鳥って小ちゃい方が頭がいい気がします。だってダチョウは頭が悪いですもの。
「うぃー、戻ってきたよー。どったの?松田くん。」
「え、いや、その、実はですね...」
僕は、橋本さんが休憩に行った間の事を話した。正直、僕には手が余るからだ。
「へー。...その子ちょっとやばいんじゃない?」
「ですよね...。」
「とはいえ、松田くんも隅におけないねー。...松田くんって、今、彼女とかいんの?」
「えぇ、います。」
「おぉ、どんな子?」
「僕の妹です。」
「えっ」
その時、店内の時間は止まった気がした。橋本さんも、いつも飄々とした態度だが、この時ばかりは鳩が豆鉄砲を食ったような表情になっていた。
何かまずい事言ったかとおどおどしていると、橋本さんが口を開いた。
「...その、松田くん、それ不味くない?」
「?何かおかしいですか?」
また、時間が止まった気がした。
虫が潰されちゃった。きっと何かあったに違いない。だって、普通の人だったら、あんな虫、気にしないはず。只者じゃないのは確定してる。
あたしは、速く、兎に角速くおにーちゃんの元へと駆けた。電車とか言うあんなおっそい乗り物なんか乗ってられない。タクシーなんて以ての外。あたしが走った方が断然早い。
遂に、おにーちゃんがいる店まで、もう目と鼻の先という所で、誰かあたしの行先を塞いでいた。車一、二台通れるかどうかくらいの狭い道を何かを隠しているような変な子がそこに立っていた。
「ね、もしかして、君が彼をおかしくしてるのかな?」
コイツは何言ってるんだろう。このまま、轢き殺してもいいけど、今からおにーちゃんに会いに行くの。よくわかんない子の血で汚れちゃったらいけない。
だから、あたしは飛び越えた。
けど、少し飛びすぎちゃったみたい。二階建ての家の屋根があたしの目線と同じ所にある。はずなのに、コイツはあたしについてきてはたき落としてきた。
ドガァァァン!!!
本当に容赦がない。首の骨は折れたし、内臓はぐちゃぐちゃになった気がする。
「ゲホッ、ゲホッ」
「痛かったかい?でも、君が悪いんだ。ボクの質問も答えずに彼の所に行こうとするから。」
「チッ、全然かわいくないことするじゃん。アンタ、誰?」
「おや?分からなかったかい?あんまり大した事無いのかな?てっきり分かってると思ってたよ。でも、心当たりはあるはずだ。ほら、これでわかっただろう?」
コイツは、そう言いながら誰かの目を引くように、わざとらしく、大袈裟に付けてるものを投げ捨てた。
そこには、いかにも愛される為に染めたようなわざとらしい、綺麗な黄色で、肩くらいまで伸ばした髪。大多数の目を振り向かせる為の整った顔。
さっきまでとは違った誰かの気を引かせる為の際どい服をきた若い女が現れた。
そいつは、おにーちゃんがブックマークして、おにーちゃんを誑かしていた表向きはアイドルの小鳥だった。
「金糸、すずめッ!!」
「ははは、どうだい?心あたりあるだろう?やっぱり君だったね。彼をおかしくしてたのは。...っと、君とおしゃべりする前に、一旦ギャラリーには眠ってもらおうか。」
そういうと、家の塀から見ていた人に息を吹きかけた。すると、その人は突然、息が詰まったように苦しんで崩れ落ちた。やっぱり、この女はあたしと同じだ。
「...そういう事だったのね。あんただったんだ?虫を潰したのは。」
「あー、アレは君のだったんだね。それは申し訳ない事をしたね?とても、不細工で不愉快だったんだ。君と同じくらいね。なんで、あんなのを使ってるんだい?あぁ、君を見ていたらなんとなくわかるよ。似た者どうし、可愛くないよ。」
「うるさい!!!あんなのと一緒にしないで!!」
ダァン!!
「はっ!怒って地団駄かい?それしてる自分をかわいいと思ってやってるのかな?そんなに自分を「かわいい」と思ってるのかな?申し訳ないけど、ボクの方が彼にふさわしいよ。おっと、これは主観じゃないさ。なにせ、アイドルで実績があるしね。」
「は、ははは、あんたは、有象無象にどう思われてるのか気にしてるの?大事なのはおにーちゃんにどう思われてるかじゃないの?現に、あたしはいつもおにーちゃんに毎日可愛がって貰ってるの。あんたと違って。もしかして、あんた、おにーちゃんに大した事ないどーでもいい存在って思われてるんじゃない?あははは!!」
それを聞いた、目の前の小鳥は、頭に手を抑えてふらついた。
図星だったみたい。にしても、一つ一つがわざとらし過ぎる。イライラする。
「....は、はははははははは!それはない。そんなことはない。そんなはずない。ボクは、ボクは、あの時、彼に、浩介に、握手されて、初めてあんなに優しく笑いかけてくれたんだ。そ、それに、いっぱい見に来てくれて...。そんな、そんなのボクの事を好きで、愛してくれるからじゃないとおかしいだろう?だから、ボクは浩介が迎えに来てくれる時をいつまでも、いつまでも、待って...」
「それ、あんたの妄想じゃない?」
「うるさい、うるさい!うるさい!うるさぁい!」
辺りは段々と薄気味悪く暗くなっていき、目の前の小鳥の様子もおかしくなった。ボコボコと音を立てて、徐々に大きくなり、醜い本性を表した。
そこにいたのは、顔は怒りに歪みきり、胴は蛇の様に細長いが、体の大きさも相まって、龍のようであり、気味の悪い色をした巨大な羽を広げた化け物がそこにはいた。
グエエエエエ!
『お前の腑を生きたまま喰い千切って、地の底に沈めてやる!!』
バトル展開ですね。書けるかな?