美しい文章を書きたいこの頃。文豪の腕食べたらいいかな?
「はっ!!」
僕は、何故かここで寝てしまって...。今何時だ?
スマホを覗くと、次の日になっていた。
まずい、早く帰らなきゃ。きゅうがものすごい事になってそうだ。
僕は、この部屋を早々に出ようとした。が、何かに捕まって立ち上がれなかった。
「...おはよう?ボクを置いてどこ行こうとしてるの?」
「...っ」
そこには、可愛らしいアイドル、金糸すずめが添い寝していた。僕が起きたのに気づいて起きてきたようだ。寝起きなのに、彼女の目は見開いていた。大きな瞳には僕しか映ってなかった。
「ボクの質問に答えて?」
「もう帰らなきゃ...妹が心配するんだ。」
「でも、ボク満足してないよ。満足したら帰ってもいいって約束じゃないか。」
「もう勘弁してくれ...。」
「そんなに帰りたいの?ボクの事いや?」
「そんな事はないけど、それとこれは別だ。」
そうして、僕は拘束を解いて、玄関へと向かった。すると、後ろから引き留める様な声が飛んできた。
「歩いて帰るの?多分、2、3時間かかるよ?」
「でも、すずめちゃんを待っていたら、2、3日かかりそうだ。」
「...ふーん。」
そんなやりとりをして、ドアノブに手をかけたが、それは全く動かなかった。
ガチャガチャガチャ....
「あれ?なんでだ?なんで回らない?」
スタスタ...
ガチャガチャガチャ....
「鍵のノブの方向が違うのかな?...」
スタスタスタ....
「これも違うのか?もう全部試したぞ?おかしいな。なんで...」
「行かないでよ。」
部屋の主人は、早々に帰ろうとした招待客の後ろから抱きついて耳元で囁いた。
「お前、何したんだ?」
「ね、お腹すいてない?朝ごはん作ったんだ。食べよ?」
「いらない、僕を出してくれ。」
「そんな事言わないで...。もっといてよ...。」
「うるさい。早く、出してくれ。もううんざりだ。」
僕は、抱きついている奴を振り解いた。そして、閉じ込めようとする奴を睨みつけようとしたが、振り向いた瞬間、掴みかかられた。
ガン!
扉に背中を打ち付けられた。背中が痛い。頭もちょっとぶつけた。
「なにするん...だ...。」
そこには、ボロボロと泣く少女がいた。大きな目から涙が溢れ、可愛らしい唇をつぐんでいた。この姿を見て、さっきまであった苛立ちが霧散し、代わりに罪悪感に襲われた。
少女は、僕に追い討ちをかけてきた。
「もっと、一緒に居てよ...。お願いだから...。行かないでよ...。」
僕は、もう少し少女の側にいる事にした。
「えへへ、浩介、ほら、ジャーン。ボクの作った渾身の朝ごはん!」
すずめちゃんは、笑顔で料理を振る舞ってくれているが、笑ってくれる様にするまで30分くらい彼女を慰めた。そこまでいて欲しいのだろうか?
「浩介、すごいでしょ?」
にしても、これからどうしたものか。このまま、ここに居続けると家がとんでもない事になっている気がする。しかし、帰ったら今度はこの子がとんでもない事になるかもしれない。案外、この子は自分に自信が無いのかもしれない。
「浩介?」
帰ったら、謝らないといけない。もしかしたら、僕にヒステリックを起こして罵って来るかもしれない。それに彼女は何故か僕より大きいし、力も強い。ボコボコにされるかもしれない。
「ねぇ?なんか言って?」
か、もしくは、死ぬ程しぼられるかもしれない。あの子は無尽蔵と言える程の体力がある。激情に任せて、求められたらもしかしたら、帰ったら死ぬかもしれない。もしや、帰らないが正解なのか?
「こ、グスッ、うすっ...け....ねぇ....うぅぅぅ。」
「あ!あああ、ごめんごめん。考え事してたんだ。」
泣き止むまでに、また30分かかった。
泣き止むまでにご飯が冷めてしまったため、また温め直して頂くことにした。
すずめちゃんが作ったのは、和食だった。ご飯にお味噌汁、卵焼き、ほうれん草の和物だった。少し驚いたのは、お味噌汁に卵が入っていた。一般的かもしれないが、僕は初めて見たタイプの味噌汁だからである。
「すごいね。いつも自分で作ってるの?」
「ふふん!すごいでしょ?そうだよ。今日はちょっとだけ頑張ったけどね。」
「そうなんだ。いただきます。」
「召し上がれー。」
「!!美味しい。」
「えへっ、良かった。」
すずめちゃんが作った料理はとても美味しかった。僕より年下でこれくらいのものが作れるなんて、なんだか自分が恥ずかしくなった。
そんな完成度の高い朝ごはんで際立っている物があった。
「この卵焼き、なんかめちゃくちゃ美味しい。これどうやって作るの?」
「えへへへへ、わかっちゃった?やっぱり浩介はわかってくれると思ったよ。それは、卵が違うんだ。」
「へー、どこの卵?なんかブランドみたいなのがあるの?」
「それはね、ボクが産んだもの!」
「へーそうなんだ....ん?」
なんか変な事言った気がする...。
「どうかした?美味しくなかった?」
「いやなんでも...。ところで、これいつ作ったの?」
「え?あぁ、作り置きしてたんだ。こうしたら、朝作らなくて済むからね。」
「そうなんだ。偉いね。」
「もっと褒めてもいいよ?」
その後、すずめちゃんとの朝食は、ずっと和気藹々とした雰囲気であった。
涙は女の武器ってね。