降谷さんの災難   作:千里亭希遊

33 / 61
29.After the Incident.

 宮野姉妹の監視役が両者、妹の研究室で発見された。しかもこれでもかというほどの簀巻状態で。

 そしてそのまま彼らは蜂の巣になった。

 

「あのか弱い薔薇にできることじゃねえ……どこのどいつだ……!」

 

 ジンが凄まじいオーラを放っている。まだ気が済まないらしい。更なる的を求めて彼の銃口がゆらりと方向を変える。

 

「てめえはどこで何をしていた……」

 

 突きつけられたのはメスカルだ。

 

「昨晩は実験室にこもっていた。そもそも私は彼女の進捗を片手間に監視していただけだ。八つ当たりは御免被る」

 

 両手を上げつつも彼女に怯えた様子は見られない。どころか、ニヤリと嗤った。

 

「それに……私を殺してみろ、あのかたの至上の命題がどうなる?」

 

 ジンは最高に不機嫌そうに舌打ちした。ギリ、と音がするほど歯を噛み締めながら、彼はゆっくりと手を下ろした。

 ボスがどれほどそれを熱望しているかは彼も重々承知している。

 

「あの女がまだ必要だと思うならさっさと見つけて連れて来い。監督ぐらいならまたやってやる」

 

 フン、とジンは鼻で嗤った。

 

「ヘル・エンジェルの研究を引き継げなかった無能が『監督』だと? 意気がるなよ……てめえは所詮薔薇が枯れれば嘆くだけの観客に過ぎない」

 

 今度はメスカルが鼻で嘲笑う。

 

「言っていろ……私は獲物を食い散らかすだけのお前などより、余程あのかたのお役に立てているぞ」

 

 火薬が弾ける乾いた破裂音と着弾の重い破砕音がほぼ同時に響いた。メスカルの髪が数本宙を舞う。

 

「減らず口を叩いてる暇があったら、とっととその研究とやらを完成させろ……」

 

 帽子と髪に隠れた陰ではきっと青筋がむくむくと浮いているのだろう。

 

「おお怖い……言われずとも」

 

 ジンはまた舌打ちして踵を返した。ウォッカを伴い足早に研究施設をあとにする。

 

「兄貴……あの二人が一緒くたに転がってたからには、姉のほうも……」

 

 はん、とジンは嗤った。

 

「あんな無能、どうでもいい……それよりシェリーだ……地獄の果てまで追いかけて、丁寧に一枚ずつ花弁を千切ってやる……」

「生きたまま連れ帰って、研究を続けさせるんじゃねえんですかい?」

生きてさえいればいい(・・・・・・・・・・)だけだ……二度と籠から出ねえように躾けてやるのさ……」

「成程」

 

 逃亡は忌々しいがボスの求めるもののためには消してしまうわけにもいかない。であっても腹の虫が収まらないジンは、シェリーを痛めつけるべく血眼の捜索を開始する。

 

-----------------------------------

 

 赤井が曰く付き(・・・・)の女性に連れて行かれた。CIAは君子危うきに近づかずと深く追求しない。

 彼女がFBIを救出してくれと言ってきた張本人なのだから、何かあっても責は問われまい。

 

「我々は君たちを何としても連れ帰らねばならん」

 

 CIA長官は硬い表情で言う。

『救出』には祖国への撤収も意味するらしい。ホームで休ませろ、と。

 

「一体何故ですか。常日頃協力は惜しまないが、本来我々は別の組織です。大きな干渉は……」

 

 ジェームズ・ブラックがどこか戸惑いながら抗議する。

 彼女からは何も伝えられていないらしい。

 

「我々には彼女に借りがあった。大きな借りだ。その対価として求められたのがあなたがたの救出だ。よってこれは必ず遂行されなければならない」

「救出……?」

 

 FBIの面々は怪訝な顔をする。確かに、あれで組織が撤退していなければ被害は更に大きかっただろう。しかし何故日本警察らしき彼女がそれをCIAに依頼するのか。彼らにとってすべてが訳のわからない事態だった。

 

「……恐らくだが、君たちの作戦は彼女に察知されていたんだ。更には、それがあちらに読まれていたこともな」

 

 一同絶句した。

 

 つまりは、日本警察はFBI以上に組織を知っている可能性があるということ。しかもFBIが預かり知らぬところで。

 

 判断を誤っていた。

 まず日本警察の動向を探るべきだったのかもしれない。彼女の実力を現状から量るに、それも難しかった可能性はあれど。

 

 恐らく、わざわざ『CIAへの貸し』なんて大きなカードを切ったのは、日本警察が鼠を飼っている事実を隠し(おお)せるためだろう。

 FBIのミスから日本警察に『取引』の情報が漏れていた、となれば、疑いが起こる可能性は低くなる。

 しかしその上でも、日本警察そのものが全力でFBIを助けに行っては、公然と両国の間に妙な力関係が生まれかねない。

 また、日本警察とCIAに何らかの繋がりがあると臭わせることもできる。そして今回のことで、FBIとも繋がりが生まれる可能性までも。

 

 何も知らないふりをしながら組織を牽制している?

