「リーチ一発ツモタンヤオ一盃口ドラ4。裏が4つ乗って……役満や。16000オールの7本場は16700オール」
『槓ドラモロ乗りした上に槓裏までモロ乗りしたの草』
(槓する未来を視た時、槓ドラモロ乗りして心の中で噴いてもーたからな。……槓裏も乗るのが視えた時には心の中でもう1回噴いたけど)
怜が3校を纏めて飛ばした頃。控室で除ヶ口が竜華に声をかける。
「いや何というか、格がちゃうで。
……清水谷はよく園城寺に挑めるな。私なら先にメンタルやられるで。毎回上がり牌握られてるし」
「……うち、元々麻雀を本気でやるつもりはなかったんです。私が全力で麻雀を打って楽しんだら、みんなすぐにトんでまうんで。
そんな時、怜と麻雀を打って……」
「……コテンパンにされたんか」
「最初は三麻でしたけど、何回やってもどうやっても1位になれませんでした。それで全力を出せる喜びを知って……じゃあ怜は?ってなったんです」
怜は小学1年生の時から、全国大会を4連覇している。ライバルと言えるような存在は、同年代ではいなかった。少なくとも竜華は怜からそういう存在を感じ取れず……孤独のように見えた。だからこそ、放っておけない存在に思え、竜華は本格的に麻雀を始めた。
「私自身、強すぎる人は好かれへんやろうと思ったから麻雀を今までやらなかったんです。でも」
「たっだいまー!全部飛ばしてきたでー!
……あれ?なんやこの空気?」
「お疲れ怜。最後の役満凄かったで」
「せやろせやろ。もっと褒めてーな。
あと部長は最後の大会で団体戦出場出来て、しかも1勝出来たことになんかないん?」
「……ひぐっ、うぐ、ありがとうなあ」
「泣かんでもええやん!?だ、誰かハンカチ……」
シリアスな雰囲気だった控室を、ぶち壊しながら入って来た怜は、久しぶりに役満を上がれたことに上機嫌となり、ついでに除ヶ口に感謝を求めると除ヶ口が感極まって泣き出すというハプニングが起こった。除ヶ口が5年生の時から、倉智姉妹と3人で細々と活動を続けていた麻雀部。団体戦に出場したいという想いは当然あった。
……その団体戦に参加しても、チームとして1勝が出来るのは僅かに1/4と厳しい世界である。そんな中、無事に1勝をして2回戦へと駒を進めた石連寺小学校は2回戦、3回戦ともに中堅までで試合が終わる。倉智姉妹が振り込みをしない上、何となく山に何が多いかまで伝わり始めたため、聴牌速度が早くなったためだ。
4人分の手牌と河から、山に何がどれぐらい残っているのか把握できるのは強力な力だ。何よりリーチをかける際、山にあと何枚残っているのか何となくでも理解できるならそれだけで十分過ぎるほどである。
「部長の出番を奪ってすいませんねー」
「うちらが終わらしてしまいましたわー」
『強キャラのような台詞を吐き始めたけど、やってることわりと外道よな』
(控室からテレパシーは強すぎるで。もっと正確に伝わるようになったらと考えるとえげつないなあ)
準決勝進出を決めたため、翌日の日曜日も続いて団体戦に参加する石連寺小学校の麻雀部。試合の中で成長していく倉智姉妹を見て怜は若干末恐ろしいものも感じた。
『来年まで成長続けるなら相当ヤバイでこれ』
(来年は野上さんと進士さんが入るとして……団体戦メンバーどうするんや?)
『進士さんが外れるんとちゃう?一応場の流れを読める人間っぽいけどこのテレパシー姉妹の前ではなあ……。まあ個人戦と団体戦で倉智姉妹が出るの分かれるってのも出来るとは思うけど』
(……たぶん今年の個人戦、2人はボロボロやろな)
日が変わって日曜日。準決勝は次鋒の知恵が跳満の親被りで沈み、挽回出来ずに4位で終わったものの、中堅の多恵が1位を確保しどうやっても大将戦までバトンを繋げられる状況。負けても問題なく、背負うものもない。怜に「好きに打ってきて下さい」と言われた除ヶ口は、本当に気楽に打ち始め、小学生らしい全ツッパを披露した。
なおそれで除ヶ口は副将戦を1位で終え、怜に出番を回すことなく石連寺小を決勝へと導く。ここまで石連寺小が躍進している最大の理由は、小中学生で本格的に麻雀を行う人間はクラブチームに進むという理由も大きい。
要するに小学校の麻雀部にとても強い人、というのは怜が想像している以上に少ない。そんな中、変則的とはいえオカルト持ちが4人居る時点で上位であり、内2人の強さが異常なため、決勝進出は妥当である。
『思ってたよりスムーズに決勝やな』
(もう片方の準決勝、観戦したけどどこも変な打ち手はおらんかったな。
……個人戦なら地区予選でも準決勝辺りで多少は強い奴おるんやけど)
『それにしても、準決勝の2試合と決勝の1試合を丸々テレビで放送するのは凄いな。団体戦やから最大半荘15回分やしほぼ丸1日やで。大阪ってこともあるんやろうけど』
(一応激戦区……らしいんやけど)
怜がいることで目立っている石連寺小だが、1回戦以降怜に出番はなく、暇を持て余している。暇になったら暇になったで未来予知をする癖があるのだが……そこで怜は、原作キャラである江口セーラと出会う未来予知をした。