超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第14話 全国

竜華は、今まで怜以外に負けたことがなかった。全国大会までの期間、それなりに麻雀部で卓を囲んだが、1回も原点を割るようなことはなく、怜以外が相手の時はほとんど1位をキープしていた。もし本気で麻雀を打ったら、普通の子供は簡単に飛んでしまう。その自惚れが事実であるぐらいには強かった。

 

しかし全国大会に出るようなチームの先鋒は、普通ではない。簡単には振り込まない上、クラブチームがないような地域であればオカルト持ちは小学校の麻雀部で活躍するしか道がないため、当然のように牌が偏る。

 

(県予選のデータを見ると、沖縄の子は筒子、しかも数字の大きい牌が集まっとるな)

『島根の方も何かおかしいというかあそこまで次の牌が分かるもんやろか。同じ未来視……とは違うかな?』

(まあでも竜華は流石や。キチンと回し打ちしとる)

『先制パンチは竜華やな。これで出し惜しみは出来る状況じゃなくなったから、本気で来るやろうけど……』

 

竜華より先に、聴牌してリーチする沖縄代表と島根代表。当たり牌を掴んだ竜華は、当然振り込まずに回し打つ。純チャン三色を捨て、ピンフドラ1の上がり。……怜であればここにリーチ一発、裏ドラまでつくが、リーチをかけられなかった竜華は2000点のみである。

 

そしてこの東1局で大きく稼げなかったことが、竜華の運命を決定づけた。竜華の親番に、沖縄代表の運天原小の先鋒が清一色三暗刻の倍満をツモ上がりしたため、一時的に最下位に転落。ここで竜華が超集中モードに入り、倍満を聴牌するが上がれず。

 

(三連刻が無くて良かったと言うべきか……あったら三倍満やったな)

『それどころかリーチして来たやろうし、ドラ無しで数え役満まであったで……』

(……追い付けない、かな)

『自分の持つオカルトについて意識して打ってるだけで小学生の中では上位やからなあ。げっ、また清一色作ってる』

 

その後、竜華は必死に追いすがるが僅かに届かず2位。先鋒である竜華が1位を取れなかったことで、石連寺小は総合得点での勝ち上がりに期待するしかなくなったが……。

 

『倉智姉妹は両方火力ないんよなあ』

(守りはテレパシー出来るから一級品なんやけどな……あかん、力不足や)

「部長……うちまで回せとは言わへんし、せっかくやから楽しんで来て下さい」

「……やれるだけ、やってくる」

 

既に沖縄の運天原小が2勝しており、勝ち抜けリーチの状況。当然他3校は運天原小を狙い撃ちするが……。

 

(あれ先鋒並みに強いで)

『個人戦の沖縄代表があの先鋒ではなく副将の子の時点で察するべきだったな』

「……竜華は泣けるんやな」

「怜は……怜は悔しくないん?自分の番すら回ってこーへんで負けるなんて」

「全国で勝ち抜ける力が今のチームにないことぐらい、うちが一番分かっとったからな」

 

あっさりと運天原小の副将は1位を取り、3勝で勝ち抜けが確定する。全国大会1回戦負けとなった石連寺小で、唯一泣いているのは竜華であった。

 

「ごめん園城寺」

「謝らんとって下さい。あの面子で部長はよく焼き鳥にならなかったってレベルなんです。下手すりゃ個人の全国決勝卓ぐらいしんどい相手だったと思うんで」

「……慰めんでええで。思ってた以上に、自分は真剣じゃなかったみたいや。小学生最後の大会やったんやけどな、落ち込んでへんわ。竜華みたいに泣けへんし、むしろ全国大会に来てしまった満足感だけでいっぱいや」

「……千里山中学は麻雀部それなりに強いですし、部活も毎日あるでしょうからもうちょっと真剣に打ち込めると思いますよ」

 

倉智姉妹も今まで麻雀に必死に打ち込んで来たわけではなく、あくまで部活動の延長でここまで来てしまっていた。何もかも足りない中、挑んだ全国大会団体戦。勝利こそなかったものの、怜を除くそれぞれの記憶に、今回の大会は深く刻み込まれた。

 

(まあ良い経験になったやろ。来年はもうちょい上行って、再来年まで麻雀部を存続させへんとな)

『今のままやと怜の代が卒業したら自然消滅するけど……流石に全国大会行ったんやし、もうちょっと人来ると思うで』

 

良い経験止まりで終わってしまうかと怜は危惧していたが、怜が考えていた以上に、竜華は真剣に麻雀へ打ち込んでおり、野上や進士の様子を見るに来年はもう少し上へ行けるかなと考える。その後、沖縄代表の運天原小は決勝戦まで勝ち進むが、神奈川代表の不動山小学校が決勝戦で勝ち、優勝した。

 

『……小学生の団体戦のチームに相変わらず原作キャラがいねえ。団体戦だと神奈川代表が結構優勝してるんやけど神奈川って三尋木さん以外に誰かおった?』

(原作の神奈川代表って東白楽高校で一応強豪なんやろ?臨海にフルボッコされたらしいけど……)

『え、待って。その辺憶えてないんやけど……そっか。臨海相手にナレ死したから原作キャラおらんのか』

 

団体戦でも個人戦でも、怜は今まで咲本編に出て来る他県の原作キャラという存在にそれほど会っていない。しかし小学5年生となり、そろそろ全国大会に顔を覗かせるような存在も出て来る頃合い。年々強くなっていく周囲にワクワクしながら、怜は個人戦の日まで東京の雀荘を荒らし続けた。

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