「なぁそこのポテチをとってくれ」
「はぁ〜…………ほらよ」
「どうも、ついでにこれ捨てて来てくれ」
「そんぐらい自分でやれよ」
「ん!ん!」ゲシッゲシッ
「痛い痛い!わかった!わかったから!蹴るな!」
「ついでにコントローラーも持って来い、ゲームするぞ」
「へいへい........」
俺のことを顎で使う顔だけは良いこの女はルシファーというらしい、というかこいつは人間ではない、頭の上には金の輪があり身体の後ろには紫がかった白い羽根が浮いている
まぁ......どっからどう見ても天使だよなぁ........
なんで天使が俺の家にいるかって?
俺が聞きたいぐらいだよ
俺のとこにいる理由を聞いても「なんとなく」という返答しか返ってこない
俺も最初の方は気になっていたが今はもうどうでも良くなった。
ルシファーとの最初の出会いは二年前のことだった
二年前、俺は新卒二年目として社会の厳しさを知り、家族とは幼い頃に死別した俺は言葉にできない孤独感を感じ始めていた。
ニ年前
「はぁ......疲れたなぁ........今日のご飯は何にしようか.....」
一日の労働を終え疲れた身体に冷たい雨が染みる、そんな身体を温める今夜の夕飯は何にしようかと考えていたその時だった
「そういやはんぺんが余ってたな......うん?誰だあれ」
みると家の前にフードを被った女が座っていた
「あのー......こんなところでなにしてるんですか?大丈夫です......?」
「............」
「聞こえてます......?」
その女は顔を上げこちらをじっと見つめ口を開けた
「.............寒い」
「そりゃそうでしょ..........今2月ですよ?..............えー、とりあえず、俺の家来ます?このままじゃ風邪ひいちゃいますよ?」
どこの誰だか知らない人を家にあげるのは少し抵抗があったが天気が天気なので、家にあげることにした
「..............うん」
そう言って立ち上がった時彼女の後ろになにかが浮いているのが見えた
これは..........羽根.....?よく見ると頭の上に輪っかのようなものもある.....天使か?
わけがわからなくなってきた、もし仮に彼女が天使だとして何故俺の家の前にいる.....頭が痛くなってきたな....もう考えるのをやめよう........
彼女が風呂に入っている間に料理の準備をした、冷蔵庫にはんぺんが余ってたのでそれを使うことにした、天使に食べ物の好き嫌いとかあんのかな
「お、風呂出たのか」
「あぁ」
「飯作っておいたから、とりあえず食べよう」
「うん」
テーブルの上に料理を準備し席につく
「まぁ、色々聞きたいことはあるんだが.....まず名前は?」
「ルシファーだ」
「ルシファーね.........んで確認なんだがその後ろの羽根みたいなやつと頭の上の輪っかは何なんだ?ていうかあんたは何者なんだ?」
「私は.......天使......といっていいのかな?」
「何で疑問形なんだよ.....」
「色々あったんでな........」
「んで、何で天使様のあんたが俺の家の前にいたの?」
「なんとなく......だ」
「なんとなくって.......ていうか天使ってこっちの世界にいていいの?そもそも天使が眼の前にいるのも驚きなんだけど」
「もちろんこっちの世界にいてはダメだな」
「じゃあなんでここに......?」
「なんとなくだ..........」
「そうか......」
これ以上なにを聞いてもなんとなくしか返ってこない気がしてきた.......まぁ並々ならぬ事情があったんだろうな......
「これから、どうするんだ?なんかいくあてでもあるのか?」
「行くあてはない、なにもないからな。もちろんなんにもする予定はない。なんとなく生きていく。」
「なるほどねぇ........」
「.........」
さてどうしたもんか、このまま飯だけ食べさせて外に返しても良いんだが行く宛もなさそうだしなぁ......
