ダークネス・ストラトス   作:金欠生首

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ゴーレム戦は決着よ・・・ゴーレム戦は


第十話 機械人形をぶっ壊せ!

山田先生の避難勧告を無視して戦い始めてから何回の攻撃が躱されただろう・・・

その度に何度の拳を受けただろう・・・

目の前の敵は一度も傷ついていない。

攻撃の度に躱され、あの巨大な拳を喰らう。

少し離れた距離から援護してくれている鈴の龍砲も回避され、その度に腕や肩にある砲門からレーザーを放ってくる。

俺達も躱しはするものの数回は掠ったり被弾する。

その為、こっちの『SE(シールドエネルギー)』は確実に削られていく。

俺と鈴のSEは既に3分の1を切っている。

その点、敵は攻撃を全て躱しているからSEが減ってない。

それどころか呼吸が乱れる様子もない・・・呼吸が乱れていない・・・まさか!?

 

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「あちゃー。まだいっくんには早すぎたか~」

 

ただ一つ、防護シャッターの降りてない来賓室。

その来賓室で束は目の前で起きている戦闘を見ながら笑っていた。

 

「だろうな、束。見ろよデスローグ、また外しているぜ」

 

氷結は再び攻撃のチャンスを外した一夏を笑いながらデスローグに話しかけていた。

 

「でも、さっきとは動きが違う」

「ん?・・・そう言われてみれば、確かに」

 

ディスフィアの言葉でもう一度よく見た氷結はある一つの違いに気付いた。

それは、先程まで斬り下ろしや斬り上げをしていた一夏の攻撃方法が横薙ぎや雪片弐型での突きを主体にした攻撃方法に変わっていたのだ。

 

「なる程、そういう魂胆ですか」

「スライ、貴様も気付いたのか」

「え~何々? ジャーくんにスーくんは何か分かったの?」

 

それを見ていたスライが何かに気づき、それに先に気づいていた一落がスライに話しかけると束は何がわかったのか聞こうと二人の方を向いた。

 

「えぇ。彼は、自分の仮説を証明する為の攻撃をしています」

「仮説の証明?」

「あの少年は『もしかして、あのISは無人機なのではないのか?』と言う一つの仮説を証明する為に攻撃方法を変えている」

「なる程~♪ 流石、いっくんだね。じゃあ、そろそろ例のシステムのタイマーを「五分後だ」・・・へ?」

 

何かのシステムの電源を入れる為に空中投影型のコントロールパネルを展開した束にソファーに座ってシャンパンを飲んでいたベリアが声をかけた。

 

「ベーくん。何で、五分後なのさ?」

 

束の言う事も尤もである。何故、ベリアは5分後と言ったのか。それはスライ達にも分からず彼らも束と同じ質問をするつもりだった。

 

「織斑があれを無人機と決定づけるのに三分。あのチビと作戦を立てて実行しようとしてもらうのに一分。そして、予想外の展開とトドメに一分の計五分。その五分後に起動するようにしておけ」

「う~ん・・・ベーくんが言うならそうなんだろうね。じゃあ、5分後にセットしておくね」

 

ベリアの発言に束が頷くとコントロールパネル中央のタイマーを『5分』に設定した。

束の操作していた中央タイマーの表示の上には設定した5分後に起動するであろうシステムの名前が書かれていた。

その名は・・・『Imperializer System』

 

(さぁ、いっくんの強さをこの束さんに見せてよね♪)

 

設定し終えた束は再びアリーナで戦う一夏に目を向けた。

ベリア達5人も同じくアリーナでの戦闘に目を向けている。

 

6人にとってこの戦いなど・・・前菜にも満たない。

 

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「織斑君! 鳳さん! 応答してください! 二人とも! 応答してください!」

 

第二アリーナの管制室では麻耶がいまだに二人へ連絡を取ろうとしていた。

しかし、戦っている二人はISの秘匿回線(<プライベート・チャンネル>)を双方のアクセスしか許可していない為、絶対に応答することはない。

 

「山田先生、少し落ち着きたまえ」

「織斑先生! 何をのんきな事を言ってるんですか! 織斑先生は弟さんが心配では無いんでs「心配に決まっているだろ! だが、現段階ではどうする事も出来ない!」・・・すいません」

 

麻耶は自分の発言が失言と言う事を素直に認め、謝った。

現在、この第二アリーナのシステムステータスは遮断シールドレベルが4に設定され防護シャッターが閉まっており、ドアも全てロックされて出入りが出来ない。

第二アリーナは現在、出入りが出来ない閉鎖空間になっていた。

 