 

 計算高い、のかもしれない。

 repdigits(ゾロ目の奴ら)の噂を思えば彼女一人の思惑ではない可能性が高いが。

 

 しかし『リプディジッツ(CIAはそう仮称している)』が日本警察に属すものであればそれはそれで大事件なのだ。

 彼らの所業(・・)は自国の内で留まっていて、他国で違法捜査を行っていた彼らに比べればマシと言えなくもない。とは言え、日本で活動するCIAのエージェントの耳に入る程には、かなり黒い噂が多い集団だった。

 日本警察は毒を制すために毒を食らったのだろうか?

 平和ボケした国だと揶揄されることもあるが、その実危ない橋を渡る気概はしっかりと持ち合わせていたのかもしれない。

 

 赤井が戻るまでFBIとCIAの面々は警視庁で待機となった。

 その事態もCIAを呼びつけたのは確かに日本警察の人間なのだと突き付けてくる。

 

 

 

 翌早朝に木暮と共に警視庁に現れた赤井は、作戦失敗後とは思えない穏やかな様子であった。

 愛しき人の妹の心を救うことに一役買った後だなど露知らぬ仲間たちは、彼の胆力を再認識する。

 

 そしてCIAに貸しを作ったという上にそんな彼を易々と連れ出した木暮に、得体の知れぬ何かを感じ取りどことなく畏怖のようなものを抱いた。

 CIAからの印象も似たようなものだった。

 

 彼女本人は未だに自己評価が低い。

 転生チートは自身の努力で得たものではないという理由で、周りからどう見えるかを過小評価している所があった。

 加えて、身の周りが超人だらけであるために、正真正銘自身の努力で得た身体能力についても軽視している。

 勉学面でハイスペックな点も転生モノによくあることなどと捉え、自身の努力がその背景に確かにあることを忘れている。

 

 加えて転生チートを使えるだけ使うと決心した。

 

 彼女自身も超人の部類である。知らぬは本人ばかりなり。

 

 とはいえ、アメリカ勢が彼女一人に持ってしまったイメージは多少過剰かもしれなかった。

 その原因である『リプディジッツ』の面々は彼女よりも事態を理解している。

 そして今後も自重する気はないらしい。

 

 彼女に対する裏社会を始めとする者たちからのイメージが、どんどん膨れ上がっていくのだった。

 

-----------------------------------

 

「……また無茶をしたね、彼女」

 

 宮野姉妹を保護しているその隣の一室に気配もなく帰ってきた降谷に、諸伏は声を掛けた。

 降谷は眉間に皺を寄せる。

 

「……どこからか見ていたのか? 組織関係の仕事場には近づいちゃ駄目だって言われてるだろう?」

「現場には行ってないよ。彼女のスマホに何が入ってるかは知ってるだろう?」

「……」

 

 盗聴探知アプリそれ自体が盗聴機能を有している。そしてそれは自身のみを探知から除外する。

 きっと彼女はそれが仕込まれていることを知っていて放置しているのだろうけど。

 

 降谷は溜め息をついてソファに身を沈めた。

 

「……実のところ僕はそれを見てない。何かする気はしてたけど……いったい何をやらかした……?」

 

 諸伏は小さく苦笑した。

 告げ口するようで少し気が咎めないこともないが、彼女には降谷に怒られてほしい。それでも灸を据えることになれるか分からないほどなのだから。

 

「ライを庇って銃弾を受けたみたいだ。彼女じゃなかったらどうなってただろうね」

 

 彼女の不思議な道具はどんな傷でも立ちどころに治してしまう。綺麗サッパリ元通りだ。

 

「……あいつ……!」

 

 降谷の形相が鬼になる。

 

「命を張るわけにはいかないって、散々言ったろうに……!」

 

 彼は天を仰いで目を覆った。声音に疲労が滲む。

 

「でもさ」

 

 諸伏はまた、苦笑していた。

 

「ゼロも……目の前で誰かが危険に晒されてたら……同じことをしそうな気がするよ」

「…………僕は」

 

 降谷は姿勢を戻して、組んだ手のひらを膝に置く。

 

「優先順位を間違えたりしない」

 

 諸伏はそんな彼を切なそうに見つめていた。

 

「ヒロも自分の命を最優先にするんだぞ。君が屍を晒せば僕の立場も危うくなる」

 

 スコッチを始末したのはバーボンということになっているから。

 けれど、それだけではきっとなくて、彼は幼馴染の身を案じてくれているのだろう。

 

「ああ、分かってるよ」

 

 諸伏はふわりと笑った。

 降谷はそんな彼をじっと見つめる。

 

(君こそ、実際に、守るべきもののために命を断とうとした癖に……)

 

 櫛森が『駄目』と叫ばなかったらきっと……。

 屋上に辿り着いて、そういう状況だったのは察した。

 ……ライは諸伏の自決を止めようとしていたのではないかとの予想もあった。

 彼女や諸伏が明らかに彼の肩を持っていたためだ。

 

