今回はヤンデレ感薄めで......
俺は反政府組織に所属している一戦士だ。幼いころから政府のやり方が気に食わなかった自分が進んだ道としては妥当なものであるだろう。
戦いにあけ暮れるなか、ある時政府の研究所を襲撃する任務に参加した。
「隊長今回の目標って研究所ですよね、今まで攻めてきたのって軍事施設ばかりでしたけどなんで突然研究所なんか襲うんです?」
「さぁな、詳しいことは俺にもわからん。なんでも特殊な力を持った少女がとらわれているらしいが.....まぁ、行ってみないとわからんだろう」
「どんな子なんでしょうね、かわいいのかな、落ち着いた子かな、それとも活発だったり?」
「何言ってんだお前は.....最優先事項は少女の救出だからな?お前のナンパに付き合う気はないぞ」
「あはは.....すみません」
なぜかはわからないが俺はその名前も知らない少女に強く惹かれていた。
そして研究所襲撃の日、政府軍の抵抗はこれまで以上に激しく何人もの仲間が倒れていった。
「ハァ......ハァ......なんでこんなに抵抗が激しかったんだ、しかも目的の少女は見当たらない。どうなってんだ!」
「.......隊長、その目の前の壁壊せませんか?」
「あん?どうした?なんかあるのか?」
「確証はないですが、なんかそんな気がするというか妙に胸騒ぎがするというか.......」
「なんじゃそりゃ、まぁいい工兵を呼んで来い!」
工兵の設置した爆弾を起爆する。
爆音が立ち込めた土煙が晴れるとそこには通路があった。
「ビンゴだな、俺はここで敵が来ないか見張っておくからお前は中を見てこい。」
隊長に背中を任せ中を進む。しばらく進むと開けた空間に出た。
そこには目をつぶって眠っている少女がいた。
「君、大丈夫かい?」
目の前の少女はゆっくりと目を開けて顔を向けた。
「ハロー、私はネオ、あなたは誰?」
これが彼女と俺の出会いだった。
■□■□■
「それじゃネオのバディはお前な」
基地に帰還して数日後突然先輩に話しかけられた。後ろにはネオの姿も見える。
俺の部隊は基本的に二人一組の行動が基本でその相手をバディと呼んでいる。今日までの俺のバディは先輩だった。
ネオが自分達と共に戦うということは聞いていたが自分のバディになるとは思ってもいなかった。
「マジすか.....?うれしいですけど、でも俺みたいな下っ端よりも先輩みたいな人のほうがいいんじゃないですか?」
「それもそうだが.......まぁ、いろんな事情があったんだよ。ネオもその方が嬉しいって言ってるしな。」
「そうなの?ネオ」
そう言ってネオの方を見る。
ネオは無表情で、うん。と答えた。
「そっか........じゃあよろしく!」
ネオの目を見ながら手を伸ばす。
透き通るような青い瞳に思わず目が奪われた。
「よろしく。」
そう言ってネオが俺の手を取った瞬間、ネオが雷に打たれたように固まった。
「ど、どうした?」
「ううん、何でもない。」
「そ、そうか.......」
「でも、、、会いたかった」
そういってネオは微笑んだ。
■□■□■
「彼」の存在は出会うずっと前から知っていたのかもしれない。
私には幼いころの記憶がなかった。
自分が思い出すことのできる記憶は無機質なコンクリートの壁に四方を囲まれた部屋と、一日に一度様々な「お世話」をしてくれる人間だけだ。
後になってそこは政府の研究機関で自分は実験体であったことを知った。
「彼」が私を見つけてくれなければ、永遠にそのままだったかもしれない。
でもその日は突然訪れた。
「君、大丈夫かい?」
目を開けるとそこには「彼」がいた。
彼の姿を見たとき、自分の胸のあたりが温かくなったような気がした。
この感情の名前はわからなかったけど、彼のそばにずっといたい、そう感じた。
反政府軍に保護された後私は考えた。どうしたら彼と一緒に過ごすことができるのか、答えは明白だった。
