黒騎士、エルデの地の紀行 作:ゆでエビ
いざ探索をと思い、教会の表に出たところ、騎馬にまたがった黄金鎧の重戦士がいきなり襲いかかってきた。
どうもこの近辺を哨戒していたようで、先ほどは運良くこの者の目を逃れて教会に近づけていたようだ。
襲われる理由もわからず混乱したが、心当たりがあるとすれば、自分が『褪せ人』とやらであることくらいだろうか?
応戦を強いられたが、恐るべき強敵であった。
馬の扱いに長け、巨大な斧槍と大型のラウンドシールドを巧みに扱い、重装の鈍重さを感じさせず熾烈に攻め立ててきた。
正直、目覚めた場所で見つけた緋色の雫の力がなければ、骸を晒していたのは私の方であっただろう。
不覚から幾度か傷を負ったが、この雫の力によって傷を再生させ、故にこそ私は勝利を掴んだ。
戦いを終えた私は、ただちに教会に戻り休息をとった。
驚くべきことに、気づけば瓶の中には再び緋色の雫が満ちていた。
十中八九この祝福の灯の影響だろう。緋色の雫と祝福とは、密接な関係にあるようだ。
仕組みはともあれ、なんとも心強いことだ。
重装の戦士を倒したことでまとまったルーンが手に入ったので、カーレと取引をした。
欲しかったツール鞄も無事入手できた。
丈夫なカバンの中にまな板やすり鉢、小さいナイフなどが詰まった品だ。
どれも旅の最中に荷物の邪魔になりにくいように小ぶりに拵えられている。
この地で目覚めてすぐこれほど便利な品を入手できたのは、幸運と言わざるを得ない。
これを有無で旅の形は雲泥の差となっただろう。
他にも、色々な品を購入した。
生肉や骨の加工法を記した製法書、割れても復元する不思議な壺、意匠の凝った通眼鏡など。
特に気に入ったのは念入りに研がれた投擲用のダガーだ。
重心が整えられ、素材にもよい金属が使われている。
まとめて十数本ほど買い取った。
戦利品の黄金のハルバードについては、売却してルーンの足しにした。
幸いにして武器には困っていない。
カーレは私が黄金の重戦士、ツリーガードというらしい……に打ち勝ったことに大層驚いて、しきりに私の武を褒めたたえていた。
しかし、聖杯の緋雫あっての辛勝。
私はその賞賛を素直に受け取れなかった。
あとは、情報のしたためられた文書も2つ買い取った。
どちらにも興味深い内容が記されている。
1つ、リムグレイブの宿場跡に何者かが潜む。
1つ、霧の森の北、第三マリカ教会に祝福の聖杯瓶有り。
特に祝福の聖杯瓶のことが気になる。
私が所有しているこれも聖杯瓶なのだろう。
効力の確かさは、ツリーガードとの戦いで身をもって知った。
同じものかはわからないが、積極的に求めるだけの価値はある。
もたもたしていれば、他の何者かの手に渡ってしまうやも。
第三マリカ教会の捜索は、高い優先度で行おう。
さて。休息も十分取った。
今度こそ散策だ。