「うーん、えーと、その、なんだ俺と一緒に住むか?」
「!?」
「このまま外出ても彷徨うだけなんだろ?金のことは心配すんな、一人ぐらいは養えるようにしてたんだ、まぁその金を使う予定もなかったんだがな.......」
「そう.....なのか.....自分で言うのもなんだが私は人間ではないぞ?その気になればお前を殺してこの家に一人で住むこともできる。お前は私が怖くないのか?」
「別に怖くねぇよ、俺からしたら羽根が生えてるただの人間さ、てかお前がその気最初にあった時に俺を殺してるだろ?」
「それはそうだが.......仮に私が人間だったとしても出会ってすぐの人間と一緒に住むなんて.......」
「別にいいんだよ、俺ずっと一人で生きてきてさ、なんつーかこう寂しかったんだよ、ずっと。」
「寂しい......か.......」
「だからさ、お前さえ良ければ俺と住まないか?」
「......お前がいいなら私は別に構わん」
「じゃあ、これからよろしくな、ルシファー」
俺はルシファーに向けて手を差し出した
ルシファーは俺の目を数秒見つめた後に「あぁ」と答えながら俺の手を取った
「よし、飯が冷めちまう、早く食べよう」
「この白くてヘニャヘニャしてるやつはなんなんだ」
「あぁ、これははんぺんだ、食ってみろ」
「ハム......モグモグモグ」
「どうだ、美味いだろ」
「......私はこれが嫌いだ.....」
「ハハッ、なんだそりゃ」
久しぶりに食う誰かとの飯はいつもと違った暖かさがあった
二年前私は始めて下界へと下った、下ったというより逃げ出してきたのほうが正しいかもしれない
別に私が天界で嫌われていたわけではない、むしろ好意的に見られていただろう、みんなが一目置く存在、そんな存在だった
だがみんなが私をみる目が変わったのは私が天界を救ったときからだった仲間を守るため覚醒した私は強大な力で敵を粉砕した
天界の危機を救い私は天界の英雄となった
しかしその時から皆の私を見る目が変わった、皆の目には恐怖の色が見えた
私は皆のその目が嫌だった、皆が私をはるか遠い存在のように認識していた、私も彼らと同じ天使だというのに、誰も私と対等になろうとしなかった、誰も私を分かろうとしなかった、誰も私に近づこうとしなかった、そんな天界に嫌気が差した私はなんとなく下界に降りてきたのだ。
とはいっても下界に頼れるものがあるはずもなく下界に降りてしばらくはただ彷徨うだけだった、ある日は河川敷で寝泊まりし、ある日はゴミを漁った、天使の輪と羽根がなければ私はただのホームレスで終わっただろう、しかしは私は天使だ、天使といえば聞こえはいいかもしれないが、私は人ならざる異形なるものだ、そんな私と出会った人間は皆私を恐れた、この世界でも私を見る目は変わらなかった、そうして彷徨っていたある日、あいつと出会った
その日は冷たい雨が振っていた、何気に下界に降りてから雨を経験するのは初めてだった
冷たい雨が身体を打つ、とにかく寒かった、何処か適当なところで雨宿りしよう、そう思い近くの民家の軒下で雨宿りをしていた、家主が帰ってきたらまた別のところにいけばいい、そう思っていたその時だった
「あのー......こんなところでなにしてるんですか?大丈夫です......?」
自分の目の前に男が立っていた、おそらくここの家主なのだろう、ここももう潮時か、そう思い一言伝えここをさろうとしたが寒さのせいか口も身体も上手く動かない
「聞こえてます......?」
なにか答えなければ
力を振り絞って口を開け出た言葉は
「............寒い」
自分が今一番感じてることだったんだろう
「そりゃそうでしょ..........今2月ですよ?..............えー、とりあえず、俺の家来ます?そのままじゃ風邪引いちゃいますよ?」
「..............うん」
シャワーだけ借りて出ていこう、そう思い男の家の中に入った
男の家は一人暮らしにしては整っていた、割と几帳面な性格なんだろう
シャワーを借りリビングに出る
リビングの机の上には白くベタつく何かを煮込んだ料理が置いてあった、アレは一体何なんだろうか
「お、風呂出たのか」
「あぁ」
「飯作っておいたから、とりあえず食べよう」
「うん」
一言二言交わし机に座る
そこからは男から質問攻めにあった
とはいっても名前以外まともに答えられないが、私が目的を持って生活をすることはほぼない、私の行動の理由は基本的に「なんとなく」で完結してしまう
「これから、どうするんだ?なんかいくあてでもあるのか?」