(FBI、か……)

 

 様々な点に思う所がある。

 同時に、任務のためには全てを捨てる覚悟も、理解できないわけではない。

 それでもそれ以上に、お前程の男ならもっとやりようがあったはずだと思わずにはいられない、のはある。つまり自分は彼を評価しているのだから癪でもあって。

 

 しかし。

 

(ヒロを助けようとしてくれた、んだよな……)

 

 それがどんなに危険なことだったのかは重々分かっていた。

 憎み切れない。

 

 自分は本当に、彼女と同じ状況に行き逢ったなら、彼を見捨てることができただろうか。

 

 いや、見捨てなければならないのだ。

 

 降谷は改めてそれを自身に言い聞かせた。

 

-----------------------------------

 

 APTX4869は、開発者である灰原哀ちゃんですら解毒薬の精製に苦労していたくらい難解な薬です。元の研究データなしには彼女をして『覚えてないわ』と言わしめた程のもの。

 だからこそ元データを徹底的に削除したことには大きな意味がある、はずです。

 

 教えてもらったものは全て消してきたこと、ただしメスカルの部屋については手付かずであること、などを志保さんに報告する。

 

「両親の手掛けたデータは研究所の火災で一度は消失してるの。焼け残った資料を必死にかき集めて復活させたのが私……共同研究者がいたわけじゃないからクラウドでの共有なんかもされてないし、他にバックアップもコピーも存在しないと思うわ」

 

 つまり我々が燃やしたり溶かしたりで消してきたアナログデータはその『焼け残った資料』なんだよね……。

 

「メスカルに提出したことがあるのは試薬と、それを投与したマウスの観察記録で、残ってるのは危険と言えば危険なんだけど……ちょっと、何て顔してるのよ」

「いえ……やっぱりご両親の形見を消してきちゃったんだよなあって改めて……」

「二人だって組織に悪用されたくなかったはずよ」

「……そうですよね」

 

 ちなみに志保さんが卒論として提出したものは学生が書けそうな範囲に敢えて留めたもの。あれを参考にAPTX4869を作れるような人間はいない。

 だから、組織が悪用できる可能性はもうないはず。

 

「……あ、あの……あのね、志保……お母さんがあなたのために残したものって、ほかにもあるのよ」

「……!?」

 

 おずおずと、明美さんが口を開いた。

 

「でも……ええと、私が組織に隠して借りてた部屋があるんですけど、取りに行くのってやっぱり危ないでしょうか……」

 

 エレーナさんが残した物として第一に浮かぶのはあのテープです。

 それを明美さんがお父さんの生家に隠すのは、十億円事件の直前だったと思う。だから今はまだ彼女の部屋にあったとしても頷ける。

 

「……危ないでしょうね」

 

 湯日川(ゆいかわ)さんな諸伏さんが思案顔で言う。

 

「出奔直後の今は特に目を付けられていると思います」

 

 明美さんが言う『隠して』は書面上の話だと思う。監視の目を振り切って何かしようなんて逆に危なかったでしょうし。

 多分、哀ちゃんが明美さんの留守電の声を聞くために電話をかけていたあのお部屋なんだろうな。その時ジンが居たくらいだから、この今も実際危ないんでしょうね。

 

 ふふっ、と、志保さんが笑った。

 

「志保……?」

「そういうものがある、っていうだけでもこんなに気分が明るくなるものなのね」

「志保……」

 

 居た堪れない様子の明美さんの手を志保さんが包む。

 

「もう。お姉ちゃんまでそんな顔しないで。取りに行けるようになったら行けばいいだけじゃない」

「……そう、ね……」

 

 明美さんも志保さんの手の上から自身の手で包み込む。

 微笑ましい様子に私と唯川さんは目を細めるのだけど、数瞬後に一気に真剣な表情になった志保さんに思わず背筋を伸ばした。

 

「あなたたちに情報提供する理由がひとつ増えたわ。今までだって別に嘘なんか伝えてないけど、私たちの必死さもより理解してくれたわね?」

 

 私と湯日川さんはくすっと笑ってしまった。

 

「誰も疑ってないと思いますよ」

「潜入していた人間の持つ情報と矛盾するものもありませんでしたからね」

「……あなたたち以上の情報を持ってるわけでもない気もするけど」

「我々は鳳製薬が組織の傘下だなんて知りませんでしたよ。他にも……この分だと、組織は薬学の分野にもかなり力を入れていたようですね」

 

 鳳製薬は志保さんがいた研究所を所有していた会社です。志保さんのご両親がいたのは小鳩製薬みたいですし、烏丸といい、何か鳥に関する名を持つ企業が全部怪しく見えてきてしまいますね……。

 

 ちなみに、灰原哀ちゃん初登場直後と違って、薬品関連会社の火災はひとつも聞かない。こちらからデータを潰しに行ったことでむしろ守る態勢に入ったのかもしれない。……とすると、組織には研究を続けられる目処もありそうな気がしてくるわけだけど……。

