遅れましたね。実は、病んだアイルーに悲しみの向こうへ行かされかけてました。ええ、嘘です。本当は、ちょっと遊んでました。すみません。
頭に血が上った小鳥は、怪鳥へと変貌し、怪鳥恋敵を奪った憎きうさぎを仕留めんと、長く、見る者の精神をおかしくする様な不気味な尻尾で周りの家屋ごと、薙ぎ払った。しかし、うさぎは醜い本性を現す事無く、軽々と飛び越えた。
「なぁに?その攻撃?ちょっと冷静になったら?」
『ちょこまかと!!この泥棒女ぁ!!!』
「鬼さん、こっちまでおいでぇ!あははははは!」
グエエエエエエ!!!
さらに、煽られた怪鳥は、とぐろを巻いて飛び上がり、一口で飲まんと大きな口を開けて、うさぎに突撃した。しかし、うさぎのいた場所の地面に、顔面から突っ込んだだけという結果となった。避けたうさぎは、無様を晒した怪鳥の頭上はるか上空にいた。
「下手くそなあんたに、手本を見せてあげる!攻撃ってのはぁ!こうするだよ!!」
うさぎは、怪鳥の顔面をさらに地面に埋め込まんと、自由落下より早く落ち、踏み付けた。はずだった。それを待っていたかのように、尻尾が巻きついてきた。
「なっ!?」
『ははは!こうも簡単に引っかかるなんて!芝居をうって正解だったよ!』
地面から顔をあげた怪鳥は、尻尾に巻きつかれ、身動きの取れない哀れなうさぎを嘲笑し、
『じゃあ、ここからは僕の番だ。』
うさぎをおもちゃのように振り回し、地面に強く叩きつけた。叩きつけられた箇所を中心に蜘蛛の巣の様にひび割れ、辺りには、地響きが轟いた。
『ははは、これでお互い地面に突っ込んで、おあいこだね。いい格好だよ。無様でねぇ!』
「ぐうぅぅぅうぅぅ!このクソ鳥めぇ!ぶち殺してやるぅぅぅぅ!!』
うさぎは怪鳥の卑劣な罠にかかってしまった事に、大いに怒り、そんな真似をした憎き怪鳥を亡き者にするべく、可愛らしい女性の姿を捨てようとした。
『おっと、君も本気を出すのかい?いいと思うよ?いつまでもあのふざけた浩介に媚びる為だけの姿でいるより、醜い君の本性が全面に出た姿の方が似合ってると思うよ!でも少し遅いと思うよ。もう幕切れだ。』
グエエエエエ!はああああああ....
怪鳥は、一鳴きした後、あたりに息を吐きかけた。吐きかけられた瓦礫は黒く煤汚れ、草木は枯れ始め、逃げ遅れたであろう生き物は悶え苦しんだ。そして、怪鳥は怨みの炎を、化けの皮を剥がんとする恋敵目掛けて吐きかけた!
ボォォォォォン!!!
火は口から出た途端、周りの物を飲み込もうと膨れ上がり、爆ぜたのだ。
町は火の海となり、その元凶たる怪鳥を下から照らした。空の暗さと火があげる黒煙とが合わさって、さながら、気に入らない人間の住処を焼き滅ぼした祟り神の様だった。
しかし、化け兎はそれをモロに食らって、所々が燃え、黒焦げになりながらも立ち上がった。
『...お前なんかにぃ!おにーちゃんはぁ!渡さなぁぁいぃぃ!』
『おやぁ?しぶといねぇ。まだ生きてたのか。流石は、同類と言った所か?』
『この地雷女がッ!ぐ、あぁあぁ、ぎ、がッ、い“きが...』
ニタリ顔の怪鳥の首を蹴り飛ばそうと力を入れた途端、力が抜け、息が詰り始めた。何が起きたかと考える化け兎に怪鳥は、こう言った。
『やっと、効いてきたね。どうだい?地の底の空気は?苦しいだろう?分かるよ?ボクも、吸ってしまったことがあるからね。実は、これを同類に使った事がなかったんだ。どうなるか楽しみだったんだ。実験は成功だね。結果はわかった事だし、もう逝っていいよ。』
怪鳥は、悶えて苦しんでいる焼け兎を三度、大木の様な尻尾で嬲り、その後、負け兎を宙に放り投げた。それを尻尾で器用に遠くの山へと打ち飛ばした。着弾地点から化け兎についてた怨みの炎が伝播し、山はたちまち火の海地獄へと生まれ変わった。
『おーよく飛んだ。ホームランってやつだ。ははは、いい気味だ。は、ははははははは!!』
満足したのか、怪鳥はまた元の可愛らしい少女とも言える姿となった。化け物になった時に変わった空も、また元の姿へ戻った。彼女は先程の惨状を作り出した化け物とは思えない愛らしい仕草で、愛しの彼の所へ歩いて行った。
「これで、彼をおかしくする奴は消えた。後は、ボクが幸せになるだけだ。」
後には焼け野原しか残らなかった。
短いですって?うーん、この辺りがキリが良いのですよ。許してください。