私は彼の先輩に彼と共に戦いたいと頼み込んだ。
最初は難色を示していたが、最後には「そこまで言うのなら......」と承諾してくれた。
そしてバディとして彼と再び対面した。
彼から差し出された手を握ったとき頭に電流が走った。
自分がいったい何者なのか。なぜ初対面の彼にここまで惹かれるのか。
すべてを理解した。
私は星から生まれた人間で、その星に生まれるすべての生命は私とつながっているのだ。
そしてひと際強いつながりをもって生まれてきた人間がいた。それが彼だった。
つまり彼は私の半身のようなものなのだ。
彼との距離が近ければ近いほど彼とのつながりは強くなる。
彼の周りにいる時、彼と私の脳は繋がる。
彼の脳と私の脳が繋がった時、私は彼の考えていること、感じていること、すべてがわかるのだ。ただそれは一方的な繋がりで彼は私の考えていることはわからない。
でも、それで良かった。私と彼がつながっている事実があるだけで良かった。
私は生まれてからずっと研究所にいた記憶しかない。
私には感情というものが分からない。
だから私の胸で渦巻くモノの正体が分からなかった。
彼と共に過ごすうちにそれが何なのか知った。
彼が先輩に褒められてる時の温かさは嬉しさだと知った。
彼の仲間が亡くなった時の苦しさは悲しさだと知った。
そして、彼が私を見ている時の疼きは恋しさであることを知った。
そしてその疼きは私が彼を見る時に感じているものと同じだった。
私と彼の想いが重なった時それは共鳴し増幅する。
私が彼を想う気持ちも増幅し日々強くなっていった。
彼はそのことに気づくことはないけれど。
彼のおかげで私は人らしく生きることができるのだ。
■□■□■
「そこ!右!避けて!」
「うお!危ねぇ!」
「ふー、助かった。」
「危なかった、もっと周りをちゃんと見て」
気づけば俺とネオのバディの連携は部隊内、いや世界で一番といっても過言ではないものになっていた。
とはいえ俺が一方的にカバーされているだけだが。
ネオはまるで俺の頭の中が見えているかのように動く、俺が足手まといなんじゃないかと思うレベルだ。
一度ネオ一人で戦うことを提案してみたりはしたのだが。
『なぁネオ』
『ん、何?』
『あー、そのー、なんていうか。俺とバディ組むのやめないか?』
『え........?な、なんで?』
『いやさ、最近俺がネオのレベルに釣り合ってない気がしてさ。俺みたいなやつといるよりももっと優秀なやつと一緒にいるほうが、』
『そんなことない!!』
『えっ、、』
『そんなこと、、、ないから。だから、私と一緒にいて。私から離れないで。おねがい。』
こんな感じで断られてしまった。あのときのネオの剣幕はすごかったな。
普段と違ってネオがあそこまで感情を露わにしたのは見たことがなかった。
とはいえ最近ネオは俺には心を開いてくれている様で、俺の前では様々な顔を見せてくれるようになった。
意外と表情豊かなんだよな。
感情を知らなかったネオが嬉しそうに笑う姿を見るだけで自分まで嬉しくなった。
ネオと出会ったことで、それまでの俺の暗い日々も、荒んだ心も全部が明るく眩しいものになった。
「どうしたの?さっきからずっと上の空だけど。」
「いや、なんでもないよ。ただ、ネオに会えてよかったなって。」
「私も、会えてよかった。」
ネオとの日々は幸せだった、ずっとこのままであることを願っていた。
「あー、すまないが彼とのバディを解消してくれないか?」
彼と出会ってしばらくたった頃私は部隊長に呼ばれ、そう伝えられた。
え?
彼と、、、離れる?嫌!そんなの絶対に嫌!離れたくない!
私が私でいられるのは彼がいるからなのに!
「嫌。」
私は部隊長を睨みつけた。
目の前の人間は私と彼の繋がりを断ち切ろうとしている。
許せない、、、許せない許せない!
