私、百合園セイアは孤独の観測者。
幾度となくトリニティの……ゲヘナの……キヴォトスの……世界の終焉を視てきた……
私なりに、頑張って……
頑張って……
頑張って……
立ち止まりそうになって……
泣きそうになって……
それでも鼻をすすりながら前を向いて……
抗い続けて……
それでも届かなくて……
へし折れてしまって……
何もかも虚しくなって……
それでも……
それでも……
何とか逆転の……奇跡の一手を掴もうとして……
……諦めた。
これまで幾度となく、様々人物に様々なタイミングで様々な事象に干渉してきたけれど、失敗に終わる。
どの未来も失敗のきっかけは、先生が敵の凶弾に倒れるところから。
先生がやられないように様々な生徒と関わりをつくり、守らせたが、結末は揺るぎなかった。
私の頑張りの何もかもが徒労に終わり、恨み節の一つでも言いたくなる。
すやすやと気持ちよさそうに眠る、全ての元凶、アリウス分校、生徒会長、忌まわしきベアトリーチェの耳元で呟く。
………………この年増め。
『…………!?』
ベアトリーチェが顔を歪ませたような気がする。
私は時間、場所を超えて、視ることができるのだけれど、干渉できるのは、特定の人物の夢の中だけ。
だから、ただの偶然。
でも……スカッとする。
今日は気持ちよく眠れそう。
『ふひひ……シャーレの先生なんだブー……きみたちを手取り足取り教えるんだブー……』
な、なんだこれ……?
寝てる間に不意に発動する予知能力で視た未来の先生がキモくなっていた。
先生はキヴォトス外部から赴任してくるため、何に干渉してもバタフライ・エフェクトは起こり得なかったのに……
しかし、これ、酷いな……
『ユ、ユウカたん……素晴らしい太ももなんだなブー……ふひひ……』
『なんだこのクソデバイス!! パスワードなんか知らないんだなブー!! に、偽物の先生じゃないんだなブー!! や、やめろ、ブー!!!!!!』
……ひ、酷い。
酷すぎる!!
『シッテムの箱』に嫌われ、七囚人にコテンパンにやられて、ダンボールハウスでシャーレ開設。
藁をもすがる思いでとどいた奥空からの手紙を舐めながらアビドスに向かう途中で熱中症の脱水症状。
途中で砂狼が現れるも見事にスルー。
曰く
『…………ん、くさっ』
砂漠で野垂れ死に。
キヴォトス滅亡。
ひ、酷すぎる……
しかし、これは…………逆転の一手になるのでは?
ただその条件が分からない……
あれこれ試行錯誤したが、先生はキモデブチビの豚野郎だった。
崩壊する未来で哄笑する年増おばさんにイラッとして、挨拶してから就寝することにする。
ナイトキャップを被り、ペロロ様抱き人形に抱きつき、すやすや眠る年増おばさんの耳元で……
この行き遅れ……
『…………ッ!?』
あははっ。
額にシワがよってる。
今日も気持ちよく眠れそう。
『オレっちはシャーレの先生だ。へへ、よろしくな!!』
またもや先生が変わっていた。
鼻の上に絆創膏が貼ってあったが……
ふむ……今度はまともそうだ。
これまでの先生よりも体育系な気がしないでもない。
これまでの先生と同じルートを辿り、あざとい猫耳娘のバイト先で……
『うおおおおっ!! なんて旨さだっ!! 大将、オレっちを弟子入りさせてくれっ!!』
まさかのラーメン道に目覚める先生。
便利屋68の爆弾魔にやられて、ラーメン屋の建屋とともに殉職……
前のキモデブよりマシ……か?
先生が変わる条件……
もしかして……
草木も眠る丑三つ時、アリウス分校に(精神を)舞い降りる。
呑気にすやすやと眠りにつく、ベアトリーチェの耳元で……
お局様wwww
『…………ッ!?』
顔をしかめている。
…………驚いた。
彼女はこの状態の私から何らかの干渉を受けている。
彼女に働きかけた結果、キヴォトスの『外』からやって来る『先生』の選出に影響が出たというわけだ。
ということは、彼女は『外』から─────?
まぁ、いい……
さて……
どんな先生が来るのかちょっとドキドキしつつ、おやすみなさい……
『ここに温泉開発部シャーレ支部の設立を宣言するッ!! メンバーは、爆発系のシロコ、セリカ、アル、ハルカ、カヨコ、ムツキ、ユウカ、ノドカ、シグレ、アズサ、ヒヨリ、ミサキ、アツコ、サオリ、ヒナ、チェリノ(水着)、ナギサのみんなだ!! シャーレの超法規的措置による強制招集だ!! 絶対に仲良くしろよ!!』
は、はぁ……!?
