降谷さんの災難   作:千里亭希遊

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死亡ルート
1.ロミトラ対象が転生者だった、降谷さんの災難。


「……っ!?」

 

 あ……れ……?

 これは、どういう状況ですか?

 頭がショートしてる。いやそれを超えて爆発してしまいそう。目がちかちかして、意識が飛びかける。

 

 ……安室……透……?

 ちがう、そんな名前は聞いてない。

 それはこうなるはるか前から知っていたはずの人の名前だった。

 この訳のわからない現状に、ショックであちら(・・・)の記憶が戻ってきた? 衝撃以上の暴力でもって頭の中を膨大な情報が駆け抜けていく。そのせいでなおさら意識が飛びそうです。

 

 私は、ラノベとかでよくみた転生でもしたんでしょうか?

 はたまたあまりの事態に頭おかしくなったの?

 

 大好きだった物語でそれはそれは大人気の、私ではとてもお近づきになれるはずのない人にしか見えないかたが、私をベッドに押し倒して貪るように唇を重ねていた。

 

 ??!?!??!

 

 こんなことあり得ない。

 いくら以前の(・・・)私なんか足元にも及ばないどころではなくハイスペックになってしまってる現状とはいえ、あり得ない。彼がこんな小娘にこんなに激しく堕ちるなんてあり得ない。

 

 あの世界でもこの世界でもどれだけいらっしゃるか分からないファンの皆さんに殺される。それが恐ろしくて自分を卑下しているとかそういうことだけではなく。

 彼という人物がこうなることがあり得ない。本当に彼ならきっと今は既に警察学校在籍中か卒業してるかだ。それ以前だとしても考えられないけど、同意なくこんな暴挙に出るなんて、より一層、万が一にも、あり得ない。

 

 だから、これは。

 

 

 ……ロミトラだ。

 何せ私は思えば後ろ暗いかもしれないことに手を染めているのですから。

 

 

「っぅ、んぅ……っ、やめ、て……!」

「好きだ」

「……っ!?」

 

 確実にロミトラだと分かっているのに、囁くように言われた言葉が痺れを伴って胸を突き刺す。

 

 私から少し顔を離した彼は蕩けるような、熱に浮かされたような微笑みを浮かべた。……なんて演技力だ。潜入捜査官怖すぎます。

 

「初めて見た時から気になってた。……だから、助けたんだ」

 

 も、もうこれはどうしようもないのでしょうか。私は『安室の女』なお姉さまがたに殺されたくない。何より私は彼とこういうことをしていいようなまっとうな人間じゃない。いや……彼が捜査のために仕方なくやっているだろうことを思えば情状酌量の余地はあるのかな……?

 

 そもそもどれだけの人がこの人を力で跳ねのけられるの? フロントガラス素手でバリバリするようなゴリラさんですよ???

 かといって私には言葉で説得できるような弁舌も余裕もない。

 

 ……再び彼が私の唇を塞いだ。両手で頬を包み込むようにしてしっかり固定されていて逃げることができない。ふわふわ食まれて、舐めては吸われて、時折とても強く吸い付かれて、何をされてももう全部に驚いて身体が跳ね続ける。

 朧げな前世も今世も合わせて初めてなんです耐性なんてかけらもありません。悪かったですね!? 勘弁してください、頭がおかしくなりそうです。

 

「んん──……っ!!!」

 

 ふっと彼はまた私から顔を離す。すっかり上がってしまった呼吸で必死に酸素を求めるほうほうの体の私に対して、彼はふっと妖艶な笑みを浮かべたのみ。

 

 もう、もう、無理です、無理です、たすけて!

 

「な、なん、で……こん、な、……ぅあ……っ!」

「きみがほしい」

「ッ……!」

 

 名前や話し方や雰囲気は、降谷さんでも安室さんでもバーボンでもない気がするのに、容姿や声は確かに彼だ。

 ……トリプルから更に顔が増えていらっしゃるのでしょうか……?

 

「いき、な……っ、り、すぎ……っやぁ!」

 

 知り合ってそろそろ二週間くらいになると思う。少しずついい雰囲気にはなっていたような気はする。けれど何も言わずに、聞かずに、急に、酔い潰れた隙に……こんな状況、明らかにロミトラ失敗まっしぐらでは……!?

 

 というかロミトラって無理やり体の関係までいかなくても良くない? 想いを通わせたと見せかけるくらいでも良くない? だめなの!?

 あっ良い雰囲気程度じゃ取り引きのことについて何にも話す気になれなかった小心者の私が悪いですねすみません。いや、普通、なる? ……そうか、普通ならないからこうなったか……。

 

(みぎわ)は俺が嫌い……?」

 

 囁くように彼が聞く。

 

「……話、も、しないで、こんな、こと、する、人……きら、い……!」

 

 暴れる呼吸を抑えることができないままやっとのことでそう言ったのに、彼はふっと笑うのです。

 

「……俺のことしか考えられないようにしてあげる」

「ッ!?」

 

 なんやかんやあって、そして。

 私は限界を超えて気を失った。




/

強引に迫る安室さんが見たかったのにかいたら罪悪感がすごかった。
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