キューブを剣に変形させ振り被る。
「ヒッ、ヒィ!」
目の前で部隊長が椅子から転げ落ちる。恐怖で腰が抜けて上手く動けないようだ。
軽蔑の目を向けながら剣を振り下ろそうとしたその瞬間。
「部隊長失礼します、話はもう聞いていますが、、、なっ!」
彼が入ってきた。
「ネオ、何をしてるんだ!」
「離して!コイツは私をあなたから引き離そうとしてるの!」
「なぁネオ、話を聞いてくれ。次の作戦ではどうしてもネオ1人の力が必要なんだ。ネオと俺が別々になるのはこの作戦だけだから安心してくれ。な?俺だってネオと別の人とバディを組むのは嫌だ。でも必要なことなんだ、分かってくれ。」
脳に伝わってくる情報から彼がそれを心から思っていることがわかった。
彼の頼みは断りたくない。彼に失望されたくない!
でも、たとえ一瞬でも彼と離れたくはない。もし私と離れてる間に彼がいなくなったら?
心の葛藤が自分の頭を真っ白にする。
どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう。
「ネオ、落ち着いてくれ。この作戦を成功させるにはネオが一人で戦う必要があるんだ。」
そう言って彼は私を抱きしめた。
彼と抱き合うと今までの頭のモヤは嘘のように消え去った。
私はもう迷わない。彼の望むことならなんだってする。私は彼のために生きていくんだ。
「わかった。でも死なないでね?」
「わかってるよ。お前を残して死ぬかっての。」
私は彼のその言葉を信じることにした。
■□■□■
『今回の作戦はネオを星の花へ接触させることだ。ネオ以外の戦闘員は囮となってできる限り敵の注意を引く。その隙にネオを星の花へ送り込むんだ。』
戦いの前に部隊長の言っていたことを思い出す。
彼のためにもなるべく早く目的を終えなければ。
遠くで砲撃音と銃声が響き始めた。
戦闘が始まったみたいだ。
銃声が響くたびに彼が無事なのか不安になる。
でもちゃんと彼は生きてる、彼との繋がりが維持されている感覚はその事実を否応なしに示している。
「さっさと終わらせる」
私は靴紐を固く結びなおした。
■□■□■
「上から来るぞ!気をつけろ!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
「増援はまだか!」
主戦線での戦いは激しさを増していた。
はっきり言ってかなり劣勢だ。そもそもの戦力差が違う。
それでも俺は戦う、自分の信じた未来のために、この星のために、そして生きてネオに会うために!
ただ、やはり限界というものはある。
「もう限界だ!」
と誰かが叫んだ。見ると中央から敵軍がなだれ込んできている。
一人の兵士が自分に銃口を向けているのがみえる。
あぁ、ここまでか。
そう考えながら目を瞑って最期の時を待った。
ただ、いくら待ってもその時は訪れなかった。
恐る恐る目を開ける。
そこには、、、彼女がいた。
■□■□■
戦いが激しさを増す中、私は星の花との接触を開始する。
この時だけは星の花との会話に集中しなければならない。
彼の状況はわからなくなるけど、それも一瞬だけ。
きっと大丈夫。
指示されたことを星の花に伝え、対話を終わらせる。
あとは彼のもとに戻るだけ。
星の花との繋がりが切ると、彼の情報が頭に溢れる。
良かった、まだ生きてる。
でも彼が感じている感情は、恐怖と諦めだった。
嫌な汗が額を流れる。
戦場の方を見ると今まさに敵軍が戦線を突破しようとしているところだった。
考えるよりも速く足が動いた。
はやく、はやく行かないと!
