」

「じゃあ次だね。えーと?....ねぇ、おにーちゃん?」

「なんだい?」

「今からシヨっか。ほら、ここもこんなになってるし。」

「い、いやまだ早いと思うなー。」

「でも、再現するって約束だったもんね?」

「...」

 

スマホは返して貰った。でも、返ってこないものを失った。

 





さて、そろそろ「修羅場」を書かないとですね?
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