全国小学生麻雀大会全国大会は地区予選を勝ち抜いて来た255名と予選免除者1人の計256人がトーナメント方式で戦っていく。準々決勝からは勝ち上がりが二枠になるため、人数の推移は256⇒64⇒16⇒8⇒4となる。
会場に256人が集まり、始まる開会式。怜はこの開始前の心躍る時間がとても好きだった。沢山の子供達が集まり……その性別は、ほとんどが女の子。というより、男の子が見当たらない。
「全国小学生麻雀大会!開会式のあと1回戦を始めます!
ここにいるのは各地区の代表256人!その頂点に立つのは誰か……!」
一昔前までは、この小学生の個人戦と、中学生の団体戦の時期が被っており、地上波の枠は食い合っていた状況だったが、怜が小学生王者となってからは別日になっており、小学生への注目度も高まっている。
「大阪府代表、石連寺小学校5年。ディフェンディングチャンピオン園城寺怜!史上初の大会5連覇に向け、1回戦に出陣です!」
『今まで3連覇までしかした奴がおらんから4連覇以降は全部史上初という』
(今回も1回戦から注目されるんかあ……。カメラいっぱいやで)
「怜は1回戦最初の組?」
「うちはA組1卓で固定やから最初やな。
竜華は?」
「うちはD組14卓やから最後の方や」
「あー……D組開始まではあと2時間ぐらいあるから気合い入れるタイミング間違えんときや」
怜は竜華と別れ、早速試合へと向かう。A組1卓の面子に、怜の見知った顔はなかった。
(2回戦以降は竜華と当たるやろか……)
『1回戦勝ち抜くのも、運が悪かったら難しいからなあ。
そう言えばさっきセーラの名前がA組2卓にあったけど、勝ち上がれるかな?』
「リーチ」
東1局は上がれる未来が視えなかったため、一番手が安い下家に鳴かせて1000点を上がらせ、迎えた東2局。リーチ棒を立ててリーチを宣言する怜の姿は、同卓者に否応なしに威圧感を与えていた。
「ツモ。
リーチ一発ツモドラドラ、裏3乗って倍満。4000・8000」
1巡目から、既に上がった後の裏ドラまで視れるようになった怜は、極力裏ドラを残す打ち方もしている。未来視による異様な聴牌速度に加え、一発ツモが出来るタイミングの予見。これらを複合させると、高い火力となる。
(サイコロ……今や!)
『何というか、TASやってる気分だな』
(未来確認しながらやから間違ってないような気するで)
『……配牌三暗刻はやってますわあ』
そして怜はとうとう、配牌を操り始めた。まだ配牌以後のツモ牌とセットでは未来を視ることは出来ないが、サイコロの出目を操ることで視える未来の中から、一番良い配牌を選ぶことが出来る。その良い配牌から、ツモ牌を数巡先まで見て打牌を決めるため、容易に役満にすら到達する。
(……世界大会まで行けば、こんな蹂躙も出来ひんやろ)
『たぶん白築プロみたいな存在がゴロゴロおるで。……次でおしまいか』
「ツモ!四暗刻!16000オール!」
東3局の怜の親番で、四暗刻を上がったことにより上家は0点となり、他家も数千点しか残っていない。そんな中、1本場で嶺上開花のみの上がりを決め、怜は2回戦進出を決めた。
『やっぱ嶺上開花決まると気持ちええな』
(槓材あったら積極的に狙うしな。……1つ牌をキープしとるようなもんやから性質悪いでえ)
A組の1卓は、A組の中でも一番早く対局が終わる。ここ数年で見慣れた光景であり、怜は呆然とする他3人を尻目に1人対局場を後にする。怜の対局が終わってから30分後。ちらほらとA組の対局が終わり始め、対局場から出て来る顔は暗い顔が7割5分に、明るい顔が2割5分。
その中には江口も居たが、表情は明るい。A組の対局が終わると、順次B組、C組、D組の対局が行われ、2回戦を前に昼休憩が挟まる。
(むー、竜華がモニター画面に出えへんの何でなん)
『16卓まであるからしゃーない。基本メインは各組の1卓やからな。
点数状況的には……ギリギリトップか』
(何か南3局で7本場まで行ってるで。そりゃ遅いはずや)
『親は……竜華!?』
(……あの超集中状態で、火力捨てて速度取っとるな。って、対戦相手の名前が!)
しかしながら麻雀の対局は、予定通りの時間で終わることの方が珍しく、竜華の入った卓は進行が遅くて本来なら昼休憩と定められた時間になっても対局を続けていた。やがてモニターはその対局の様子を映すようになり……怜にとって、よく知った顔を見ることとなる。
(何で天江衣が小学生の大会で出とんねん!?)
『しかも竜華が勝ってるの何でやねん。って、今日は満月じゃないしまだ昼前か。支配力は半分以下やろな』
(ちょっと月齢調べよか。……麻雀で月齢調べなあかんってなんやねん。
今日は三日月やな)
『かなり弱い時期やし、竜華が足組んでるから対抗出来とるんやろうか。
いやそれにしても天江衣が出て来るとはなあ……この調子だと1回戦で姿消しそうやけど』
原作で、かなり上位のオカルトを持つ天江衣。小学生の時から成長しないのか、怜のイメージ通りの姿の天江衣が、竜華の対戦相手としてモニターに映し出されていた。