「現在、三年の精鋭がシステムクラックを行なっている。ロックが解除され次第、私は打鉄を纏って出るぞ」

「織斑先生・・・」

「止めようとするなよ。唯一の身内を失うくらいなら・・・私はこの世界を壊したって構わん」

 

拳を握り締めそう言う千冬に麻耶は笑顔で答えた。

 

「誰も止めようなんてしませんよ。その時は、私もお供しますよ」

「・・・すまないな。取り乱して」

「構いませんよ。ところで織斑先生、弟さんが大事ならもう少し出席簿で叩く回数か威力を抑えてみては?」

「それは出来ん。一部の生徒だけを贔屓していると思われたら面倒なのでな」

「他の生徒の叩く回数や威力を減らすという案はないんですね」

「当然だ。特に私たちのクラスはこれからも騒がしくなりそうだからな」

 

千冬の言葉にそうなる可能性を感じた麻耶は苦笑を浮かべてこの会話を終わらせた。

 

(死ぬなよ一夏。お前が居なくなったら・・・私はこの世界を破壊するからな)

 

胸に一つの決意をすると大きく息を吐いてから麻耶に声をかけた。

 

「山田先生。一緒にコーヒーでも飲んで気を落ち着かせたまえ」

「そうですね。でも、織斑先生。それ、塩ですよ」

「・・・何」

 

千冬は自分がカップに入れたコーヒーに砂糖と思って入れていた物質を乗せているスプーンがどの箱に入っていたか確かめた。

確かに砂糖の箱はあった・・・が、スプーンは箱に入ったまま。その代わりに砂糖の箱の横にある大きく『塩』と書かれた箱のスプーンが無かった。

箱にないスプーンは今、千冬が手にしている。

 

「何故こんなところに塩があるんだ」

「さぁ? でも、大きく『塩』と書いてありますけど・・・やっぱり、弟さんの事が心配で周りが見えなくなって「山田先生」ハイィッ!」

 

少しドスの効いた声で名前を呼ばれた麻耶は怯える様な声で返事をした。

 

「コーヒー、どうぞ」

「でも、それって塩入り・・・」

「どうぞ」

「だから塩いr「ど・う・ぞ」・・・はい」

 

麻耶は、ずいっとコーヒー(微塩)の入ったカップを涙目になりながら受け取った。

 

「熱いので一気に飲むことをおすすめしよう」

「私が猫舌なのを知っていて言っていますね・・・」

「当然だ」

「うぅ・・・」

 

その呻きの後に麻耶は「フーフー」と冷ましながらチビチビとコーヒー(微塩)を飲み始めた・・・それは正に、小動物の様に。

 

管制室にはほんのりとコーヒーの香りが漂った。

 

――---------------------------------------

 

「はぁぁぁ!!」

多分、合計で30回目の攻撃。攻撃は胸元への横一閃。体を反らして躱すかこの雪片弐型を掴むしか道はない! これで俺の仮説か正しいかどうかが決まる!

 

「・・・」

その瞬間、敵は膝から上を体ごとを90度に後ろに倒して躱した。

そして、上を通り過ぎた白式目がけて腕にある武装からレーザーを放った!

織斑は、攻撃が無人機の上を通り過ぎて危険を感じた瞬間に雪片弐型を自分より少し前の地面に突き刺した!

すると、雪片弐型を軸に白式は上に上がる。雪片弐型と白式が一つの直線の様にまっすぐになった瞬間に背面にあるブースターを吹かすと剣を地面から引き抜いて上に飛んだ。

そして、一夏は自分とは反対側にいる鈴に秘匿回線(<プライベート・チャンネル>)を使って叫んだ。

 

「鈴! 「一夏うるさい!」わわっ、ごめん」

「で、何よ」

「あぁ。あいつに人は乗ってないと思うんだけどどう思う?」

「無人機ってこと? そんな事、あるわけないじゃない。だいたい、ISは人が乗ってないと動かn・・・」

 

そこまで言って鈴の言葉が止まる。

 

「確かに・・・今もこうして会話している時は襲ってこないわね。絶好のチャンスの筈なのに」

「だろ。だから、あれって無人機かもって思ってるんだけど。一応、定義上は人が乗ってないと動かないけどその定義が覆されない確証は無いだろ?」

「確かに・・・で、それがどうかしたの」

「なら、勝算はあるって事さ」

「はぁ!? どういう事よ!」

「おおおお落ち着け鈴。無人機なら俺の雪片弐型の零落白夜を全力で叩き込めるから勝機はある」

「今までに一撃でもアイツに入れた事無いくせに」

「次は入れる・・・絶対に」

「・・・はぁ。分かったわよ。その代わりに失敗したら『カフェ・ド・バロン』の『バナナ・バナ・バナナ』奢んなさいよ」

「あぁ、わかったよ(・・・あれ、高いんだよな。千冬姉の誕生日に買ったら結構したし)」

「で、あたしは何をすればいいの?」

「俺が合図したらアイツに全力で龍砲を放ってくれ」

「いいけど・・・当たらないわよ」

「別にいいんだ。(考えがあるから)」

「ふーん。まぁ、任せたんだから文句は言わないわ」

「頼むぜ、鈴」

 