 

「鳳製薬も全体が、って訳じゃないでしょうけどね。裏表問わず組織がやらせてる研究が多いわ。メスカルも今はそこの社員よ」

「……そういえば彼女って、変装したりしてました?」

 

 私の記憶が不要な先入観になるのは避けたい。

 

「外見についてはほとんどしてないと思うわ。ただ表では性格を作ってると思うわよ。組織で話す時の彼女はもっとかなり陰気だもの」

「陰気……意外です……」

 

 クールなイメージはあったけど暗そうな印象は受けなかった。

 

「名前は変わってたりしますか?」

「変わったけど、こっちで名乗ってるのだって本名かどうか分からないわね」

 

 一応、とその名前も教えてくれた。変装してないためかこちらでも英語圏の人間らしい名前だ。

 

「彼女って、いつ頃から組織にいるんですか?」

「さあ……私が物心ついた頃にはもう居たわ」

 

 志保さんがげんなりした様子で言う。

 てことは十年以上前ってことだと思うけど、メスカルいったい何歳なんだろう……? 多分、美魔女とか言われちゃう系なのかもしれない……。

 さておき、メスカルはお二人のご両親と面識があったりするのかもしれませんね。

 

「……そういえば、試薬を投与したマウスってどうなったんですか?」

 

 毒薬として復活したのは原作開始直前のはず。そして私が把握する限りではまだそううまくアポトーシスもテロメラーゼ活性も誘発できない。けれど既に『試薬』として形にはできてた様子で、それがメスカルの手元に残っている、と。

 

「どうにもならなかった個体がほとんどよ。数匹、十秒ほど苦しんでいた個体がいたけど、それだけね。p53遺伝子への働きかけが足りないようだけど、これ以上の刺激では機能不全に陥るでしょうし、この状態で試薬にしろなんてほんっと時期尚早にも程があるわ」

 

 志保さんはやれやれといった様子で肩をすくめた。

 

『苦しんでいた個体がいた』なら、命を奪うほどではなかったにしても一部の細胞で薬によるアポトーシスが起きていたのかもしれない。

 

 けれど、志保さんが……そしてきっとご両親が主眼に置いた働きはアポトーシスじゃない。それなのに薬の名前に『APTX』なんてついてたのは組織のほうはそっちに目を付けてたからなんだと思う。

 その齟齬があるから、『期待する効果には程遠いのが明らか』な段階で『試薬にしろ』って指示があった理由が彼女には分からないのかもしれない。組織は恐らく、未完成な内に毒薬としては完成することを知ってる。

 

 そして多分彼女は、ご両親の成果が毒薬として実際に使われていた過去もご存知ない。知ってたら彼女のことだから、研究に手を付けること自体しなかったんだと思う。

 多分、志保さんが復活させて以降実際に死者が出てから知ったんじゃないかな……。

 

 そのあたりを考えるともしかしたら、羽田浩司さんやアマンダさんの名前は既に載っているであろうあのリストも、メスカルの所持するデータの内にあるのかもしれない。

 

「メスカルが、試薬をもとに研究を引き継ぐ可能性はあると思いますか?」

「五分五分かしら……私以前の研究者にとっては、焼け残った資料だけではどうにもならなかったみたいだけど……」

 

 メスカルは薬学部で准教授なんてこなしてた人間です。かつての資料からは研究を続けることができなかったにしても、今はそこから先に進んだ現物が手中にあるのです。侮ることはできない。

 

 私はにかっと笑ってみせた。

 

「問題は、薬が完成した時に組織が利益を独占してしまうことな訳ですから、いっそ彼らより先に完成させて学会に発表しちゃいましょう」

「……っ!? そんなこと……データはもうないし、それに……」

 

 志保さんは目を丸くして、そしてオロオロし始める。

 

「だからみっちり変装を覚えましょうね! そしてウチの大学院に入りましょう!」

 

 にこにこする私。

 ぽかんとする志保さん。

 硬直する唯川さん。

 まあ、って少し楽しそうな明美さん。

 

「……櫛森さん、君、もしかして……研究データ、コピーしてきたんですか……?」

「そんな危険なことしてませんよ。世の中には、規定外のマシンで開けばデータはおろか本体まで破壊するような恐ろしいウィルスもあることですし」

 

 実際、原作で阿笠博士のPCがナイトバロンに破壊されてたのを覚えています。

 コンピューターウィルスって現実だと卑怯で最悪なイメージしかありませんが、物語の中で語られる脅威だと謎に印象的なのはなんなんでしょうね。……これも私のミーハーゆえなのかなハハハ。

 

「私、あんな膨大なデータ、いちいち覚えてないわよ……?」

「志保さんが私に色々話を振って下さってたでしょう? それらは全部記憶しています」

「……っ!?」

 

 それらが一つの研究に集約するなんて普通は思わなかったでしょう。けれど私には前世チートがあるのです。『ここはコナン世界だ』と認識してから五年以上の月日が過ぎる中、あの薬のことを考えないでいられたはずはもちろんない。