な、なんなのこのデタラメな部員は!?
あ、ギスギスしてたのに、アビドス温泉を掘り当てて、みんな(先生除く)仲良く温泉に入ってわだかまりもとけて、ナギサったらあんなに笑顔で幸せそう……!!
これなら……もしかしたら……!!
『ほげぇえええええっ!!!!』
あ、先生、爆死した。
誰かの発破に巻き込まれたみたい。
ま、まさか……これでいつものように……
…………って、ならない?
みんな先生の想いを受け取って、温泉開発部を邁進することを誓って、【エデン温泉開発条約】を締結して、無差別に爆破して、ついには、目をグルグルにしたサオリ、ヒナ、ナギサたちがサンクトゥムタワーの下を爆破して、キヴォトス滅亡!!!!
ッて、キヴォトス崩壊の原因、あんたらかーいっ!!
ぜぇはぁ……ぜぇはぁ……
おじゃましまーす!!
子供部屋未使用おばさんwwww
『…………ッ!?』
『俺の名は、茂野………………野球やろうぜ!!』
【先生の死因:サクラコの死球が頭に直撃】
【キヴォトス滅亡の原因:乱闘】
キヴォトスのみんなが青春の汗を流したのに何この結末……
糞ゲーすぎるッ!!
おじゃましまーす!!
無産様wwww
『…………ッ!?』
…………
………………
…………………………
………………………………わたしは何度も何度も罵った。
けれども、いつも、何かしら、噛み合わなくて、失敗した。
語彙が乏しくなってきたけれど、それでも、まだ、諦めるわけには───────────
『お前かッ!!』
ッ!?
『毎夜毎夜うなされると思ったらとんだじゃじゃ馬がいたものだ……』
……え……嘘……
『嘘ではない……ほほう……私を通じて【外】に干渉して、【先生の逆リセマラ】とは……さすがは【預言の大天使】……侮り難し……危うく私自身によって、足元を掬われるところだったか……だが、原因が分かれば対策は容易い!!』
な、何を……?
『【先生の逆リセマラ】に関する干渉を無くした。さて、どんな【先生】になったか見てやろう……』
……え? 私の能力を勝手に……!?
『どれどれ………………キャッ//////イケ面/////♡』
…………ふぇ?
『……えっ/////♡まぁ♡まぁ♡えっ♡わ、私も……♡こ、小娘ですって/////♡この私を小娘扱いするなんて///////♡な、なんて、逞しい胸板//////♡』
ベアトリーチェのこの表情は、まるで、生娘のような……って、生娘か……
一体何がなんだか……?
『うふふ……素晴らしい贈り物を感謝する……♡』
そして、ベアトリーチェの別の意味での子供部屋から追い出された。
嫌な予感をいだきつつも、一縷の望みを胸に秘めて、眠りついた……
な、なにこれぇえええええええっ!?
これがトリニティの未来?
これがゲヘナの未来?
これがキヴォトスの未来?
【よわよわ雑魚雑魚先生】が赴任しないように【子供部屋未使用おばさん】を利用して【外の世界】に【逆干渉】して【逆リセマラ】した【結末】がこれって、ドン引きすぎるどころじゃない!!
これまでのバットエンドがトゥルーエンドに思えるほどの酷さ……
赴任早々、【七囚人】のヘイローを【投石】でヒビを入れて、【失禁】させてしまうような超規格外の【罪袋ボディ】の【先生】が闊歩する【ドピンクな未来】を……
…………こうなったら…………
「百合園セイア……?」
ああ、そうだよ。君を待っていたよ。アリウス分校所属、白洲アズサ。
「待ってた!?私を?」
うん。夢でも見てたからね……
「それじゃあ、私が何をするのかも……?」
もちろん……私のヘイローを壊しに来たんだろ?
「ッ!?」
さぁ、壊したまえッ!!
「………え?私、人殺しになるのが怖くて……だから、本当は、あなたのことは……」
いいから、壊して!!
ねぇっ!!
その爆弾でヘイローを壊してよっ!!
も、もう、耐えきれないッ!!
あんなのもう無理ッ!!
貴様は、朝起きたとき、両手がカニの爪の形をしていたときの恐怖が分かるか!?
「え?え?な、なにを……?」
死んでやる!!
絶対の絶対にわたしのヘイローぶっ壊して死んでやるッ!!
「わ、私はどうしたら……?とりあえず、あなたをリーダーのところに連れて行く」
私、絶対の絶対に諦めないッ!!