「行くあてはない、なにもないからな。もちろんなんにもする予定はない。なんとなく生きていく。」
「なるほどねぇ........」
「.........」
あらかた質問が終わりそろそろ礼を言って立ち去ろうとしたその時
「うーん、えーと、その、なんだ俺と一緒に住むか?」
男は一緒に住まないかと言い出した、さすがに私も驚きを隠せなかった
「このまま外出ても彷徨うだけなんだろ?金のことは心配すんな、一人ぐらいは養えるようにしてたんだ、まぁその金を使う相手はいつまでもみつからないんだがな........」
たしかに金の問題もあるがこいつは私が怖くないのだろうか、私をみた人間は皆私を恐れた
そう思った私は、私が怖くないのか男に問うてみた
「別に怖くねぇよ、俺からしたら羽根が生えてるただの人間さ、てかお前がその気最初にあった時に俺を殺してるだろ?」
どうやろこいつは私が怖くないらしい、そうだとしてもあってすぐなのに一緒に住むなんて抵抗はないのだろうか、それとも何か理由があるのだろうか、わからない、なぜこいつはそんなにも私に親切にするんだ
「それはそうだが.......仮に私が人間だったとしても出会ってすぐのやつと一緒に住むなんて.......」
「別にいいんだよ、俺ずっと一人で生きてきてさ、なんつーかこう寂しかったんだよ、ずっと。」
「寂しい......か.......」
そうか、こいつは寂しかったのか、その寂しさを私で埋めようというのか、こいつは私を已のために使うというのか、
こんなやつは始めてだ
皆私を恐れ私に尽くそうとしたのに
私を持ち上げようとしたのに
こいつは私を利用するのか
面白いやつだ
「だからさ、お前さえ良ければ俺と住まないか?」
「......お前がいいなら私は別に構わん」
「じゃあ、これからよろしくな、ルシファー」
そう言って男は手を伸ばしてきた、手を取れということなのか
私は男の目を見つめる、男の目には負の感情は一切なかった、こいつは私のことをわかってくれる、こいつなら私と対等になれる、そう思った
私は男の手を取り
「あぁ」
と一言返事をした
それからあいつとの生活が始まった
あいつの家に住むことになってからの初めての夜私はゲームというものを知った
ゲームというものはとても楽しく飽きないものだった、でも一人でやるとそこまで面白くないものだった、あいつとやると何故かとても楽しくなった
あいつとの食事はとても楽しかった、あいつとの食事は特に喋らずに静かなものだったがそれでも楽しかった、でも一人の食事もしずかなのにとてもつまらなかった、
ゲーム以外にも様々なものをあいつに教えてもらった
それら全てに共通して言えるのはあいつとともにいる時のみそれらは楽しいものになるということだ
あいつといると今まで意識したことがなかった体の一部が満たされているようだった、あいつ以外では満たすことができない、そんな穴が身体に空いているようだった
あいつとの関わりが深まるにつれてその穴は大きくそして深くなっていくのを感じた、常にあいつを感じていたい、常にあいつのそばにいたい
あいつを他人に渡したくない
あいつを自分のものにしたい
私は生まれて初めて欲しいモノができた
何かを欲する、これは私にとって初めての感覚だった
でも今の生活ならあいつは私のものだ
あいつは人間関係は希薄なようで仕事以外で家を出ることはほぼない、そんな人間なら女性関係なんていうものも存在しないだろう
つまり私はあいつを独占できている、それで十分だ
[newpage]
「おいなに寝ようとしてるんだコントローラーを持ってきてさっさとこっちに来い」
「へいへいコントローラー持ってきたぞ」
「よし、そこに座れ、今日はネットで新しいゲームをダウンロードしておいたぞ」
「それ俺の金だぞ........」
「もちろん私がクリアするまで付き合えよ?」
「おれ明日も仕事なんだが」
「大丈夫だ今日中に終わらせる」
「ハハッ、お前それで終わった試しがないだろ」
「........うるさい」
「あぁ、そうだ俺明日帰り遅くなるから、適当に飯食っといてくれ」
「またか?毎度毎度なにをしてるんだ?」
「いや、まぁ、ちょっと上司と飲みに行かなきゃいけなくてな」
「毎週毎週飲みに行くものなのか?なんなら今週だけでもう2回も行ってるじゃないか」
「いや、まぁ、うん.........」
「はぁ.........まぁいいや、その代わりゲームは日を跨ぐまでつきあってもらうぞ」
「結局今日中に終わらせる気ねぇじゃねぇか.......」
「おい!見てみろ!今のプレイ超上手かったぞ」
「はいはい.......」
..................