 何のために何を聞かれていたのかを……それが毒薬になり得ることを考えていなかった彼女よりも把握しているかもしれない。

 もちろん、研究のすべてについて尋ねられていた訳じゃないから穴だらけです。でもその穴はきっと、志保さんと私でなら埋められる。

 

 本当の完成を迎えた場合のそれを組織の利益にさせたくないのもあるけど、試薬が組織の手の中にあるままな現状、『解毒薬』を作れる可能性を失わないために、研究をここで途絶えさせるわけにいかないのです。

 

 第一。

 

「だから、ご両親の夢も、志保さんの夢も、手放さなくていいんですよ。一緒に頑張りましょう」

「……あなたって、人は……!」

 

 志保さんにとってのご両親との繋がりはとても少ない。同じ夢を追うことを『悪夢』にしないためにも。

 

 

 

 志保さんの持つ薬学科の学士号は本物な訳で、新造した戸籍とあれやこれやしまして、そして、彼女は実力で東都大学薬学部の大学院に合格しました。

 来年度からは晴れて同じ所に通うことになります。わくわく。

 明美さんにも民俗学科の受験を勧めてみたのですけど、他にやってみたいことがあるみたいです。まだ内緒なんてウィンクされました。可愛いので追求なんてできません。

 

-----------------------------------

 

 一番街医院にて。

 ジンと文字通り格闘することになった春野、夏井、秋元の特対課三名には、雪原医師によって三日程度の入院を要するとの診断が下っていた。

 木暮は一人一人の個室を見舞う。

 滋養に良い物作ってきたわ雪原先生も許可してくれたわなんて満面の笑みで渡されたクッキーは、存外美味だった。

 

「……なんで君ぴんぴんしてるわけ……?」

 

 夏井が心底理解できないという表情でぽつりとこぼした。

 

 木暮には負傷の様子が全くなかった。

 彼らと同じ人間から重い一撃をもらった上に、他から銃弾まで受けていたはずなのに。

 

 彼女はただただからりと笑った。

 

「銃器の闇取引絡みなら、撃たれるのを想定して、かーなりしっかり防具揃えてたのよ。あとこれ」

 

 木暮が鞄から取り出したのは布製の当て物のようだった。

 

「……何それ?」

「肩パッド型血糊」

「…………何それ?」

 

 夏井は同じ言葉を繰り返す。セリフに芸がないとか考えるのも馬鹿らしくなったほど、彼女の周りはこう突飛なことで溢れている。

 

「重症を負ったと見せかけて相手を油断させるためのモノよ」

「それ逆に畳み込まれない……?」

 

 クマへの死んだフリは逆効果、というのに類似する。加えて、味方が動揺するのは火を見るより明らかだ。

 

「思いっきり来てくれればくれるほど受け流しやすいじゃない」

「いや君、あの男の膝食らってたよね」

 

 木暮の表情が珍しく多少の陰りをみせた。

 

「あれは……別格過ぎたわね……意地としては現行犯でしょっぴきたかったけど……ちょっと、実力が違いすぎたわ」

 

 木暮が心底から相手を恐れているのを見るのは稀だった。それが稀なのは櫛森(こぐれ)が意図して形成している人格ではあるのだが。

 

 負傷を小道具による偽装だと偽って(・・・・・・・)黄昏れる様を、彼女自身が滑稽に感じる。

 ジンについては深刻であるべき話題ではある。とはいえ、真剣さを覗かせたからといって、『木暮』を、普通なら無理のある偽装(仮)への追求を諦めてもらえるような、謎な人格に育てあげようとした気などももちろんない。

 内心複雑である。

 

「…………ところで」

 

 木暮が更に鋭利な気配をみせ、夏井は息を呑んだ。

 

「メイちゃんを轢いた奴らについては、まだそちらも掴めてないの?」

 

 夏井は表情をしかめた。

 

「……『も』ね。本庁の刑事が追えてないものを所轄が」

「はぐらかさないで頂戴。私、友達に悲しい顔をさせたくないの」

 

 夏井の出世欲は本心でもあり人格(キャラ)作りでもある。今のは明らかに単なるポーズだった。

 私的な会話で捜査状況など明かせないのはあるだろうが、それでも。

 

「……だいたい、本庁だの所轄だの、所属で刑事の能力が決まってたまるものですか……」

 

 今までになくぽつりとこぼされたセリフからは辟易すら感じられる。本音なのだろう。

 毎回毎回心にもないと分かりきっている僻みを受け流すのは案外疲れるものだ。それが楽しい時もあるだけに余計に。

 

 本音には本音を、というわけでもないが、夏井は不満をこぼしてみた。

 

「……だったら君もきちんと昇進試験受けなよ。所属はそれぞれでも、階級はある程度実力を反映してあるべきだ」

 

 出世欲は人それぞれかもしれないが、この職にあっては救えるものが救えない憂き目に合わないとは言えない。逆に足枷にならないとも完全には言えないものの。

 夏井はただ単純に疑問もあった。彼女を上層部が放っておくとは思えなかったからだ。

 

