脚の長い蜘蛛が現れてからなんだか空気が綺麗になった気がします。
蜘蛛さんに助けて欲しいって言ったら、まずは、「相手の事を知りましょう。」との事。考えてもなかった。曰く、「これをしなくては、勝てる物も勝てない。」との事。なんか賢くてびっくりしちゃった。「どんな子なのか?」って聞かれたから、説明しようとしたけど...。
「そしたらね、おにーちゃんったら、その音にビクッてして振り向いたの。その時の仕草がとってもかわいくて〜」
“あるじさま、おきもちはわかりますが、くだんのてきについておはなしくださいませ。”
あらやだ、また、おにーちゃんについて話しちゃった。いけないいけない。どうしても、ちょっとでも触れると引っ張られちゃう。
おにーちゃんの事以外あんまり考えてなかったからこんな事になっちゃう。
“あるじさま、このままでは、ひがくれます。”
「ご、ごめん。」
“しかたのないことかもしれませんが...では、こうしましょう。わたくしめのしつもんに、おこたえください。”
「わかった...。」
どうやら、惚気話ばかりしているあたしの為に、質疑応答形式にしてくれるらしい。
“どのようなすがたでしたか?”
「まずは、体がでかく長かったでしょ。それで大きな羽が生えてて、顔が全然かわいくなかった!」
“....もうしわけありません。わたくしのようなむのうでは、あるじさまのごせつめいではりかいができません。その、もうすこしわかりやすくおねがいします。”
よくわかんないからもっとわかりやすく言えって言われちゃった。説明って難しい。
“それでは、しつもんをかえましょう。そのばけものは、むかでのようなからだでしたか?”
「ムカデって足が百本くらいある子でしょ?ううん、足なんて生えてなかったよ。」
“そうですか。では、からだにもようはありましたか?”
「模様?ああ、気持ち悪いのがあったよ。」
“なるほど、ではへびのからだをもつと。それでおおきなはねをもつと。”
「え、うん、そうだったけど...。」
“では、さいごに、かおはおそろしいひとのかおして、あたまに、つのがにほんはえていませんでしたか?”
「生えてたよ。もしかして知っているの?」
“ええ、それは「以津真天」でしょう。”
蜘蛛さん、まさかのあの化け物の事を知っているらしい。何者なの?なんで知ってるの?なんだか、すごい子があたしの味方になってくれたっぽい。
「すごい!蜘蛛さん知ってるんだ!で、どうしたら倒せるの?」
“...あまりきをわるくしないでください。そのもののけは、そこまで強くないのです。みためのぶきみさとはうらはらに、ぶきみなこえをあげてこわがらせるだけのそんざいなのです。”
「え?そんなわけないよ。アイツが吐いた息に触れたら生き物みんな死んでたし、火も吐いてきたよ。そんな鳴くだけの妖怪じゃないよ。もしかして、他の子と勘違いしてない?」
そんなへんてこな子じゃなかったはず、それに「いつまで」って変な名前なんだか弱そう...。
“「以津真天」がひをはく...なら、そうですか...やはり...わかりました、あるじさま。そのもののけは、ただの「以津真天」ではありません。そやつは、「巌窟王」とよばれるものでございます。”
「「がんくつおう」?なんでそんな名前なの?」
“ふつう、「以津真天」はのざらしのしたいからうまれてくるのです。つまり、ちゃんととむらえば、きえるようなもののけなのです。しかし、「巌窟王」はそれに、なにかおそろしいおんりょうが、がったいしたようなやつなのです。そのおんりょうが「以津真天」をおそろしいもののけにかえてるといわれています。「巌窟王」はとあるいちぞくを、みなごろしにした、おそろしいやつなのです。”
「どうしよう!そんな子に、おにーちゃん連れてかれたの!?早く助けないと!けど、どうしたら...」
まさか、金糸すずめはそんな恐ろしい子だったなんて!
あたしは、考えた。あの只者じゃない化け物の倒し方を。真正面からぶつかるにしても、アイツの息が厄介過ぎる。どうしたら...そういえば、「いつまで」は死体から生まれて、とむらう?をすれば、消えるんだった。なら、あの子も生まれた死体をとむらう?をすれば消えるのでは?
「ね!思いついたんだけど、「がんくつおう」の生まれた死体をとむらう?をすればいいんじゃない?そしたら、消えるじゃん!」
“いけません!あやつめに、そんな、おだやかなおわりかたを、させてはなりません!”
「!」
突然、蜘蛛さんが怒鳴った。冷静な蜘蛛さんがこんなに怒るなんて、驚いた。蜘蛛さんは、アイツの事を相当嫌っているみたい。
“...しつれいしました。そんなことをしていては、おにいさまになにかあるやもしれません。おやめになったほうがよろしいかと。”
「そっか...。そうだよね。それに、蜘蛛さんもアイツに恨みがあるんでしょ?」
“くもさん...えぇ...わたしも、もののけにうらみがあるのです。”
「じゃあ、一緒に倒そうね。」
“えぇ、あるじさま、よろしくおねがいします...。”
蜘蛛さんと仲良くなった気がした。
蜘蛛さんの喋る言葉、固有名詞以外ひらがななので読みづらいですね...どうしましょう...