もののけは君が好き!   作:ジャンクフーズ

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この作品ってラブコメ?それともホラー?

7/4 修正しました。報告感謝ですわ。


籠鳥は愛を乞う4

 

抜けた後、ボクは違う事務所のアイドルになった。前のグループがテレビとかに出るアイドルなら、今度のグループはライブとかでファンとの交流をメインにするアイドルだ。いわゆる地下アイドルになった。

前のグループでの知名度は一切無かった為、すんなりなれた。

「ふるーつぽんち!」と言うグループだった。そこに、途中加入と言う形で入った。ボクは、地毛が黄色って理由でレモン...つまり黄色担当になった。他にもいちご、ぶどう、メロン、ももがいた。メンバーみんな、その色に合わせて髪を染めていた。

リーダーはいちごさんで、グループの最初期からいるらしい。

 

「あなたが、金糸すずめちゃんね。あなたはいつまで続けられるかしら?」

 

グループの雰囲気は前よりはマシ程度でしかなかった。でも、ここならグループの人数が少ない分、すぐにファンがつくだろうと踏んでいた。

しかし、全然つかなかった。

一番多かったのは、いちごさんだった。古参のファンがついているようだ。他のメンバーも多かれ少なかれファンはいた。ファンがいないのはボクだけだった。

地下アイドルはテレビに出るアイドルに比べてファンと言うパイが少ない事を見落としていたのだ。新入りとして入ってきた時はチヤホヤされたものの、それっきりだった。時折、ボクのイメージカラーの物を身につけてくれる人はいるが、大体一回きりだった。

 

姿を変えても、場所を変えても、愛されないなんて思わなかった。その事実が心に深く刺さり、落ち込んで行った。

しまいには、いちごさんにこう言われた。

 

「あなた、笑えてないわ。もうそろそろってとこかしらね。」

 

どうやら、ボクは笑ってすらなかったようだ。鏡を見て笑顔を作ろうとした。でも、頬が強張って引き攣った笑みしか出来なかった。ボクは更に落ち込んだ。

その出来事から、次第に限界を迎えていった。無意識に泣いていたこともあった。悲しい気持ちじゃなかったのに、突然涙が頬を伝うのだ。それを見て本当に泣いた。目を閉じたら現状が変わっていないか何度も望んだ。

なんなら、全てが終わってないかを望んでいた事もあった。

自分は、本来は愛されない事が宿命付けられているのに、無理に足掻くから傷つくんだ。あぁ、もう疲れた。楽になりたい。

そんな事を思っていた時、彼がきた。

 

その日もいつも通り、ボクのファン以外で埋められた客席へライブをした。それと合わせて、たまにやる握手会もあった。ボクはこのたまにある握手会が嫌いだった。何故なら、ファンがいない事を再認識するからだ。

誰か来てもみんな気まぐれに来ただけだ。次は来ない。そう思うとますます笑えなくなる。そして、誰も近寄って来ない。

そう悲観していると、誰のイメージカラーの物を身につけてない男性がやってきた。彼は他のメンバーに目もくれず、ボクの所に来た。

その男はこう言った。

 

「あなたのファンになりました。握手してください。」

 

その一言で世界が色づいた気がした。でも、こうやってぬか喜びさせるだけの人は何人かいた。なので、

 

「ありがとう。」

 

簡素なお礼を言って握手して終わった。どうせ、次はないだろう。こんな無愛想なボクのファンに誰もなってくれないだろう。

その日、顔が少し痛かった。

 

次のライブの時、彼はファンの群れの端っこにいた。ボクのイメージカラーを身につけて。ボクは嬉しくて彼に手を振った。彼は振り返してくれた。その日のライブは初めて楽しいと思った。初めて、愛されてるって感じた。

 

それからボクは、客席を見渡して彼を探すようになった。

彼は、ライブに来るたびに、必ず黄色を身につけて立っていた。それを見るたびに嬉しくなった。けど、来てない日もあった。何かしらの理由で来れてないのは分かるけど、その日はモノクロに見えた。

ある日、いちごさんにこう言われた。

 

「初めてファンが出来たみたいね。顔が笑ってるわ。」

 

ボクは、彼のおかげでまた笑えるようになった。無意識のうちに涙を流す事もなくなった。終わりを望む事もなくなった。何故なら、初めて誰かに愛されたから。

 

次第に、彼以外のボクのファンが増えてきた。笑えて、愛想がよくなったからだ。他の色に混じって黄色がチラホラ見えるようになった。これを見た時、ライブ中に嬉しくて泣きそうになった。

ボクは、大勢の人に愛されるようになった。

 

 

カナリアの時から全然愛されなかったボクを愛されるアイドルにしてくれた彼の事を知りたくなった。

彼は、どんな名前で、普段何をして、どんな仕事をして、どんな食べ物が好きで...彼の全てが知りたくなった。

その時、なりを潜めていた本能が訴えかけてきた。すぐにわかった。「彼の場所」だ。

それからというもの、時間を見つけては彼の所にいった。そして彼の名前、住所、仕事などあらゆる事を知った。色んな事を知ると更に知りたくなってきた。彼が欲しくなって来た。

 

握手会の時には他のファンにバレないように色んな事を話した。更に惹かれていった。

彼の姿を見るだけで嬉しくなった。思わず走り寄ってそのまま一緒にどこかに行きたくなってしまいたい程に。そして、こう思った。

 

「彼が、浩介が運命の人だ。」




ボクが時折ボキになるんです。すずめちゃんがヤバめのオタクになっちゃう。
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