 ふっ、と、木暮は苦く笑った。

 

「夏井さんにはいつか理由を話す日が来るのかもね」

 

 彼は小さく目を見張る。

 

「……何か理由があったのか。すまない」

「ううん。あなたに謝られることじゃないわ。むしろ逆にもっと怒られたりして……けど……そうね……ジャレてくれるだけなら今まで通りのらりくらりさせてもらうけど、本気の追求は今はまだ……やめてくれるとありがたいわ」

「…………そう」

 

 夏井は小さく返してふわりと瞑目し、窓辺へと視線を逃がす。

 

「…………ねえ、私ね……FBIがやりあってた連中と、メイちゃんを撥ねた奴らが、繋がってないことを……必死に祈ってるわ」

「……!」

 

 夏井は瞠目して木暮に視線を戻した。

 

「共通の印象は今の所ただ『黒』という一色だけよ」

 

 黒装束を纏う者たちの組織。

 黒服で黒いバンに乗っていた奴ら。

 

 烏丸。小鳩。

 

 薬物。プログラム。赤い石のペンダント。

 

 キッドが探してた組織については、黒ずくめの彼らとの関係はないとの明言もあれど。

 異なる物語が重なっている意味を、彼女は楽観視できなかった。

 

 追う側を既に半ば繋いでいる彼女がいるのだから。

 

「……でも、妙に嫌な予感がするの」

 

 焦燥を滲ませる彼女に夏井は真剣な目を向ける。

 

「……あんなの(・・・・)がうじゃうじゃいるなんてぞっとしないじゃない。治ったらトレーニング付き合ってくれない?」

 

 夏井は薄っすらとだけ苦笑を滲ませた。

 

「君の練習相手は既にいるんだろう? 俺たちは……そうだな、今度空田さんに付き合ってもらおうかな」

 

 へにゃりと木暮は笑った。

 

「私相手より遥かにヘヴィじゃない。私もずっと頑張るわ。……そして終わったら、皆で思いきり羽根を伸ばしましょう」

「うん。絶対にね」

 

 櫛森(こぐれ)が宗教団体らしき組織と目すそれは法人として存在する様子もなく、未だ雲を掴むような感覚だった。

 精神的な面の痕跡は物理のそれより手繰り難く感じる。

 

 それでも、絶対に……。

 

-----------------------------------

 

 志保さんと明美さんにも変装してもらうということで、私が自分のためだけだった頃よりもファッション関係にかなり傾倒していったためか、よく分かりませんが周りの皆さんに『お洒落な部類の人間に進化した』みたいな認識をされるようになったようです。

 石上さんと志保さんと明美さんのおかげですね!

 

 ハロー探偵事務所の女性陣とも会話が弾んで、ほっといたらシンプルさに極振りしていきそうなメイちゃんをあれこれ連れ回したり。その流れでファッション関係が好きな東海林さんと白鳥さんも話に乗っていらしたり。

 開発中のゲームの雰囲気が少し変わってきたらしかったり。

 鍛錬ついでに萩原さんから女子ウケしそうな服や小物や髪型やを聞かれたり。いやその返答には少し困るんですが。私にウケても他の女子もそうとは限らない。

 その萩原さんの流れで(?)、同じく鍛錬ついでに松田さんや伊達さんともファッション系のお話をするようになり。

 などなど。

 

 相変わらず組織関係には気が滅入るし、米花町と歌舞輝町はそういう町だしで戦々恐々ともしつつ。

 

 歌舞輝町ではやはりアンゼロのイベントストーリーだった気がするものにちらほら遭遇するんですけど、どういうわけかメイちゃんとフラグが立ってそうなかたが見当たらないのです。

 ただ、ルート分岐せず全部起きてる気がするから、つまりはお相手を選んでないだけってことになりはするのかもしれないけど……。

 サ終前に実装されてたメインストーリーは東海林さんと風晴さんの二つのルートのみでした。もしかしたらそれ以外になったりするのかも。

 

 そういうふうに、前世知識通りだったりそうじゃなかったりすることを経てあっという間に時間は過ぎて行き、再び冬が来ようとしていた。

 

『櫛森さんはこっちに来れない?』

 

 と画面越しに言うのはヒロキ君。

 なんでも『面白いものを見せたい』みたいです。

 けれど、里崎さんはこれから本業が忙しくなるみたい。

 志保さんと明美さんは通話には出れないけどファイル共有だけはしてる状態で、もちろん渡米は今はまだ考えられない。

 

「うーん、ちょっと上司に聞いてみます!」

 

 伊達さんのことを考えるとアメリカなんて行ってられないのだけど、じゃあ行けない理由は、となるわけで。残念ながら学会の予定もしばらくない。

 ここでぱっとそれらしき『用事』を挙げられないのがいかにも私という感じです。

 あれ? でも昔に比べたらボッチじゃないはずなんだけどな……?

