ダークネス・ストラトス   作:金欠生首

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12/13 14:45誤字修正 昌彦さん、感謝します。


第十五話 兎の群れは王に仕える

「さて、お前達…説明して貰おうか」

 

『この時間ならば』と、千冬はベリアとラウラを相談室に案内すると鍵を閉め、二人に説明を求めた。

 

「簡単な話だ。コイツがいた部隊を襲撃。で、俺達のモノにした。」

「その後、ベリア陛下の知り合いが経営しております『Seven's Sins Corporation』に部隊ごと雇用されました。

黒兎隊(シュヴァルツェ・ハーゼ)は解体、再編の後に黒き王の軍(シュヴァルツェ・ケーニヒ・ミリテーア)となりました。

そこで、アイン隊隊長として活動していましたがこの度、銅獄社長とベリア陛下からの御命により新型機のパイロットおよび護衛として編入いたしました。」

 

『こちらが名刺となります。』と言いながら差し出された元教え子から名刺を受け取りながらも千冬は自分の知る過去の彼女との違いに追いつけきれていなかった。

 

「そ…そうか。経緯は理解した。ボーデヴィッヒは授業に向かうといい。私はベリアにもう少し話がある。」

「了解しました。そういえば、クラリッサが織斑教諭に挨拶に伺うと言っておりましたよ。それでは」

 

そう言ってラウラは相談室を出て授業へと向かった。

 

「いいいいったい何をした!? アイツがあんなにも社交的になるなんて私すら想像もつかなかったぞ!? 洗脳か? 洗脳だな! 洗脳したんだな!」

「落ち着け。洗脳はしてない。効率が悪いからな。」

「すまない。で、何故ドイツを襲撃した? そして、何故ドイツはそれを公表もしない?」

 

元教え子の変わりように多少混乱していたものの落ち着きを取り戻し、公表されてない事を疑問に思った千冬の問いにベリアはリベリオンの拡張領域から一冊の冊子とメモリを取り出すとそのまま手渡した。

 

「そこに書いてある事が全てだ。メモリはその冊子の元データと束からの伝言だ。読むなら誰もいないところで読むんだな。」

「待て。お前も付き合え、授業に関しては公欠扱いにしてやる。束も絡んでいるんだ、嫌な予感しかしない。」

 

束の名前が出てきた事によって頭痛を覚えた千冬は直ぐに真耶へと連絡を取り、授業の進行を頼んだ。

 

「すまない。この礼は今度させてもらう。…さて、寮長室まで同行願おうか、束の伝言も気になるからな。」

「ったく、仕方ねぇな。」

 

そうして、二人は相談室から寮長室に場所を変えることにした。

 

 

 

 

ー寮長室ー

 

「なに!? VTシステムだと!? あれは国際的に開発禁止の筈だ!」

「表向きな。実際、アイツが使ってたシュヴァルツェア・レーゲンの奥底の方に組み込まれていたぞ。」

 

千冬は冊子に書かれていた内容に思わず声を荒げてしまった。

 

「そうか。アイツを助けてくれた事、感謝する。」

「気にするな。システムに気付いた束に頼まれたからやってやっただけだ。ついでに、それをネタにドイツからあれだけの軍隊とISを手に入れた。いい稼ぎになった。」

 

冊子には顛末まで書かれており、冊子によると

『VTシステム作成、内蔵に対する制裁としてドイツに配備されているISコアを全て没収。』

『ドイツ政府の猛抗議はどうでもよかったがベリアの提案により黒兎隊(シュヴァルツェ・ハーゼ)とISコア3個を交換』

『交換した部隊の再編をした後に全員を雇用』

の3つが大きい事象として書かれていた。

 

「しかし、かなり派手にやったな。上はさぞ五月蝿かっただろうな。」

「知らん。VTシステムの話をすれば直ぐに静かになったがな。」

「くくっ。私もその場に居合わせたかったものだ。」

 

互いに悪い笑みを浮かべながら千冬は冊子を閉じるとメモリの方を部屋のパソコンに差し込み、中にある『ちーちゃんへ♥愛しの兎さんから♥』と書かれたフォルダを開き、中身を見て溜め息をついていた。

 

「おい。俺の質問にも答えてもらうぞ。あのデュノア…小僧じゃなくて小娘だろ。」

「やはり分かるか。 それくらいの鋭さを弟にも備えて欲しいものだ。」

「無理だな。お前の弟は鈍感さだけは一流だからな。」

「否定出来んのが悲しい所だ。」

 

千冬は、鈍感過ぎる弟の事にも溜め息を吐きながら「口外はするな。」と釘を刺しながら一つのファイルを手渡した。

 

「シャルロット・デュノア…おいおい、もう少し名前を弄ったらどうなんだ。」

「あまりに違いすぎて反応できなかったり、ボロを出さない様にする為だろう。」

「だとしてもだろ。俺達がいるとしてもまだまだ数少ない男性操縦者…おまけに既に企業所属、注目され続ければ直ぐにでもバレるぞ。」

「そうなったらそうなった時だ。場合によっては救いは差し伸べるさ。」

「その前にお前の弟にバレたりしてな。同室にするんだろ。案外、シャワー中に入ってバレたりしてな。」

「…流石にそれは無いだろ。弟が同性愛に目覚めてなければな。」

 

軽口を叩きつつも内心、少しだけ不安になりながら返されたファイルを受けとると丁度、授業の終わりを告げる鐘が鳴った。

 

「さて、時間を取らせて悪かったな。束の伝言の件も仕方はないが了承するとしよう。護衛官とは別に実技補佐等も依頼するかもしれんが構わないな?」

「奴等の返答次第だ。俺は授業に戻るぞ。」

 

ベリアは返事を返し、寮長室を後にした。

 

「先程のボーデヴィッヒの言葉はこういう意味だったか。」

 

一人、寮長室に残った千冬はパソコンに表示してあるデータを見ていた。

 

ーS.S.C 開発部門兼企業代表操縦者 ラウラ・ボーデヴィッヒ ー

専用機 シュヴァルツェア・シュタークレーゲン

 

ーS.S.C 臨時護衛官兼専属整備士 クラリッサ・ハルフォーフ ー

専用機 シュヴァルツェア・ツヴァイク

 

ーS.S.C 開発部主任兼パイロット ストルム・デルストリア ー

専用機 トリニティ

 

 

「全く…次から次へと」

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