もののけは君が好き!   作:ジャンクフーズ

35 / 35
生きてます!


前日

 

あの苦渋の「戦略的撤退」から、6日。

一週間で仕上がるって言う、決戦の為の道具が1日早く揃った。毎晩のように、連れ去られたおにーちゃんの姿を見て苦しかったけれど、これは「シフクの時」だからまだ、前を向けた。

蜘蛛さんに案内されて、着いた場所はアイツの巣からちょっと離れた所にあった工事現場っぽい所だった。そこに、シートを被せられた重機にしては大きな物と標識のポールを大きな矢にした物が5本並べて置かれていた。

 

「シートが被ってるのがよりい虫さんの為の水字貝で、これが破魔矢?」

“そのとおりで、ございます。”

 

破魔矢って言ったら、なんか、鈴がついていて赤白の目立つ奴を思い浮かんだけど足元に横たわってる物は無骨な印象を受けた。それよりも、やっぱり水字貝の全容が気になった。

 

「ね、水字貝が気になるな。見せて。」

“かしこまりました。”

 

蜘蛛さんはお尻から糸を出しシートにつけた。そのまま手慣れた様子で糸を引っ張った。すると、大きなシートがいとも簡単に外された。蜘蛛さんあたしの掌くらいの大きさなのに、どこからこんな力がでてるんだろう?

味方が強い事はいい事だよね。

シートを剥がされたそこには、脚が6本生えたような見た事ない形の大きな貝殻があった。

 

「わぁ!すごい!これが水字貝なんだ!世の中こんな大きな貝殻転がってるんだね!」

“いえ、じつは、それは、われわれのどうほうが、つくったものでして、たいりょうのかいがらを、すりつぶs...”

「そうなんだ!みんなで作ったんだ!これで火は防げるんだね?」

“...ええ、ひはもちろん、やつのかいりきをもってしても、そうこわせません。”

 

それもそっか。いくら火に強くても、すぐ壊れたらだめだよね。さすがだね!

 

「じゃあ、準備は全部出来たね!で、いつ突撃するの?」

“...おお、せいちょうされましたな。いままでは、すぐにとびさんと、していましたのに。”

「もう!それは前の話!で、いつ?」

“あす、よるくじに、ことをおこそうかと”

「なんでって聞いてもいい?」

“はい、よるのほうが、くるまが、すくないからです。”

「そっか、邪魔だもんね。それまでは、あたし達は...みんなを大きくする練習かな?」

“ほんとうに、せいちょうされましたな。ええ、そのとおりでございます。やりかたは、いままでにもおしえました。おさらいしましょう。”

 

ーーー ーーー ーーー

 

「ねぇ、君って、妹居ないよね?」

 

僕は心臓が跳ねた。妹がいるっていうのは変わらない事実だ。なら、焦らなくていい。普通なら、素っ頓狂な声をあげて疑問を抗議として意思表示すると思う。そんな事思っていたら、口が勝手に動いた気がした。

 

「いや、そんなはずはない。僕は2人兄妹で、僕達は婚約している。」

「...三流映画に出て来る大根役者を見てる気分だよ。セリフに言わされてる感じだよ。それに、その発言なんだかおかしいって、自分で思わなかったかい?」

 

確かに、兄妹って結婚出来なかったような気がする...。思い返してみれば、

.... ?

別に何もおかしくないような気がする。

 

「...何がおかしいんだ?」

 

そう言い返すと、目の前の化け物は僕に対して哀れみの表情を向けてきた。

 

「...はぁ。可哀想。とっても可哀想。本当に可哀想。確信したよ。君は洗脳されてるんだよ。アイツに。本当は幸せにボクと結ばれるはずなのに、あの化け兎に頭の中イジられちゃったんだ。」

 

目の前の化け物は椅子から立ち上がって、ゆっくりと近寄ってきた。

 

「ボクが、元の君に戻してあげるよ。君もそっちの方がいいよね?」

 

背はそこまで大きくないはずなのに、大きく見えた。

 

「そんな事する必要はない!それに、それに....?あれ?」

「ほら。なんかおかしいと思わない?君とその「妹」の事との思い出を思い出してごらん?」

 

僕はなんだか違和感のする頭でどうにか思い出してみた。

どうやっても、思い出せるのはここ最近のことばかりだった。具体的には警察署であった所から。その日も忘れてるにしては妙な虫食いのような記憶の欠落があった。矛盾ばかりが思い浮かんできた。

 

「ええ?へ?....?」

 

最近の優希との思い出だけがなんだかとって付けられたような感じがしていた。急に足場が無くなったかのように足が震えてきたのだ。今まで愛していた者が途端に怖くなってきた。

すると、ふわりと抱きしめられた。

 

「!」

「良かった。気付けたんだね?怖いだろう?でも、大丈夫だよ。ボクがついてる。」

「で、でも...」

「ボクも怖いのかい?」

 

僕は正直に頷いた。

 

「ははは、仕方ないよ。ちょっと取り乱していたのもあるけど、これも全て君の為なんだ。実は、確信はしてなかったけど、そうなんじゃないかって思ってたんだ。だから、色々やってたんだ。それで、怖く写ってしまったんだったら、謝るよ。ごめんね?」

 

僕は、それを聞いてなんだか安心して眠ってしまった。化け物...すずめちゃんに寄りかかって。

 

「...やぁっと、取っ掛かりが出来た。アイツ、もしかして死んでないのかな?」

 




すずめちゃんの言ってる事は大体嘘。ヒロインはどっちも嘘つき。
感想聞かせてください。(乞食)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。