「あと一撃でボスをぶっ飛ばせる.......」
「おい!焦るなよ!何時間かかったと思ってるんだ!」
「うるさい!静かにしろ!集中だ.......集中.......」
「頼むぞ、ルシファー.....」
「........今だ!」
「やったか......?」
「.......クリアだ」
「よっしゃぁぁぁ!やっと寝れる!」
ゲームを片付け一緒にベッドに入る、時計はもう2時を回っていた
部屋の電気を消して布団をかぶる、想像以上に疲れていたようで凄まじい眠気が襲ってくる
その時あいつが話しかけてきた
「なぁ、ルシファー......お前には好意を持っている相手はいるか?」
「突然.........どうしたんだ?」
「いや..........ちょっと気になってな」
「そ、そうか........」
「で、どうなんだ?」
「私は.........」
瞼が鉛のように重い、うまく頭が回らない
好意を持っている相手といっても私の人間関係はあいつ一人だ.......つまり私がここで好意を持っていると答えると、それはあいつに好意を伝えることになってしまう
あいつは意味をわかって聞いているのだろうか?
というか私はあいつに好意を持っているのだろうか、深く考えたことはなかったが、持っていないかといわれると嘘になるだろう
ただこれは好意なんて半端な言葉では表せないもっと別の感情な気がしてならない
好意よりももっと深く、濃く、そして濁った、そんな感情だ
ダメだな 頭の中で思考を回していると一段と眠気が強くなってくる
ともかく......返事をしなければ........
いや、明日でも......いい.....か.......
「先輩のことが好きなんです!」
同じ部署の後輩から告白されたのは一ヶ月前のことだった
「え、俺?」
俺が告白されるなんて夢にも思わなかった
その後輩はかわいいとは言われていたが何度か話したことがあるぐらいで特段仲がいいわけでもなかった
だから俺はその時は別にその後輩のことが好きでもなかった
普通ならここでごめんなさいと断るのだろう、でも俺は断らなかった、いや断れなかったと言ったほうがいいのだろう
元々押しに弱い性格だったのもあるのだろうが
もし自分が断ればこの後輩はどれだけ傷つくのだろう
そう考えると断るのは申し訳なかった
だから返事をするまで一ヶ月待ってほしいと伝えた
苦し紛れの先延ばしだが
その一ヶ月のあいだに彼女のことを深く知ってそれから考えてもおかしくないと思ったのだ
「あぁ、その、一ヶ月待ってくれないか?一ヶ月後にまた返事をするから.......」
「一ヶ月ですか.....わかりました!絶対私のことを好きにさせてみせますから!絶対に!」
「お、おぉ.....」
それから彼女のアプローチはどんどん激しくなっていった
「先輩!今夜ご飯行きましょう!」
「先輩明日遊園地行きませんか!」
「先輩お弁当作ってきました!」
「先輩!」
人の愛とはここまで凄まじいものなのか、聞けばこの子も俺と同じような境遇だったようだ
想像するにこの子も俺と同じく孤独だったのだろう
告白されて2週間がたったあたりから俺も後輩のことが頭にちらつくようになった
これだけのアピールを受けているのだ気にならないほうがおかしいのかもしれない
そして約束の一ヶ月まであと一日となった今日
後輩にランチに誘われた
後輩とのご飯は楽しく話しは弾んだ、
帰り際に後輩に話しかけられた
「先輩その........約束忘れてないですよね?」
「あぁ......明日のことだろ?」
「その.........期待してますからね........」
「あぁ........」
そう言い残し後輩は駅の方に歩いていった
「さぁて.........どうしたもんかな.............」
実をいうと俺はまだ返事を決めれていない
たしかに後輩は俺にはもったいないくらいのいい子だ
でもなんか違う気もするのも事実だ
後輩と遊びに行った時たしかに楽しかった、でもあいつとゲームしてるときのほうが楽しかった気もした
後輩と食べるご飯も美味しかった、話もとてもあいつと話すときの数倍は弾んだ
でもあいつとの落ち着いた食事のほうが俺の方にはあっていた気がする
後輩の弁当は美味しかった、でもあいつが適当に作った弁当のほうが何故かあたたかみを感じた
何故だろうか、あいつといるほうが俺も心が満たされているような気がする
何故だろうかあいつといるときのほうが暖かさを感じる気がする
何故だろうか.........
いや本当は気付いているんだ、でも気付かないふりをしていたんだ
俺は.......俺は.......あいつに惚れ込んでいる........それもかなり重症みたいだ........
ならば告白を断るべきか.....
でもあいつは俺のことをなんとも思っていないだろう
別に否定的な印象を持っているわけではないが好意を持つほどでもないだろう
それならアイツのことは諦め後輩と付き合ったほうがみんなが幸せになれる
おそらくそうするべきなのだろう
でも.......あいつのことを諦めたくない気持ちもある.......
