黒騎士、エルデの地の紀行   作:ゆでエビ

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丁寧に情報を拾うとすごい世界観がわかりやすい



007

 向かった場所は、カーレのいる教会。

 彼の商いの品にある、松明を購入するのが目的だった。

 ついでに辺りを歩くと、妙なものを見つけた。

 

 それは、石像だった。

 首の長い、骸の石像だ。

 足の指が三本しかないのが目についた。

 一番の特徴は、石像から一条の青い光が伸びていること。

 

 好奇心から、私は光の先を追ってみることにした。

 辿り着いたのは、岩壁のふもと。そこには木の扉が備え付けられていた。

 中に入って見ると、地下墓地へとつながっていた。

 

 木の椅子にこしかけた幻影がいたので近づいてみたところ、興味深いことを口走っていた。

 正しい死とは、黄金樹に還ること。

 幻影はそう言っていた。

 それがこの世界のルールであり、価値観なのだろう。

 

 地下墓地を進むと、小さなインプの像が襲い掛かってきた。

 インプは物陰に隠れており、子供の悪戯のような奇襲だった。

 無論、私は警戒を怠っていなかったので、事前に発見はしてあった。

 

 推察するに、侵入者に対する防衛装置のようなものだろう。

 インプ像はもろく、容易く撃破できた。

 その後も罠にそなえるように先に進んだ。

 

 途中、大きな石扉があった。

 巨大な樹の描かれた開かない扉だ。左右にローブを着た骸骨の石像に挟まれていた。

 描かれた樹は間違いなく黄金樹だろう。

 力で開けることもできなさそうなので、無視して先に進んだ。

 

 その先には、通路を塞ぐように、火炎放射の仕掛けがあった。

 火炎放射の合間を縫って装置に近づくと、インプが彫ってあった。

 インプはやはり防衛機構の象徴的な意匠らしい。

 衝撃を与えれば、火炎放射の装置は停止した。

 

 奥では、さまえよえる貴人たちの遺灰を見つけたが……戦力として期待できる気がしない。

 彼らを召喚する必要はあるのか? 召喚したとて、あまり頼れる霊体ではさそうだが。

 更に奥まった場所にレバーの仕掛けを見つけた。操作すれば、石をひきずるような音。

 

 引き返してみれば、あの黄金樹が彫られた大扉が開いていた。

 その先は大広間になっていた。

 そこに鎮座していたのは、大きな犬のような像。

 刃に平たい大剣を携えており、襲い掛かってきた。

 炎などを吐いてきた上に、生物らしからぬ直線的な軌道で大剣を振るってきた。

 独特の剣の軌道には面食らったが、慣れてしまえばどうということはない。

 

 サイズがサイズで破壊に手間取ったが、無事に撃破できた。

 手に入れたのは、貴人の魔術師の遺灰。こちらは先ほどの遺灰よりかは頼れそうだが……。

 どうしても打たれ弱いイメージが先行する。戦力としては懐疑的にならざるを得ない。

 

 しばらくして、気づいたことがある。

 広間の奥に木の根が露出していたのだが、様子がおかしい。

 根に人の死体が大量に、縋りつくように纏わりついていたのだ。

 

 これが、これが還樹?

 これが黄金樹に還るということなのか……?

 

 どの死体もまだ肉がついており、しかし干からびてミイラのようになっている。

 そのミイラが、肉団子のように丸まって木の根に絡み付いている。

 まるで、死骸の栄養を根が吸い取っているかのよう。

 

 これが、この世界の正しい死の形。

 だめだな。

 異なる世界からやってきた私には、どうしてもおぞましいものにしか思えなかった。

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