書いてる人は、ダチョウ並の向こう見ずなので、基本的にあんまり考えて書いていません。
彼女の事を聞かれ、何も隠さず答えた所、橋本さんとの関係が冷え込んでしまった。どうしたものかと、僕の浅い人生経験が弾き出した解決策は「話を逸らす。」出会った。
「そ、そういえば、橋本さんって彼氏さんっているんですか?なんて、はは...」
「いや、いないけど...」
「...」
「...」
しかし、あまり効果がなかった。さっきまでの雰囲気は、帰ってくる兆しすら見えなかった。僕は、なんでもいいからこの空気を打開したかった。そうして、右往左往していると、天が聞き入れてくれたのか遠くの方から何かがぶつかる音がした。
「...お!事故でもあったかな?」
「結構遠くの方でしょうか?それでも聞こえるって事は相当な大事故でしょうか?」
「もしかしたら、警察とかテレビ局の人がウチに聞き込みにくるんじゃない?私、一度やって見たかったんだよー。」
「うーん、来ますかね?結構遠いですよ?」
「そうだ。一緒に見に行かない?」
「何言ってるんですか。今仕事中ですよ。」
事故にあった人には本当に申し訳ないが、おかげでこの空気を打開できたので感謝している。このまま、さっきの話題を忘れて貰おうと思っていると...
あたりが暗くなってきた。
日が暮れるにしても明らかに早すぎる。
「なんか、おかしくない?ちょっと様子見てくる。」
「僕も行きます。」
店の外に出てみると、遠くの方に昔話から出てきた様な、大蛇に不気味な羽を生やした怪獣が見えた。
グエエエエエエ!
「何アレ?何かの撮影?かなり大掛かりだねー。」
「特撮なんすかね?でも、特撮ってセット作って撮影するんじゃ...」
そう2人で不思議がっていると、怪獣が大きな音を立て街を壊し始めた。これで、怪獣が本物であるかどうか、明白であった。
「う、うわぁぁぁ!」
僕は、本当に怪獣が現れるとは思わず、尻餅を着いてしまった。そんな情けない僕を橋本さんは立たせてくれた。
「ヤバいって!松田くん!立って!逃げるよ!」
「は、はいぃぃぃぃ!」
2人で、一目散に怪獣がいる方向とは反対側に走った。まさか日本でこんな事が起きるなんて。僕は平和ボケしていたのだろうか?にしても、怪獣が現れるなんて誰も予想出来ないだろう。
走っているうちに、大通りに出た。そこでは、僕達と同じように、突然沸いて出た災害から逃げようとする人でいっぱいだった。冷静な人など誰一人としていなかった。
「こんなに人がたくさん...」
「何立ち止まってんの!行くよ!」
「す、すみません!う、うわぁ!」
非日常にあてられてか、膝が笑って転んでしまいそうになるが、死にたくない一心で走り続けた。
ドゴォォォン!
後ろからは、轟音が聞こえる。まだ暴れているのだろう。
「はぁ、はぁ、いやだ、はぁ、死にたくない、」
「逃げろー!!」
「きゃぁー!!」
「ママぁー!!」
周りからは、パニック状態に陥った烏合の衆が逃げ惑っている声が聞こえる。
いつまで、逃げ続けなければいけないだろうか?日頃運動してなかったのが裏目に出てきている。いい加減疲れてきた。もう、諦めてもいいだろうか?
僕の心に諦観の念が押し寄せていると、
ボォォォォォン!!!
爆炎が僕の思考を吹き飛ばした。
爆発の衝撃によって、体の体勢を崩し、熱風に背を押され、転がっていった。
「ぐ、あああ、はぁ、はぁ。」
どうやら、ちょっとした怪我で済んだようだ。自分の状態を把握した後はすぐに橋本さんの安否を確認しようとして、あたりを見回した。そして目に入ってしまった。
僕の後ろにあった街並みやその他全てが火に包まれていた。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
「熱い、熱いよぉぉ!」
巻き込まれた人々は、火に悶え苦しんでいた。
もし、逃げるのが遅れていたら、もし、諦めて立ち止まっていたら僕も、ああなっていたかもしれない。
そして、見つけてしまった。同僚の死を。爆発で飛んできた物の当たりどころが悪かったのだろう。
僕は、この事実を一気に受け止め、耐えきれなかった。
「うわあぁぁあぁぁあぁ!!!!!」
何も考えずに、あの化け物から、あの火から、あの事実から逃げた。
が、逃してくれなかった。燃えた事実は、僕の後ろから頭を飛び越え、追い抜かし、視界の先の方にある山へ飛んで行った。そして、現実を突きつけるように山は瞬く間に燃え広がった。あらかじめガソリンなどを山中に散布していないとおかしい早さで延焼した。
僕は、怪獣から逃げ遠くまで来たつもりだったが、それはただの思い込みで、向こうからすればすぐに脚を伸ばせる距離であった。そして、僕が生きているのは、ただ運が良かっただけだったのだ。
僕は地面にへたり込み、動けなくなった。
周りには、前からも後ろからも火を焚き付けられ、右往左往している群衆の喧騒が聞こえてきた。
何故、ここまで足掻けるのだろう?どうせ、怪獣の気分次第で死んでしまうのに。
ドン!
後ろから誰かに抱きつけられた。
「浩介!生きてたんだね!良かった!」
「え、あぁ。」
そこには、少し汚れてもなお、輝きを失っていないすずめの姿があった。
でも、彼女は、僕の胸に顔を埋めて、泣きついてきた。
「ぐすっ、ぐすっ、良かった。怖かったよぉ...」
抱き着いてきたと思ったら泣き出した彼女に呆気を取られた。さっきまでの絶望が一気に消えたようだった。
僕は彼女を抱きしめて、子どもをあやすように背中をさすった。
彼女だって、アイドルで有名人だが、未成年なんだ。こういう時は年上の人間が頑張らないといけない。
「ほら、大丈夫、大丈夫だから...一緒に逃げよ?」
「! うん。」
すずめは、頷いた。
こうして、2人で安全な所まで逃げた。
空はいつのまにか明るく戻っていた。
もし巻き込まれても、蘇生してました。