一夏は最後にそう言うと無人機に向かって行った。

 

「はぁぁぁーー・・・セイハーーー!」

 

一夏は雪片弐型で無人機に斬りかかったが無人機は垂直に上へ跳ぶ・・・そして、腕の武装の照準を一夏に絞った時――

 

「鈴! 今だ!」

「えぇ! いっけぇぇぇ!」

 

上に移動した鈴が甲龍の肩部にある大型衝撃砲『龍砲』を放った。

この一撃を躱すことが出来なかった無人機は龍砲の威力に押されて地面へと叩きつけられるかのように急降下した・・・だが、下に見えたのは地面と白い点。

それは・・・白き鎧(<白式>)を纏い(<雪片弐型>)を持ちし戦士(<一夏>)

 

「これで・・・終わりだぁっ!!」

 

その一言と共に振るわれた(<雪片弐型>)は地面に上下に分かれた無人機を産み落とした。

無人機を斬り捨てた白式は勢いを殺してから甲龍と並んだ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

「お・・・終わったの?」

「・・・多分な」

「・・・」

「・・・」

 

いきなり生まれた沈黙・・・しかし、それを破るのも・・・

 

「いよっしゃぁぁぁぁぁ!」

「やったぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

二人の勝利への喜びの叫びだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし・・・勝者はまだ決まっていない。

 

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――SYSTEM――

5分経過を確認・・・『Imperializer System』起動

損傷箇所を修復・・・同時に右腕の変形を実行。

肩部にガンナーユニットを装備・・・フェイスパーツをガトリングヘッドに換装。

 

・・・Imperializer・・・行動開始

 

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勝利したと喜ぶ二人・・・その遥か下で無人機は静かに変貌していった。

分断された体はコード類が互いを引き合わせ、元の形に復元された。

左右の肩からは一つずつ砲門が突き出て、顔は円筒状の物体が逆三角を描く様に突き出て、ゆっくりと回転する。

右腕は形を変えて大きな両刃剣になった。

 

・・・ギュシュイイイイイン。

 

アリーナに響くギアの回転が告げる第二ラウンド・・・

 

「な・・・」

「何よあれ・・・」

 

上空にいた二人も気づくと共に下を見ると動くISの姿に確認して声を失う。

 

学園にいる一般生徒でこの姿に良く似た存在を知っている者は何人いるのだろうか。

かつて、子供達がTVを通して見ていた別世界のお話。

その中の一つの物語にこの機体の原点は存在する。

艶のない黒き鋼のボディに肩の砲門や顔にある逆三角の円筒。極めつけは右腕の大剣。

 

それは・・・ある巨大なヒーローが活躍する世界の作品の中で『無双鉄神』と呼ばれた代物

そして・・・

 

「ほう・・・あの鉄くずか。懐かしいな」

 

ベリア・・・いや、ウルトラマンベリアルやダークネスファイブ達のいる世界に存在した。暗黒宇宙大皇『エンペラ星人』の尖兵(<駒>)として造られた機械人形(《ロボット)》。

 

『無双鉄神』の異名を持つ機械人形(<ロボット>)

その名は・・・

 

「・・・」

 

インぺライザー

 




まずは一言
一ヶ月間も更新しなくて申し訳ありません。

ちょっとしたスランプでして・・・話が思いつかなかったんです。
今回の話も過去の没ネタ集を元に作ったので色々と荒いです。

インぺライザーはメビウスの影絵の方をモチーフにしているのであちこちスマートになってます。
千冬さんも原作より隠れブラコン度を少し強くしております。
他にも色々と原作より変わってる方がいたりします。
箒とセシリアのシーンは管制室にいない事になっているのでカットしています。
ファース党にオルコッ党の皆様。申し訳ない。


次回、VSインぺライザー!



おまけのネタ解説
『カフェ・ド・バロン』
駆紋 豊がオーナー兼パティシエの洋菓子専門店で一番人気はバナナを贅沢に使ったケーキ『バナナ・バナ・バナナ』(一個800円)
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