一瞬で彼の姿が見える場所まで移動する。
今まさに彼に向けて弾丸が発射されようとしているところだった。
「間に合え!」
半分ヤケになりながらリフレクションリングを飛ばす。
銃声は聞こえなかった。
周りを見ると敵兵は全員倒れていた。
目を瞑っている彼の前に立つ。
彼は、あれ。と呟いて目を開けた。
「生きてる、、」
「間に合って良かった。」
彼を抱きしめ、存在を確かめる。
「ありがとう、危ないところだった。」
本当にそうだ。
もし彼を失っていたら。私はどうなっていたか分からない。
もう言ってもいいよね。この気持ち。彼も気づいてると思うけど。
彼の方を向き、一回大きく深呼吸する。
「一つ言いたいことがあるの。」
「どうした?」
「あのね、私はあなたのことがすき」パァン
乾いた音が響いた後、何か質量を持った物体が倒れる音がした
「な、、、の、、、、」
自分の顔に付着した生暖かい物を触る。
ベチャアという嫌な音と視界いっぱいに広がる赤色がその正体を否が応でも私に突きつける。
「え、なん、で、うそ、あ、あぁ」
目の前の彼はピクリとも動かない。
ついさっきまで感じていた彼との繋がりも、今は千切れた電線のように虚空を彷徨っている。
感じる全てが自分の半身が消えてしまったことを示している。
「制圧完了、星の少女の確保に動きます。」
「激しい抵抗をすると予想される。油断はするな。」
誰かが私を囲んで話している。
そのうちの一人が私の前にやってきた。
私に向かってしきりに話しかけている。
が、聞こえない。何を言ってるのかわからない。
私は今そんなことをしている場合ではない。
うるさいなぁ、、、
■□■□■
気がつくと私は一人血の海に立っていた。
視線を下に向けるとそこには彼だったモノがあった。
「あ、あぁ、、」
「なんで、どうして.....」
「ねぇ、起きてよ........ねぇ。言ったよね?私を残して死なないって........約束守ってよ........」
いやだ、こんな別れなんて絶対にいやだ。こんなことあっていいはずがない。
もう一度彼に会いたい、、、、
その時、ある考えが頭に浮かんだ。
私はセラムキューブから自分の思い通りのモノを作れる。
もしかしたら、、
「やってみるしかない!」
彼に向かって手をかざし、彼の脳を再生しようとする。
今まで繋がっていた彼の脳を強くイメージする。
「治って、お願い、、、お願いだから、、、治って、、治れ!」
その瞬間、彼の傷口が光に覆われ、みるみるうちに塞がっていく。
ものの数十秒で彼に空いていた風穴は塞がった。
「ん、んん.......ネオ?」
そして彼は目を覚ました。
「あぁ、やった、、、よかった、、、、」
途切れていた彼との繋がりも再び結ばれたのを感じた。
もう離さない、もう二度と彼と離れない。
私はそう心に誓った。
■□■□■
私が彼の脳を再生したことで、彼の思考に私が干渉できるようになった。
つまり今まで一方的な繋がりだったものが双方向的な繋がりになったのだ。
彼の想いは私の想いだし、私の想いは彼の想いなのだ。
私は彼にこれ以上傷ついてほしくなかったから軍をやめさせた。
彼が戦いを生きがいにしてきたことは知っているが、私の願いは彼の願いにもなる。もちろん彼は快諾してくれた。
私と彼が同じ想いを抱いている時、その想いは共鳴しより強くなっていく。
私が彼をより強く思えば思うほど、彼も私を強く思うのだ。
現に今私の横にいる彼はもう私なしでは生きていけない状態になっている。
「ねぇ、私達はずっと一緒だよね?」
「もちろん、ずっと一緒だ。」
「私は君がいてくれればそれでいい、君は?」
「俺もネオがいてくれればそれでいい、ネオがいない世界になんて意味はないよ。」
「うん、そうだね。このままずっとずっとずっと一緒にいようね?」
これで良かったんだ、今考えれば彼が一度死んでしまったのは良かったことなのかもしれない。
だって今こうして、彼と一緒になることができたのだから。
更新遅れた理由は前期落ちてだいぶ落ち込んでたからですね、申し訳ない。
小説の文字数何文字ぐらいが理想か
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