どうしたもんかな......
そう物思いにふけて歩いているともう家の近くまで来ていた
「あいつに聞いてみるか.......」
あいつが俺に好意を持っているか、直接確認するのが一番早い、当たり前のことだ
玄関の扉を開け中に入る
「ただいま」
そう言って中に入る
ご飯を用意してくれていたみたいだ
「おかえり、飯出来てるぞ」
「あぁ、ありがとう」
用意してくれたご飯を食べ、風呂に入り寝る準備をする
さっきのことを聞くタイミングがなかなか来ないままこんな時間になってしまった
どうしたもんかと思いながら寝室に行こうとしたその時ルシファーが話しかけてきた
「おいなに寝ようとしてるんだコントローラーを持ってきてさっさとこっちに来い」
またか.......次の日が仕事の時はなんやかんやで断ることがあるのだが今日はちょうどいい、もしかしたら会話の流れでさっきのことを聞けるかもしれない
.....................
「.......クリアだ」
「よっしゃぁぁぁ!やっと寝れる!」
ルシファーの最後の一撃がボスに命中しゲームクリアの画面からスタッフロールが流れ始める
ルシファーはスタッフロールには興味が無いようですぐにゲームを切り寝室に移動する
俺は部屋の電気を消してそれについていって寝室に入る
ルシファーはもう布団をかぶっていた
聞くならここしかない
「なぁ、ルシファー......お前には好意を持っている相手はいるか?」
頭のいいルシファーならこの言葉の意味ぐらいわかるだろう
「突然.........どうしたんだ?」
「いや..........ちょっと気になってな」
「そ、そうか........」
「で、どうなんだ?」
「私は.........」
どんな返事が来るのか、こんなにドキドキするのは初めてだ
「.................」
「ルシ......ファー.......?」
「スースー」
「.......ハハッ、寝てんのかよ........」
あいつからしたら答えるまでもなかったということか
「あー、いやー、ハハッ失恋って意外ときついもんだな.......」
翌日
「あいつは......もう仕事に行ったのか」
ルシファーが目を覚ますと男の姿はもう家にはなかった
「ずいぶん寝た気がするな......」
時計をみると昼の3時を回っていたところだった
よくもまぁこんなにも寝ていたもんだ
「寝すぎたか......頭が痛い.....」
「今日はあいつ帰り遅いのか........」
それにしてもあの質問は何だったのだろう
なんであんなことを聞く必要があるのだろうか
嫌な考えが頭をよぎる
あいつの帰りが遅いのもそういうことなのか.....?
いやそんなわけがない
あいつが私を一人にするわけがない
そんなことありえない
そんなことがあっていいはずがない
「はぁ、私も疲れてるんだ......」
気持ちを落ち着かせようとお茶を淹れたりストレッチをしたりするがどうも気持ちが落ち着かない
あいつにもし女ができたら、いや、ありえないだってあいつだぞ
あいつのことが頭から離れなくなる
そうこうしてるうちに日が暮れていた
とりあえず一人で夕食を取るが味がしない
というか生活していて何も感じなくなっていた
どうやら私は相当重症なようだ
時計を見ると八時を回っていた
帰りが遅い時、あいつは大体11時ぐらいに帰ってくる
それまで時間を潰さなければと思いゲームを開くが何も楽しくない
自分でもわかっていた
もう我慢の限界なのだ
コートを羽織り家を飛び出す
久々の外は季節のわりには肌寒かった
あいつの職場はなんとなく知っている
超速で空を飛び職場の近くまでやってくるが職場の電気はもう消えていた
あいつがよく接待で使っていると言っていた飲み屋の近くに来たがあいつの気配はなかった
イヤな感情が胸に広がる
周辺を飛び回る、この際天使であることを隠すのはどうでもいい
あいつは
あいつはどこだ
どこにいる
早く出てこい
私の前に
早く
さもなくば私が壊れてしまう
30分ぐらい飛び回ったところで住宅地の真ん中の公園にあいつの姿を見つけた
その横に女がいるのが見えた
イヤな黒い感情が一段と大きくなる
バレないように公園の近くに着地し
トイレの影に隠れ耳を潜める
「先輩って…………その今までに好きな人っていたんですか?」
「え、あぁ…………いたよ」
こいつに………………好きな人がいたのか……………
さらに黒い感情が大きくなったのを感じた
「その人とはどうなったんですか?」
「ハハッ、もちろんフラれたさ、多分相手は俺のことをただの友達というか、そういう目で見てたんだよ」
ホッとしたのも束の間女から予想外の一言が飛び出す
「そうなんですか………私は先輩をそんな目で見たことは一度もありませんよ?」
なんだこの女は、私のモノに手を出そうとしているのか
なんだこいつは
許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん許せん
「そりゃどうも…………」
「それで先輩………そろそろ告白の返事を聞かせてください」
どうやら私の勘は当たっていたらしい、それも悪い方に
黒い感情が、胸から張り裂けそうになるほど存在を主張してくる
「あぁ……………俺もこの一ヶ月しっかり考えた」
「しっかり考えた上で答える」
「はい………………」
脳裏に最悪の展開がよぎる
その展開だけはイヤだ、どうか、どうか!
たのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむたのむ
「フゥ………これからよろしくお願いします」
「…………せ、先輩それってつまり…………」
「俺と付き合ってくれ」
「は?」
今、この男はなんと言った
なんと言ったんだ
うそだ
ありえない
あっていいはずがない
なんで
どうして
いやだ
なんで なんで なんで なんで なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
ついに自分の中の黒い感情が爆発した
妬み、苦しみ、孤独、嫉妬、絶望、怒り、悲しみ
あらゆる負の感情が全身をかけめげる
今までに感じたことのない感覚を体が襲う
天使の輪が砕け散り
白い羽は紫に染まっていく
あぁ……………………………これが堕天か…………………………
苦しい、辛い、なぜこうなったのだ
なぜだ
どうしてだ
わからない
わかりたくない
あぁ…………そうか……………私の管理が甘かったんだ……………
自分のものはもっとちゃんと管理しておかないと
自分の手元に置いておかないと
すぐに盗まれてしまう……………
盗まれたらどうする?
取り返せばいい
「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「おいおい、はしゃぎすぎだぞ」
「うれしいです!」
「おい、そこで何をしている」
「ルシ…………ファー…………?」
「あ、あなたは誰なんですか!?」
女の目は私が嫌いな目をしていた、私を恐れる目だ
「邪魔だ、失せろ」
「キャッ!」
女をバリアで後ろに突き飛ばした
遊具にあたって気を失って倒れている
死んでなかったか、まぁどうでもいいが
「お前……………何をしているんだ?」
「お前を迎えに来た」
「俺が聞いてるのはそういうことじゃない!なんで彼女を吹き飛ばした?」
「煩わしかったからだ、悪いか?」
「は………………?」
あいつの目を見る
あいつの目は恐怖で染まっていた
私の嫌いな目だ
なぜだ
なぜ私をその目で見る
「お前を自由にさせておいたのは私のミスのようだ」
「お前は何を言っているんだ?意味がわからない」
「私と一緒に天界で暮らそう、もうお前は働かなくていいんだぞ?ずっと一緒にゲームをしよう」
「知るかよ、意味がわかんねぇよ!おいルシファー!正気に戻れ!」
そう言ってあいつは私の目を見る
あいつは私の目を見たまま唖然としている
どうしたのだろうか
まぁいい、とりあえずあいつを連れて帰らないと
私が近づくとハッとしたように瞬きし、刹那私に向かって突っ込んでくる
あぁあいつの顔は、なんて美しいのだろう
「うわあああああああああ!」
軽くお腹にパンチを入れる
「グハッ」
あいつは弱々しく倒れ込んできた
腐っても私は天使だ、人間とは大きな力の差がある
「もう離さないからな………………」
これであいつは私のものだ.............
絶対に離さない
もう二度と離さない
[newpage]
天界
「ん.........ここは.......」
「あぁ、起きたか」
「ルシ......ファー......?」
あいつが目を覚ます
あぁ、なんて美しいのだろう.......あいつの一挙一足全てが美しい......
「ここはどこだ.....」
「天界の私の家だ、もちろんだがこの家から出ようと思うなよ?まぁメタトロンの力によってお前はこの家から出られないがな、馬鹿なことは考えるなよ?お前はずっと私のものなのだから、私を一人にするなよ?」
「..........わかったよ........ルシファー」
あいつはすべてを諦めたような目でこちらを見ていた
この目は好きだ
あいつが私のモノになった実感が湧く......
その目を見つめて、にこやかにあいつに語りかける
「私とお前はずっと一緒だ」
小説の文字数何文字ぐらいが理想か
-
~5000
-
5000~10000
-
10000~15000
-
15000~