 

 そしてその『上司』に聞いたのですけれど。

 

「……いいんじゃないか?」

 

 降谷さん、それ、出向の話持ってきたときのご反応と同じじゃありませんか……?

 

「え、いいんですか……?」

「君は行きたくなさそうに見えるけど、その縁は公安からもできるだけ太く維持すべきものって扱われてるだろう?」

 

 らしいことは聞いてますけども。

 

「このところ、組織のプログラマー獲得には強引な点が目立ち始めてる。ヒロキ君の言う『面白いもの』が何だかは分からないが、分からない故に組織に関わりがないとは断言できない」

 

 い、言われてみれば心配になってきました。

 

「様子を覗えるのは君だけだ。上には伝えておく。それに、数日だろう? その程度なら組織から呼び出しがかかったとしても誤魔化せる」

 

 それはそうかもしれないのですけど、もう二月七日まで三ヶ月くらいしかないのです。

 

 六係として一課をちょくちょく覗ってみても、伊達さんがその日張り込みをする原因となるはずの、闇金トラブルに関係するような刺殺事件はまだ起きてる様子がない。そして私にはそれを起こす結婚詐欺師がどの結婚詐欺師なのかなんて突き止めようがない。

 砂漠で砂粒一つを探し出すような作業とか以前に、その粒がどういう姿かたちなのかをそもそも知らない。そしてその砂漠は捜査二課の担当になるから『木暮』にしても畑違いになってしまうし、そもそもまだ詐欺師としてマークされてもいないかもしれない。

 

 こんな状況では、もし公安の力とかで結婚詐欺師一覧みたいなもの(?)を入手できたとしてあまり意味がない。

 

 人が亡くならなければ事態が分からないのももどかしいけど、それについては私に何かできることじゃないと割り切るしかない、と思う。できるのは超える力が働いて何か視えることを祈ることくらいだ。

 それについても、諸伏さんの時も何か前兆を捉えてくれないかって思ったけどだめだった。私がその前兆に関係するものに居合わせないことにはそもそも無理なんだとは思う。

 それに、ゲームではちょこちょこ起きてたけど私にとっては年に一度起きるか起きないかの現象です。頼みになんてできない。起きてって思うほど余計起きない印象もあるし……。

 

 そんな諸々の事情で私は日本から目を離したくないのです。

 

「……ゼロさ、ん」

 

 躊躇われる、はずが。

 

「いやな、予感、が」

 

 気づいた時には口をついて出てしまっていた。

 降谷さんが目を見張ってしまった。

 

 できるだけ、『何か起こる』かもしれないこと自体、伝えたくなかったのに。『本当のこと』にしたくないのに。

 その、変えようもない前兆、自体は、彼らに関係すらしない、のに。

 

「何か視えたのか……!?」

 

 私は思わず強く首を振った。

 

「違います、何も……何もっ」

「青い顔して何言ってるんだ! それで何もないわけないだろう!」

「!?」

 

 顔色が変わってしまってた?

 降谷さんが察知してしまっただけなのかもしれないけど。

 

「……あいつらに関しては僕がどうにかするから」

「……っ……あなただったらどうするんですか!」

 

 私はなんでそんなことを口走ったんだろう。

 降谷さんがまた目を見張っている。

 

「……ご……ごめんなさい……何かが起こるなんて……分かりません。でも、ゼロさんもご自身をきちんと守ってください……」

 

 降谷さんはふっと小さくため息のような笑いをこぼして、ぽすんと私の頭の天辺に掌を落とした。

 

「君にも同じことを言うよ。まあ……そうだな……湯日川はアメリカに行かせるわけにいかないから、その分あいつらを注視してもらうことにする。宮野姉妹については公安の他の者をつかせるよ。僕は公安で書類仕事でもしておくとしよう。たまってるからな」

 

 今度は私が目を見張る番だった。

 へにゃりと思わず眉尻が下がる。

 

「気を使わせて、ごめんなさい……」

 

 ああ、何をやっているのでしょう。

 

 それ以上この話題を続けない代わりと言うと語弊があるのかもしれませんが、気づいたら私のアメリカ行きは決定事項になっていました。

 行き先はボストンではなくロスです。シンドラーカンパニーの社屋のひとつがあるみたい。

 ヒロキ君はサプライズにしたいらしく、何を見せたいのか結局教えてくれません。こんなことでもなければきっと楽しい旅だったんだろうなあ……。

 

 と、日本での出来事にばかりやきもきしていた私は、予期せぬ事態に次々見舞われて目を回すことになるなんて、知る由もない。




/

転生者
 書いてる人には薬学のことなんて一ミリも分かりません。何かそれらしい言葉が並んでるだけです。思いっきり間違ってても、単に薬のこと話してそうな雰囲気が書きたかっただけなので流してあげてください。転生者がきちんとプロの研究者してそうにみえてたらいいなって……。
 転生者はもうボッチじゃないけど、とっさに嘘の用事を口走れないのは単に他人を巻き込めないお人好しのせい。
 伊達さんの件については警察学校組大ファンな記憶力がかなりきいてるけど、だからこそ今はまだどうしようもないことがよくよく分かっちゃってナイーブ。
 そんな状態でアメリカに向かったら某事件に遭遇して目玉飛び出すことになる。

