あの妹「オムライス」作ってた!久しぶりに聴くと笑ってしまった。
今日は、ずっと嬉しい。何故なら、初めておにーちゃんと同じベッドで寝てるからだ。それに、おにーちゃんの“刷り込み”がうまく行っていれば今日から、思い通りの日常を送れる。
「うーん、おにーちゃんから離れたくないー。でも朝ごはん作らなきゃ。あたしがご飯と洗濯を担当してる事にしてるもんね!あ、そうだ!」
チュッ
「キスしちゃった。起きてる時に深いのをしよ!」
おにーちゃんとずっとベッドにいたい気持ちを抑え、台所に向かった。特製オムライスをご馳走様するためだ。
なぜオムライスかと言うと、“刷り込み”してる時に知ったんだけど、おにーちゃんはママに作って貰ったオムライスが好物だって。
食材は1つを除いて昨日のうちに用意してある。それはお肉だ。普通は鳥肉らしい。けど、それじゃ“刷り込み”を完璧にできないし、あたしの愛を伝えられない。じゃあ、それは何かって?それは
「えい!」
ザシュッ!ゴトッ...
うさぎ肉。そう、あたしのお肉。あたしは、包丁で自分の左肘から先を切り落とした。
切り落として大丈夫なのって?大丈夫!あたし生やせるから!
ずるん
「これでよし!」
けど、まな板は血だらけになっちゃったし、包丁も欠けちゃった。失敗、失敗。気を取り直して、次の作業をしなきゃ!
あたしは、素早くお肉を削いだ。チキンライスならぬラビットライスにするんだから。骨は...食べちゃお。
バキッ、ボリボリ、ゴクン
これで食材は全部揃ったね!さてと...どうやって作るんだろう?
特製オムライスを食べさせたい気持ちが先走って、どうやって作るかを考えてなかった。それにおにーちゃんも、オムライスは好きで材料はなんとなく知ってるっぽいけど作り方は知らないみたい。あたしったら、うっかりしちゃった!でも大丈夫!スマホを使えばすぐ調べられるよ。使い方は、おにーちゃんの頭弄った時に覚えたもん。
「スマホは...あった!パスワードは...おにーちゃんの誕生日!オムライス、オムライス、オムライスの作り方はー、あった!」
スマホは便利だけど、おにーちゃんはちっさいイラつくアイツを見ちゃうかもしれない。禁止しようかな...
作り方が分かったあたしは、早速作り始めた。
「まずはご飯を硬めに炊く...これじゃ時間がかかるなぁ。うーん。ま、いっか!」
おにーちゃんのベッドで待ってればあっという間だし。もし、おにーちゃんが起きてきても、キスして眠らせちゃお。ん?他の作業をしろって?何も聞こえませーん!
そして、40分待った。でも、おにーちゃんは起きてくることはなかった。意外とおにーちゃんはお寝坊さんかもしれない。
「えーっと、次は...玉ねぎは微塵切り、お肉は一口大に切るだね。」
玉ねぎを切ってると涙が出るらしい。けど、あたしがやった時は全然出なかった。おにーちゃんは涙脆いんだね。玉ねぎの為に泣いちゃうおにーちゃんかわいい!お肉はいきがいいのかピチピチ動いてた。流石あたし!
「次はフライパンに油をひく!お好みでにんにくをつけてもいいって書いてあるけど、ないからパス!」
材料はおにーちゃんの記憶頼りだから、おにーちゃんが知らなかった用意出来ない。もしかしたら、おにーちゃんが昔食べたのにはにんにく入ってたかもしれないね。次は入れてみようかな?
「次は玉ねぎを弱めの中火でしんなり透き通るまで炒める?うーん、いまいちよくわかんないなー。とりあえず、やってみよ。」
おにーちゃんは玉ねぎを炒めた事なかったみたい。というより、1人でここに住んでる時は料理なんて一切してなかった。菓子パンとか、ゼリーばっかだった。
「あ、ほんとだー色が変わった!えっと?あぁ、ここでお肉ね!」
ジュワー、ビチビチ!
「もう、大人しくして!おにーちゃんに食べて貰えるんだよ?」
あたしのお肉をフライパンに入れた途端、暴れ出した。こんなことになるなんて。いきがよすぎるのも考え物だね。
お肉が大人しくなった所で、次の作業をした。
「えっと、ケチャップを混ぜて全体がチキンライス色になる様に混ぜながら炒め、ブラックペッパー...黒胡椒の事だよね?を加えます...か。」
今の所順調にいってる。でも、順調過ぎて面白くない。それに何か物足りない気がする。うーん、何かオリジナリティがあって、そこまで味が変わらない何か...そうだ!
シュッ、ボタボタボタ
あたしは、包丁で手首を切った。切り傷から流れる赤黒い液体をチキンライスにかけた。
そう、血。ケチャップも赤いから。大丈夫だよね!けど、ちょっとかけすぎたかも。少し黒くなっちゃった気がする。ま、大丈夫だよね!
傷口を塞いだ所でチキンライスの仕上げをした。
「お椀に入れて...ポン!うまく行った!」
平皿には、綺麗に丸く守られたチキンライスがあった。
よし、出来た!あたしって天才!
「次は卵の部分だね!」
本当はあたしの卵をと思ったけど、あたしは鳥じゃないから卵は産めない。やろうと思えば出来るかもしれないけど。うさぎは鳥と一緒で「羽」で数えるのに、なんでだろう?ま、いっか。おにーちゃんに愛されてるし。
「まずは...おにーちゃんは男の子だからぁ、卵3つだね。」
卵を、使った事ないっぽいけど家にあったボウルに割って入れて、とく!
次に牛乳とマヨネーズを入れて、よく混ぜる!
「くるくるー」
「よし、こんなもんかな?えっと次はフライパンで火にかけるだね?」
レシピに書いてある事によるとここからが勝負、らしい。でも大丈夫!あたしには、秘策がある。それは...もちろんおにーちゃんの記憶!ママがオムライスの卵の部分を作ってる所を見ていたの!どうせなら一から見てたら良かったのに、集中力がなかった子どもの頃のおにーちゃんもかわいいから許す!
そう、ママの動きを真似すればいいの。簡単だね!
「まずはバターを一欠片入れてー、グルンッと回す!」
「バターが溶け切る前に、火を弱火にして〜卵をとーにゅー」
「確か、5秒くらい...4、3、2、1、よし!縁からぐるぐるぐるーって真ん中まで回してー、10秒くらいでおしまい!」
「フライパンを前後にゆらゆらゆら〜、こんくらいでストップ!触らないで10秒待ってぇ」
「火からおろしてと、外側を剥がして...必殺!フライ返しスライド!」
ママがこう言ってた。これが正しいやり方なんじゃないかな?
「完⭐︎成」
と思ったけど、まだ終わってなかった。仕上げがまだだった。そう!ケチャップで絵を描くのだ。
「うーん、どうしよう。ハートでいっか!はーと、と!今度こそ、
完⭐︎成」
上手に出来た。後はおにーちゃんを起こしてこよ!あー、楽しみだなー...。
所々に狂気が滲み出る人外クッキング。妖怪が出した物は食べるなとあれ程...
ま、無理か(笑)