降谷さん
 転生者は後日こっぴどく怒られるか、トレーニングメニューが鬼畜になる。
 宮野姉妹についてはエレーナさんや厚司さんも含め探し続けていたが、組織が厳重に過去を切り離していたため辿り着けていなかった。(薄々知ってたとか、宮野一家を追って潜入したことにしてみたい気もする……ロマン……!)
 組織内部に居るとなると調べようがあって、エレーナさんと厚司さんが亡くなっていたことを知る。つらい。
 姉妹は絶対に守ってみせる……!
 赤井さんに対する確執は比較するとかなり軽いけど、思う所がたくさんありはするから内心メチャメチャ複雑。
 宮野姉妹とはまだ顔を合わせないけど、陰から守ってる。
 やはり何故かどうも転生者に甘い。ただし、本当に書類仕事だけしてるかは怪しい。
 宮野姉妹と諸伏さんへの研究データ削除の報告については、二度手間を防ぐため転生者のスマホの盗聴アプリで聞いてる。諸伏さんも同じくだけど、転生者のそれだって必要のあるときにしか使わないし、宮野姉妹の部屋に盗聴器を設置したりもしてない。
 隣室に控えてるときも聞き耳立ててたりしない。そんなことしなくても不穏なものが迫って来たら気付く。
 多分、赤井さんが阿笠邸にしかけてたのは、一軒家と一軒家(しかも両方ばか広い)、という距離感のため(だとしても倫理的にあれかもしれないけど)。マンションの隣室というこの状況だったら、赤井さんも盗聴器なんて必要としなかったかもしれない。

諸伏さん
 姉妹のお休み時間は隣室にいる。ワンフロア全部公安が押さえてるかも。それだけ宮野姉妹は公安から重要人物だと認定されている。
 姉妹の部屋を挟んだ反対側には転生者が詰めることになってるけど、当日はまだ帰ってきていなかった。公安で報告とかしてた。
 一般人としての日常も疎かにしてはいけない転生者までそこにいることになってるのは、諸伏さんが目を離さなくてすむように、とかかもしれません☆ 今は宮野姉妹の護衛のほうが優先度が高い。
 ただ彼女は公安の仕事がなければずっと研究室にいるような仕事人間なので、有給が有り余っている。宮野姉妹が心配だし変装の手ほどきもあるしで、このお部屋にこもるためにちょっと有給を消化した。
 前回の件があるからどうにかアメリカについていけないか訴えるけど無理だった。帰ったらもっと過保護になってることでしょう。

志保さん
 転生者と明美さんの着せ替え人形状態。しかしそのうち本人もお洒落感覚で楽しくなり、ノリノリになる。
 転生者がAPTX4869の存在を予め知ってたなんて思いもしない&それがあったとしても驚異的な頭脳をしてる転生者に度肝を抜かれたけど、転生者本人は自覚してない。薄々それが分かってるため頭痛がしそうな気分。

明美さん
 エレーナさんのテープを組織の見えるところで志保さんに渡さなかったのは、薬に関する情報があると勘繰る組織に取り上げられる可能性を危惧したから。ほんとにあるかもしれないし、ないかもしれない。
 変装の上達速度が異常だったりする。十億円事件然り、妹が関わってると何でも完遂できちゃうタイプ。
 降谷さんと諸伏さんはそれに気付いてて、組織が彼女に妹を盾に薄暗い仕事を強要してなくて良かったと心底思ってる。組織は薬学関係でのみ姉妹を測り、志保さんの頭脳に目が眩み明美さんの能力を見誤っている。
 過去エピソードからして人の機微に敏い上に、機転もきかせられて賢いはず。
 公安は降谷さんと諸伏さんの所見を元に、姉妹二人ともを同じく重要人物だと見ている。

ジン
 いくつか設置されていた監視カメラに怪しい影が映っていたものはあったけど、綿引君が頑張ってセキュリティに侵入していじってるため正体は掴めなかった。
 何もかも役にたたねえ……!!!
 めっっっちゃくちゃイライラしてる。
 真っ先に疑うのはFBI。しかし彼らは全員アメリカに帰るため、しばらくそちらに捜索の手を伸ばしまくる。アメリカとばっちり……。

メスカル
 かつてエレーナさんの研究を引き継ぎきれなかった僻みが強く、シェリーが自分より評価されてるのが気に食わないから、実はいなくなったのは内心喜んでる。もしかしたら薄々察知してて放置したのかも……?
 転生者を籠の鳥にしよう計画を実は諦めてなくて、組織の人間を使って陰で画策を続けてたりする。しかしいつも不可解に失敗する。原因は諸伏さん。彼は転生者にちょっかいをかけようとしてるのが何者なのかまでは辿れておらず、組織だろうと見当をつけてはいるけど、今の所誰にも報告していない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。